何者の紹介:2016年日本映画。「桐島、部活やめるってよ」で知られる朝井リョウの直木賞受賞作「何者」が原作。就職活動を通して自分が何者かを模索する学生たちを描く青春映画。ある目的を持ち集まった5人、それは「就活」。拓人もまたそんな5人の内の一人だった。日々就活に追われるあまり次第に周りが見えなくなる。そんな彼らの逃げ道の一つとして使われるのがSNS。情報を収集し発散させる、そうやって何かを得ようとしていた。しかしそれは時に情報となり凶器となり疑問へと変わる。
監督:三浦大輔 出演:佐藤健(二宮拓人)、有村架純(田名部瑞月)、二階堂ふみ(小早川理香)、菅田将暉(神谷光太郎)、岡田将生(宮本隆良)、山田孝之(サワ先輩)、ほか
映画「何者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「何者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「何者」の予告編 動画
映画「何者」解説
この解説記事には映画「何者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
映画「何者」ネタバレあらすじ 1
拓人(佐藤健)はあるスタジオにスーツのままやってきた。それは同居人である光太郎(菅田将暉)がボーカルを務めるバンドの引退ライブ。就活をするため光太郎はバンド活動を辞めることを決心したのだ。同じ場所で顔を合わせたのは長い間留学していた瑞月(有村架純)だった。彼女もまた黒いスーツを着ていた。久しぶりの再会に喜びより困惑を感じる拓人はすぐに携帯を取り出し何やら打ち始めた。拓人、光太郎、瑞月は大学で知り合った仲だった、にも関わらず拓人はまともに瑞月の顔を見ることは出来なかった。光太郎はすぐに髪を黒に染めた。本格的に就活に励むつもりだった。拓人と光太郎は同じアパートの部屋で共に暮らしていた。まだ光太郎が金髪の頃彼が提案してきたのだ。そして黒になった今もまだ二人は共に暮らしていた。そして共に就活に励むこととなる。
映画「何者」ネタバレあらすじ 2
ある日拓人の家に瑞月が姿を現した。突然のことに驚く拓人と光太郎、瑞月がここにいたのはちょうどこの部屋の上の階に瑞月の友人が住んでいるからだった。瑞月の勧めでその友人である理香の家へとお邪魔する二人。理香もまた就活に励んでいた。意気投合した彼らは理香の部屋を就活対策本部とし情報交換をすることになった。さらにその部屋にはもう一人の人物が住んでいた。それは理香の彼氏である隆良(岡田将生)。しかし彼は学生でありながらも就活をしていなかった。1年間休学していた隆良は会社に属することを拒み、個人の力で生き抜くことを決意していた。それは自信の感性を高めるような発言だったがどこか他者を見下したような、そんな表情にも見えた。こうして彼らは時折この部屋に集まりお互いを高め合うがごとく就活に励んだ。
映画「何者」ネタバレあらすじ 3
ここ最近お互いの状況は話さなくても手に取るように分かった。それはツイッターを始めSNSと呼ばれるもののおかげだった。皆自ら自分の状況を全国に向けて発信していた。それは拓人達も同じだった。それが今の世界を生き抜くための戦術になり武器にもなる。しかし使い方を誤ると途端に弱点となってしまうものだった。拓人は就活に入るまで大学で演劇サークルに入っていた。そのサークルである人物と共に脚本を書いていた。かつての相棒、しかし今となってはお互い真逆の道を行っていた。拓人が就活をする一方彼は舞台一筋の道を選んだ。それは拓人にとってみれば「寒い」、そう思っていた。だからなのか彼と同じ匂いを放つ芸術家思考の隆良に対してあまりいい印象を感じなかった。それをバイト先の先輩であるサワ先輩(山田孝之)に愚痴ってしまう拓人。しかし先輩は二人を全然違うときっぱりと答えた。そしてあろうことか拓人の方がかつての相棒に似ていると言った。
映画「何者」ネタバレあらすじ 4
いつものように理香の家にやってきた拓人と光太郎、しかしその日瑞月はやってこなかった。それには理由があった。その日は瑞月の合格発表の日だった。緊張してしまいいつものように過ごせないと思い来なかったのだ。その夜瑞月は合格したことを電話で拓人達に話した。その後光太郎もある出版会社に合格した。合格祝いとして拓人のバイト先で二人ささやかなパーティをする。そこにサワ先輩が顔を出した。さらにもう一人のバイトの女の子も顔を出す。彼女は光太郎の所属していたバンドのファンだった。光太郎の周りで盛り上がりを見せる光景にいたたまれなくなった拓人は一人席を立った。そして店の外でタバコに火を点けた。その夜の帰り光太郎と共にタクシーに乗り込んだ拓人は癖のように携帯を触る。そんな彼に光太郎はつぶやくように話だした。一つ疑問がある、何故拓人はどこにも合格しないのだろう。光太郎のこの疑問は決して皮肉ではなく純粋な疑問だった。それだけ拓人を信頼していた。
映画「何者」ネタバレあらすじ 5
光太郎のパーティから帰った拓人はコピー機を借りようと理香の家を訪ねた。深夜にも関わらず入れてくれた理香、しかしそこに隆良の姿はなかった。尋ねると理香の失くした携帯を探しに外に出たという。そう話しながら理香は家中をうろうろとしていた。コピー機を借りるため拓人は理香のパソコンの前に座りインターネットを点けた。そんな拓人に理香は携帯を貸してほしいと伝える。拓人がインターネットに文字を打ち始めると同時に理香は拓人の携帯のパスワードを解いた。拓人の目に写ったのは検索履歴、そこには瑞月の会社の名前があった。そして理香の目に写ったのは光太郎の会社の名前だった。二人は友達の合格した会社を調べていた。驚く拓人だったが理香には分かっていた。そして畳みかけるように拓人に伝えた。拓人自身の心の弱さを。
映画「何者」ネタバレあらすじ 6
SNSに操られている現代の人間。拓人もその内の一人と言えるのかもしれない。彼はツイッターのアカウントを二つ持っていた。一つは友人にも分かるもの、もう一つは誰か分からないような名前の拓人の本心をさらけ出すものだった。そこに書かれたのは光太郎のバンド、理香の家、隆良の言葉、かつての相棒への嫌味。いつも言葉に詰まってしまう拓人の人には遮られることのない自身の心の内だった。心の内に様々なことを秘める内に彼は客観的に冷静にしか物事を伝えられなかった。その反動がここに出ていた。それは拓人一人の事ではなかった。理香も光太郎も隆良も瑞月も皆どこか人の知らない一面を持っていた。そうやって生きるしかなかったのだ。拓人のツイッターの二つ目のアカウント名には「何者」、そう書かれていた。
映画「何者」結末
面接で聞かれる定番となる質問がある。自分というものを1分で説明してください。拓人は他の就活生と同じように話始めた。しかし話し始めてすぐ違和感を感じた。そしてかつての相棒の事を話し始めた。その時には既に1分は越えていた。そして話の途中でこう伝えた。1分では伝えきれない、と。
以上、映画「何者」のあらすじと結末でした。
「何者」感想・レビュー
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そんなに期待しないでなんとなく見たらすごく面白かったです。よくいる普通に見える大学生たちが就職活動をしていく中で、焦りや嫉妬から生まれる仲間への歪んだ思いやSNSへの執着などが丁寧に描かれていて、ゾッとする部分もありつつ、なんとなく共感出来てしまう興味深い映画です。佐藤健の地味で陰湿な演技が絶妙で印象的です。
自分は他の大学生と違って優秀でユニークな人間だと思ったり、大手企業に内定が決まった友人を妬ましく思ったり…就職活動を経験したことがある人ならわかるのではなでしょうか。
この映画を見ていると、それらの黒歴史を掘り起こされて、枕に顔をうずめて叫んでしまいたいような感覚に陥ります(笑)