桜並木の満開の下に の紹介:2012年日本映画。事故の加害者と被害者が、葛藤しながらも惹かれていく姿を描いたロマンス&ドラマ作品。小さな町工場に勤める栞は、同僚の研次と慎ましくも幸せな結婚生活を送っていた。しかし研次が出張先で事故死してしまう。加害者は同じ工場で働く青年、工だった。栞は工からの謝罪を受け入れず強く拒絶するが、必死に償おうとする彼の姿に少しずつ惹かれていく。
監督:舩橋淳 出演者:臼田あさ美(佐生栞)、三浦貴大(森工)、高橋洋(佐生研次)、松本まりか(翔子)、三浦力(戸高卓)、小澤雄志(隅田)、テイ龍進(周さん)、張天翔(李さん)、ほか
映画「桜並木の満開の下に」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「桜並木の満開の下に」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「桜並木の満開の下に」の予告編 動画
映画「桜並木の満開の下に」解説
この解説記事には映画「桜並木の満開の下に」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「桜並木の満開の下に」のネタバレあらすじ:突然の別れ
舞台は東日本大震災後の日本、茨城県日立市。町工場の木村製作所で働く佐生栞(臼田あさ美)は、同僚で夫の研次(高橋洋)と共に幸せな家庭を作ることを夢見ていました。満開の桜並木の下で、そろそろ子どもを作ろうかと相談する2人。研次は不意に、「桜って潔いイメージあるけど、実は迷いの花だと思うんだ」と呟きます。母子家庭で育ち、そのためか研次の両親から結婚を認めて貰えなかった栞に、研次は「もっと自分を信じろ」と励ましました。ところがその矢先、研次が出張先で事故に遭い命を落としてしまいます。山のように積み重ねてあったドラム缶が崩れ、その下敷きになったのだそうです。一緒に出張していた研次の後輩、森工(三浦貴大)がクレーンの操作を誤ったのが原因でした。
「桜並木の満開の下に」のネタバレあらすじ:加害者と被害者
最愛の夫を突然失い、憔悴する栞。やっとの思いで出勤するものの、工の姿を見る度に辛い思いがこみ上げます。工は他の従業員から罵られても、栞から消えてくれと迫られても工場を辞めようとはしませんでした。そんな工に、栞は「私はあなたを許さない」と言い放ちます。それでも工は謝罪を続け、言い訳もせず黙々と働いていました。季節は夏。中核であった研次を失い、木村製作所は大手メーカーとの取引を打ち切られてしまいます。栞は社長の木村信夫(諏訪太朗)と共に向かったメーカー先で、研次の事故現場に足を向けました。そこで工が毎日のように花を供えに来ていると知らされます。
「桜並木の満開の下に」のネタバレあらすじ:工の真意
木村製作所は仕事が激減し、従業員達の心も次第に離れていきました。穴を埋められるように頑張ると話す工に、研次の代わりになどなれないと冷たく言い放つ栞。その後木村は社長の職を退くことに。木村が工に「俺が約束破ることになっちまったな」と謝るのを聞いた栞は、どういうことか尋ねます。工をこの工場に連れて来たのは研次でした。その際、木村が面倒を見る代わりに、研次と工はこの工場を大きくすると約束したそうです。工が頑なに職場を去らなかった理由を察し、栞は態度を少しだけ軟化させます。そんな折、普段から素行の悪かった従業員の戸高卓(三浦力)が溜まっていた鬱憤を工にぶつけ、大怪我をさせてしまいました。頭から血を流しながらも、研次が初めて取った仕事をきちんと納品しようと説得する工。栞の仲裁もあり卓はそれ以上暴力を振るいませんでしたが、工は倒れて翌日仕事を休みました。工が休んだ途端、作業に遅れが生じます。今までは工が1人遅くまで残って、遅れを取り戻していたのです。それを知った栞は、図面にだけでも目を通して貰おうと工の家を訪ねました。工は古い家で、体の不自由な母親と暮らしています。工の母は栞に研次のことを侘びた上で、工が非常に苦しんでいることを涙ながらに訴えました。工の苦悩に触れた栞は、気が付くと彼を目で追うようになります。
「桜並木の満開の下に」のネタバレあらすじ:揺れ動く心
季節は巡り、桜の蕾が膨らみ始めます。工の腕が認められ、新規の仕事が少しずつ入ってきました。思わず笑みを浮かべる栞ですが、近々工が工場を辞め大阪に引っ越すと聞いて驚きます。工を問い詰めると、彼はここにいても罪は償えないと分かったからだと話しました。納得出来ないでいる栞に、工は工場を辞めるもう一つの理由を告白します。彼は栞に好意を抱いてしまったのです。動揺した栞は「あなたのことなんて何とも思ってない」と言い捨てました。揺れ動く栞の心。そこに更なる衝撃が加わります。研次の両親から、金と一緒に姻族関係終了届が送られて来たのです。結局栞は佐生家から籍を抜くことになりました。栞は工場を去る工を捕まえ、バイクの後ろに乗せて走り出します。海辺に到着すると、工は一緒に大阪に行って欲しいと頼みました。栞が明確な返事を出せないまま夜を迎え、2人は旅館に宿泊し一夜を共にします。
「桜並木の満開の下に」の結末:桜並木の下の決意
翌朝。駅へ向かった栞と工は、偶然交通事故を目撃します。研次の事故を彷彿とさせるように、現場にはドラム缶が転がり、女性が泣き叫んでいました。それを見た栞はやはり工を選ぶことは出来ないと感じ、「もう二度と会わない」と宣言して去ります。泣きながら歩き続けた栞は平和通りにやって来ました。満開の桜並木の下で、1年前の研次の言葉を思い出します。彼女が向かったのは、夜の駅で電車を待つ工のもとでした。「私はあなたを許す」と言い、1人電車に乗り込む工を見送る栞。工を乗せた電車が夜の中へ消えていき、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画「桜並木の満開の下に」のあらすじと結末でした。
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