罪の声の紹介:2020年日本映画。本作は実際にあった事件グリコ・森永事件を題材にしたフィクションで、塩田武士の同名小説を映画化。過去の事件の真相を追う主人公・阿久津が徐々に真相にたどり着いていく過程がリアルで、かつスリリングに描かれています。小栗旬と星野源の共演も話題を呼びました。
監督:土井裕泰 出演:小栗旬(阿久津英士)、星野源(曽根俊也)、松重豊(水島洋介)、古舘寛治(鳥居雅夫)、市川実日子(曽根亜美)、火野正平(河村和信)、宇崎竜童(曽根達雄)、梶芽衣子(曽根真由美)、宇野祥平(生島聡一郎)、篠原ゆき子(生島千代子)、原菜乃華(生島望)、阿部亮平(生島秀樹)、尾上寛之(曽根光雄)、川口覚(若き日の達雄)、阿部純子(若き日の真由美)、ほか
映画「罪の声」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「罪の声」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
罪の声の予告編 動画
映画「罪の声」解説
この解説記事には映画「罪の声」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
罪の声のネタバレあらすじ:起
1984年、おまけ付きお菓子の有名メーカー「ギンガ」の社長が誘拐されました。「くらま天狗」を名乗る犯人は、10億円もの身代金を要求しましたが、誘拐された社長は監禁場所から自力で脱出しました。
しかし、くらま天狗は店頭のお菓子に青酸カリを混入すると脅迫し、警察に脅迫状を送り付けるという事件が起こりました。しかし犯人は特定できず、事件は未解決のまま時効を迎えます。
あれから35年、新聞社に勤める阿久津(小栗旬)が平成から令和に変わるこのタイミングで、この未解決事件を追うという企画の担当を任されてしまいます。どう調べたらいいのか分からず途方に暮れていた阿久津は、社会部にいる鳥居(古舘寛治)から情報を得て、ロンドンに飛びます。
当時、怪しい動きをしていた中国人の噂を聞き、それを知るソフィという人物を訪ねますが「中国人なんか知らない」と言われ、阿久津は早くもそこに繋がる手立てを失ってしまいます。
そのころ、テーラー曽根の二代目店主である曽根(星野源)は、家の押し入れから父の名前が書かれた箱を見つけます。そこには英語で何やら書かれた手帳と、1984と書かれたカセットテープが入っていました。曽根がそのテープを再生すると、自分の幼少期の声が流れてきました。
「きょうとへむかって いちごうせんを にきろ ばーすてーい じょーなんぐちの べんちの こしかけ」
読み上げるように話す過去の自分、そして曾根は手帳に「GINGA」と「MANDO」の文字を見つけ、過去にあったギンガ・萬堂事件を調べ始めます。さらに曽根は、時効を迎えたこの事件で、脅迫で使われた男の子の声が、先ほどの録音された自分の声と同じだということに気づいて驚愕します。
罪の声のネタバレあらすじ:承
そして曽根は父・光雄と交流のあった仕立て屋の川村に手帳とテープのことを聞きに行きました。そこで祖父の死にはギンガが深く関係していたこと、そして死んだと思っていた叔父の達雄がまだ生きていることを知ります。
次に、光雄と達雄の幼馴染だった藤崎に会い、二人の若き日の写真を目にします。そして最近達雄と連絡を取ったと言われている小料理屋を訪ねていきます。
なんとその小料理屋では、くらま天狗の会合が行われていたというのです。そこには達雄だけでなく、耳のつぶれた男もいたことを知ります。その男は元警察官の生島秀樹で、当時中学生の娘・望と、息子・聡一郎がいました。曽根は望の担任をしていた者に話を聞きますが、そこで生島一家が突然いなくなったことを知らされます。
ロンドンから戻った阿久津は水島(松重豊)からの情報で、ギンガ株の外人買いが進んでいるとの情報を得ました。
当時を知る立花という証券マンに会うと、その証券マンは、ギンガ株の外人買いは、偽装した口座を使用した空売りだったのではないかと指摘します。さらに「ギン萬事件」は、この空売りを使って利益を得ていたのではないか、という可能性を指摘します。このことが事実なら企業から一円も受け取っていない「くらま天狗」の本当の目的がみえてきます。
さらに阿久津は金田という男が、犯人であろうキツネ目の男と深く関わりがあることを突き止めました。その金田のスポンサーだという上林をたどり、曽根が先に向かっていた小料理屋にたどり着きます。
そこで曽根が仕入れた情報を阿久津も手に入れます。そしてそのつながりで阿久津は曽根に出会うことになるのでした。そこで曽根は、さらなる真相を求めて阿久津と行動を共にすることを決めます。
罪の声のネタバレあらすじ:転
青木組の建築会社放火殺人事件で容疑者になっていた津村と、中学生ぐらいの男の子が消えたことを知った阿久津。阿久津はその中学生が生島総一郎だと睨み、岡山に向かいます。そこでようやく総一郎の居場所を知り、総一郎と会う約束を取り付けます。
総一郎と会えた二人は、総一郎から当時の真相を聞くことになりました。失踪はすぐに青木組にばれることになり、すぐに建設建築会社の寮に軟禁されます。その生活が嫌になった姉望は逃げ出そうと試みますが、キツネ目の男につかまってしまい殺されてしまったのです。
姉の死を間近で目撃した総一郎は、青木組のパシリとしていいように使われてしまうようになりました。そんな中、総一郎の世話役をしていた津村と建築会社に火をつけ、2人で逃げることになり、姿をくらますことになったのです。
苦境の連続で逃げるしかない生活を強いられてきた総一郎に、阿久津は事件が時効になったこと、青木組は解散してしまったことを伝えると、安堵の気持ちからか泣き出してしまいました。
入院していた曽根の母真由美は、一時退院でテーラー曽根に帰ってきました。曽根は思い切って手帳やカセットテープのことを母に問いただすことにしました。すると母の口から衝撃的な言葉が放たれました。テープに声を録音させたのは母・真由美だったのです。
父の死の理由について警察に不満を持っていた真由美は、反体制運動に参加したりしていました。そんな時、面識のあった達雄にギンガ事件の協力を依頼されたのです。真由美はまだ子供だった曽根に脅迫文を読ませ、録音したのです。曽根は子供が罪人になる可能性は考えなかったのかを問いますが、母の警察を憎む気持ちは達雄により奮い立たされていたのです。
罪の声の結末
阿久津は達雄を追い、再度ロンドンへ向かいました。そして再びソフィに会い、今度は「日本人を知らないか?」と尋ねます。するとソフィはその日本人の居場所を教えてくれました。阿久津に会った達雄は観念したかのようにギンガ事件の真相を語り始めました。
ロンドンにいた達雄を訪ねてきた生島秀樹。それがすべての始まりでした。わいろの関与で警察をやめていた生島は、反対運動をしていた達雄に目をつけていました。達雄は生島の世の中にガツンと食らわせてやりたいという思いに賛同し、今回の計画を思いついたのです。
護衛のいない日本人なら誘拐など容易なものだと考え、やくざの青木やキツネ目の男などのメンバーが、生島により集められていきます。しかし思いのほか金が稼げないことで、メンバーの中で対立が起こり、金が欲しい思いの強かった生島は対立していた青木グループに殺されてしまうのです。
このままではヤバいと考えた達雄は生島の家族を逃がし、自らは独断で再び金を手に入れようと画策しましたが、失敗に終わります。達雄はギンガ事件は社会への戦いだったと語りますが、阿久津からその後の生島家の顛末を知った達雄は、その壮絶さに呆然と立ち尽くすしかありませんでした。阿久津は達雄を置いて立ち去っていきます。
帰国した阿久津は、今回の話を記事にすることにしました。それは大きな騒動になってしまいます。
生き残った総一郎は、生き残りの母・千代子を探すため記者会見を開きます。そして養護施設で再会を果たしました。長い月日を経た二人は再会を喜びますが、姉望の死を総一郎が千代子に伝えるとともに涙を流します。
全てを曽根に看取られて母千代子は息を引き取りました。曽根は昔遊んだギンガのおまけのおもちゃが壊れたのを見て涙しました。
その後、社会部に移った阿久津は、テーラー曽根で新しいスーツを新調します。これからも真実を追い続けると誓う阿久津に曽根はぴったりのスーツを作ると約束しました。
以上、映画「罪の声」のあらすじと結末でした。
「罪の声」感想・レビュー
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最近DVDをみました。とても真摯な映画で感動しました。
改めてて認識しました。弱い立場に置かれた人に手を差しのべる事。自分の価値感を人に押し付けない事。他の人の価値感を否定しない事。
最後に全てのキャストの気概が伝わって来ました。
久ぶりに凄い映をみました。ありがとうございます。
ひょんなことから自分自身が数十年前の事件にかかわっていることに気づいた主人公。たまたま同じタイミングで事件を調べていた記者と当時の人間を追っていくことで真実が徐々に見えて、つながっていくところが非常に面白い。
特に、様々な苦悩を抱きながら生きていた第2の主人公が、離れ離れになっていた家族と再会するシーンには感動した。