TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)の紹介:2016年日本映画。約80年以上に渡って巨大都市・東京の台所を支え続けている築地市場。そこに介在する仲卸人や卸売業者、様々な分野の食のプロフェッショナルなどへの1年4ヶ月にわたる取材を通じて築地のありのままの姿を映し出した渾身のドキュメンタリーです。
監督:遠藤尚太郎 出演者:小野二郎、小野禎一、油井隆一、中澤圭二、齋藤孝司、長山一夫、奥田透、石川秀樹、樋口一人、道場六三郎、渡邊浩二、早乙女哲哉、レネ・レゼペ、リオネル・ベカ、神田秀次郎、森田釣竿、新田亜素美、テオドル・C・ベスター、山本益博、服部幸應、犬養裕美子、岩村暢子ほか
映画「築地ワンダーランド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「築地ワンダーランド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)の予告編 動画
映画「築地ワンダーランド」解説
この解説記事には映画「築地ワンダーランド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)のネタバレあらすじ:起
巨大都市・東京がかつて江戸と呼ばれていた時代、日本橋魚河岸は巨大卸売市場として栄えていました。しかし、1923年の関東大震災によって甚大な被害を受けた後、新たな市場として築地の地が選ばれ、それ以来築地市場は80年以上に渡って東京の台所を支え続けてきました。
築地市場には毎日のように大量の魚介類など様々な食材が運び込まれ、セリの現場はいつも活気に溢れています。ハーバード大学文化人類学者のテオドル・C・ベスターやレストランジャーナリストの犬養裕美子、料理評論家の山本益博、服部栄養専門学校校長の服部幸應ら食のプロフェッショナルたちも一目置く築地には活きの良い食材を提供してくれる料理店も数多く点在しており、数々の名うての料理人など食のプロフェッショナルたちも惹き付けてられているのです。
TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)のネタバレあらすじ:承
築地には1年を通じて、全国各地から四季折々の新鮮な魚介類が集まってきます。目の肥えた仲卸業者は適正な価格を付け、鮮度の良いうちに迅速に小売店に分けていきます。時としてロサンゼルスなど海外からも注文が来ることもあり、これらの要望にも的確に応えなければなりません。漁・仲卸・小売・料理それぞれに確固たるプライドを持ったプロフェッショナルがいるからこそ築地は世界でも有数のオンリーワンな市場を築き上げているのです。
築地の一日はまだ夜が明ける前から始まります。既に市場には大量の発泡スチロール箱が並び、マグロの解体やウナギの下処理など業者は速くも魚介類の仕込みと注文の整理に追われています。仕入れ業者は“目利き”を大事にしており、きめ細かく状態や鮮度などをチェックしていきます。
TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)のネタバレあらすじ:転
築地は世界で一番、魚が入って来る巨大マーケットであり、1日に200トンにも及ぶ魚介類が取引されています。忙しくフォークリフトが行き交い、何台ものトラックが出入りする現場。カメラは朝早くから夜遅くまで働く築地の人々、勢いよく飛び跳ねる魚まで克明に臨場感たっぷりに記録していきます。
築地には大物料理人が自ら足を運び、きめ細かく食材の状態をチェックしていきます。売り買いは闘いの場としながらもコミュニケーションを大事にするという銀座ろくさん亭の道場六三郎、東京に6週間限定で店を構える「ノーマ」の世界的シェフであるレネ・レゼペ、築地がなければ商売が成り立たないと言い切る銀座・すきやばし次郎の鮨職人・小野二郎&小野禎一、築地に自ら出向くようになって40年になるという寿司職人の油井隆一、仲買人との関係は真剣勝負と言い切る新橋・第三春美鮨の長山一夫、魚を買う以前に“人間”に惚れ込んで買うという四谷・すし匠の中澤圭二、季節感を大事にする門前仲町・みかわ是山居の早乙女哲哉など、食のプロフェッショナルたちを唸らせ、インスピレーションを与えるほどの食材が築地に集まっているのです。それぞれの職人たちは食材に強いこだわりを持ち、優れた目利きを持つ卸売業者とも積極的にコミュニケーションをとって妥協することなく食材を選んでいきます。
TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)の結末
映画では、職のプロフェッショナルたちの匠の技もあますとこなく伝えていきます。
築地には春夏秋冬の旬の食材が大量に入荷され、仲買人もスタッフも、輸送業者や魚用の氷を作る業者など築地に関わる約4万人にもおよぶ人々が自分の仕事に絶対的な自信と誇り、金勘定だけではない顧客との信頼関係、そして築地への強い愛着を口にしています。
映画では約80年前の市場建設現場の貴重な映像も映し出され、かつて鉄道が敷かれていた建物の構造も詳しく紹介しています。築地で働く人々も二世代、三世代と受け継がれてきました。
そして現在、食生活を取り巻く環境の変化により魚屋の数も減少、若い世代の魚離れも叫ばれるようになっていきました。築地の人々も幼稚園児を市場見学に招くなど、若い世代に食文化を受け継いでいく試みを展開しています。時代が変わっても、築地の人々の食への想いは決して揺るぐことなく、次の世代に受け継がれていくことでしょう。
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