アウトレイジの紹介:2010年日本映画。アウトレイジシリーズ1作目。欲望と裏切り渦巻くヤクザ社会を舞台に豪華キャストの競演で描くバイオレンスアクション。ヤクザの世界で生き残りを賭けた男たちの壮絶な権力闘争が描かれる。全員悪人!とタイトルが銘打たれているほど出演者は全員悪人、性格も悪人のキャラクターしか出てこない。2017年10月にシリーズ3作目「アウトレイジ 最終章」が公開。
監督:北野武 出演:ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、小日向文世、北村総一朗、塚本高史、中野英雄、杉本哲太、石橋蓮司、三浦友和、國村隼ほか
映画「アウトレイジ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アウトレイジ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アウトレイジの予告編 動画
映画「アウトレイジ」解説
この解説記事には映画「アウトレイジ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アウトレイジのネタバレあらすじ:起
関東を仕切る巨大暴力団組織のボスは山王会会長・関内(北村総一朗)でした。関内会長は関東地方をずっと支配していくつもりです。池元(國村隼)は村瀬(石橋蓮司)に、山王会の杯を貰えるようにする代わりに稼ぎの一部を納めてほしいと持ち掛けてきました。
しかし、関内会長は池元組の兄弟分である村瀬組が麻薬を売買している事が気に食わないようです。麻薬を扱う事で利益が増えることで、村瀬組が力を持つのを恐れ、村瀬組を潰す事を考えていました。
関内会長は若頭の加藤(三浦友和)に命令して池元組と村瀬組を対立させることを決意します。池元はこれに困ってしまいました。村瀬とは兄弟分なので自分の立場的にも騒動を大きくするわけにはいきません。そこで、大友会の組長、大友(ビートたけし)を呼び出して代行させることにします。
大友は池元の命令を拒否できない立場にありました。大友は村瀬が経営しているぼったくりキャバクラへ、手下の岡崎(坂田聡)を行かせます。岡崎は一見、ごく普通のサラリーマンに見える為、やくざである事が分かりにくいからです。岡崎はそのキャバクラに1時間いただけで60万請求され、怯えながら自分の事務所が近くにあるからそこで払うと言い、飯塚(塚本高史)と共に事務所へ向かいます。
「大友企画」と掲げられた事務所に到着すると、そこはなんと池元・大友組の家紋があり、飯塚は危機感を感じますが、水野(椎名桔平)は声を荒げながら100万円を支払い、飯塚はそれを持って逃げるようにその場を後にするのでした。
後日、大友組に若頭の木村(中野英雄)がお詫びの訪問に来ました。飯塚はヤクザの「けじめ」として指を一本失っています。水野はどうして村瀬組長が謝りに来ないのかと責め立て、木村に対してもカッターナイフで指を詰めるように声を荒げて命令しました。
アウトレイジのネタバレあらすじ:承
そこで木村は、カッターではなく、ヤクザが「落し前」として指を詰める為の道具を持ってくるよう要求します。それに対し、大友は更に怒りをぶつけます。木村は渋々、カッターナイフで実行しますが、カッターナイフでは軽傷程度です。そこで、大友は、カッターナイフを手に取ると、木村の顔を切り裂きます。顔に大怪我をした木村は復讐心を募らせます。
後日、村瀬組長は池元組に謝罪に行きますが、池元組長は自分の差し金ではないととぼけ、大友組に責任を擦り付けます。後日、騒動の発端となったサラリーマンに見える岡崎が、大友組の子分の江本(柄本時生)とおでん屋で酔い潰れているところを拉致されました。一緒にいた江本は酔っぱらっているせいか、岡崎の拉致に気付いていません。
岡崎は、大友の居場所を教える事を木村達に暴力を受けながら問いただされ、絶命しました。彼の遺体は大友企画の事務所前に放置されました。
アウトレイジのネタバレあらすじ:転
こうして村瀬組と大友組の抗争が始まります。飯塚と木村の行方を大友組の組員たちが探し始めます。そして故郷の青森に逃げ帰ろうとしていた飯塚は新幹線で射殺されます。木村が勝手にやった事なので村瀬は最初は何も知りませんでした。
真実を知った村瀬は山王会に謝りに行きますが、関内会長達は許す気がありません。加藤は池元にけじめをつけるよう指示します。それを受け池本は大友に、村瀬組を懲らしめるように指示。歯医者にいた村瀬を襲って口の中に大怪我を負わせます。
顔をギプスで固定し、話すことや飲食もままならなくなった村瀬は、若頭の加藤や池元にヤクザを引退して「かたぎ」として普通に生きていくことを勧められました。引退すれば、山王会会長も納得するだろうと促され、村瀬は引退、村瀬組も解散することにしたのでした。
顔に大きな傷を負った木村は、大友に復讐するべく、車で尾行しますが、すぐに気付かれ失敗します。
片岡(小日向文世)は刑事にも関わらず、大友などヤクザと癒着が深い人物です。加藤は片岡に金を渡して処理を頼みます。
村瀬組解散で、村瀬組が仕切っていた縄張りが空きました。その仕事を任された大友は、縄張りを意味する「島」で麻薬を売りさばく元村瀬組の佐山(芹沢礼多)を見つけて締め上げます。村瀬は怯えながら「良い話がある」と命拾いします。グバナン大使館の外国人大使が麻薬の密売をしているというのです。
それを知った大友は、もっと稼ぐ為に闇カジノもやらせる事も考えます。グバナン共和国は貧しく、治外法権を利用して国ぐるみで麻薬密売を行っていました。大使館の敷地面積が狭いからと、闇カジノの話を大使は断ります。しかし英語が堪能の大友組の金庫番、石原(加瀬亮)が対応し、新しい大使館を借りて始めようと持ち掛けます。
ある日、大友組若頭の水野の指示により、ハニートラップにかかったグバナン大使が女性とホテルにいたところ、グバナン大使はその女性に薬入りの酒を飲まされ、「起きたら彼女が死んでいた」という状況を作られ、証拠写真も撮影されました。脅迫された大使は言う事を聞き、新しい場所で闇カジノを始めますが、そこには殺されたはずのあの女性が客としてカジノをしていて、はめられた事に気付きますが時すでに遅しです。
池元はその闇カジノに入り浸るようになり金をせびってきます。大友は池元にあまり来ないように頼みますが、言うことを聞いてくれません。グバナン大使は石原にカジノ収入の手数料を20%から50%へ変更しなければ警察へ行くと抗議します。すると石原は、大使をヘビのいる風呂に閉じ込め恐怖に陥れます。そして、20%のままでいいことを無理やり承諾させたのでした。
村瀬がまだ麻薬を扱っている事を知った池元は、大友に彼の殺害をほのめかします。大友は麻薬売買をするとされる中華料理屋を経営している店主(マキタスポーツ)に、村瀬からヤクを仕入れたことを吐かせると、銭湯にいた村瀬たちを射殺します。これは警察沙汰になり、山王会から指示を受けた池元は大友組を破門しました。
大友は池元の指示によるものだと激怒しますが、詫びとして指を詰め、関内会長に直訴に向かいます。関内会長は、破門の事など聞いていないし池元の単独行動だと嘘をつき、大友に池元殺害をそそのかします。大友はカジノに入り浸っていた池元を拉致して暴行し撃ち殺します。
グバナン共和国大使と石原が村瀬の遺体を大使館の車で運びます。検問に引っ掛かりますが、大使の身分を使って潜り抜けます。そして大使に遺体を処分させるのでした。
関内会長のもとを訪れた池元組若頭の小沢は、池元組を継ぐことを直訴しますが、関内会長からは、大友を殺さないと示しがつかないだろうと、小沢に言います。池元組は関内会長の協力により沢山の部下を抱えていたので、直ぐに大友を潰す準備をします。
アウトレイジの結末
大友組の子分が射殺されたことで、大友は小沢の仕業ではないかと考えます。そして危険を感じた大友は水野に雲隠れする事を指示します。
片岡刑事は大友に関内会長の悪企みを伝え、殺される前に刑務所に出頭する事を勧めますが、大友は悪態をつき片岡に殴られます。片岡が喫茶店から出てくると、外にいた山王会若頭の加藤に、中に大友がいることを伝えます。すると、加藤は子分に手りゅう弾を持たせ喫茶店へ向かわせます。爆発により大友の子分たちはほぼ全滅しますが、大友自身はちょうどトイレにいたため爆撃を逃れました。
その頃、大友組事務所では小沢たちにより銃撃を受け組員の多くが殺されていました。
大友は子分の安倍(森永健司)にも拳銃を渡して逃げるよう指示します。安部は車で逃走していましたが、あとをつけられており射殺されました。
江本はお金を持ってトイレに逃げ込みますが、気付いていた敵の男に銃で撃たれて絶命しました。
水野は愛人のマンションに雲隠れしていましたが、マンションの下で待ち伏せていた小沢の部下につかまり連れていかれます。実は水野の居場所は石原が教えていました。水野はひと気のない場所で無残な最期を迎えるのでした。
片岡は大友に水野の件を話します。そして刑期を短くするように動くからと出頭を勧め、大友は手錠をはめてもらう為に素直に腕を出します。大友は逮捕され、小沢達から狙われる事は防げました。
その頃、山王会は関内会長のもとでバーベキューをしていました。関内会長は小沢に、池元組を継いでもいいぞと言います。しかし若頭の加藤は小沢に発砲し始末します。それを見て喜ぶ関内会長にも加藤は発砲し、射殺します。
外でバーベキューを楽しんでいた部下達が発砲音に気づき駆け付けますが、加藤は2人が撃ち合いしたように見せかけ、嘘をつくのでした。
ある日の刑務所、ベンチに座っていた大友は、復讐心を持っていた木村から脇腹を刺されるのでした。
後日、片岡刑事が後釜の刑事の山本を連れて、新しく山王会会長に就任した加藤の元を訪ねると、大友を裏切った石原が加藤の側近として隣に座っていました。片岡は木村により大友が殺された事を、加藤と石原に伝言して物語は幕を閉じます。
以上、映画「アウトレイジ」のあらすじと結末でした。
映画アウトレイジの出演者・キャスト
北村総一朗:山王会本家会長 関内
三浦友和:山王会本家若頭 加藤
ビートたけし:山王会大友組組長 大友
椎名桔平:山王会大友組若頭 水野
加瀬亮:山王会大友組組員 石原
國村隼:山王会池元組組長 池元
杉本哲太:山王会池元組若頭 小沢
塚本高史:村瀬組組員 飯塚
中野英雄:村瀬組若頭 木村
石橋蓮司:村瀬組組長 村瀬
小日向文世:刑事 片岡
「アウトレイジ」感想・レビュー
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この映画は、北野武監督が作ったものなので、とても興味を持って見ることができました。ヤクザの世界のグロイところを綿密に表現されているところにびっくりです。こんなに極悪なのかと思うほど、想像することができる、すごい映画であると思っています。
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やはり北野武監督は天才!としか言いようがないでしょうね。気持ちよくスムーズに話がどんどん展開していく素早さもそうですが、個人的には武闘派集団の「大友組」が好きです。椎名桔平の色気は「野性的」、加瀬亮の色気は「都会的」という感じでしょうか。両者共々、めっちゃカッコイイです。
そして、ヤクザの世界のエグさグロさ裏切り、びっくりするくらい人がどんどん死んでいきます。三浦友和の策士ぶりも必見です。マル暴の刑事の片岡さんも、悪いわぁ。本当に「悪党」ばかりです。最後のシーンの三浦友和の怖い裏切り・・・ヤクザって怖い。と思える映画です。
北野監督久々のヤクザ映画、アウトレイジ。とにかくよく人が死ぬ。目を背けたくなるシーンもある。突っ込み出すとキリがない。だが、そんなことはどうでもいい。北野映画ファンには、観るしかない作品が映画アウトレイジだ。 カメラワークもよく、出演者の演技も面白い。椎名桔平の目つきと加瀬亮の臆病なインテリやくざぶりがよい。映像美はないが、北野監督の空気感は十分に感じられる。 ストーリーがどう展開してゆくかを、緊張感を持ちながら観てゆく。10人ほどのメイン出演者が、次々に死んでいく。誰が生き残るのかを気にかけながら観ることになるが、意外な人間が生き残ることになる。 「こういう人間が最後は生き残るんだよ」という北野監督の人生へのメタファーとも考えられる。いや、それもまやかしだろう。映画アウトレイジは単なる喜劇だと思って観ればよいのではないか。