夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者の紹介:2021年日本映画。妖怪「妖(あやかし)」を見ることのできる能力「妖力」を持つ高校生・夏目貴志と、自称・用心棒の妖怪「ニャンコ先生」こと斑(まだら)の奮闘を描いた緑川ゆき原作の漫画『夏目友人帳』の中から、ファンに人気の高い2つの短編エピソード『石起こし』『怪しき来訪者』をピックアップした劇場版アニメ作品です。『石起こし』では森で出会った小さな妖怪「ミツミ」と夏目の交流を描き、『怪しき来訪者』では夏目の同級生・田沼の元に現れた二人の不思議な妖怪の顛末を描きます。
総監督:大森貴弘 監督:伊藤秀樹 声優:神谷浩史(夏目貴志)、井上和彦(ニャンコ先生・斑)、堀江一眞(田沼要)、黒田崇矢(三篠)、岡村明美(ヒノエ)、チョー(ちょびひげ)、松山鷹志(一つ目の中級妖怪)、下崎紘史(牛顔の中級妖怪)、金元寿子(ミツミ)ほか
映画「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者の予告編 動画
映画「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」解説
この解説記事には映画「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者のネタバレあらすじ:石起こし(前)
幼い頃から妖怪“妖(あやかし)”を見ることのできる能力“妖力”を持つ高校生・夏目貴志(神谷浩史)は森の中で、数日前に中級妖怪たちと一緒に出かけると言ったきり戻ってこない自称・用心棒の妖怪“ニャンコ先生”こと斑(まだら)(井上和彦)を探していました。その途中、夏目はある妖怪から、ニャンコ先生の行方は知らないけれども東の方から黒くて角のある妖怪が来ているという情報を教えられました。
しばらく森の中を進んでいた夏目は、どこからともなく聞こえてくる妖怪の悲鳴を聞きつけ、様子を見ることにしました。その途中、夏目は蜘蛛の巣に引っかかった何の変哲もない紙切れを見つけ、一応回収することにしました。
やがて夏目は悲鳴の主である小さな妖怪・ミツミ(金元寿子)が倒れているのを発見しました。この大人しくて気弱なミツミはどうやら他の妖怪に追われていた様子で、夏目に地図を見かけなかったか尋ねてきました。先程夏目が蜘蛛の巣から回収した紙切れこそがミツミが探していた地図であり、夏目に感謝したミツミはなぜ自分が追われているのか語り始めました。
ミツミは神格の妖怪・岩鉄(がんてつ)(金尾哲夫)の89番目の弟子でした。岩鉄は毎年決まった時期に祠で眠りにつき、決まった時期に目覚める妖怪であり、ミツミは今回、岩鉄を起こす役目“岩起こし”の大役を担っていました。岩起こしを成し遂げた者には豪華な美酒の褒美が授けられるため、常に他の妖怪たちが虎視眈々と“岩起こし”の役目を狙っているのです。
こんなか弱い自分を弟子にしてくれた岩鉄の思いに報いるためにもミツミは何としても“岩起こし”の務めを果たす覚悟であり、ミツミの思いを受け止めた夏目はニャンコ先生探しは一旦中断してミツミに協力することにしました。
夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者のネタバレあらすじ:石起こし(後)
夏目とミツミは地図を頼りに森の中を進んでいくと、ニャンコ先生や中級妖怪たちと出くわしました。更には会いました。更には呪詛使いのヒノエ(岡村明美)や妖怪・ちょびひげ(チョー)までもが来ていました。実はニャンコ先生と中級妖怪たちもまた“岩起こし”の褒美の美酒を狙っており、ニャンコ先生もまた夏目も褒美の酒を狙っていると勘違いしました。ニャンコ先生たちは自分たちのほうが先に見つけようと意気込んで去っていきました。
ヒノエとちょびひげは「下々の者が右往左往する様を見るのが楽しい」との考えから、美酒争奪戦には参加せず夏目たちの応援をすることにしました。腕っぷしの強い夏目は襲い掛かってくる妖怪たちを叩きのめしながら突き進み、ミツミは夏目の強さに感嘆を覚えました。夏目はなぜ岩鉄がこのか弱いミツミに“岩起こし”を任せたのか疑問に思っていましたが、ここはミツミの岩鉄を慕う強さを信じてみることにしました。
夏目とミツミはようやく岩鉄が眠る祠の近くまで辿り着きました。ところが、夏目とミツミは大きな妖怪に襲われ、その拍子で近くの倒木の穴の中へ転落していきました。夏目はそこでミツミが岩鉄と出会った経緯を知ることとなります。ミツミは鳥の巣から落ちたヒナを助けようとしたところを岩に挟まって動けなくなってしまい、岩鉄に助けられたことを機に弟子入りを志願していたのです。
夏目とミツミは地下道を見つけ、奥深くへと進んでいきました。地下道の天井はまるで星のように美しく輝いており、やがて夏目とミツミは奥の階段を登り、ようやく祠に辿り着きました。そしてミツミは見事“岩起こし”の大役を果たし、目覚めた岩鉄から褒美を与えられました。その場にいた妖怪たちはミツミを祝福し、そのまま宴の準備が始まりました。夏目はニャンコ先生と一緒にあの美しい地下道を通って帰ることにしました。
夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者のネタバレあらすじ:怪しき来訪者(前)
夏目の同級生・田沼要(堀江一眞)は夢を見ていました。田沼の家である八ツ原の寺には池がないはずでしたが、田沼はなぜか池の夢を見ていました。田沼は夏目のように妖力はないのですが霊感はあり、時々水面に反射しているような影が自宅の天井や障子に映っている様を何度も目撃していたのです。
目を覚ました田沼は、外出する父(坂本保典)から留守の間に友人が訪ねてきたら迎え入れて茶を出してくれるよう頼まれました。父が外出していった後、天井からは小さな水滴が滴るかのような音が聞こえてきました。その時、田沼家に不思議な来訪者(黒田崇矢)が現れ、田沼は父に言われた通りに応対しました。
夏目はその来訪者について不審に思いました。その来訪者は本来の来客ではなく、ここ最近は毎日のように田沼の家を訪れては少しだけ話をして帰っていくのです。夏目は来訪者の正体が妖怪であることを見抜き、田沼に電話を入れて彼の家に行くことにしました。
田沼もまた、来訪者が怪しい者であることには気づいていました。しかし、特に実害は受けておらず、田沼はその来訪者から毎日のように近くの梅ヶ原や一本杉に招かれていました。夏目は来訪者の正体が馬の頭と人の身体を持つ妖怪・三篠(みすず)(黒田崇矢)であることを見抜きました。夏目は三篠になぜ田沼に近づくのか問い質しますが、三篠は「彼に用がある。邪魔するな」と言ってその場を立ち去りました。
夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者のネタバレあらすじ:怪しき来訪者(後)
後日、田沼の元をまたしても三篠が訪れました。田沼は三篠が来訪するようになってから明らかに衰弱してきており、夏目は田沼が何者かに取り憑かれていることに気付きました。田沼に取り憑いていたのはササメ(鳥海浩輔)という妖怪であり、三篠の住む沼とは古寺を挟んで反対側にある沼の主でした。三篠とササメは時々、古寺に集まって勝負をすることを楽しみとしていました。
その勝負とは、寺の樹木のところに置いてある依り代の木偶人形に入り込んで戦うのですが、ササメは田沼を気に入り、木偶人形の代わりに田沼に憑依していたのです。田沼が夢で聞いた音とは、ササメが勝負の合図である錫杖を屋根に突き刺したときの音でした。
ササメはいつも三篠に負けてばかりおり、人間に憑依すれば勝てるのではないかと考えていました。三篠は「強さが大事なわけではない」とササメを諭し、田沼をササメの憑依から解き放ちました。三篠が田沼を招いていた梅ヶ原や一本杉などは三篠とササメがかつて勝負をした場所であり、三条はこれらの場所を見せればササメが自発的に田沼の身体から出てくるであろうと考えていたのです。三篠とササメは木偶人形に憑依し、上空に舞い上がって戦い始めました…。
…ササメの憑依から解き放たれた田沼は熱を出して数日間寝込みました。やがて体調を取り戻した田沼からは三條やササメの記憶は消え去っていました。後日、夏目は三條に会い、先日の勝負の勝敗を尋ねてみましたが、三條は「それは人になど話せませんな」とけむに巻きました。
以上、映画「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」のあらすじと結末でした。
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