映画 太陽の子の紹介:2021年日本, アメリカ映画。太平洋戦争末期を舞台に、極秘裏に日本の原爆開発に携わった若き科学者たちが時代に翻弄されていく姿を描いた青春群像劇として2020年にテレビ放送されたドラマ『太陽の子』。本作はドラマ版の作・演出を手掛けた黒崎博がメガホンを執り、テレビドラマ版とは異なる視点と結末を加えた劇場版として広島原爆投下から76年目の2021年8月6日に劇場公開されました。
監督:黒崎博 出演者:柳楽優弥(石村修)、有村架純(朝倉世津)、三浦春馬(石村裕之)、イッセー尾形(澤村)、山本晋也(朝倉清三)、ピーター・ストーメア(アルベルト・アインシュタインの声)、三浦誠己(木戸貴一)、宇野祥平(岡野真三)、尾上寛之(清田薫)、渡辺大知(花岡喜一)、葉山奨之(堀田茂太郎)、奥野瑛太(村井正史)、土居志央梨(澤村はな)、國村隼(荒勝文策)、田中裕子(石村フミ)ほか
映画「太陽の子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「太陽の子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
太陽の子の予告編 動画
映画「太陽の子」解説
この解説記事には映画「太陽の子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
映画 太陽の子のネタバレあらすじ:起
太平洋戦争末期の1944年9月。日本海軍は戦況の悪化を打破すべく極秘裏に京都帝国大学に新型爆弾の開発を命じていました。
「F研究」と名付けられたその開発実験は日本における原子物理学の権威である物理学研究室の荒勝文策教授(國村隼)のもと、助教授の木戸貴一(三浦誠己)が指揮を執り、助教授の岡野真三(宇野祥平)、助手の清田薫(尾上寛之)、大学院生の花岡喜一(渡辺大知)、堀田茂太郎(葉山奨之)、村井正史(奥野瑛太)、そして学生の石井修(柳楽優弥)が参加していました。
ある日、修は京都・五条坂で陶器屋「釜いそ」を営む澤村(イッセー尾形)のもとを訪れ、普段は焼き物の釉薬として用いられる硝酸ウランを譲り受けました。澤村は特に何も語ることなく、黙々と骨壺を作り続けていました。
研究室の面々は修が入手した硝酸ウランからごく僅かな成分のウラン235を遠心分離機で取り出そうと試みましたが、その度に停電が発生するため実験はその都度中断せざるを得ず、研究室の面々は頭を抱えていました。
研究室は新型爆弾に使うトリウムの核分裂について研究を重ねており、かの有名な科学者アルベルト・アインシュタイン(声:ピーター・ストーメア)とも交流がある荒勝は新型爆弾を原子核爆弾と名付けることにしました。
修は軍人だった父を亡くし、母のフミ(田中裕子)が女手ひとつで家を守ってきました。修は我が子も軍人にしたがっていた父の意に反して科学者への道を歩み、修の弟・裕之(三浦春馬)は陸軍の士官として出征していました。
映画 太陽の子のネタバレあらすじ:承
そんなある日、修の幼馴染の朝倉世津(有村架純)が建物疎開により家を失い、祖父の清三(山本晋也)と共に修の家に身を寄せることになりました。世津に密かに想いを抱いていた修は内心喜びましたが、世津は戦地の裕之のことも気にしており、また3人で会いたいと願っていました。
1945年の初夏。裕之は所属部隊の配置換えを機に一時帰郷してきました。裕之は肺を病んでおり、療養も兼ねての帰郷でした。裕之は久しぶりに修やフミ、世津と食卓を囲みましたが、戦場での出来事は一切口にすることはありませんでした。裕之もまた世津に想いを寄せていました。
修らの研究は目覚ましい成果を上げられずに難航していました。彼らは物理学者として純粋に核エネルギーを追い求めたいのか、それともこの核爆弾でどれだけの人命が奪われるのかとの葛藤に揺れ動いていました。
周囲から実験バカと称されるほど研究熱心な修は、時として空襲警報にすら気付かず周囲を呆れさせました。世津はそんな修に「原子は死なないのか」と訊いてみたところ、修は原子は死ぬことも変わることもなく永久に循環していると語りました。
修は核分裂の実験の際に緑色の綺麗な光が生まれることを語ると、世津は綺麗な光だったら見たいと言いました。修はその光が何もかも破壊する狂気の光であることにも気付いていました。
そんなある日、修はいつものように澤村のもとを訪れました。修はそこで、大阪に納品に出向いていた澤村の娘・はな(土居志央梨)が空襲に巻き込まれて命を落としたことを知りました。
一方、研究はいよいよ行き詰まりを見せ、修や花岡、村井らは事あるごとに言い争いが絶えなくなっていました。そんな現状に嫌気がさした堀田は陸軍に入隊することを決心しました。修は死というものが身近にあることを身をもって感じ取っており、自分はこのまま何も成し遂げずに死んでいくのかと不安を覚えるようになっていきました。
映画 太陽の子のネタバレあらすじ:転
修は裕之や世津と共に丹後の海で束の間の休息を過ごすことにしました。海辺でも深く考え込む修に世津と裕之は寄り添い、裕之は修にそろそろ自分は軍に戻ることを伝えました。
その帰り道、バスがエンジンの不調を起こし、修ら乗客は野宿することとなりました。夜になり、修が目を覚ますと、裕之はひとりで海の中に入ろうとしていました。修と世津は裕之を止めましたが、裕之は戦争なんか早く終わればいい、勝っても負けても何も変わらないのだと本音をさらけ出しました。
京都に戻った修と裕之は二人で酒を飲みながら語り合い、修は自分が今研究しているものが完成すれば世界を変えられると語りました。裕之は修に世津を幸せにしてやってほしいと頼みましたが、二人の会話を聞いていた世津は自分は結婚どころではないと言い出しました。
世津はこの戦争が終わったら教師になって次世代の人材を育てたいという思いを打ち明け、修は世津が未来のこともしっかりと考えていたことに驚きました。三人は改めて未来への希望を抱きました。
一度は陸軍への入隊を希望していた堀田でしたが、荒勝が裏で手を回したことにより入隊を断念、研究に戻ることになりました。自分は徴兵を免れている身であることを恥じる堀田の心境を聞いた修は、改めて未来のために頑張ろうと決意しました。
映画 太陽の子の結末
1945年8月6日。アメリカ軍は広島に原子爆弾を落としました。そのことを知った荒勝や修ら研究者たちはアメリカに先を越されたことに衝撃を受け、広島に出向いて現状を確かめることにしました。
広島は見るも無残な惨状であり、修たちは放射能の影響を測定するため黒焦げになったまま放置された人々の人骨などを拾い集めました。修は、これが自分たちが作ろうとしていたものだったことに強い衝撃を受けました。
京都に戻った修は、戦場に戻った裕之から届いた手紙を手にしました。裕之は特攻に参加することが決まっていました。やがて長崎にも原爆が投下され、世間は次は京都が狙われるのではないかと噂しました。修は荒勝に自分は比叡山に登ると告げ、原爆が京都に落とされる一部始終をこの目で見届けると言い放ちました。荒勝は血気迫る修の様子に言葉を失いました。
修はフミと世津に京都を離れて疎開するよう言いましたが、世津もフミも京都から離れるつもりはありませんでした。修はカメラを持ってひとり比叡山に登り、その時が来るのを待っていましたが、次第に目から涙が溢れてきました。山を下りた修は世津のもとに戻り、抱き合いながら涙を流しました。
修は先行して広島の追加調査に赴いていた荒勝らの一向に合流しました。荒勝らは「破壊は美しい。君もあの魅力に取り憑かれた」「科学は人間を超えていく。それは誰も変えられないことだ」と修に投げかけました。修は今まで信じてきた科学への疑問を口にしました・・・。
・・・場面は変わり、時間は修が世津や裕之と海水浴をしていた頃に巻き戻りました。三人は戦争や研究のことなどすっかり忘れて楽しい青春のひと時を過ごしていました。
以上、映画「太陽の子」のあらすじと結末でした。
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