のさりの島の紹介:2020年日本映画。天草を舞台に、のんびりとした雰囲気の流れる作品。オレオレ詐欺をやりながら流れてきた男と、孫を語ってきた男を受け入れ、共に過ごす老女の艶子。全てを受け入れるという、のさりの精神を色濃く表現した作品です。本作が原知佐子さんの遺作となってしまいました。
監督:山本起也 出演:藤原季節(男)、原知佐子(艶子)、杉原亜美(清ら)、中田茉奈美(ゆかり)、柄本明(碓井)、ほか
映画「のさりの島」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「のさりの島」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
のさりの島の予告編 動画
映画「のさりの島」解説
この解説記事には映画「のさりの島」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
のさりの島のネタバレあらすじ:起
熊本県の天草地方に「のさり」という方言があります。それは自分の境遇は全て天から授けられたもので、それを否定せず受け入れなさいという意味です。
熊本県天草市。
ラジオからオレオレ詐欺のニュースが流れています。その犯人と思われる若い男(藤原季節)は、流れるように九州を渡り歩き、やがてフェリーに乗り、ある島までやってきます。
堀川清ら(杉原亜美)はその島でラジオのパーソナリティをしている21歳の女性です。島が大好きな清らは、その良さを紹介できる仕事を楽しんでいました。
男が島にやってきて向かった商店街で、いきなりオレオレ詐欺を始めます。電話の相手は山西楽器店の店主・艶子(原知佐子)。男は艶子の家族である将太に成りすまし、金を工面してほしいと話します。男は将太の使いの者であるコマツになり、とりあえず手元にある金を貰いに行くと言って山西楽器店へと向かいました。
のさりの島のネタバレあらすじ:承
コマツとして山西楽器店にやってきた男。あくまでコマツとして金を貰うだけのはずでしたが、艶子は男を将太として扱い始めたのです。男を何の警戒もなく将太として接する艶子に、男もすっかり気を緩めてしまいます。その隙に艶子は男のスマホと財布を隠していたのです。
翌朝、目覚めた男はスマホが無いことに気づきますが、艶子は知らないと言います。その後も艶子のペースに巻き込まれた男は、すっかり艶子の家に居着いてしまいました。やがて、男はラジオの仕事で商店街を回っていた清らたちの仕事に興味を持ち、その手伝いをすることになったのです。
清らたちが取材を続けていると、この銀天街の資料がある時期からなくなっているのは、火災があったためだと知りました。一通りの取材を終え、男は山西楽器店に戻ります。男が艶子の手伝いをしていると、なくなっていたスマホと財布が隠されているのを見つけます。
のさりの島のネタバレあらすじ:転
これさえあればこの島には用がない男でしたが、この居心地の良い生活を続けようとしたのです。男はすっかり艶子との生活が気に入っていたのです。倉庫の整理を終え、艶子の肩を揉んだりしています。
清らはラジオの放送が良かったと父・健一から褒められます。そこで祖父と話している内に、話は艶子の孫の話になっていきました。
そこで清らは艶子の孫たちはもう亡くなっていることを知るのでした。では今いる将太は何者?急に恐ろしくなった清らは男を呼び出しました。「本当はどこで何をしている人なの?」と問いかける清らに「自分でも分からないんだ」と答える男。
艶子は何もかも知った上で男を受け入れた、事情も何も聞かず男が将太だと受け入れた、艶子の真意は分からないが、まさにのさりの精神なのでしょう。男はもうこれ以上将太として過ごすのは無理だと判断し、艶子には何も言わず出ていく事にしました。
のさりの島の結末
そして艶子が持っていた、おそらく将太であろう男の子が写っていた場所が見たくなり、そこに向かいました。それは、世界遺産にもなっている天草の﨑津集落のカトリック﨑津教会です。
ボーッと眺めている男に、漁師の男が声をかけます。漁師はマリア像が見える所まで連れて行ってくれました。
何が何だか分からない男に、漁師の男は言います。「マリア像を見に来たんじゃないのか?」。もちろん男はマリア像が見るべきものだとは知りません。「あんなもんはまやかしだ」と男が言うと「まやかしでも必要な時がある」と漁師の男は答えるのでした。
以上、映画「のさりの島」のあらすじと結末でした。
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