アウトレイジビヨンドの紹介:2012年日本映画。北野武監督が手掛ける、登場人物が全員悪人の映画シリーズ、アウトレイジ2作目の映画。2010年公開の前作アウトレイジから5年後を舞台に、関東最大の暴力団・山王会と関西最大の暴力団・花菱会が絡む権力抗争が描かれたバイオレンスヤクザ映画です。前作のラストで死んだはずだった大友組組長の大友が実は生きており、東西の抗争に巻き込まれていく。ヤクザ同士の言い争いシーンは迫力があり見ものです。2017年10月にはアウトレイジビヨンドの続編となる「アウトレイジ最終章」が公開。
監督:北野武 出演者:ビートたけし(大友)、西田敏行(西野)、三浦友和(加藤)、加瀬亮(石原)、小日向文世(片岡)ほか
映画「アウトレイジビヨンド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アウトレイジビヨンド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アウトレイジ2 ビヨンドの予告編 動画
映画「アウトレイジビヨンド」解説
この解説記事には映画「アウトレイジビヨンド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アウトレイジビヨンドのネタバレあらすじ:起
ある港で海中に沈んだ乗用車が引き上げられ、中からは暴力団の取り締まりを担当する警察の組織犯罪対策部、通称「マル暴」の山本刑事と一人の女性の遺体が発見されます。山王会担当の山本の死は、実は現役大臣の愛人であった女性との心中に見せかけた山王会の手による殺人であることは警察内部では周知の事実です。
5年前の内部抗争(アウトレイジ参照)を経て、当時若頭だった加藤(三浦友和)が二代目山王会会長となり、山王会は政界に影響力を及ぼすまでに組織を拡大させていました。
関東最大の暴力団と謳われ破竹の勢いの山王会ですが、かつて所属していた大友組を裏切った元金庫番、石原(加瀬亮)が若頭に任命されたのを始め、加藤の息のかかった舟木(田中哲司)ら新顔が重用されて出世する一方で、古参の幹部たちは冷遇されるようになったため、次第に彼らの中に鬱憤が貯まった状態になりつつあります。
山王会の強大な影響力を警戒する警察上層部も動きだしました。山本の前任として山王会を担当していた片岡刑事(小日向文世)が呼び戻され、後輩刑事の繁田(松重豊)と共に山王会の弱体化を図ろうとします。片岡は暴力団と癒着しながら出世してきた悪徳刑事で、粗雑で暴力的ながら仕事に対しては愚直な姿勢の繁田は、片岡のやり方を快く思っていません。
まず片岡は山王会の古参の幹部の富田(中尾彬)に接近し、関西最大の暴力団である花菱会のの西野(西田敏行)を引き会わせて、加藤派と花菱会を組ませようと画策します。しかし、花菱会と山王会は手を組んでおり、花菱会会長の布施(神山繁)がことの顛末を加藤に告げたことで、加藤失脚作戦は失敗。富田は兄弟分の白山(名高達男)と五味(光石研)にも裏切られて、舟木に射殺されます。
花菱会から凄まれ、山王会からも釘を刺され、立場が危うくなったと感じた片岡は次の一手として、5年前の池本組との抗争で、懲役10年の刑を受け服役していた大友(ビートたけし)を仮釈放させ、一足先に刑期を終えていた元村瀬組の幹部、木村(中野英雄)と和解させて利用しようと画策しましていました。
アウトレイジビヨンドのネタバレあらすじ:承
5年前に山王会の傘下にあった池元組とその下部組織大友組、そして池元と兄弟の杯を交わしながらも池元に裏切られた村瀬組の三つ巴の抗争。大友組組長だった大友は「親」にあたる池元を殺し、自分の子分達は皆殺しにされ、学生時代の後輩だった片岡刑事の勧めによって自首し服役していました。池元組と村瀬組の抗争で大友は木村に言いがかりをつけて罵倒した挙げ句、顔を切りつけ、ついには村瀬組は解散に追い込まれました。そして服役した大友の腹を今度は木村が刑務所内で刺したのです。片岡は以前、山王会に対しては「大友は死んだらしい」と告げていたのです。(アウトレイジ参照)
大友が生きていると知って石原は取り乱し、復讐される前に大友を殺そうと企みます。
出所した大友は、自分を出所させた片岡の行動に何か裏があると感じとり、片岡の思惑とは裏腹に極道に戻る気はないと言って旧知の日韓を股にかけるフィクサー、張大成(金田時男)を頼り、堅気になろうとします。
一方の木村も嶋(桐谷健太)と小野(新井浩文)という、かつての仲間の遺児達二人を引き取り、バッティングセンターを経営して極道は引退しています。
しかし、片岡は山王会の意を受けた池元の言うなりになって村瀬組を壊滅させ、木村を傷付けたという大友の罪悪感を利用し、その裏で木村の山王会に対する恨みと「木村組」創設への捨てきれない希望を刺激しながら、二人を和解させることに成功しました。山王会に恨みを持つ二人を利用して山王会の勢いを削ぐというのが片岡の腹積もりです。
山王会の傘下にあるとある事務所が襲撃され、石原によってそれは大友の仕業であるとされました。
石原は配下に大友の殺害を命じます。嶋と小野の警護の隙をついて大友は腹を撃たれましたが、一命をとり止めました。大友を仕留め切れなかったことに苛立ち、ますますヒステリックになっていく石原。
嶋と小野は責任を感じ、木村に黙って二人で山王会に殴り込みをかけますが、返り討ちに遭い、舟木らの手によって惨殺されます。可愛がっていた二人の惨たらしい死体を目の当たりにした木村は山王会への恨みに火が付き、それを見た大友もついに木村と手を組むことを決意します。
アウトレイジビヨンドのネタバレあらすじ:転
大阪の花菱会を頼って協力を仰ごうとする木村。「利用されるなよ」と張に忠告された大友は花菱会を頼ることに乗り気ではありません。大阪では、二人を値踏みしようと挑発された大友は、西野とその補佐役の中田(塩見三省)と激しい言い争いになり一触即発の事態に。
しかし木村が自分の中の小指を噛み千切ることで「ケジメ」をつけ、その場を収めました。花菱会側は二人を「使える」と判断し、山王会との抗争に人員を提供すると約束します。花菱会の後ろ盾を得た大友と木村は兄弟の盃を交わしました。
まず大友と木村は山王会の前会長の死の真相を知る舟木を拉致しました。山王会の前会長は実は加藤によって殺害され、その罪は当時の池元組の若頭に擦り付けられていたのでした。一介のボディーガードに過ぎなかった舟木はその現場を目撃し、他言しないことの見返りとして現在会長となった加藤の下で権勢をふるっているのです。
大友の電動ドリルを使った拷問に怯えた舟木は秘密を洗いざらいぶちまけました。その舟木の証言の録音を花菱会会長・布施が加藤に聞かせます。怯える加藤に、布施はこの録音の出所が石原だと嘘を吹き込みました。石原に裏切られたと思い込んだ加藤は石原を遠ざけ、冷静さを失った石原は大友に恨みを抱いているはずの木村を利用して大友を狙い打とうと画策します。
石原は木村と大友が和解したことをまだ知りませんでした。大勢の手下を引き連れて木村に会いに行った石原ですが、待っていたのは花菱会の若い衆を引き連れた木村と大友。手下を皆殺しにされ捕らえられた石原は、命乞いもむなしく大友の手によりピッチングマシンを使って惨殺されます。
残る標的は山王会会長・加藤ですが、大友は加藤は自分が何とかするので手を出さないようにと木村に言い渡し、木村は大友を信じて了承しました。
石原が死んだ今、山王会内部では加藤が孤立を深めていました。更に花菱会が流した舟木の自供内容によって白山を中心とする反加藤派は離反し、花菱会にもそっぽを向かれた加藤は引退を余儀なくさせられました。すでに西野に手懐けられていた白山が山王会会長を継ぎ、山王会への花菱会の影響力は確固たるものとなりました。
アウトレイジビヨンドの結末
悲願だった木村組を設立することになった木村は大友を誘いますが、極道の世界に戻るつもりのなかった大友は木村に全ての手柄を譲り、張の世話で韓国に渡ります。大友を捨て駒としか考えていなかった花菱会は木村に、大友と袂を分かつよう言い渡しました。
それから間もなく、山王会を完全に追われてパチンコ店に入り浸る日々を送っていた加藤が殺されました。加藤を刺したのは実は、張の腹心の部下、李(白竜)の手引きによって密かに帰国した大友です。
木村組は加藤殺しの疑いをかけられ、片岡刑事の息がかかった加藤派の残党に射殺されます。木村殺しの犯人は大友だと吹聴してまわる片岡。捜査直後に木村が殺害されたことを怪しむ繁田刑事に、片岡は「木村殺害の黒幕は花菱会で、彼らが大友の犯行にみせかけた」と事も無げに言い切りますが、繁田は片岡に愛想を尽かし、辞表を叩きつけて去っていきます。
木村の葬儀は山王会、花菱会の双方の幹部が出席し、盛大に執り行われました。会場に張っていた片岡刑事は、一人で現れた大友に拳銃を渡し、会場にいる花菱会の連中を殺害するようそそのかしますが、大友は、自ら手を汚さずヤクザ同士を抗争させようとしている片岡の魂胆を見抜いており、大友は銃を手にすると片岡刑事に銃弾を打ち込むのでした。
以上、映画「アウトレイジビヨンド」のあらすじと結末でした。
アウトレイジビヨンドの出演者・キャスト
ビートたけし:元大友組組長 大友
三浦友和:山王会会長 加藤
加瀬亮:山王会若頭 石原
中尾彬:山王会古参幹部 富田
名高達男:山王会 白山
光石研:山王会 五味
田中哲司:山王会 舟木
中野英雄:元村瀬組若頭 木村
桐谷健太:木村の手下 嶋
新井浩文:木村の手下 小野
神山繁:花菱会会長 布施
西田敏行:花菱会若頭 西野
塩見三省:花菱会 中田
高橋克典:花菱会 城
小日向文世:刑事 片岡
松重豊:刑事 繁田
この作品は7年前の作品になりますが、このビヨンドの出来栄えは「最高!」というほかないですね。個人的には「花菱会・会長・布施」(演:神山繫(故)」の佇まいは・・・「・・・」です。言葉が発する事が出来ないくらい、貫禄と威厳に溢れています。若頭補佐の「塩見三省」さんなんか、本職も本職な貫禄です。「武闘派」という言葉が相応しいでしょう。
「山王会」のやられっぷりは、情けないの一言になりますが、こんなヤバい「花菱会」相手にはどうする事もできなかったでしょうね。マル暴刑事の片岡も中々いい味を出しています。一番コワい人かもしれません。
ヒットマン役の「高橋克典」さんは、監督のたけしさんに頼み込んで出演が叶ったそうです。