スカイ・クロラ The Sky Crawlersの紹介:2008年日本映画。原作は、森博嗣のベストセラー「スカイ・クロラ」他、全6冊のシリーズ。思春期の姿のまま、永遠に生きることを宿命づけられた子ども達「キルドレ」。他者に殺されることでのみ、死を得られる特別な体で、戦闘機のパイロットとして空へ。無情に繰り返される同じような毎日の中で、それでも懸命に生き、誰かを愛し、運命を変えようとする子ども達の姿を描く物語です。ヴェネチア国際映画祭でデジタル賞を受賞した、臨場感あふれる3DCG映像にも注目です。
監督:押井守 出演者:菊地凛子(草薙水素)、加瀬亮(函南優一)、谷原章介(土岐野尚史)、栗山千明(三ツ矢碧)、竹中直人(マスター)、ひし美ゆり子(ユリ)、榊原良子(笹倉永久)
映画「スカイ・クロラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スカイ・クロラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「スカイ・クロラ」解説
この解説記事には映画「スカイ・クロラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スカイクロラのネタバレあらすじ:起
ウリス基地に新しく配属された、戦闘機のエースパイロット、函南優一。愛機で基地に降り立つと、たばこに火をつけて一服。マッチをポキッと半分に折って捨てるシーンから物語が始まります。新しい仲間達は、女性司令官の草薙、整備士の笹倉、同僚の湯田川、土岐野ら。笹倉以外は、思春期の姿のまま、永久に生きられる特別な子ども達「キルドレ」です。この世界では、人々が平和を実感するために「ショーとしての戦争」が合法的に行われます。その戦闘機のパイロットのほとんどが「キルドレ」。彼らは、他者に殺されることでのみ、死を得ることができるのです。さらに、一度死んでも、また他の人間の肉体を借りて、別人として生まれ変わる・・・。そのことは、みんなわかっているのですが、誰もはっきりとは口にしません。函南優一に、ミートパイをご馳走し、娼婦のフーコを紹介する土岐野。優一が、以前基地にいたジンロウの生まれ変わりだと気づいています。実際に、優一はミートパイを気に入り、フーコの胸の入れ墨にデジャブを覚えるのでした。
スカイクロラのネタバレあらすじ:承
草薙は、キルドレの中でも特殊な存在です。昔の仲間「ティーチャー」と呼ばれる大人の男との間に、娘をもうけていること。腕利きのパイロットであったために、数々の戦闘を生き延び、現在は司令官となっていること。その間に、仲間が死んでは生まれ変わり、また死んでいく様を何度も見てきたこと。ある日、戦死したパイロットを「かわいそう」と言った一般女性に対して、草薙は激高。普段は冷静沈着な草薙ですが、別な一面も持っています。基地が敵機に急襲されると、上層部のもとへ行き、激しく抗議。その帰り道に草薙は、保養所であるコテージで優一を誘い、関係を持ちます。前任者のジンロウは、草薙の恋人でした。草薙は、ジンロウの生まれ変わりである優一に、特別な感情を抱いているのです。
スカイクロラのネタバレあらすじ:転
大規模な攻勢作戦が予定され、三月兎基地へ移動する優一たち。そこで彼らが出会ったのは、三月兎基地のエース、三ツ矢。同じエースパーロットの優一に関心をもっています。自分がキルドレであることを認めたくない三ツ矢。パイロットとしての腕を磨き、地上ではボランティアに精を出し、自分の人生に刺激を求めているのです。両軍が激突した空戦では、仲間も多数戦死しました。敵軍の中には、かつての草薙の恋人「ティーチャー」がおり、誰もティーチャーには敵わないのです。異国の酒場で、二人きりで食事する優一と草薙。その後の車内で、「殺してくれる?さもないと私たち永遠にこのままだよ」と銃を取り出す草薙。優一は銃をやさしく取り上げ、草薙と抱き合います。いくら愛し合っても、戦闘で死に、また別の人間として戻ってきて、また愛してもまた死んでいく、その無限ループを草薙は嘆いているのです。
スカイクロラの結末
生き残った者達は、元の基地へ戻ってきます。戦死した者の代わりに、三ツ矢が着任。キルドレの存在意義や、キルドレとの関わり方について、この基地の笹倉や優一、草薙らが達観しているのを見て、三ツ矢の感情は混乱し、爆発してしまいます。草薙と二人きりの司令室で、草薙に向けて引き金をひく三ツ矢。弾は逸れます。銃声を聞いて駆け込んできた優一に、草薙はまた「今度はあなたが私を殺して」と頼みます。実は、ジンロウは、戦闘で死んだのではなく、運命を変えようとした草薙が撃ち殺したものでした。「君は生きろ。何かを変えられるまで」。優一の言葉に、草薙は号泣します。繰り返される運命を、草薙とともに変えたい、それにはティーチャーを撃つしかない。決意を胸に出撃していった優一ですが、基地に帰還することは叶いませんでした。エンドロールの後、季節は移り変わり、優一の代わりの新しいパイロットが配属されます。たばこに火をつけ、マッチをふたつに折る癖から、優一の生まれ変わりであることがわかります。草薙は心の中で何を思うのか、「待っていたわ」と微笑むのでした。
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