ユリゴコロの紹介:2017年日本映画。第14回大藪春彦賞受賞、第9回本屋大賞ノミネートの、沼田まほかるのミステリー小説『ユリゴコロ』を実写映画化。亮介(松坂桃李)はある日、実家の押入れから「ユリゴコロ」と書かれた一冊のノートを見つける。そこには心の拠り所を人を殺す事でしか得られない女の葛藤が綴られていた…。殺人に取りつかれた女の人生を描く。宿命に振り回される殺人者の女を「蛇にピアス」「僕らがいた」の吉高百合子が演じる。
監督:熊澤尚人 出演:吉高由里子(美紗子)、松坂桃李(亮介)、松山ケンイチ(洋介)、佐津川愛美(みつ子)、清野菜名(千絵)、清原果耶(美紗子(中学生))、木村多江(細谷)、ほか
映画「ユリゴコロ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ユリゴコロ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ユリゴコロの予告編 動画
映画「ユリゴコロ」解説
この解説記事には映画「ユリゴコロ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ユリゴコロのネタバレあらすじ:起
亮介(松坂桃李)は同棲中の婚約者でもある千絵(清野菜名)と、山奥の喫茶店を営みながら順風満帆な生活を送っていました。しかしある日、千絵が謎の失踪を遂げ、更に亮介の父が末期ガンである事が発覚します。喫茶店の経営も傾き、亮介は精神的に不安定な状態に陥ります。そんなある日、亮介は実家の押入れから『ユリゴコロ』と書かれた一冊のノートを見つけます。創作か現実か、そこには殺人者 美紗子(吉高由里子)の半生が綴られていました。
ユリゴコロのネタバレあらすじ:承
「ユリゴコロ」には「私のように平気で人を殺す人間は脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか」このような書き出しで始まっていました。普通の人には心の拠り所「ユリゴコロ」というものが誰にでもあるものですが美紗子にはそれがありませんでした。普段から無口で、友達と遊んでも新しいオモチャを貰っても喜びを感じない美紗子はある雨の日、友達を池に突き落として溺死させてしまいます。その時、美紗子は生まれて初めて喜びに近い感情を抱きます。中学に進学した美紗子ある日、帽子を拾おうとしている少年を手伝っている男に加勢する事になりますが、男が持ち上げている溝の蓋を下に押し当て、重さに耐えきれなかった男は蓋を少年の上に落として殺してしまいます。死んだ少年を見て美紗子は再び喜びのようなものを感じます。調理の専門学校に進学した美紗子は初めてみつ子(佐津川愛美)という友達ができます。みつ子は精神を病んでいて、リストカットがやめられません。自分と通じる部分を感じた美紗子ですが、結局はみつ子までも殺してしまいます。このように人を殺す事が心の拠り所となってしまった美紗子は出会う人々を次々と殺していきます。
ユリゴコロのネタバレあらすじ:転
『ユリゴコロ』を読んだ亮介は殺人鬼 美紗子に全く共感出来ないものの、なぜか惹かれていきます。そんなある日、亮介の喫茶店に細谷(木村多江)が訪ねてきます。細谷は失踪した千絵の友人で、亮介に協力したいと持ちかけます。亮介は細谷に千絵の捜索に協力してもらうと、千絵は暴力団と関わっている事が判明します。
—『ユリゴコロ』続き— 専門学校を卒業した美紗子は食品関係の仕事に就きますが社会に適合出来ず1年で退職してしまいます。お金が必要になった美紗子は身体を売って生活費を得るようになります。そんなある日、美紗子が売春目的で洋介(松山ケンイチ)に声をかけます。しかし洋介はお金だけを渡して美紗子に手を出そうとしませんでした。それ以来、美紗子と洋介は同棲するようになります。2人が同棲するようになり、しばらく経ったある日、洋介は自分は「過去に子供を殺したから罪を償って生きていかなければならない」と告白します。話を聞いてみると、帽子を拾う少年を手伝って溝の蓋を支えてたら、自分の過失で手を離してしまい、少年を殺してしまったと洋介は語ります。なんと美紗子が蓋を押し当てて少年を殺した時に隣にいた男こそが洋介だったのです。そんな事は本人に言えるはずもない美紗子は売春で避妊をしなかったため、誰か分からない客の子供を授かります。美紗子と洋介は結婚し、その子を育てる決意をします。子供は順調に成長していき、3人での幸せな生活が暫く続きますが、ついに刑事が家に訪ねて来ます。幸い、刑事に美紗子の罪を勘づかれる事はありませんでしたが、美紗子はさらに罪の意識に悩むようになり、子供を殺して洋介に命を奪ってもらおうと考えるようになります。しかし美紗子は自殺を決意し、手首を切って川に飛び込みます。それに気付いた洋介は美紗子を助けて一命を取り留めます。美紗子が目を覚ますと手元には今まで隠し続けていた『ユリゴコロ』のノートが置いてありました。家族に自分が重罪人だと気付かれてしまったのです。重罪人を野放しにする訳にはいけないと感じた洋介は、自らの手で死なせる事が最善だと思い、美紗子の腕を縛り、ダムへ飛び降りさせようとします。しかし、最愛の美紗子を永遠に失うのは耐えきれず、お金と地図だけ渡して美紗子と分かれるのでした。
ユリゴコロの結末
『ユリゴコロ』に不思議な親近感を覚えていた亮介はノートをここまで読むと、美紗子の子供が自分であると確信します。一刻も千絵と見つけ出したい亮介は、千絵捜索の協力者、細谷に千絵の居場所が判明したか電話を入れます。すると、とある暴力団のオフィスに監禁されている事が判明します。美紗子の娘であると同時に、殺人者の息子である自覚した洋介は躍起になり暴力団を殺しす為に包丁を持ってオフィスに向かいます。しかし亮介が到着した頃には暴力団員全員が死んでおり、千絵も無事でした。現場には『ユリゴコロ』に度々登場したオナモミの実が落ちていました。喫茶店兼自宅に戻り千絵を介抱している亮介の元へ細谷が現れます。そこで亮介の疑念が確信に変わります。実は細谷は亮介の実の母であり、殺人者美紗子だったのです。美紗子は亮介の為にまた殺人に手を染めたのでした。遂に真の家族として2人は再開してしまったのです。美紗子は病室で寝ている洋介に会いにいき、それ以来二度と現れる事はありませんでした。全てを知ってしまった亮介は自宅のオナモミが生えた庭で物思いにふけるのでした。
以上、映画ユリゴコロのあらすじと結末でした。
思ったよりリアルにグロテスクなシーンが多く、目を逸らしたくなる。
ただの殺人鬼の手記かと思いきや、途中から登場人物たちの関係性が
徐々に明らかになって行き、気付いたら引き込まれていた。
松山ケンイチの静かな演技がとてもよい。