ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男の紹介:2019年アメリカ映画。1998年、オハイオ州。名門法律事務所の企業弁護士ロブ・ビロットは、突然やってきた祖母の知人だというウィルバー・テナントから調査依頼を受ける。 大手化学メーカー、デュポン社の工場から出された廃棄物によって190頭もの牛を病死させられたというのだ。最初乗り気ではなかったロブも事態の深刻さに気付き始める。そして調査の結果、デュポン社は有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、大気中や土壌へ垂れ流してきた。ロブは7万人を原告団とし集団訴訟に踏み切った。原作はニューヨークタイムズ・マガジン紙に掲載された記事。自らも環境保護活動に取り組むマーク・ラファロが記事を読み、ロバート・ビロット氏本人に連絡し映画化が実現した。
監督:トッド・ヘインズ 出演:マーク・ラファロ(ロブ・ビロット)、アン・ハサウェイ(サラ・バーレイジ・ビロット)、ティム・ロビンス(トム・タープ)、ビル・キャンプ(ウィルバー・テナント)、ヴィクター・ガーバー(フィル・ドネリー)、メア・ウィニンガム(ダーリーン・カイガー)、ウィリアム・ジャクソン・ハーバー(ジェームス・ロス)、ルイーザ・クラウゼ(カルラ・ファイファー)、ビル・プルマン(ハリー・ディーツラー)ほか
映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男の予告編 動画
映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」解説
この解説記事には映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ダークウォーターズ巨大企業が恐れた男のネタバレあらすじ:起
1998年-
米国、オハイオ州シンシナティの名門法律事務所に勤める弁護士ロブ・ビロットを訪ね、ウィルバー・テナントという見知らぬ中年男が現れました。
ウェストバージニア州パーカーズバーグで農業を営むウィルバーはロブの祖母の知り合いとのこと。彼の訴えでは自身の土地が、大手化学企業のデュポン社によって汚染されたと言うのです。普段は企業側の弁護を行っているロブは、一度は調査依頼を断りましたが、祖母の顔を潰すわけにもいかず、後日ウィルバーの農場を訪ねました。
ロブは農場の荒れ果てた姿を見て、何やら胸のざわつきを覚えました。ウィルバーの説明では、デュポン社が近くの埋め立て地に廃棄した化学物質が原因で190頭もの牛が死亡したとのこと。残る2頭も狂ったように動き回ることがあるというのです。
ロブはかつてウィルバーの訴えで環境保護庁が作成したこの土地の調査報告書を入手し、再びウィルバーの農場へと向かいました。するとそれまでおとなしかった牛が突然発狂したように暴れ出し、ウィルバーに射殺される現場を目の当たりにしました。
環境保護庁の調査報告書はでたらめだと言うウィルバー。彼から手渡されたビデオテープには、醜く衰弱して病死した牛たちの姿が生々しく記録されていました。この一連の出来事にショックを受けたロブは、訴訟を起こす決意をします。
ダークウォーターズ巨大企業が恐れた男のネタバレあらすじ:承
1999年-
訴訟開始から1年が経ちました。ロブのもとにデュポン社から廃棄物に関する開示資料が届きました。とてつもない数の資料に根気強く向き合い、内容を整理していくロブは、ふと“PFOA”という言葉に目がとまります。
ネット検索をしてもまったく分かりません。もしかしたら、PFOAは観光保護庁の規格外の化学物質かもしれない。そう思ったロブはさらなる資料開示を裁判所に求めました。
ダークウォーターズ巨大企業が恐れた男のネタバレあらすじ:転
2000年-
ロブは執念の調査の結果、PFOAが人体に有害な化学物質ペルフルオロオクタン酸だと突き止めました。しかしそれは、川や水道水にPFOAに流れ出し、地域一帯の住民を蝕んでいるという恐ろしい可能性が考えられるということでもありました。
パーカーズバーグ最大の雇用主であるデュポン社から恩恵を受けてきた地元住民から家族ともども白い目で見られながらも、ロブは粘り強く調査を進めていきました。
そしてついに、ロブはデュポン社がPFOAの危険性を40年前から知りながら、自社の利益のために隠蔽してきた事実を探り当てました。発ガン性まであるその物質は水中だけでなく、大気中や土壌にまで垂れ流していたのでした。
しかし相手は巨大企業。潤沢な資金で科学者たちを抱き込み事実をもみ消す。そう考えたロブは不本意ながらもウィルバーに和解を勧めました。しかしウィルバーは、「金なんか要らない。奴らに罰をあたえろ!」と拒絶。そして自分と妻がガンに侵されていることを告げました。
最愛の妻サラにも背中を押されたロブは再び奮起しました。デュポン社の不正を暴くため内部文書を環境保護庁などの政府機関にリークし、公聴会でPFOAの危険性について証言しました。
ダークウォーターズ巨大企業が恐れた男の結末
ロブはパーカーズバーグの住民を将来にわたる健康被害から守るために、7万人を原告とする集団訴訟に踏み切ることを事務所の会議で提案しました。賛否の議論が白熱する中、ロブの孤独な闘いを見守ってきたスーパーバイザーのトム・タープは「デュポン社を決して許してはいけない!」とロブを援護し部下たちに発破をかけました。
こうして翌2002年。ロブは集団訴訟を多く取り扱うハリー・ディーツラーに協力を仰ぎ、被害者ジョー・カイガーを代表とする集団訴訟がはじまりました。パーカーズバーグの環境汚染問題は全米の目にさらされることとなります。
尋問が開かれ、召喚に応じたデュポン社のCEOチャールズ・ホリディ・ジュニアは、ロブから報告書と証拠を突きつけられ、知らなかったと否定。さらにロブは当時、PFOAを扱う製造ラインで働いていた女性職員が出産した奇形の男児バッキーの写真を見せましたが、デュポン社の弁護士団は席を立ってしまいました。
調停が開かれ、デュポン社は医学調査に同意しました。調査を実行するのはデュポン社と利害関係のない科学者からなる独立機関であることと、調査費用2億3500万ドルをデュポン社が負担するとのこと。ただし、因果関係が証明されなければ、裁判はその段階で終結すると説明がありました。
こうしてあっという間に69,000人のサンプルが集まりました。しかし、大量のサンプルに時間がかかり4年たっても結果は出ません。そんな中、無念にもウィルバーが他界。初めてロブを訪ねた日から7年が経っていました。
そして、ついにロブのもとに連絡が入ります。
「精巣ガン、肝臓ガン、潰瘍性大腸炎、子癇前症、甲状腺疾患、高コレステロールの6つの疾患との因果関係が判明しました」と。ロブは心を震わせました。
ところが、デュポン社はこの結果を拒否。集団訴訟ではなく個別に異議を申し立てる意向を示し、ロブはサラへ怒りをぶつけます。
2015年-
オハイオ州連邦裁判所にて裁判が始まりました。審議するのは3535ケースという膨大な数。
しかし、ロブは負けませんでした。最初の裁判で150万ドル、2件目は560万ドル、そして3件目に1250万ドルの賠償金を勝ち取ると、ついにデュポン社は折れ、全住民へ6億7070万ドルの和解金を提示しました。
PFOAは99%の人間の血液に混入しています。ロバート・ビロットの実績は世界中でPFOA禁止の流れへと発展。ロブの闘いは現在も続いています。
以上、映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」のあらすじと結末でした。
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