クソ野郎と美しき世界の紹介:2018年日本映画。SMAP解散から新たなスタートを切った稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の主演による、アクション・ファンタジー・ラブ・ミュージカルの要素をそれぞれ詰め込んだ全4話からなるオムニバス形式のオールジャンル・ムービーです。4人の監督が撮った3人のそれぞれのエピソードが、最終章でひとつに繋がっていきます。
監督:園子温、山内ケンジ、太田光、児玉裕一 出演者:稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾、ほか
映画「クソ野郎と美しき世界」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クソ野郎と美しき世界」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クソ野郎と美しき世界の予告編 動画
映画「クソ野郎と美しき世界」解説
この解説記事には映画「クソ野郎と美しき世界」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クソ野郎と美しき世界のネタバレあらすじ:EPISODE.01「ピアニストを撃つな!」
監督:園子温 出演者:稲垣吾郎(ゴロー)、浅野忠信(大門(マッドドッグ))、満島真之介(ジョー)、馬場ふみか(フジコ)ほか
フジコ(馬場ふみか)は不気味なマスクをつけたヤクザ者の“マッドドッグ”こと大門(浅野忠信)とその子分のジョー(満島真之介)に追われ、全速力で逃げ続けていました。フジコらが向かう先には、天才ピアニストのゴロー(稲垣吾郎)がフジコのことを想いながらピアノを奏でていました。フジコとゴローの出会いは、以前ゴローがたまたま別の女とデートをしていた時でした。フジコは「会いたくなったら使って」と言うと、打ち上げ花火のようなものをゴローに手渡しました。それからというもの、ゴローはフジコのことが忘れられず、忘れるために他の女性とデートを重ねましたがどうしても忘れることができませんでした。そしてある日、ゴローは打ち上げ花火を上げてみたのです。程なくして、マッドドッグの手から逃れたフジコはようやくゴローの元に辿り着きました。しかし、人の1000億倍の嗅覚を持つマッドドッグはすぐさま二人を探しあて、ジョーに命じてゴローの指目がけてハンマーを振り下ろさせました…。
クソ野郎と美しき世界のネタバレあらすじ:EPISODE.02「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」
監督:山内ケンジ 出演者:香取慎吾(香取慎吾)、中島セナ(歌喰い)、古舘寛治(尾乃崎紀世彦)ほか
謎の少女、通称“歌喰い”(中島セナ)。彼女のそばに近づいたミュージシャンはその歌を奪われ、歌えなくなってしまいました。ある時、街の壁に勝手に絵を描いたとして職務質問を受けていたアーティストの香取慎吾(香取慎吾)は、警察から絵の代わりに“歌”で表現すればいいとアドバイスを受けました。しかし、慎吾は歌おうとしても歌うことができず、その近くには歌喰いの姿がありました。慎吾は腹痛を訴えていた歌喰いを自宅へ連れて帰り、トイレを貸してあげたのですが、どうやら腹痛の原因は“歌”を食べ過ぎたのが原因のようでした。歌喰いが言うには、歌を取り戻すには自分の“ウンコ”を食べることだといい、歌を失って困っていた尾乃崎紀世彦(古舘寛治)にウンコを食べさせたところ、本当に紀世彦は歌えるようになっていました。慎吾は歌喰いに自分の歌のウンコを出すよう頼んだところ、翌日目を覚ますと歌喰いの姿は消えており、しかも慎吾の描いた絵は全て食べられてしまっていました。トイレには7色に輝くウンコがありました。
クソ野郎と美しき世界のネタバレあらすじ:EPISODE.03「光へ、航る」
監督:太田光(爆笑問題) 出演者:草彅剛(オサム)、尾野真千子(裕子)ほか
妻の裕子(尾野真千子)に食わせてもらっているヤクザのオサム(草彅剛)。二人には息子・航がいましたが事故死しており、その際に右腕を知らない子供に移植していたのです。航は裕子に父のようにはならないこと、そしてプロ野球選手になりたいという夢を語っていました。ある日、右腕を移植した女の子が沖縄で行方不明になったというニュースを聞いたオサムと裕子は早速沖縄に飛び、女の子を探すも何の手掛かりもなく途方に暮れるばかりでした。そんな時、裕子が昔、航とよくキャッチボールをしていたボールを見たオサムはある人物に電話を入れると、誘拐されていた女の子を見つけ出して救出、誘拐犯の指を詰めさせました。女の子の右腕は確かに航のものでした。女の子の名前は「光」。
クソ野郎と美しき世界のネタバレあらすじ:EPISODE.04「新しい詩(うた)」
監督:児玉裕一 出演者:クソ野郎★ALL STARS(稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾、出演者一同)ほか
数多くの“クソ野郎たち”が集まるダンスホール「クラブ・クソユニバース」。そこでは夜な夜なショーが繰り広げられており、クラブの真ん中にあるピアノではゴローがピアノを奏でていました。実はあの時、ジョーはマッドドッグに言われるままにハンマーでゴローの指を潰そうとしたのですが、元ボクサーながら人の痛みを見ることができないジョーは目をつむったまま誤ってマッドドッグの手を潰していたのです。マッドドックの片手は機械の義手に変わっていました。やがてクラブに、慎吾が夢喰いを連れてやってきました。この少し前、夢喰いは7色のウンコを料理番組に提供、完成した7色のドーナツを食べた慎吾は歌を取り戻していたのです。慎吾が歌う傍らでは、沖縄から戻っていたオサムがヤクザの兄弟分であるマッドドックと会っています。実は、オサムが沖縄で電話をした相手はマッドドックであり、マッドドッグの超人的な嗅覚を利用しようとしたオサムは裕子が持っていたボールの臭いを嗅がせて、光の居場所を突き止めていたのです。やがて、ボールを落として追いかけるオサム、ピアノを弾き終えてステージを降りるゴロー、歌いながら中央へ移動する慎吾、フロアの中央で3人は初めて顔を合わせました。
以上、クソ野郎と美しき世界のあらすじと結末でした。
「クソ野郎と美しき世界」感想・レビュー
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楽しかった。3つの物語を柱にしたオムニバス映画。全く別々の世界に見えて、どこかで繋がっている不思議さ。特に香取慎吾さんが主演を演じた「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」はPOPでおかしな展開が淡々と描かれるとても可愛らしい作品でした。
映画の締めくくりの1本「新しい詩」では、キャバレーのような会場で、久しぶりに歌い踊る香取さんが見られて、この人は本当に華やかなアイドルだなぁと感じられます。
全体的にとても良かったのですが、園子温監督の作品は独特の乱暴な表現もあるので、ちょっと苦手だな、と感じてしまいました。 -
愛は暴力、暴力は愛「ピアニスト・ゴロー」役の稲垣吾郎、本人とシンクロする「歌をなくしたアーティスト・香取」役の香取慎吾、話の通じない「クズ親父・オサム」役の草彅剛。まったくの別世界で生きていると思いきや、「新しい詩」で彼らの人生が交わり、弾ける。1本で甘さも苦さも酸味も味わえる、アソートのような映画でした。
それぞれのエピソードにそれぞれ見どころがありますが、香取慎吾主演「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」の絶妙な”彼の現実とのシンクロ”っぷりの表現が素晴らしい。昔の歌を歌いたくても歌えない”ふたりの慎吾ちゃん”。劇中で彼の歌は絵となり、それも食われてしまうわけだけれど、虹となって彼の元へ戻ってきて「新しい詩」を生み出します。そう、すべてはここからなのだと、生き生きとした笑顔で歌う慎吾ちゃんは、やはり見るものを幸せにするパワーを持っているのだと確信できました。
そして草彅剛は、話の通じないチンピラの演技が本当にいい。彼の演技は脚本を超えるものがあると痛感。また、キーパーソンとなっている浅野忠信の狂気の好演も見逃せません。
解散してしまったSMAPのうち、ジャニーズ事務所を抜けた3名(稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾)が主演の映画。物語は四部構成になっていて、それぞれのショートストーリーが展開されたあと、全員がショーステージに集結して謎解きが展開されていきます。
この映画の見所は、なんといっても風刺の聞いたセリフや隠れメッセージ。園子温監督、内山ケンジ監督、太田光監督がそれぞれメガホンを取っているんだからそれもそのはず。この映画は、今の日本の芸能界に対する挑戦状(警告)だと思います。