北の桜守の紹介:2017年日本映画。樺太から北海道に引き揚げる江蓮家の物語。樺太から命からがら北海道に引き揚げ、そこで寒さと飢えに苦しみながらも父との約束を果たすことを夢見て一生懸命に生き抜こうとする江蓮家の話をミュージカル仕立てにした物語。
監督:滝田洋二郎 出演:吉永小百合(江蓮てつ / 母)、堺雅人(江蓮修二郎 / 次男)、篠原涼子(江蓮真理 / 修二郎の妻)、岸部一徳(山岡和夫)、高島礼子(島田光江)、永島敏行(三田医師)、笑福亭鶴瓶(居酒屋たぬきの主人)、阿部寛(江蓮徳次郎 / てつの夫)、佐藤浩市(菅原信治)、ほか
映画「北の桜守」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「北の桜守」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
北の桜守の予告編 動画
映画「北の桜守」解説
この解説記事には映画「北の桜守」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
北の桜守のネタバレあらすじ:起
樺太で父は製材所を経営して江蓮家は両親と兄の四人家族で裕福な生活をしていた。そんなある日、ソ連軍が侵攻してきたので父は出征する事になる。両親が心を込めて日本から桜の種を育てていた。出征の日に「必ず帰って来て四人で満月の夜に綺麗な桜を見よう。母と弟を頼む。」と父は表札を母に預けて出征する。母と兄と三人で命からがら飢えと寒さに耐えながら北海道に戻る。
北の桜守のネタバレあらすじ:承
北海道では母は菅原からヤミ米の仕事をもらったり、食堂を始めるときのお金を出してもらったりしておにぎりを出しながらなんとか生活していくようになる。また樺太時代からの友人の山岡にとても親切にしてもらい、母と二人で飢えと寒さに耐えながらも母の愛情を受け成長していく。小学校になると新聞配達をしたりヤミ米の手伝いをするが、いつもつぎはぎだらけの服を着ているのでいじめられていた。ある日、それを見た母がいじめっこ達に「殴ってやれ。」と強くなれるように励ます。またグローブを夜なべしながら作ってくれたこともあった。いつも母の愛情を受け貧しいながらも修二郎はたくましく成長していった。学校を卒業すると母から、「ここを出て自分で幸せになるように頑張りなさい。母の事は忘れなさい。」と言われる。突き放されて辛かったがそれから必死で頑張って貧乏から抜け出し、渡米して日本初のハンバーガー店の社長になる。またハンバーガー店の大株主の娘の真理と結婚もして出店を任されて軌道に乗り始める。当初はハンバーガーが珍しい事もあり、行列を作るほどの人だかりとなって店はとても賑わっていた。
北の桜守のネタバレあらすじ:転
ある日、市の方から連絡があり、母の食堂が違法とのことで撤去するように言われる。そこで母のいる網走に行き、15年ぶりに母と再会する。修二郎はすぐ同居することを決意する。同居を始めるが妻からは変な親子と言われ、姑の行動がおかしいと言われる。心配して母とそれから病院に行くとボケてもないし、アルツハイマーの心配もないと言われる。ただ、もしかしたら何か大きなショックなことが原因ではと言われる。店の方は徐々に人が来なくなったが社員の意見を聞きながら試行錯誤しながら日本独自の味にしたり、母のおにぎりを店に出店することを思いつき社員に試食してもらうと好評だったので店の商品化をしていくようにもなる。このようにどんどん修二郎独自のやり方で店を切り盛りしていく。そんなある日、義父が店の様子を見に来ることになったのだがちょうど同じ頃に母は同居していることで二人に迷惑をかけまいとして家を出ることにする。修二郎は必死で母を探して義父が来る日にも関わらず、母と旅に出る決意をする。頭に来た真理は日本に来た父に親子の異常さを訴えたが父は日本での修二郎の仕事ぶりや親孝行ないい息子だといい彼の生き方に共感して帰っていく。それから真理も一緒に旅をするようになる。そこで母との空白の15年間に何があったかが少しずつわかってくる。
母は15年の間、コツコツと食堂をしながらも修二郎が送金していたお金を貯めていた。そのお金は仲の良かった友人の光江さんに貸したが返ってくることはなかった。また修二郎が結婚してもらいたかった菅原さんは母にプロポーズしたが、真っ白の喪服を着て断られたとのことだった。これは二度と再婚はしないという意味だったのだ。また店を出すときに出資してくれていたがまだ返済が終わってないと言っていたがとうに終わっていた。結局、夫、徳次郎が必ず帰ってくるとずっと信じて待っていたのである。樺太時代からの友人である山岡さんは本当にてつによくしてくれていた。夫、徳次郎と一緒に戦地にも行き、唯一帰って来た人物だったのである。しかし、戦地ではスパイになりすまし、仲間の事をでっち上げして密告していたのである。そして、自分以外は全員殺されたのだった。その事を毎日ずっと思い償いきれないことをしてしまったと告げる。そして、何より一番ショックだったのは引き上げの途中、船から投げ出されてその時必死で浮き輪を見つけて取りに行った兄が波に飲まれて死んでしまうということだった。何度も母が「征太郎、征太郎。」と泣き叫んだがそれが最期だった。樺太から北海道、網走、内地での生活、生きていくのが精一杯で毎日ひもじい思いをしていた。極寒と極貧と飢えの辛く苦しい生活を思い出していった。最期には一番思い出してはいけない場面を思い出した母はとうとう倒れて入院してしまう。そして、翌日の朝早くに病院を抜け出し行方不明になる。
北の桜守の結末
二年間の間に修二郎夫婦には子供もできた。姿を消した母だったが網走でお世話になった人達と必死で母を探し出そうとする。やっと二年後に桜の下で修二郎は母と再会する。母との再会は夢か幻のようで満月の夜にとても美しく桜が咲き誇っていた。修二郎が夫に見えた母は守り続けた表札を手渡し、桜の下で再会する約束を果たしたことを告げる。征太郎も戻ってきて四人で桜の下で再会を喜びあうのだった。
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