仕掛人・藤枝梅安の紹介:2022年日本映画。小説家・池波正太郎の生誕100周年を記念し、代表作のひとつであり過去に数度も映像化され『必殺シリーズ』の原点ともなった時代小説『仕掛人・藤枝梅安』を二部作として新たに映像化。本作は第1部となります。メガホンを執るのは『星になった少年』の河毛俊作、表の顔は腕利きの鍼医者、裏の顔は悪人を密かに始末する“仕掛人”の主人公・藤枝梅安を豊川悦司が演じます。
監督:河毛俊作 原作:池波正太郎 出演者:豊川悦司(藤枝梅安)、片岡愛之助(彦次郎)、菅野美穂(おもん)、小野了(与助)、高畑淳子(おせき)、小林薫(津山悦堂)、早乙女太一(石川友五郎)、柳葉敏郎(羽沢の嘉兵衛)、天海祐希(おみの)、でんでん(下駄屋の金蔵)、鷲尾真知子(おだい)、大鷹明良(田中屋久兵衛)、六角精児(大工の万吉/浮世の為吉)、井上小百合(お千枝)、朝倉ふゆな(お美代)、板尾創路(嶋田大学)、石丸謙二郎(伊藤彦八郎)、中村ゆり(お香)、田山涼成(善四郎)、若林豪(善達和尚)、吉田美佳子(お里)、趙民和(御座松の孫八)、田中奏生(梅吉)、凛美(お吉)、田中乃愛ほか
映画「仕掛人・藤枝梅安」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「仕掛人・藤枝梅安」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「仕掛人・藤枝梅安」解説
この解説記事には映画「仕掛人・藤枝梅安」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
仕掛人・藤枝梅安のネタバレあらすじ:起
江戸の郊外、品川台町に住む鍼医者の藤枝梅安は腕の良いとの評判です。しかし、梅安にはもうひとつの顔がありました。それは裏稼業の元締め“蔓(つる)”から金をもらって生かしておけない悪人を闇に葬る裏稼業“仕掛人”としての冷酷な裏の顔でした。
ある日の夜。この日も仕掛を終えた梅安は仕掛人仲間である楊枝職人の彦次郎の家に泊まりました。その帰り道、梅安はひとりの浪人が刺客を斬り捨てる場面に遭遇しました。梅安は刺客が死んだことを確認し、医者が出る幕ではないとその場を立ち去りました。浪人は梅安を睨みつけていました。
梅安は“蔓(つる)”のひとりである香具師・羽沢の嘉兵衛から新たな仕掛の依頼を受けました。それは薬研堀の料理屋「万七」の内儀・おみのを仕掛けることでした。実は梅安は3年前にこの「万七」の前の女房おしずを仕掛けており、またしても「万七」絡みの仕掛の話に梅安は驚きを隠せませんでした。
梅安は「万七」女中・おもんに接触し、彼女から店の内情を聞き出すことにしました。おもん曰く、「万七」主人・善四郎はおしずの生前から水茶屋にいたおみのに惚れ込んでおり、おしずの死後に周囲の反対を押し切っておみのを内儀に迎えたのです。ところが、おみのが来てからは古参の奉公人たちが次々と去っていき、店の評判は落ちているのにも関わらず儲けだけはあるというのです。おみのは客寄せのために見栄えのいい娘を女中として店に雇い入れていたのでした。
仕掛人・藤枝梅安のネタバレあらすじ:承
殺しの起り(依頼人)の身元を探るのは仕掛人の掟に反することでしたが、おしず仕掛の依頼をしたのはおみのではないかと感じた梅安は掟に背くことを承知のうえで三年前の経緯を探ることにしました。ところが、「万七」を訪れた梅安はおみのの顔を見るなり衝撃を隠せませんでした。何か心当たりがあるのか、梅安はひとまず一時退却を余儀なくされました。
その頃、彦次郎は“蔓”のひとりである人入れ稼業の田中屋久兵衛から大工の万吉を仕掛るよう依頼を受けていました。彦次郎は標的の顔を確かめに行ったところ、実は万吉の正体は盗賊・御座松の孫八の手下だった“浮世の為吉”であり、彦次郎もかつては孫八の手下だったのです。彦次郎は万吉が「万七」でおみのを脅していたことを知り、その後万吉を仕掛けました。
梅安と彦次郎はこれまでの仕掛のことを語り合い、彦次郎は梅安に初めて過去を打ち明けました。かつて孫八の手下だった彦次郎は万吉と共に孫八を殺害して有り金を持ち逃げしていたのです。孫八は既に他界した妻との間に女の子がいたといい、その女の子こそが今のおみのだというのです。万吉はおみのの過去をばらすと脅していたのでした。
おみのの名を聞くなり動揺した梅安はおみのの本名を尋ねたところ、彦次郎は彼女の本名は“お吉”だと答えました。それを聞くなり、梅安はお吉(おみの)こそが実は生き別れた実の妹であることを打ち明けました―――。
仕掛人・藤枝梅安のネタバレあらすじ:転
―――それは梅安の少年時代、梅安が“梅吉”と名乗っていた頃にさかのぼります。梅吉は鍼医者だった父を病で亡くし、母はお吉を連れて男と一緒に去っていったのです。天涯孤独となった梅吉は鍼医師の師匠・津山悦堂のもとで修行を積んだのです。母を連れ去ったのはあの孫八だったのです―――。
忘れていた過去を取り戻した梅安は、妹が生きていたことを知り深く動揺したのです。
梅安は山寺「常在寺」住職・善達和尚から(表の仕事の)依頼を受けました。寺には身動きが取れない重病人がおり、寺まで出向いて治療してほしいというのです。梅安は寺でその重病人・お千枝の治療をしていたところ、以前に梅安の目の前で刺客を斬り捨てた浪人・石川友五郎が現れました。
石川は元々は将軍家御側衆の旗本・嶋田大学の家来でした。嶋田は手あたり次第に女に手をつける性格であり、嶋田家用人の娘だったお千枝はそのせいで母を亡くしたのです。お千枝は嶋田に物申しましたが、逆に嶋田に手籠めにされたあげく屋敷に閉じ込められたのです。事態を見かねた石川はお千枝を救い出して常在寺に匿ってもらい、このことから嶋田に命を狙われる身となったのです。
その頃、彦次郎は田中屋から新たな仕掛を依頼されていました。仕掛の標的はなんと石川でした。田中屋は嶋田から依頼を受けており、石川こそがお千枝を手籠めにして寺に幽閉した真犯人だと彦次郎に伝えていたのです。下調べを始めた彦次郎はたまたま出くわした梅安から事情を聞き、田中屋に対する不信感を抱くと共に梅安と共に策を練ることにしました。
仕掛人・藤枝梅安の結末
嶋田は石川とお千枝のいる常在寺へ刺客を差し向けました。剣の達人である石川は刺客たちを相手に大立ち回りを演じ、彦次郎も物陰から毒を含んだ楊枝の吹き矢で次々と刺客たちを仕掛けていきました。石川と彦次郎は刺客全員を始末しました。
梅安は仕掛人の掟に従い、実の妹とはいえ何の罪もないおしずを死に至らしめたおみのを仕掛ける決意を決めました。梅安はまず「万七」を訪れた田中屋を仕掛け、おみのと二人きりになりました。梅安はおみのを抱き寄せ、「お吉、お前の命、俺に預けろ」とささやきながら仕掛道具の鍼をおみのの首筋に突き刺しました。おみのは死の間際、全てのことを思い出しました―――。
―――新年を迎え、梅安と彦次郎は石川とお千枝を上方へ逃がすことにしました。そして梅安は上方にある恩師・津山悦堂の墓参りに行くことにし、彦次郎と共に上方へ向けて出発しました・・・。
(第2部(2023年4月公開)へ続く)
以上、映画「仕掛人・藤枝梅安」のあらすじと結末でした。
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