フード・ラック!食運の紹介:2020年日本映画。芸能界きっての食通として知られるお笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の寺門ジモンの監督デビュー作となるヒューマンドラマです。「EXILE」「三代目J Soul Brothers」のNAOTOと土屋太鳳がダブル主演を務め、かつて人気を誇っていた下町の焼肉屋を舞台に、食を通じて繋がる主人公のフリーライターと焼肉屋の女主人だった母との絆を周囲の人々の人間模様を含めて描きます。
監督:寺門ジモン 出演者:NAOTO(佐藤良人)、土屋太鳳(竹中静香)、石黒賢(新生英二)、松尾諭(古山達也)、寺脇康文(山田智洋)、白竜(滝沢二郎)、東ちづる(滝沢小百合)、矢柴俊博(西田貴博)、筧美和子(的場涼子)、斎藤汰鷹(少年時代の佐藤良人)、大泉洋(尾崎実)、大和田伸也(豊川忠義)、竜雷太(石原雄司)、りょう(佐藤安江)ほか
映画「フード・ラック!食運」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フード・ラック!食運」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フード・ラック!食運の予告編 動画
映画「フード・ラック!食運」解説
この解説記事には映画「フード・ラック!食運」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フードラック!食運のネタバレあらすじ:起
18年前。下町では焼肉店「根岸苑」が人気を博していました。店は夫に先立たれた女主人の佐藤安江(りょう)が一人で切り盛りしており、安江の一人息子・良人(斎藤汰鷹)は安江が忙しいなかでも作ってくれた手料理を何よりも愛していました。ところが、ある出来事がきっかけで「根岸苑」は店を畳むこととなりました…。
…時は流れて現代。成人した良人(NAOTO)は実家を飛び出し、今ではうだつの上がらないフリーライターとなっていました。そんなある日、良人は「ネクスト・エイジ」社長の新生英二(石黒賢)に呼び出され、“本物”だけを集めた新しいグルメ情報サイトを立ち上げることを告げられました。良人はその第1弾のテーマ「“本物”の焼肉」の覆面取材と記事執筆を依頼され、「ネクスト・エイジ」社員で編集者の竹中静香(土屋太鳳)と共に早速取材に赴くことになりました。
良人と静香が向かった先は人気の焼肉店「焼肉・粋」でした。この店は人気グルメ評論家の古山達也(松尾諭)が高く絶賛している店なのですが、実は良人は誰よりも良い料理に出会うことができる“食運”の持ち主であり、なおかつ食に対する卓越した審美眼と徹底的な焼肉へのこだわりを併せ持っていました。
驚きを隠せない静香をよそに、「焼肉・粋」の肉を食べた良人は一言「美味しくない」ときっぱり言い切りました。そこにはたまたま古山が居合わせており、良人と古山はこの店の肉について激しく意見を戦わせ合いました。良人は、飲食店が流行るための仕組みについて自慢げに持論を語る古山に嫌気が差し、静香にこの企画から降りると告げました。
その矢先、良人が家を飛び出して以来ずっと疎遠だった安江が倒れたとの知らせが舞い込んできました。長年闘病を続けていた安江は既に末期のがんに侵されていたのです。
フードラック!食運のネタバレあらすじ:承
幻の人気店だった「根岸苑」の存在を知った静香は早速店について調べてみました。そこでわかったことは、かつて「根岸苑」はあの古山が書いた事実無根の批判記事によって風評被害を被り、後に閉店に追い込まれたことでした。
良人が取材から降りたため、静香は単身で次なる店「焼肉スタミナ亭」の覆面取材に向かいました。そこで静香は一人で行列に並んでいた良人と遭遇しました。良人は安江の緊急入院時に付き添いをしてくれた「スタミナ亭」の店主・豊川忠義(大和田伸也)に会いに来たのですが、良人は豊川から安江の見舞いに来ないことを指摘されると思わず店を飛び出してしまいました。
静香は豊川から、「根岸苑」が店を閉めた理由は古山の記事ではなく、店の料理であるぬか漬けに何者かが洗剤を入れたことで引き起こされた食中毒事件であることを聞かされました。かつて「根岸苑」があったところに向かった静香はそこで良人と遭遇、店の中でツギハギだらけのぬか漬けの壺を発見しました。さらに店内には良人が幼い頃に描いた母子と母の手料理の絵がありました。
良人と静香は「根岸苑」と繋がりのあった店を訪ね歩き、そのうちに安江の食にかける情熱と誠実さに気付かされていきました。思い直した良人は再び記事を書き始めましたが、良人の書いたあるパン屋の記事が炎上してしまい、遂には店を閉店に追い込んでしまいました。更には新生が、自分こそが古山による「根岸苑」批判記事の編集を担当していたことを明かし、いたたまれなくなった良人は記事を書くのを止めてしまいました。
フードラック!食運のネタバレあらすじ:転
そんなある日、良人は静香に連れられ、これまで一切の取材を断り続けている老舗の焼肉店「川崎苑」を訪れました。そこで良人は、店の千切りキャベツの切り方が母のかつての切り方と似ていることに気づき、更には店の店主である滝沢二郎(白竜)は良人の亡き父の修行仲間たったこと、この千切りキャベツは安江とこの店の女将・小百合(東ちづる)が共同開発してものであることを知ります。実は良人と「川崎苑」を引き合わせたのは他ならぬ静香であり、静香は良人の代わりに安江の見舞いに行った際に小百合と偶然にも出会っていたのです。
母の想いに改めて触れた良人でしたが、それでも記事を書く気にはなれませんでした。良人は静香に、ある事実を打ち明けました。それは、実は「根岸苑」食中毒事件を引き起こしたのは他ならぬ良人本人だったのです…。
…「根岸苑」は古山の記事による風評被害から立ち直り、客足も以前のように戻っていました。再び多忙になった安江に構ってもらえなくなった良人は、母の自慢の味だった手作りのぬか漬けの壺に洗剤を入れて食中毒事件を引き起こしたのです。しかし、事実を知った安江は良人を責めることはせず、いたたまれなくなった良人はぬか漬けの壺を割って家を飛び出してしまったのです…。
…静香に励まされた良人は安江への償いを果たすため、安江のぬか漬けの味を再現しようと決意しました。良人は安江と繋がりのあった人々を頼ってぬかなどを取り寄せ、早速ぬか漬け作りを開始しましたが中々うまくいきませんでした。その一方、静香は病床の安江からある頼まれごとをされていました。
フードラック!食運の結末
良人はぬか漬けを蘇らせる作業の合間に静香と共に「川崎苑」で食事を採りました。そこに古山が現れ、二人が食べていた裏メニューに対し、そして昔ながらのやりかたを続ける「川崎苑」に対しても嫌味を言ってきました。良人と古山は再び意見をぶつけ合いましたが、良人の言葉に心を動かされた二郎が古山すらも拒み続けていた店の取材を受けると言い出しました。そして古山は自分がバカにしていた裏メニューのあまりの美味さに驚いてしまい、黙って店を立ち去りました。
良人は「ぬか漬け作りの答えを、あなたは全て言っていた」という小百合の言葉を受け、再びぬか漬け作りに精を出しました。そんな時、安江が危篤状態に陥ったとの知らせが舞い込みました。病院に駆け付けた良人は安江にこれまでのことを泣きながら謝り続けました。
やがて安江は亡くなり、良人は安江の葬式を営みました。その後、良人は静香に、美味しい食を多くの人々に届けたいという使命を全うした安江のように自分も“本当の言葉”で食を語るという使命を全うしたいという思いを語りました。静香は良人に、安江から託されたレコーダーを渡しました。そこには良人が生まれてきてくれたことへの感謝、そしてこれから良人が食べる全てのご飯が美味しくなるようにとの願いを込めた言葉が収められていました。
母の想いを受け止めた良人は、あのツギハギになった安江のぬか漬けの壺の中に長く漬け込まれていた1本のきゅうりを見つけました。そのきゅうりはまさしく母の味そのものであり、泣きながらきゅうりをかじった良人は遂にぬか漬けを蘇らせることに成功しました。そのぬか漬けを「美味しい」と言って食べてくれる静香を見ながら、良人は改めて“食”と母の愛情への想いを振り返りました。
そして良人はひとつの文章を綴りました。価格やブランドを問わずどのような肉でもあってもそこには料理人たちの“仕事”と”愛”が込められており、それらの肉が“神の肉”となり得るのは料理人たちの“神の技”があるからだ、と。
以上、映画「フード・ラック!食運」のあらすじと結末でした。
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