喰女-クイメ-の紹介:2013年日本映画。四谷怪談のお岩さんの物語と現実が交互に進行するストーリーが特徴。見ている視聴者も現実と舞台の境目が分からなくなるノンストップホラー。
監督:三池崇史 出演者:市川海老蔵(長谷川浩介/伊右衛門)、柴咲コウ(後藤美雪/民谷岩)、伊藤英明(鈴木順/宅悦)。中西美帆(朝比奈莉緒/伊藤梅)、マイコ(倉田加代子)ほか
映画「喰女-クイメ-」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「喰女-クイメ-」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
喰女-クイメ-の予告編 動画
映画「喰女-クイメ-」解説
この解説記事には映画「喰女-クイメ-」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
喰女-クイメ-のネタバレあらすじ:起
冒頭はホラーにもかかわらず男女の肉体関係のシーンで始まります。その後、洗濯する女性。その後、場面が切り替わって、後藤美雪主演の「四谷怪談」の稽古が賑やかに始まるのです。この舞台で岩を演じる美雪は恋人の浩介を伊右衛門役に推薦し、見事彼は抜擢されます。2人は他の役者たちと共に懸命に舞台にのめり込んでいきます。ところがこれがのちに思わぬ悲劇に発展するとは誰も知る由もありませんでした。宅悦役の順は家族がいながら、美雪にちょっかいを出そうとしますが、美雪からは相手にされません。美雪のマネージャーの加代子は脚に障害がある為、表舞台では活躍できず、裏方として美雪のサポートをしていますが、彼女は代役として岩のセリフを丸暗記し、女優の座を密かに狙っていました。梅役の新人、莉緒は美雪の楽屋に挨拶に行き、「美雪さんに憧れてこの世界に入った」としゃあしゃあと嘘をつき、内心は美雪を蹴落として看板女優になろうという野望があります。美雪と浩介が役にのめり込む程、現実と舞台の境目が分からなくなってきます。
喰女-クイメ-のネタバレあらすじ:承
ある夜、車で莉緒を家まで送ろうとした浩介ですが、莉緒に誘惑され、流されるままに現を抜かして莉緒と深い関係を結んでしまいました。莉緒は浩介に結婚して渡米する事を持ち掛けます。莉緒の家庭は裕福で、父親がホテルやレストランを経営していたのです。美雪の事をうっとおしく感じていた浩介は次第に美雪と距離を置くようになります。仕事をしたプロヂューサーと伊豆へ行くことになったと美雪に嘘をついて莉緒と時間を過ごします。美雪は彼の浮気に感づきながらも敢えて責めることはせず、何事もなかったかのように彼と舞台共演を続けるのでした。美雪は次第に四谷怪談の岩が憑依したかのように現実と舞台の区別がつかなくなり、また、浩介との子どもを願っていた彼女は毎日妊娠検査薬で確認して、妊娠していないことが分かると、頭をガラスに叩きつけて精神のバランスを崩してしまいます。「仕事で帰れない」と浩介が嘘の電話をしたことから、美雪の怒りが爆発します。自分に子どもが産めないから浩介は莉緒に夢中になったのだと思い込み、なんと、シャワーを浴びてる最中で自分の子宮を切りつけていもしない我が子を出そうという異常な行動に出ます。
喰女-クイメ-のネタバレあらすじ:転
漸く朝帰りした浩介は美雪の変わり果てた姿を見て病院へ連れてゆこうとしますが、美雪はそれを拒み、「私が至らないせいで申し訳ございません。」とお岩のセリフを何度も口にして、浩介に迫ります。浩介は怖くなって、衝動的に美雪の首を絞めて殺してしまいました。稽古の日。浩介は遺体を隠して何食わぬ顔でいつも通り舞台へ出ます。他の役者やスタッフ達は美雪の不在を心配しつつも仕事に戻ります。美雪の代役を加代が務める事となり、2人は舞台を続けていました。
喰女-クイメ-の結末
一方、工事中で片側通行の信号機の前でとある男性の残酷な遺体が刑事達によって捜査されています。その遺体の男性は浩介だったのです。頭部が見つからず、刑事達は困惑していました、楽屋にて、メイクをする美雪。「何としても幕を開けてね」とスタッフにいう彼女は足元の下にある何かをメイク台の中に蹴って押し込みます。それこそ、浩介の頭部でした。浩介は美雪によって彼女が残酷な行為をした夜に殺されていたのです。美雪はもう、美雪ではありません。お岩と身も心も「一心同体」なのでした。
舞台でお岩さんを演じるヒロインがお岩さんにとりつかれて破滅していくお話です。血まみれだったり、結構グロテスクなシーンがあるので、観る人は覚悟がいるかもしれません。幽霊も怖いけれど、本当に怖いのはやはり人間だな・・・人間の心だな・・・と思いました。人間、悪いことをするとそれは必ず自分に返ってくるのだな・・・と。途中、現実と妄想の区別がつかなくなりましたが、そのわからなさを楽しむのもこの映画の醍醐味かもしれません。