ロマンスドールの紹介:2019年日本映画。『百万円と苦虫女』『ふがいない僕は空を見た』などのタナダユキが、2009年の自身の同名小説を実写映画化。互いに秘密を抱えた夫婦が、愛と結婚生活を見つめ直していく様子を描く。
監督:タナダユキ 出演:高橋一生(北村哲雄)、蒼井優(北村(小沢)園子)、きたろう(相川金次)、渡辺えり(田代まりあ)、浜野謙太(両角)、三浦透子(ひろ子)、ピエール瀧(久保田薫)、大倉孝二(原田)、ほか
映画「ロマンスドール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ロマンスドール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ロマンスドールの予告編 動画
映画「ロマンスドール」解説
この解説記事には映画「ロマンスドール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ロマンスドールのネタバレあらすじ:起
美大出身の北村哲雄(高橋一生)は、先輩の紹介でラブドール製作工場「久保田商会」で働くことになります。ドール造形士の相川(きたろう)は根っからの職人気質で本物にこだわるたちです。社長の久保田(ピエール瀧)から新作ドールのダメ出しをくらい、相川は人間の乳房の型を取ってはどうかと提案。
医療用の人工乳房を作るという名目で美術モデルを募集し、依頼を受けた北村園子(蒼井優)が工場にやって来ます。相川のゴリ押しで園子の胸を触った哲雄は、園子に一目ぼれ。園子が忘れたイヤリングを届けるために後を追い、その場で告白し、2人は交際を始めます。
医療用の人工乳房製作に協力できたことが嬉しいと語る園子に、哲雄は本当はラブドール職人であることを言い出せません。職業を隠したまま2人は結婚し、夫婦になります。園子の乳房を型取ったラブドールは大好評で売れ行きもよく、哲雄は仕事に没頭していきます。
ロマンスドールのネタバレあらすじ:承
4年が過ぎ、哲雄の仕事は相変わらず忙しい状態が続いていました。ある日、昼近くになっても出社しない相川の自宅を事務員の田代(渡辺えり)が訪ねると、相川は亡くなっていました。相川の葬儀に家族が訪れることはなく、久保田商会の面々と園子は悲しみに暮れます。
その頃、新素材を使用したラブドールの製作にあたり、哲雄たちは試作を重ねていました。相川の急逝もあって人手不足を心配した久保田の計らいで、両角(浜野謙太)が入社します。両角は哲雄の仕事を熱心に手伝いますが、両角によって新素材のデータが盗まれ、別の会社で新たなラブドールが発売されてしまいます。多忙と苛立ちが重なった哲雄は、仕事帰りに寄り道をすることが増え、OLのひろ子(三浦透子)と知り合います。園子との仲も次第にぎくしゃくし始めます。
そんなある日、実家の父の具合が悪いため数日帰省するという置き手紙を残して園子が家を空けます。しかし園子の母からの電話で、帰省は嘘であることが判明。園子の携帯に電話をかけても出ず、哲雄はひろ子を呼び出して体の関係を持ってしまいます。
深夜、酔った園子が吉村という男性に抱えられて帰宅します。帰省の嘘を問い詰めますが、「1週間待ってほしい」と言われます。そして1週間後、園子から逆に隠し事を問われた哲雄は、本当の職業はラブドール製作であること、一度だけ浮気したことを白状し、謝罪します。すると園子も、寂しくて1度だけ浮気をしたことを告白し、離婚するつもりだと告げます。突然の話に納得がいかない哲雄ですが、園子は1人になりたいと言ってききません。翌朝、離婚届を置いて家を出ようとする園子を問い詰めると、ようやく本当のことを話します。
ロマンスドールのネタバレあらすじ:転
園子は胃がんを患っており、ステージ2で、胃の2/3を切除することになっていました。帰省すると嘘をついたのは検査入院のためで、今日から入院して手術するというのです。病室で、自分はもう子供を産めないから、離婚して他の人と一緒になってほしいと泣きながら話す園子に、哲雄は「園子と一緒にいたい」と力強く告げます。
しばらくして、冬空の公園のベンチで、哲雄と園子が仲良く弁当を食べていました。犬の散歩させていた老夫婦と会話を交わし、この公園の桜は朽ちているのに毎年綺麗に咲くのだという話を聞きます。園子のがんの再発がわかったのは、桜の季節のころでした。医者から、進行性のがんで肝臓に転移がみられ、QOLを重視した生活をしてほしいと説明を受け、園子の余命は長くないことが判明します。
新作のラブドール製作はいまだ苦戦しており、データを盗まれた新素材ではなく従来のシリコンで、継ぎ目がないドールを作ることになりました。作業が難航していることを知った園子は、自分の体を使ってほしい、「私を作って」と哲雄に告げ、2人は何度も体を重ねます。哲雄は園子の姿をデッサンし、ドールを作っていきますが、ドールが完成に近づくにつれ、園子の体はどんどん痩せ細っていきます。そして体を重ねたまま、園子はその命を終えます。
ロマンスドールの結末
哲雄が寝食も忘れて製作に没頭したラブドールが完成します。新しいラブドールを前に“行為”を試そうとする哲雄の前に園子の姿が現れますが、我に返るとそこにいたのは自分が作ったラブドールでした。哲雄は慟哭します。
久保田商会のメンバーに新作のラブドールをお披露目し、皆ドールの完成とそのクオリティの高さに盛り上がるとともに、園子と相川の不在を悲しみます。哲雄は、ドールの名前は漢字ではなく平仮名で「そのこ」にして欲しいと頼みます。100体限定で販売した新作ラブドール「そのこ」はほんの数分で完売し、社員たちは大喜びします。
ところが、その完成度の高さから摘発の対象となり、久保田は刑事の原田(大倉孝二)に連行されてしまいます。しかし元警察官で勝手が分かっている久保田はすぐに戻ってきて、社員旅行で温泉に行き、また新しいラブドールを作ろうと奮起します。
ある日、哲雄が海岸を歩いていると、薄汚れたダッチワイフを囲んで少年たちが大騒ぎしていました。哲雄はそれを見て「ブサイク」と笑いながら、他の誰も知らない、自分だけが知っている園子のことを思い浮かべるのでした。
以上、映画「ロマンスドール」のあらすじと結末でした。
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