映画「S －最後の警官－ 奪還」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
S －最後の警官－ 奪還 RECOVERY OF OUR FUTUREの紹介：2015年日本映画。原作・小森陽一、作画・藤堂裕の人気漫画の実写版で、どんな極悪人でも生け捕り確保を目的とする特殊急襲捜査班NPSの活躍を描いたクライム・サスペンス・アクション映画です。キャッチコピーは「その手で守るのは1億2000万人の未来。描かれたのは日本崩壊へのシナリオ。愛する人との約束を果たすため、最後の作戦が今、始まる」
監督：平野俊一 出演：向井理（神御蔵一號）、綾野剛（蘇我伊織）、新垣結衣（林イルマ）、吹石一恵（棟方ゆづる）、青木崇高（倉田勝一郎）、池内博之（古橋誠二朗）、平山浩行（速田仁）、高橋努（梶尾竜一）、平山祐介（嵐悟）、土屋アンナ（横川秋）、辰巳琢郎（南郷雅文）、高嶋政宏（中丸文夫）、近藤正臣（霧山六郎）、オダギリジョー（正木圭吾）、大森南朋（香椎秀樹）、ほか
この解説記事には映画「S －最後の警官－ 奪還」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
伊豆諸島の南西に位置する星ヶ浦島では、七夕の夜「星降り宵」に生を受けた子は、天からの使命を受けた「授かり子」と呼ばれていました。約30年前、そんな古い言い伝えを信じて島守を続けてきた男がいました。その男は息子・健にこう語りかけました。「聞きなさい。神門（ごうど）の家は、代々この島の島守を務めてきた。しかし、それもどうやら父さんの代で終わる。母さんと共にこの島を出るんだ。そして、いつか大きな使命のために生きなさい」と…。父のこの言葉を聞いた少年・健の目から涙が溢れ、その視線の先には、産廃業者によって無惨にも開発されていく島の姿が広がっていました。
そして今、東京・品川のYRビルに覆面をかぶった犯人が人質10人を捕り、銃を持って立て籠っているとの通報が入りました。NPSが現場に急行、突入の準備を始めました。NPS紅一点の狙撃手・林イルマがヘリから屋上にいる犯人の肩を撃ち無力化するや、ヘリからNPS突撃部隊の一員・神御蔵一號らNPSメンバーたちが、突入しました。一號たちは犯人たちをあっという間に急襲、確保しました。この実践演習を視察していた南郷雅文首相は「凄い、迫力だ…」と舌を巻きました。その傍らには指揮をとっていたNPS隊長・香椎秀樹がいました。
警察庁には「S」を頭文字に冠する特殊部隊が３つありました。それは「SAT特殊部隊（Special Assault Team）」「SIT 特殊捜査班（Special Investigation Team）」「SST海上保安庁特殊警備隊（Special Security Team）通称『ポセイドン』」です。しかし、国際テロをはじめ、更なる事件の凶悪化に対処すべく、SATの機動力とSITの操作力を併せ持つ新たな「S」が警察庁に新設されました。それが「NPS特殊急襲捜査班（National Police Safety rescue）」でした。彼らのゆるぎない信条は、犯人の生死を問わない「制圧」ではなく、いかなる状況下においても生かしたまま捕らえる「確保」でした。
その突入部隊の一號は、科学警察研究所研究主任・横川秋が開発した特殊防弾装備「ガーディアン」をつけ、確保に燃える若い隊員でした。そのため、いつもガーディアンはボロボロになっていました。そんな一號にイルマは「鉄板つけてるからって、やりすぎ」と注意しますが、一號は笑うだけでした。演習後、イルマが警視庁狙撃練習場に行くと、SAT狙撃隊員・蘇我伊織が一人、練習をしていました。彼はドイツGSG9の実務演習から指名がかかっていましたが、伊織はその誘いを「断った」ようでした。イルマは伊織に「なんとなく、一號と似ていますよね。何かにこだわり、ずっとそればかり見ている感じが」と指摘しました。それに対し、伊織はただ「許されざる者が出てきた時…、その時のために、俺はここにいる」と言い残し、立ち去っていきました。練習場で伊織は、人型の的の頭部のみを狙い、的確に撃ち抜いていました。
ある日、ウラン・プルトニウム混合酸化物・通称「MOX燃料」を積載した第2あかつき丸が、フランスに向けて出航しました。それを警護していたのはSSTと巡視船・くにしまでした。午後4時半、第2あかつき丸が何者かによってジャックされ、その船内で警護に着いていたSST隊員が拘束されてしまいました。SST隊員は上部デッキに拘束され、モールス信号で「プルトニウムは貰った。我々は東京を狙う」というメッセージが送られてきました。そして船は針路を変え、千葉県勝浦沖から東京湾に向かっていきました。その距離は92kmで、数時間で東京湾に入ります。もしも東京湾で爆破されると首都だけでなく、日本は壊滅です。「どこのどいつか知らんが、やってくれたな…」とSST隊長・倉田勝一郎は憤りました。
そして同じ頃、東京・若峰学園小学校のスクールバスが品川でバスジャックされました。そのバスにはSST隊長・倉田の息子・裕樹はじめとする小学生十数名が乗っていました。犯人はアジア系の男２名でした。
その直後、第2あかつき丸の一報を受けて、危機管理センターに集まっていた南郷首相はじめとする閣僚たちのもとに入電がありました。「裸で私はこの世にやって来た。裸で私はこの世から出ていかなければならない」と言う不気味な声の主は、国際テロリスト犯・正木圭吾でした。第2あかつき丸とスクールバスジャックの両方の糸を引いていたのは、この男でした。正木は要求として、まず日本国に囚われている仲間の釈放を要求してきました。
警察はSATとSSTとの異例の合同作戦で、第2あかつき丸へアタックする準備を進めました。そして、バスジャック制圧にはNPSを当たらせました。しかしその作戦を先読みした正木は、バスジャックの人質を盾に、第2あかつき丸へのアタックを中止しろとも命じてきたのでした。NPSの一號たちは驚きました。一號たちにとって、国際テロリスト犯・正木は、かつて取り逃がした因縁の相手だったからでした。
NPSは直ちに正木の携帯の逆探知をしました。すると、なんと正木はバスジャックの現場近くのショッピングモールに潜伏していました。一號たちNPSは正木確保のため、モール内へ向かいました。イルマはバスジャック犯の狙撃準備につきました。正木は携帯電話を片手に、政府からの回答を待っていました。そして、約束の時刻、南郷首相は苦渋の選択を正木に告げました。それは第2あかつき丸へのアタック中止でした。第2あかつき丸アタックのために接近していたSATとSSTは、この首相命令を受け、作戦を急遽中止しました。メンバーたちは唇をかみながら、撤退しました。「人命は地球よりも重い。さすが日本の政治家だ」と正木は不敵に言い放ちました。政府は正木の要求通り、国際テロリスト犯の釈放も準備しましたが、正木は約束時間を10秒過ぎたと言い、第2あかつき丸の進行を止めようとはしませんでした。船は20時半過ぎ、東京湾の最終防衛ラインを突破しました。
正木の暴走を知った警察は、NPSにバスジャック制圧の命令を出しました。イルマは子供を人質に捕った犯人の肩を狙撃しました。ところがイルマの放った弾丸は、SST隊長の息子・裕樹の肩をも撃ち抜いてしまいました。「うそ…」イルマはショックを受けました。
その頃、モール内では正木がNPS隊員の一人を倒し、一號を挑発していました。怒った一號は、正木に襲いかかろうとしましたが、香椎隊長がそれを制しました。香椎隊長は、自身の確保をプルトニウム爆破のトリガーとする正木の姑息な策を看破しました。不敵な笑みを浮かべた正木は、3つめの要求として、自身と釈放したテロリスト犯たちを第2あかつき丸まで運ぶように要求しました。そして、正木は手を出せない一號たちNPS隊員たちに「俺を止めたけりゃ。銃を手に殺すしかないんだよ」と言い放ち、悠然と立ち去って行きました。「くっそー！」と一號は雄叫びをあげて悔しがりました。
マスコミも事件の様相を知り、テレビニュースでは第2あかつき丸が東京湾内に迫ってきていることが報道されました。都民は怯え、都内ではパニックが起き始めました。
イルマはSST隊長の息子・裕樹が搬入された病院に駆けつけました。自責の念に駆られるイルマは、犯人の肩を撃ち無力化させる事が正しいのか、伊織のように迷わず眉間を撃ち抜き、生死を問わず制圧する事が正しいのかと悩みました。自信を失いかけるイルマに、裕樹の母は「正直、あなたを許せない。でもあの子は父親を尊敬しています。この国を守るために戦っているから…。あの子のためにもあなたの仕事を精一杯してきてください」と語りかけました。イルマはその言葉に押され、現場へと戻りました。
その頃、裕樹の父SST隊長の倉田は、自分に憧れる息子に何かがあれば、それは自分がSSTに所属していたためではないかとジレンマに陥っていました。そんな倉田にSATの伊織は「一生後悔することになる。今すぐ降りるべきだ」と声をかけました。伊織は凶悪犯に姉を殺された経験者でした。倉田はそんな伊織の言葉に感謝しながらも、「SSTの隊長が任務中に船を降りる事はありえない」と言い、任務を全うする決意を新たにしたのでした。
一號はイルマと共に病院に駆けつけました。その病院には、一號と互いに意識し合っている看護師・棟方ゆづるがいました。一號は「もうダメだ。やはりあの時、正木を捕らえるべきだった」と思わず零してしまいました。苦悩し自責の念に駆られ落ち込む一號に、ゆづるは「元気出して！もう１回捕まえに行って来い！」と励まし、一號を現場へ送り出しました。
その頃、都内のあるホテルの一室では、一人の老人が「こんな動きはシナリオにはないはずだ！なぜ戦わん！」と呟き、憤っていました。その男は元警察庁次長でNPSを創設した霧山六郎でした。正木の背後にいたのは、この霧山でした。霧山は今回の事件をあくまで脅しとして、日本を守る『制圧法』を成立させる事を狙っていました。霧山は本当にプルトニウムを抱えたまま、第2あかつき丸が東京湾に入ってくるとは思っていませんでした。正木の想定外の暴走に驚き、霧山は心臓発作を起こしてしまいました。床にこぼれる発作用薬を取り上げたのは、警察庁長官官房審議官・天城光でした。天城は「シナリオは書き換えられた。これ以上、このゲームの継続は不可能。私は楽しければそれでいいです。お前はもう必要ない」と冷たく呟き、苦しみ、のたうち回る霧山をおいて立ち去りました。天城が去った後、霧山のもとに駆けつけたのは、香椎隊長でした。香椎隊長は余りにもスムーズにこの事件が遂行された事を不審に思い、創設者である霧山が黒幕なのではないかと推察したのでした。香椎隊長は瀕死の霧山から、正木の正体について聞き出しました。
正木は霧山が主宰する「霧山塾」のメンバーでした。それは今から約30年前、伊豆諸島南西の星ヶ浦島では、産廃業者と自治体が手を組み、産廃埋め立て地にリゾート計画を計画していました。生活のために多くの島民が賛成する中、代々この島の島守を務めていたある一家だけが反対していました。そして悲劇は起こりました。ある日、その家長が暴漢に襲われ、死亡してしまったのでした。その後、リゾート計画は中断しましたが、島民は島を去り、星ヶ浦島は無人島になってしまいました。正木はこの島守の一家と深く関係していたのでした。正木はその復讐のために今回の事件を決行したと誰もが思いました。しかし、一號は別の何かがあると感じ、正木を確保してその真意を確かめようと決意しました。
釈放されたテロリスト犯たちを共に第2あかつき丸に乗り込んだ正木は、新たな要求を政府に突きつけました。それは現内閣19人全員を第2あかつき丸に寄こせというものでした。閣僚4人は国外に出ており、明日まで帰国は無理でした。正木はそれを聞くと、南郷首相を含む、残りの閣僚15人各々が2億円ずつ（合計30億円）持って、船内へ来いという要求を出しました。香椎隊長は身内の閣僚に内通者がいるのではないかと推理し、自ら交渉役として閣僚と同行する事にしました。そして、香椎隊長はこれまで前例のないSAT、SST、NPSの合同ミッションを行う事に漕ぎつけました。
早速、NSPメンバーはSATとSSTに合流しました。イルマは直ぐに倉田隊長のもとに謝りに行きました。イルマはそこで自分の誤射ではなく、突入の際に裕樹が犯人の方に向かっていった事による事故だったと知らされました。一號は横川から改良された強力なガーディアンAKIスペシャルを受け取りました。「任務遂行のために必要なのは断固たる制圧。俺は容赦なく奴を倒す」と言う伊織に、一號は「あいつが何考えているのか聞きたいんだよ！絶対この手でとっ捕まえてやる！」と正木確保の決意を新たにしました。
午前8時、南郷首相を含む閣僚15名と共に、交渉役として香椎隊長が丸腰で入り、交渉が始まりました。香椎隊長にとって決死の作戦でした。閣僚や香椎隊長の首のボタンには、小型隠しカメラが仕込まれ、船内の様子が見えました。閣僚が合計30億円を渡すと、正木はあっさりとプルトニウム返却に応じ、「このまま港まで送る」と言いました。余りにもあっさりした正木の姿勢に警戒心を抱いたSAT隊長・中丸文夫は、揺動班を動かし、船の蛇軸部分に吸着爆弾を設置させました。すると、第2あかつき丸のスクリューが動き始めました。中丸隊長は、閣僚もろとも東京港へ突っ込み、プルトニウムをばらまく作戦だと直感しました。ただ、どうやってプルトニウムをばらまくかは、不明でした。
その時、テロリスト・Gが暴走し、閣僚を撃とうとしました。その制止に入った香椎隊長が腹に被弾しました。苦痛に顔をゆがめながら、香椎隊長は正木に霧山が死んだことを告げました。「警察力を高めるだけではこの国は変わらない。これからこの国に理不尽を突きつけてやる」と言うと、正木は閣僚を撃ち始め、3人が討たれました。
この発砲を合図に、中丸隊長から全班突入の指示がありました。作戦コードは「奪還（リカバリー）」でした。それは奪われたプルトニウムだけでなく、警察の３つの「S」の威信を「取り戻す」という意味もありました。狙撃班のイルマは発砲を躊躇しますが、伊織に「その程度か」と言われ、甲板の上のテロリストを狙い撃ち、ジレンマを克服、「この程度ですが、何か？」と言い返しました。屋上テロリストの無力化には成功しましたが、甲板に低く張られた複数のワイヤーが邪魔で、一號らの突入班のヘリコプターが接近できませんでした。イルマと伊織がワイヤーを見事狙撃し、破断しました。一號ら突入班が降下し、突入しました。突入班は激しい銃撃戦を経て、エンジンルームのテロリストを無力化すると、船のエンジンを停止させる事に成功しました。ようやく船の進行は止まりました。
あとはプルトニウムの確保でした。プルトニウムは第2、第4、第6格納庫にありました。理論的にはプルトニウムの格納容器は、時速130kmの衝撃や100Gの圧力を受けても中身が漏れるおそれはないとされていました。一號は瀕死の重傷を負った香椎隊長のもとに駆けつけました。一號は香椎隊長から正木が第4格納庫にとんでもないバケモノを持ち込んでいる事を聞きました。香椎隊長に応急処置を施し、一號は第4格納庫へと急ぎました。その正木が持ち込んだバケモノとは、「マイクロトロン」と呼ばれる加熱装置でした。それは超高出力電子ビームでプルトニウムの格納容器を外部から熱し、水素爆発を引き起こすものでした。
一足先に倉田隊長が正木と対峙しましたが、倉田は正木に撃たれてしまいます。正木は止めに手榴弾を投げました。死を覚悟した倉田を守ったのは、駆けつけた一號でした。「勝手に突っ走ってるんじゃねえ！死ぬ気か！お前は！」と応援に来たSATに、一號は「誰も死なせない。俺はNPSの突一です！」と言うと、正木の後を追って行きました。その直後、倉田のもとに息子・裕樹が意識を取り戻したとの吉報が入りました。倉田はちょうど傍にいたイルマに、裕樹からもらったお守りのキーホルダーを渡し、「こんな所で何をしている。この国を守るために、俺の分まで働いてこい！」と思いを託したのでした。
第4格納庫に着いた正木は、起爆装置のスイッチをテロリスト仲間のUから奪いました。テロリスト仲間たちはスイッチを本当に押すとは考えてもいなかったので、俄かに焦りました。正木は拘束した南郷首相に銃を突きつけ、「お前の手でこの国を終わらせろ」とスイッチを押すように要求しました。その時、船内アナウンスで重傷を負った香椎隊長の声が響きました。それは正木への言葉でした。
正木の本名は「神門健（ごうど・けん）」と言い、なんと彼はあの亡くなった星ヶ浦島の島守の息子でした。父親から家族を託された少年・健は、幼い頃の正木の姿なのでした。使命を授かった「授かり子」として生まれた正木の脳裏に、かつて無惨に荒らされていく島の姿と、父の言葉がよぎりました。真実を告げた香椎隊長は、「お前のなすべきことは、こんな事じゃなかったはずだ」と正木に静かに呼びかけました。
躊躇する正木の隙をつき、格納庫の電源を落とし、NPSが格納庫上部を開けて、閃光弾を投入し、第4格納庫に突入しました。銃弾の飛びかう中、一號は正木に向かって突入しました。しかし、スイッチは既に押された後でした。マイクロトロンが起動し始めました。解除はできませんでした。「止めてみろよ」と不敵に呟く正木に、一號は向かっていき、激闘となりました。
他メンバーはマイクロトロンに繋がる電源ケーブルの切断を試みますが、ケーブルが太過ぎて直ぐに切断できませんでした。伊織やイルマたち狙撃班は、他のテロリストの制圧を完了させました。その時、横川から連絡が入りました。加熱口の中を撃ち抜けという指示でした。イルマは裕樹のキーホルダーを握り、見事に加熱口を撃ち抜き、マイクロトロンを停止させました。まさに間一髪のところでした。
マイクロトロン停止に落胆した正木は持っていた銃を捨てました。しかし正木はそれでも一號との戦いに挑みました。二人は互いの思いをぶつけ合うかのように、殴り合いました。正木は「この国に当たり前の希望を取り戻す」、一度壊して新たに作り直すべきだと考えていました。一號は正木に「本当はどっちでもよかったんじゃねえのかよ！ぶっ壊して新しい未来ができても…新たな命を懸けて守り抜いた未来が続いても…」と語りました。そして一號は、「お前が何考えてるのは全然、わかんないよ。だから確保する。生きて罪を償え！」と言い、ついに正木確保に成功したのでした。
正木のテロが鎮圧され、第2あかつき丸は無事、警視庁が詰めかける港に到着しました。テロリストたちは連行されました。一號は正木を連行していました。正木は晴れ上がった空を見上げ、「綺麗な空だ」と呟きました。その直後、一発の銃声が響きました。倒れたのは正木でした。正木が撃たれたのでした。撃ったのはテロリスト仲間のGでした。「死ぬんじゃねえ」と一號は必死に呼びかけました。しかし正木は「この国を守り通せるか…楽しみにしてる」と呟き、静かに息絶えました。
事件から１か月後が経ちました。入院する香椎隊長のもとへ横川が見舞いに訪れました。テロ事件は、霧山が黒幕という形で解決しました。香椎隊長も横川も、天城が真の黒幕であり、正木を消したのも天城の策だと分かってはいましたが、検挙に至る証拠がありませんでした。「今回も不毛の戦いだったの」と問う横川に、香椎は「そんな事はないさ。この国の未来はしっかり守られた」と呟きました。
そんなある日、一號の同僚・梶尾竜一とゆづるの同僚看護師・奥村麻美が結婚式を挙げました。NPS副官・速田仁にも待望の第一子が産まれました。そんな晴れやかな披露宴の席でも、一號はまだ落ち込んでいました。正木を死なせてしまった事を悔やむ一號に、伊織は「今を懸命に守ればいい。それが未来につながる」と励ましました。そこにイルマがやって来ました。すると伊織は練習に出かけました。イルマも伊織についていきました。
「幸せそうね」と一號のもとにゆづるが来ました。何も言わない一號にゆづるは、プロポーズをしてきました。一號は「急だな」と言いながらも、「いいけど」と答えました。ようやく互いの気持ちを確かめ合った、そんな二人の様子を物陰から聞いていた一號の家族は、喜びました。
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