最後まで行くの紹介:2023年日本映画。思わず車で人を撥ねてしまった刑事の身に起こる数々の災難を描いた韓国発のクライムサスペンス映画『最後まで行く』(2015年)を、舞台を日本に置き換えてリメイクした作品です。主人公の刑事を岡田准一、刑事を追う謎の男を綾野剛、刑事の妻を広末涼子が演じ、愛知県名古屋市に隣接する架空の街・埃原(あいはら)を舞台に男たちの駆け引きが描かれます。
監督:藤井道人 出演者:岡田准一(工藤祐司)、綾野剛(矢崎)、広末涼子(工藤美沙子)、磯村勇斗(尾田創)、駿河太郎(久我山太地)、山中崇(梶征士)、黒羽麻璃央(松田優生)、駒木根隆介(川上昌平)、山田真歩(植松由紀子)、清水くるみ(岸谷真由子)、杉本哲太(淡島幹雄)、柄本明(仙葉泰)ほか
映画「最後まで行く(2023年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「最後まで行く(2023年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「最後まで行く(2023年)」解説
この解説記事には映画「最後まで行く(2023年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
最後まで行くのネタバレあらすじ:起
12月29日の夜。愛知県・埃原(あいはら)警察署の刑事課・工藤祐司刑事は車を走らせていました。運転中に別居中で離婚協議中の妻・美沙子から工藤の母が危篤であることを告げる電話がかかってきました。すると同時に今度は工藤の上司である刑事課長・淡島幹雄からも電話がかかってきました。週刊誌に埃原署が暴力団「仙葉組」から裏金をもらっているという記事が掲載されており、署に監察が入るとのことでした。署は工藤に責任を擦り付けるつもりのようです。
引き続き車を走らせる工藤のもとに、今度は美沙子から母が亡くなったとの電話がかかってきました。その時、工藤の車の前に突然若い女性が飛び出してきました。工藤は何とかかわしましたが、今度は工藤の車の前に男が飛び出し、工藤は避けきれずに男を撥ねてしまいました。
動揺した工藤は撥ねた男が息をしていないことを確認すると、近くからパトカーが近づいてきました。何とかやり過ごした工藤は近くの廃工場近くのゴミ捨て場からビニールシートを入手し、男をシートに包んで車のトランクに押し込みました。
途中で工藤の車は飲酒検問に引っ掛かりました。工藤の署の交通課員・梶征士が検問にあたっていましたが、工藤はこの時酒を飲んでしまっており、しかも車のフロントガラスにはヒビが入っていました。怪しんだ梶が工藤の車を調べようとしていると、そこに県警本部の監察官・矢崎と名乗る男が現れて工藤に同行を求めてきました。工藤は母が亡くなったこと、まずは病院に行ってから署に行くと伝えてひとまず矢崎を納得させました。
矢崎は埃原署に向かい、淡島と工藤の同僚・久我山太地に会いました。矢崎は県警本部長の娘・植松由紀子と婚約しており、祝福の言葉をもらった矢崎は署の過去10年分の帳簿を見せるよう告げました。
一方、工藤は病院で母の遺体と対面していました。工藤は地元の葬儀屋の斎場に母の遺体を安置する手筈を整えましたが、そこに淡島から監察が入っているとの電話が入ってきました。工藤は母の葬儀の準備をしなければならないことを告げました。
淡島と久我山は葬儀の準備中の工藤のもとを訪れ、梶から話を聞いたとして車のトランクを開けるよう要求しました。工藤はあらかじめ男の死体を移動させており、トランクには何も入っていませんでした。
最後まで行くのネタバレあらすじ:承
12月30日。工藤は故意に事故を起こして車を壊し、代車で署に向かいました。工藤と面会した矢崎は裏金の証拠は把握していると告げ、もみ消す代わりに何か隠していることがあれば話すよう持ちかけました。工藤は何も語りませんでしたが、矢崎は淡島らには監察課には何もなかったと報告しておくと告げてその場を後にしました。
工藤の母の葬儀は翌日の大晦日(12月31日)に市内で最も大きい寺・善明寺で執り行われ、その後に市内の火葬場に遺体を運ぶことになりました。工藤は葬儀屋の担当者にお通夜は行わないと伝え、その代わりに自分ひとりが斎場に残ると申し出ました。その夜、工藤は密かに隠していた男の死体の入った袋を斎場に運び込み、母の棺の中に入れました。
工藤は男の死体からスマホを回収したその時、仙葉組の組長・仙葉泰が現れました。仙葉は工藤の母の葬儀が行われる善明寺は裏では地元有力者のマネーロンダリングの場となっており、寺の隠し金庫には裏金が大量に保管されていること、そしてその金庫の管理を任されていた尾田創という若造が大金を持ち逃げしたことを告げました。そして仙葉は尾田を逮捕して善明寺の関係者を芋づる式に逮捕すればマネーロンダリングの事業は仙葉組が引き継ぐ計画を明かしました。
12月31日。尾田は過去に大麻で逮捕歴があったことから、工藤は尾田のことを知っていました。工藤は男の死体の特徴から、この男こそが尾田本人であることに気付いて驚愕しました。
やってきた淡島は逮捕状を手にしていました。工藤は淡島と久我山を事故現場近くに連れていきました。その時、工藤の携帯に発信元不明の相手から「お前は人を殺した。尾田という男だ。逃げられないぞ。俺は全部知っている」とメールが入ってきました。工藤が動揺している間、久我山は現場近くに監視カメラがあることに気付きました。工藤は署に向かい、カメラの映像を確認しましたが、映像の画質は荒く事故を起こした車両(工藤の車)のナンバーまでは特定できませんでした。工藤は葬儀の喪主を務めなければならないことを理由に署を離れ、善明寺へと向かいました。
寺に着いた工藤の携帯に非通知で電話がかかってきました。その人物は工藤が尾田を撥ねたことを知っている人物でした。工藤が電話を切ると、そこに矢崎が現れました。工藤を殴り倒した矢崎は尾田の名を挙げ、工藤の娘を誘拐したことを告げると、今日の17時までに尾田の死体を引き渡さないと工藤の娘を殺すと告げて去っていきました―――。
最後まで行くのネタバレあらすじ:転
―――事件前日の12月28日。矢崎は翌日に結婚式を控えている婚約者・由紀子の父である植松本部長から善明寺の隠し金庫の管理を任されていました。金庫はカードキーと指紋認証の二重ロックがかけられており、矢崎の指紋が登録されていました。
尾田はカードキーを持って逃げ、矢崎は植松本部長から年内にカードキーを取り戻すよう命じられました。困った矢崎は仙葉に相談したところ、仙葉は報酬1千万円を出せば必ず尾田を見つけると約束しました。その後、帰宅した矢崎の携帯に、尾田から挑発するメッセージが送りつけられてきました。
12月29日。結婚式場に入った矢崎は式場スタッフから記念の手形オブジェを作りたいと言われ、型に手をはめ込みました。その後、別にスタッフからオブジェの手形を取りたいと持ちかけられ、そこで矢崎と植松本部長は先程のスタッフは尾田の仲間であること、まんまと矢崎の指紋を採取されたことに気付きました。矢崎が気付いた時には既に遅く、尾田は入手した矢崎の指紋を使って指紋認証を自分のものに変更していました。
植松本部長から早く尾田を見つけるよう命じられた矢崎の電話に、仙葉から尾田の居場所を見つけたとの連絡がありました。仙葉は報酬の額を1億円に吊り上げており、矢崎は仕方なく尾田が持ち逃げした金を取り戻すことと引き換えに条件を飲みました。その頃、隠し金庫の入り口がある墓所へ向かった尾田の前に、仙葉の手下たちが待ち構えていました。
矢崎は尾田の潜伏先である廃墟に向かい、そこで待機していた尾田の仲間・岸谷真由子に尾田の居場所を教えるよう要求しました。そこに尾田が現れ、矢崎は拳銃を取り出したため尾田は岸谷と共に逃げ出しました。そこにたまたま工藤の車が通りかかり、車道に逃げた岸谷は危うく惹かれそうになりました。矢崎は尾田に発砲して致命傷を与え、岸谷をかわした工藤は尾田を避け切れずに撥ねてしまったのです。物陰に隠れた矢崎は工藤が尾田の死体を運び出す様を目撃し、指紋認証に必要な尾田の死体を取り戻すべく工藤の後を追いました。
矢崎は飲酒検問に引っかかっている工藤に接触をかけましたが、工藤は母の訃報を理由に矢崎をかわしました。矢崎は植松本部長に一連の経緯を説明しましたが、植松本部長は矢崎を口うるさく罵り、由紀子と離婚するよう迫ってきました。ブチ切れた矢崎は植松本部長を殺害してしまいました―――。
―――再び12月31日。矢崎に娘を連れ去られた工藤は、美沙子に娘を取り戻すと約束しました。その頃、署では別の監視カメラの映像から事故を起こしたのは工藤の車であることが特定され、久我山は工藤のもとへ向かいました。
工藤の母の葬儀が終わり、出棺が始まりましたが、工藤は矢崎から埃原貯水池に来るよう指示されました。火葬場に到着した工藤は母の棺から尾田の死体を回収しようとしたところ、久我山が現れました。工藤は事情は後で話すから手伝ってくれるよう頼み、母の棺から尾田の死体を回収しました。尾田の死体には銃痕があり、工藤が尾田を撥ねる前に既に死亡していた可能性が浮上しました。
工藤は尾田のスマホを使い、尾田になりすまして岸谷と連絡を取りました。工藤は岸谷との合流地点である事故現場近くの廃工場へと向かいました。
最後まで行くの結末
工藤は真由子を縛り上げ、隠し金庫を開けるには尾田が持ち逃げしたカードキーと尾田の指紋が必要であることを知りました。久我山は工藤に勝手な行動を取るなと釘を刺しましたが、そこに矢崎から非通知で電話がかかってきました。矢崎は工藤に車から出るよう指示、工藤が言われた通りにすると、矢崎の操作する工場のクレーンの鉄球が車を乗ったままの久我山ごと押し潰しました。
尾田の死体を持ってくるよう矢崎に言われた工藤は尾田の指をハサミで切り落とし、あらかじめ仙葉から提供されていた時限爆弾を尾田の死体を入れた袋に仕掛けました。
工藤は矢崎と対峙し、尾田の死体と引き換えに娘を返してもらいました。工藤は自分に銃口を向ける矢崎に、自分が死んだら告発文が届くよう手配していることを告げました。矢崎は工藤に仲間になれと誘いましたが、工藤は応じず、爆弾のタイミングを見計らって車から離れました。矢崎の乗った車は尾田の死体ごと爆破され、貯水池へと沈んでいきました。
工藤は娘を美沙子に預け、善明寺の墓所にある隠し金庫へ向かうと、カードキーと尾田の指を使って扉を開けました。中には大量の札束が積まれていました。その時、死んだはずの矢崎が現れて工藤に発砲してきました。工藤は脇腹を撃たれながらも応戦し、やがて弾の切れた両者は墓場で殴り合いとなりました。工藤が矢崎を倒そうとしたその時、現れた仙葉が工藤にスタンガンを突きつけました。
仙葉は倒れ込んだ工藤に、今回の件は全て自分が仕組んだことを明かしました。週刊誌に署の裏金の件をリークしたのも仙葉であり、仙葉はこんな時代に若い者に渡す金がないと嘆いて今回の件を仕組んだのです。仙葉は手下に金を回収するよう命じました。仙葉の傍らには岸谷の姿がありました。
夜は明け、新年(1月1日)を迎えていました。意識を取り戻した工藤は車に乗ってその場を離れ、美沙子に電話をかけるともう一回やり直したいと呼びかけました。その時、工藤の車に矢崎の車が衝突してきました。工藤はすぐさま車をぶつけ返し、互いに車をぶつけ合っているうちに、なぜか工藤も矢崎も笑っていました。工藤と矢崎の車はそのまま上る朝陽の方へ走り出していきました。
以上、映画「最後まで行く」のあらすじと結末でした。
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