あんのことの紹介:2023年日本映画。2020年に実際に起きた出来事をもとにした作品。監督は「AI崩壊」の入江悠。薬物中毒の杏は、刑事の多々羅に出会ったことで、新たな一歩を踏み出す。週刊誌の記者・桐野や多々羅に支えられ、必死に生きていた杏だったが…。
監督:入江悠 出演者: 河井優実(香川杏)、佐藤二朗(多々羅保)、稲垣吾郎(桐野達樹)、早見あかり(三隅紗良)、河井青葉、ほか
映画「あんのこと」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あんのこと」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「あんのこと」解説
この解説記事には映画「あんのこと」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あんのことのネタバレあらすじ:起
香川杏(河井優実)は、母親の青葉と祖母・恵美子と三人で団地に暮らしています。祖母は足が不自由なのか、床を這うようにして移動しています。部屋はゴミだらけで、足の踏み場もないほどです。
小学生の時、万引きしたことがばれて以来、杏は学校には通っていません。そのため簡単な読み書き計算ができずにいます。子どもの頃から杏は、青葉に暴力を振るわれています。12歳になった杏に、青葉は体を売るよう指示しました。初めての相手は、母親の知り合いでした。16歳の時、ヤクザ風の男からすすめられ覚せい剤に手を出した杏は、その後警察に捕まることがなかったため、ズルズルと使い続けることになります。
21歳になった杏は、覚せい剤使用の容疑で取り調べを受けました。取り調べを行った刑事の多々羅保(佐藤二朗)から、NPO団体「サルベージ赤羽」を紹介されます。サルベージ赤羽は、薬物問題を抱える人のための集まりで、多々羅が代表をつとめています。
「自分を大切にするために、まずは売春をやめろ。シャブをやめたいなら、何か夢中になれるものを見つけろ」と、多々羅が杏に言います。
祖母・恵美子のためになるかもしれないと、杏は介護施設で働くことにしました。初めてのお給料で、恵美子のためにケーキを買います。家に帰った杏が台所にいると、母親の青葉が男を連れて帰ってきました。酔っ払っている青葉が杏に暴力を振るいます。いつものように杏が稼いだ金を持って行ってしまう青葉。
あんのことのネタバレあらすじ:承
何もかもが嫌になった杏は、再びクスリに手を出してしまいました。自暴自棄になっている杏を見つけ出した多々羅は、責めることなくギュッと抱きしめます。
杏の給料がたった5万円だったことを知った多々羅が、介護施設に乗り込み「20日働かせて5万はおかしいだろ!」と文句を言います。別の介護施設で働くことになったのですが、この施設を紹介してくれたのが、週刊誌記者の桐野達樹(稲垣吾郎)でした。桐野は多々羅の知り合いで、サルベージ赤羽に出入りしている桐野は、杏とは顔見知りです。
紹介された介護施設へ多々羅と共にやってきた杏。施設長は、杏のリストカットを見て「これから切りたくなったら足にしてね。入居者さんが怖がるから。」と、冷たいことを言いながらも採用してくれます。
初めての給料日、杏は多々羅と桐野と一緒にいました。三人で多々羅行きつけの中華料理店で食事をします。杏が手帳に日記を書いているのを微笑ましく見守る多々羅と桐野。
家に帰れば母親に暴力を振るわれ、給料はすべてとられてしまいます。そのため杏は家を出ることにしました。家に帰って服を袋に詰め込んでいると、青葉から「どこいくんだよ!」と殴られます。杏は必死で家を飛び出し、多々羅と桐野の元へ向かいました。
家を出た杏は、多々羅と桐野に手伝ってもらい、一人暮らしをするための部屋を探します。家賃が無料の保護シェルターで暮らすことになり、新たな一歩を踏み出した杏は、サルベージ赤羽に参加した際に初めて自分のことをみんなの前で話しました。勇気を出し幼少期から今に至るまでのことを正直に話した杏を、多々羅は褒めたたえます。
あんのことのネタバレあらすじ:転
ある日、杏が働く介護施設へ青葉がやってきます。施設内で「娘はどこに居るの?」と暴れる青葉。「警察を呼ぶぞ!」と施設長が脅すと、母親は帰っていきました。周囲に迷惑を掛けてしまった杏が施設を辞めようとします。すると施設長が「俺からみんなに話しておくから」と言ってくれました。
新たな一歩を踏み出したにもかかわらず、突然の青葉の出現に落ち込む杏。そんな彼女を元気づけるために、多々羅と桐野がカラオケに誘います。
杏は海外の人たちと共に、学校で日本語の勉強をすることにしました。様々な国の人々と交流を持ち、充実した日々を過ごします。
この頃、桐野は気になることがありました。かつてサルベージ赤羽に熱心に通っていた女性・ミヤビの姿を最近見かけなくなったのです。桐野が多々羅と知り合ったのは3年ほど前のことでした。多々羅がサルベージ赤羽参加者の女性に手を出しているというリークがあり、慎重に取材を進めていた桐野は、後日ミヤビから話を聞くことができます。
ミヤビから多々羅とのラインを見せられた桐野は驚きます。最初は肩もみなどだった要求が、だんだんとエスカレートしていったのだと話すミヤビ。ホテルでの多々羅の音声を隠し撮りしたものもあり、桐野はこの事実を上司に伝えます。
あんのことの結末
コロナの流行をきっかけに、非正規職員の杏は職を失ってしまいました。海外の人との勉強会もなくなり、杏は一人で部屋にいる時間が増えていきます。
多々羅の件について調べていた桐野は、ミヤビを含む三人の女性から証言をえることができました。桐野が多々羅に事実確認を行います。すべての質問に対して多々羅は「ノーコメント」としか言いません。「そのために俺に近づいたのか?」と尋ねる多々羅は、去り際に桐野を思い切り殴ります。
その後週刊誌に多々羅の記事が出ました。辞職した多々羅は、事情聴取を受けることになります。そこへ杏から電話が掛かってきました。多々羅が携帯の電源を切ります。
ある朝、杏の部屋に隣人の三隅紗良 (早見あかり)が息子を連れてやって来ました。「ちょっとの間、この子預かって!」と、息子を置いて走り去る紗良。突然のことに杏はパニックになります。男の子は泣いており、あたふたする杏は男の子を連れてドラッグストアに走りました。オムツを買った杏は、店の外にとめてあったベビーカーに男の子を乗せて家に戻ります。
その後、男の子と公園で遊んだ杏は、お腹が減ったので、多々羅とよく行った中華店へ行くことにしました。店は暗く閉まっています。コロナでどこも営業していないため、杏は料理を作ることにしました。
男の子との暮らしになれた頃、シェルターに青葉が現れます。祖母がコロナにかかったかもしれないと言われ、杏は動揺します。家に帰ってきてほしいと言われ、杏は男の子を連れて家に帰ることにしました。部屋に入った杏は、元気そうな祖母を見て、青葉が嘘をついていたことを知ります。青葉から金を要求されます。
男の子を人質に取られた杏が、売春をして家に戻ってくると、男の子の姿がありません。「泣いてうるさかったから、児童相談所に連絡を入れて連れて行ってもらった」と青葉に言われ、杏は台所にあった包丁を持ち出します。そして母親に向ける杏。しかし刺すことはできませんでした。
再び薬物に手を出した杏は、シェルターの自分の部屋から飛び降り自殺します。そのことを知った桐野が、服役中の多々羅に会いに行きました。自分が記事を書かなければ、杏は自殺することがなかったのかと考える桐野。「そんなことわからねえよ…」と言う多々羅は、深く悲しみます。
児童相談所に引き取られた男の子は、紗良の元に無事戻ることができました。杏の日記には、男の子が食べるとアレルギー反応が出るものが書かれていました。亡くなった杏には感謝している紗良は、児童相談所から息子を取り戻すのは、とても苦労したと語ります。紗良が息子を抱っこして歩く後ろ姿で映画は終わります。
以上、映画「あんのこと」のあらすじと結末でした。
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