ファーストラヴの紹介:2021年日本映画。2018年第159回直木賞を受賞した「ファーストラヴ」。作者は「ナラタージュ」「Red」も映画化されている島本理生。女子大生による父親刺殺事件を軸に家族をめぐる闇を描くミステリーだ。映画・テレビ共にヒット作の多い堤幸彦が監督をつとめ、旬の俳優陣の気迫のこもった演技を引き出している。主演作がたて続けに公開されている北川景子と中村倫也のW主演。犯人の女子大生・環菜を芳根京子が体当たりで演じ、その母親を木村佳乃が怪演。他に窪塚洋介、板尾創路、高岡早紀など実力派俳優が作品に深みを与えている。
監督:堤幸彦 脚本:浅野妙子 主題歌・挿入歌:Uru(主題歌「ファーストラヴ」) キャスト:北川景子(真壁由紀)、中村倫也(庵野迦葉)、芳根京子(聖山環菜)、板尾創路(聖山那雄人)、石田法嗣(小泉裕二)、清原翔(賀川洋一)、高岡早紀(早苗)、木村佳乃(聖山昭菜)、窪塚洋介(真壁我聞)ほか
映画「ファーストラヴ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ファーストラヴ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ファーストラヴの予告編 動画
映画「ファーストラヴ」解説
この解説記事には映画「ファーストラヴ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ファーストラヴのネタバレあらすじ:起
大学構内のトイレで起きた殺人事件。被害者はその大学に籍を置く画家、聖山那雄人(板尾創路)。犯人として逮捕されたのは被害者の娘、女子大生の環菜(芳根京子)でした。
アナウンサー試験の面接後に事件を起こしたということでセンセーショナルに報じられる中、公認心理師として知名度のある真壁由紀(北川景子)は環菜を取材しようと考えます。由紀には写真館を営む夫・我聞(窪塚洋介)がおり、食事など家のことはほとんど我聞がやっています。
由紀は環菜の国選弁護人・庵野迦葉(中村倫也)に会いに行きます。実は迦葉は我聞の弟で、由紀とはなにか因縁がありそうです。由紀は早速環菜と面会します。やさしく語りかける由紀に対し環菜は、弁護人である迦葉との関係やなぜ名字がちがうのかなどを興味津々で聞いてくるのでした。
その後、環菜から届いた手紙には、「(私を)ちゃんと罪悪感のある人間にしてください」と書かれていました。
由紀は、自分たちの事情は抜きにして協力しましょうと迦葉に告げますが彼は不満そうです。でも環菜の母・昭菜(木村佳乃)が検察側の証人として出廷することがわかり共闘することにしました。
ある日、雑誌に環菜の元カレの記事が載り、面会時由紀が内容を確認するとなかなか別れられなくて仕方なくつき合ってたと環菜は言います。「本当に好きになった男性とつき合ったことある?」と質問すると、小学生のころの初恋の相手“ゆうじくん”の話しを始めますがそのうち態度がおかしくなり、叫び出し、暴れて手がつけられなくなってしまいました。
由紀は迦葉に電話で状況を説明し、あきれる迦葉に“ゆうじくん”を見つけたいと話します。
由紀たちは環菜の元カレへの取材を取り付けふたりで会いに行きます。大学の先輩であるその男・賀川洋一(清原翔)は環菜の浮気が原因で別れたと語り、初めて体の関係を持ったときも環菜は笑っていたと、無理矢理されたと言っていた環菜の話と食い違っていました。また賀川は、環菜の腕にはたくさんのリストカットの傷があると教えてくれました。
迦葉が面会に行くと環菜は賀川とガマンしてつき合っていた、男の人は近づいてくると最後は皆同じように体を求める、と言い出します。そして迦葉を責め、「私をここから出してよ!」と声を荒げるのでした。
ファーストラヴのネタバレあらすじ:承
由紀と迦葉は環菜の母に話を聞くため聖山家を訪れます。両親ともにアナウンサーになるのは反対だったこと、環菜が小4から中1のころまで父のデッサン教室のモデルをやっていたことなどを聞き出しますが、腕の傷については学校でニワトリにつけられたという環菜のウソを信じていました。そして言うことを聞かない恩知らずの娘のことを憎んでいるようでした。
環菜はかつてモデルをしていたころの厳しい父の態度や熱心に自分を見つめる男たちの視線の記憶に悩まされていました。由紀もまた、なにか過去の出来事に囚われているようです。
面会に来た由紀が前回のことをあやまると、環菜はけろっとして「ゆうじくん?誰ですか」ととぼけます。腕の傷についてもニワトリにやられたとしか答えませんでした。
由紀は聖山家の近くにあるコンビニをたずね、“ゆうじくん”について聞きますがさすがに10年も前のことなのでわかりません。そんなとき迦葉から連絡が入り、デッサン会に参加していた人物が見つかったというので由紀はひとりで富山まで会いに行くことにしました。
電車の中で地図を見ていると迦葉が合流してきました。ふたりはかつてのデッサン会の参加者である陶芸家のもとを訪れます。当時のデッサンを探し出してもらうとそこには、環菜と全裸の男性ふたりがポーズをとる姿が描かれていました。由紀は、環菜の苦痛がどれほどのものだったかを思いやります。
その夜ふたりで食事をしていると、迦葉は由紀が環菜に自分を重ねていると指摘します。由紀はかつて、父が所有していた裸同然の女児の写真を見てしまったことがありました。そして成人式の日、母(高岡早紀)から父が昔海外出張のたびに買春をしていたことを聞かされたのです。薄々そのことに気づいていた由紀はその現実にショックを受け、また父を許した母を嫌悪して雨の中、嘔吐しました。
由紀と迦葉が店を出ると外はどしゃ降りでした。おびえたような目を向ける由紀を迦葉が抱き寄せようとすると、由紀はものすごい勢いで走り去っていきました。
由紀と迦葉が大学生のころ。降りしきる雨に立ち尽くす由紀の前に迦葉が傘を差し出しました。孤独な目をした由紀を放っておけなかった迦葉は居酒屋へ連れて行き、同い年だということですぐに打ち解けます。都内に家がありながらひとり暮らしをする由紀と母に捨てられ叔母の家に引き取られた迦葉。ふたりはなにか近いものを感じ、そのまま遠出をして海へ。
帰りのバスに乗り遅れふたりはホテルに泊まります。自分には兄がいて、賞ももらった有望なカメラマンなのだとうれしそうに語る迦葉。今度個展をやるから一緒に見にいこうと誘います。そのうち迦葉は由紀にキスしふたりはベッドへ。しかし迦葉の態度にはやさしさが感じられず、ふたりはギクシャクしてしまいます。いつもはこんなことないのにとイラ立つ迦葉に由紀は「セックス依存症です」と言い放ちます。怒った迦葉は由紀の首を絞めますがすぐに手を離し、壁を殴りつけます。
後日由紀は偶然、迦葉の兄・我聞の個展を見つけ立ち寄ります。海外の子どもたち、特に父と娘の写真に心打たれた由紀は涙を流し、そんな由紀が気になった我聞は彼女に声を掛けるのでした。
ファーストラヴのネタバレあらすじ:転
富山から戻った由紀は、自分の過去のトラウマを我聞に話していないことに後ろめたさを感じながらもつとめて明るく帰宅します。そんな由紀に我聞は、たまには外で食事しようと誘います。
そんなとき“ゆうじくん”が見つかったと連絡があり、由紀は小泉裕二(石田法嗣)を取材することに。当時善意からケガの手当てをした裕二は、家に帰りたくないという環菜を仕方なく自分のアパートに連れて帰りました。そんな日々を何度か過ごし出来心から彼は環菜に触れようとしますが、さすがにまずいと思いとどまります。すると環菜は「いいよ。私、慣れてるから」と言ったというのです。しばらく裕二の部屋は環菜の避難所になっていました。
しかしある日、環菜の父が踏み込んできてその日々は終わります。裕二は訴えられるかもしれないと不安だったので、一度だけ環菜が助けを求めて家にやってきたときも追い返してしまいその後会うことはありませんでした。由紀は裕二に弁護側の証人として出廷を求めますが、既に結婚して子どももいる裕二はそれを断ります。
由紀がそのことを電話で伝えると、ひとりで突っ走るなと迦葉は怒ります。そんな彼に由紀は「迦葉は本気で助けたいと思ってる!?」と反論し、自分の心の傷を環菜に見せるつもりだと電話を切ります。7時に店を予約したというメッセージが我聞から届きますが、由紀はそのまま環菜との面会へ向かいます。
由紀が小泉裕二と会ったことを伝えると環菜は怒り、彼が結婚していることに不快感をあらわにします。由紀は環菜が男性に対してガマンして笑顔を見せてしまうことに触れ、つらいときに笑うようになってしまったのはどうしてかたずねます。そして環菜の心を開くためにかつての自分の話をし、父親の目がこわかったと話します。すると環菜は自分が悪い、(自分を助けてくれなかった)お母さんは悪くない、それは父に恩があるからだと言い、父・聖山那雄人が実の父親ではないことが判明します。さらに環菜は「私、お父さんを刺してません」と言い出すのでした。
拘置所を出た由紀は我聞にディナーのキャンセルを伝えると、行き先を告げず電話を切って走ります。そしてすぐ、我聞のスマホにはどこからか電話がかかってきました。
迦葉の事務所にやってきた由紀は環菜の発言を伝え無罪を主張するべきだと訴えますが、この時点での路線変更は心証も悪くありえないと迦葉は強く反対します。興奮した由紀は自分たちが信じなくて誰が環菜を救うのかと声を荒げ、それに対し迦葉は由紀の自己満足だと否定します。言葉に詰まった由紀は逃れるように事務所を飛び出し、過呼吸のような状態で歩道をさまよいます。そこへ我聞が現れますが、由紀は近づこうとして事故にあってしまいます。
病室で目覚めた由紀は、付き添ってくれていた我聞に過去のトラウマを告白します。なにかあるのだろうと感じていた我聞は腑に落ちた様子。由紀はさらに迦葉とのことも話そうとしますが我聞は「気づいてたよ」と言い、本人と一度だけ話したことがあると言います。由紀を好きだったのかたずねた我聞に迦葉は、「大事だったけど、恋愛じゃなかった…」と語ったと言い、今日あの場に来たのも迦葉に呼ばれたからだと言います。
その会話を病室の外で聞いていた迦葉はそっとその場を離れます。我聞は由紀に、迦葉と過ごした時間も由紀の一部なのだと伝えやさしく抱きしめます。由紀は長年の苦悩から解放され、涙を流すのでした。
ファーストラヴの結末
法廷。迦葉は弁護人として、遺体の傷の状況から偶発的な事故による死だったと無罪を主張します。さらに、思春期の環菜が全裸の男性とともに大勢の男性に囲まれモデルをさせられていたこと、腕にたくさんの自傷行為の痕があることなどを明らかにしていきます。検察側の証人として証言台に立った母・昭菜は環菜の訴えをウソとして認めず、腕の傷についてもよく知らないと答え、娘に対する無関心ぶりがうかがえます。
別の日。証言台には環菜の初恋の人、小泉裕二が立っていました。なぜ証言しようと思ったか問われた裕二は「罪の意識です」と答えました。結婚し女の子の父親となった今の自分がもし当時の環菜と出会ったなら、きっとちがう行動をしていただろうと。それを聞いた環菜は涙を流しました。
そして次第に事件の真相がわかってきました。事件当日、面接に失敗した環菜は包丁を購入し、自傷行為を父に見せることで許してもらおうと思ったそうです。腕を傷つけ血を流しながら父の大学にたどり着いた環菜は、携帯電話で父を女子トイレに呼び出します。その姿を見た父は怒り、母親を呼び出すためスマホを取り出しますが環菜はそれを止めようと父に近寄ります。包丁を持ったままもみ合いになり、濡れた床で足を滑らせた父が倒れ込んできて包丁が刺さってしまった…それが真相でした。
なぜ救急車を呼ばなかったのか、との問いに環菜は「父の目がこわかったんです」と答え、どうすればいいかわからなかったと言います。そしてアナウンサー試験の面接は、多くの知らない男性に見つめられ、かつてのデッサン会の記憶がよみがえりつらくなってしまったと。モデルをしていた当時の環菜は自傷行為でつけた傷を父に見せ、怒った父から「人前に立つな」と言われ、モデルの仕事から解放されていました。楽になるには血を流すしかない、それが環菜の結論だったのです。その告白を固唾をのんで聞いている母・昭菜。そして由紀。
そのあと由紀はトイレで昭菜の姿を見かけます。神経質なほどていねいに手を洗っているその腕にはたくさんのリストカットの痕がありました。
判決。環菜には懲役八年の刑が言い渡されました。自ら包丁を購入して出向いたこと、包丁が刺さってしまったあと助けなかったことなどが理由として挙げられました。
そして環菜はそれを受け入れ、服役して真面目に過ごしています。
とあるギャラリーでは我聞の個展『家族のカタチ』が開かれていました。迦葉が写真を見ていると、会場の端に“私の原点”と名付けられた小さな家族写真が飾られていました。
外のベンチで待つ由紀に環菜からの手紙を見せる迦葉。そこにはふたりへの感謝の言葉と、いずれ事件のことを自分の手で書いてみたいと綴られていました。
今はおだやかに会話できる仲になった由紀と迦葉。迦葉は「あの兄貴が兄貴でよかった」と言います。
ギャラリーの中。あの写真の前に立つ我聞の横に由紀が寄り添います。それは、迦葉が我聞の家にやってきて初めての正月、我聞が最初に撮った家族四人の写真。なかなか笑わなかった迦葉をくすぐって笑わせたと我聞は懐かしそうに話すのでした。
以上、映画「ファーストラヴ」のあらすじと結末でした。
「ファーストラヴ」感想・レビュー
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この映画を見ていて大岡昇平原作による「事件」という映画を思い出しました。
ファースト・ラヴは観た方々がそれぞれに感じた愛の形が全てと言う、北川景子さんのコメント通りですね!
映画を観終わり、ポジティブに次のステージへと解釈して欲しい!
ネガティブに感じた方々もいると思います。
でも、この先の未来をどう生きるかは、あなたの思考次第で、あ〜いい人生だったと、きっと思えるはずです!
どうぞ、ご自分のこれからの人生をいい人生に出来るものに自らなさる思考に変えて頂きたいと思います。