ナミヤ雑貨店の奇蹟の紹介:2017年日本映画。日本を代表する小説家 東野圭吾原作の同名小説を映画化。大きな屋敷を飛び出し夜の街を走る敦也達3人。今しがたその屋敷で女性を縛り付けてカバンをひったくった3人は、一晩隠れるためにとある空き家へと侵入する。そこはかつて雑貨店として構えていたが、今では廃墟と化している場所。しかし、たった一晩過ごすつもりだったその場所に、突然一通の手紙が舞い込んできた。それは過去と現代を繋ぐ奇蹟の手紙だった。主演に人気アイドルグループから山田涼介、そして西田敏行が抜擢、主題歌「REBORN」を山下達郎が担当している。
監督:廣木隆一 出演:山田涼介(矢口敦也)、村上虹郎(小林翔太)、寛一郎(麻生幸平)、林遣都(松岡克郎)、成海璃子(皆月暁子)、門脇麦(セリ)、鈴木梨央(セリ / 少女時代)、山下リオ(川辺映子)、手塚とおる(刈谷)、PANTA(皆月良和)、小林薫(松岡健夫)、萩原聖人(浪矢貴之)、吉行和子(田代秀代)、尾野真千子(田村晴美)、西田敏行(浪矢雄治)、ほか
映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ナミヤ雑貨店の奇蹟の予告編 動画
映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」解説
この解説記事には映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 ネタバレあらすじ:廃墟
真夜中の静かな街を敦也(山田涼介)、翔太(村上虹郎)、幸平(寛一郎)の3人の青年が走り抜ける。それは爽やかな疾走ではなく、女性を襲ってカバンを奪った必死の逃走。しかも乗ってきた車が動かないときた彼らは、ある空き家へと侵入する。とりあえずは朝までそこで過ごし、落ち着いたら逃げる、単純な考えのもと、この空き家へと入った。
そこはかつて雑貨店として賑わっていたであろう場所、今でも面影は残しながら、すっかり廃墟と化している。小さなロウソクを灯し、拾ってきた雑誌にはこの店のことが書かれていた。どうやら30年以上も昔、ここでは雑貨店として、そして悩み相談の場所としても存在していたらしい。店の主人に手紙を渡すと、翌朝にはその返事が店の前のポストへと投函されているいう。静かな夜、雑誌に挟まれていた美人な女性の写真を見つめている3人は、ある音で我に返る。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 ネタバレあらすじ:ミュージシャン
音は店先のシャッターから聞こえてきた。そしてシャッターから何かが放り込まれるのを3人は目にしていた。それは紛れもなく一通の手紙だった。すぐに表へ出るも、人の気配は無い。中身はミュージシャンと名乗る男性からの相談だった。音楽関係へ進むため、大学を辞めたが芽が出ない、そして実家の魚屋を継ごうかと悩んでいるという内容だった。加えて日付は1980年。奇妙なものを感じながらも興味本位で返事を書くと、どういうわけかその返事もすぐに届いた。
そして何通かの手紙をやり取りする内に、3人はその男性の正体に気付き始めた。彼が店先でハーモニカを吹き始めた。その曲は今日本で大ブームを巻き起こしている女性シンガー セリ(門脇麦)の人気楽曲だった。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 ネタバレあらすじ:少女
3人がいる時代より遥か昔へ遡ること30年。ミュージシャン志望の克郎(林遣都)は悩んで雑貨店への相談の末、音楽を続ける決意をする。それから数年が経ち、ある養護施設へと向かった克郎は、売れないながらも音楽の仕事を続けていた。その施設で自身のオリジナル曲を披露した克郎、子供相手だったが喜ばれ、ある1人の少女の心にも強く音楽を刻み込んだ。
しかしその夜、養護施設は突然の火事に見舞われる。昨日の少女の弟が取り残され、救助に行った克郎は少女の弟を助けるも、亡くなってしまうのだった。それは少女セリの心に強く残り、かつて自身の弟を助けた恩人として、彼の楽曲と共に世間から大きな注目を集めることになる。3人もセリのことは良く知っていた。それは彼女が国民的スターだからではなく、彼女の通っていた養護施設が3人の通っていた施設と同じだからであった。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 ネタバレあらすじ:ホステス
単なる偶然、それぐらいにしか思っていなかった3人だが、手紙の投函はその後も続いた。次に来たのは昼は事務員、夜はホステスとして働く女性。彼女の相談はお金が必要で、通っている夜の店で、愛人の話を持ち掛けられたこと。しかしそれに甘さを感じた3人のうちの1人、敦也(山田涼介)は、彼女に現実を突きつけた。初めは突き放すつもりだった、愛人に手を出す女性に少しの軽蔑を覚えたからだ。しかしそれは次第に彼女を見守る立場へと変わっていった。
いつしか敦也は、今後の日本の情勢を教えながら彼女に幸せな人生を歩ませていく。そしてその女性は会社の社長として時代を見据えた人物として成功していった。その頃には3人は、この一連のやり取りが、単なる偶然ではないことを察する。そしてある事実を確かめるため、何も書いていない真っ白な手紙を店の外から投函した。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 ネタバレあらすじ:遺書
1980年、店の主人 浪矢雄治(西田敏行)は、病院から一時帰宅していた。先日、店先で倒れて余命3ヶ月と言われた彼は、最後に家に帰ることを望んだのだ。雄治の目にはかつての恋人 暁子(成海璃子)の姿があった。その時も変わらない18歳の美しい姿のままの彼女。暁子を前に雄治は、最後に自身がこれまで行ってきた相談が正しかったのか知りたいと望んだ。
何十年先、自身のアドバイスがその人を悪い方向へと導いたんじゃないのか、雄治はそれが心配だった。既に余命を知る彼は息子に「時期が来たら1日だけ相談を復活してほしい、そしてこれまでの相談の行く末を教えてくれるよう呼び掛けてほしい」、そう遺書に書いて渡していた。そしてそれはその日、暁子と2人で店にいるその瞬間に訪れた。店のシャッターの隙間から次々とお礼の手紙が届いたのだ。そして最後に一通、真っ白な手紙が届いた。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 ネタバレあらすじ:奇蹟
敦也、翔太、幸平の3人は、ふとスマートフォンでこの店のことを調べていた。するとそこに、1日限りの復活と書かれた店のサイトを発見する。それは、今この日であり、店の主人雄治が亡くなった日だった。雄治の存在、3人の青年、そして養護施設、しっかりと糸は繋がっており、偶然ではなく必然であった。
そして敦也、翔太、幸平の3人は、先ほど襲った1人の女性のことを思い出す。襲った理由は彼女が金を使い養護施設を買収しようとしたからだった。しかし奪ったカバンの中を見ると、そこにはここへ向けた一通の手紙が入っていることに気付く。彼女はあのホステスだった。手紙のアドバイス通りに仕事をこなし、火事で焼失した施設を建て直した人物だった。敦也以外の2人は、慌てて彼女の元へと走る。取り残された敦也は、ふと店の外のポストを覗くと、そこには一通の手紙が入っていた。
映画 ナミヤ雑貨店の奇蹟 結末
その手紙は店主の雄治から宛てられた最後の返信だった。真っ白な手紙、敦也へと宛てられたその手紙には、まだこの先明るい未来が待っていると書かれていた。悩みもがく敦也の心を見透かしたような手紙。敦也の目には涙が浮かぶ。そして敦也は、翔太と幸平の後を追いかける。
女性は既に警察を呼んでいた。翔太と幸平がその様子を見守る中、追いついた敦也は2人を連れて彼女の元へと向かう。敦也、翔太、幸平の3人には立派な将来が待っている。それぞれの夢、それぞれの目標があり、再びその道へと踏み出していくのだった。
以上、映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のあらすじと結末でした。
劇中で「魚屋ミュージシャン」の松岡(林遣都)が作り、国民的歌手セリ(門脇麦)が歌う「REBORN」が、しみじみと切なく心に残ります。作品を見終わった後に思わず口ずさんでしまいます。ストーリーの中で重要な意味を持っている曲です。
山下達郎の代表曲になる気がします。