麒麟の翼 ~劇場版・新参者~の紹介:2011年日本映画。東野圭吾の小説「加賀恭一郎シリーズ」の「新参者」を基に、阿部寛主演ドラマの劇場版。日本橋の麒麟像の下で一人の男性が殺され、被疑者と見られる男はトラックに轢かれて意識不明の重体になりました。加賀刑事は被害者の足取りを追いながら真相に迫ります。
監督:土井裕泰 出演:加賀恭一郎(阿部寛) 青柳武明(中井貴一) 青柳悠人(松坂桃李) 八島冬樹(三浦貴大) 中原香織(新垣結衣) 松宮脩平(溝端淳平) 杉野達也(山崎賢人) 吉永友之(菅田将暉)ほか
映画「麒麟の翼」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「麒麟の翼」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
麒麟の翼 ~劇場版・新参者~の予告編 動画
映画「麒麟の翼」解説
この解説記事には映画「麒麟の翼」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
麒麟の翼 ~劇場版・新参者~のネタバレあらすじ1:事件発生
日本橋の麒麟像の下で一人の男性が胸を刺されて亡くなりました。名前は青柳武明。彼は胸を刺されながら誰にも助けを求めずに麒麟像のもとまで歩き続けて息絶えました。そして彼の手からは白い折鶴が放たれたのです。ほぼ同時刻、八島冬樹という若者が警察官からの職務質問から逃れようとしてトラックに轢かれる事故が起こりました。八島は被疑者とされますが、意識不明の状態が続き、後に亡くなりました。八島は警察官に捕まる前、恋人の香織に「大変なことをしてしまった」と電話をしていました。
麒麟の翼 ~劇場版・新参者~のネタバレあらすじ2:捜査
刑事・加賀恭一郎は松宮刑事と共に青柳がなぜ縁もゆかりもない日本橋で死んだのか、その足取りを追います。一見接点のない二人に見えましたが、八島は半年前まで青柳が勤めるカネセキ金属の工場で働いていたことがわかりました。そして八島は勤務中に事故に遭いますが、会社が労災隠しをされて契約まで切られていました。その件で八島は責任者である青柳を恨んでいたという推測がなされます。被害者の青柳は一転、労災隠しの張本人として世間からバッシングされ、青柳の家族はつらい思いをします。一方青柳の近頃の行動を追っていた加賀は、彼が日本橋で七福神巡りをしていたことを突き止めます。折鶴を奉納して写真に収める青柳の姿が目撃されていたのです。なぜ青柳がそのようなことをしていたのか、どのような意味があったのか。
麒麟の翼 ~劇場版・新参者~の結末:真実
捜査を進める加賀はついに真実にたどり着きます。そしてそれは青柳の息子・悠人が深く関わっていました。3年前、悠人は水泳部に所属していました。ある大会でミスした後輩の吉永に悠人と仲間たちは指導と称して夜中にプールでひどい仕打ちをしました。その結果、吉永は溺れて植物状態となってしまいました。しかしその事故に悠人たちは無関係とされていたのです。悠人は自責の念にかられ、別人を名乗り吉永のために折鶴を奉納していました。青柳は息子がその事故に関わっていたことに気づき、奉納を途中でやめてしまった悠人に代わり、毎月神社を巡っていたのです。事件当日、青柳は悠人の友人の杉野に話を聞くために会いました。杉野は真相が暴かれることが怖くなり、青柳を刺してしまいました。そしてその直後に八島が現場に着き、つい青柳の財布やカバンを盗んでしまったのです。父の愛情に気づいた悠人。八島の子供を身ごもっていた香織。二人は麒麟像からまた新たな一歩を踏み出しました。
東野圭吾のミステリ小説は、謎解きの中で浮かび上がる、深遠な人間ドラマが、人気の秘密だろう。
この「麒麟の翼 劇場版・新参者」は、東野圭吾のベストセラー小説を原作にした、連続テレビドラマ「新参者」の劇場版だ。
日本橋署の刑事・加賀恭一郎が、映画版の中で殺人事件の真相に迫る。
東京・日本橋の麒麟像の下で、腹部を刺されたまま息絶えた、青柳武明(中井貴一)が発見された。
青柳の鞄を持って逃走した八島(三浦貴大)は、車にはねられ意識不明になる。
八島の恋人の香織(新垣結衣)は、八島の無実を訴えるのだった。
八島は、果たして犯人なのか?
青柳は、なぜ刺されてから8分間も歩き続け、日本橋へ向かったのか?
家族、友人、様々な人間関係の裏に、真相が見えてくる。
淡々と謎を解き明かしていく加賀役は、TVドラマ同様、阿部寛が演じ、物語の舞台となる、人形町周辺の雰囲気も味わえ、とにかく、原作に忠実に、そつなくまとめた印象だ。
中井貴一は、思春期の息子を理解しようと奔走する父親役を、いつものワンパターンの演技で、観ていてうんざりするが、息子の悠人役の松坂桃李は、心に闇を抱えた高校生を、実にうまく演じていると思う。
加賀の従弟で、相方の松宮を演じる溝畑淳平は、相変わらず捜査1課の刑事らしくない風貌だが、その身軽さが生きるアクションで見せている。
ドラマも原作のシリーズにも触れていない人も楽しめると思うが、加賀と元刑事だった亡き父との関係や、田中麗奈演じる看護師の存在が、浮いて見えるのが残念だ。
「父と息子の絆」が良いだけに、劇場版だけでは、加賀親子の描写が物足りなかったと思う。
原作を先に読むか、後に読むか、迷いどころだが、ミステリのオチは、知らないほうがドキドキできると思う。
しかし、この作品は、原作から頭に思い描いていた情景と、比較してみるのも悪くないと思う。