劇場霊の紹介:2015年日本映画。売れない女優の水樹沙羅は、気鋭の演出家が手掛ける舞台に出演することになり、心を躍らせます。ところが、稽古中に次々と怪現象が起こり始め・・・。「女優霊」「リング」の中田秀夫監督によるホラー作品。
監督:中田秀夫 出演者:島崎遥香(水樹沙羅)、足立梨花(野村香織)、高田里穂(篠原葵)、町田啓太(和泉浩司)、小市慢太郎(錦野豪太)ほか
映画「劇場霊」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「劇場霊」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
劇場霊の予告編 動画
映画「劇場霊」解説
この解説記事には映画「劇場霊」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
劇場霊のネタバレあらすじ:起・オーディション
ある嵐の夜。人形作家の児島敬一郎の2人の娘が、等身大の美しい人形に口から精気を奪われるようにして殺されてしまいます。児島は娘達と人形を見て愕然とし、「なぜだ・・・なぜなんだ」と人形を愛おしそうに触れてからバラバラに破壊し、火をつけようとしたところで警察が来ます。警察に連行されながら、「その人形がやったんだ!」と叫び続ける児島。20年後。女優の水樹沙羅は、共演者のセリフもしっかり覚えるほどに仕事熱心な女の子ですが、来る仕事はすぐに殺される役のB級ホラー作品ばかり。社長から、同じ事務所の売れっ子女優、篠原葵も受けるからあなたも受けてみたら?と勧められて、気鋭の演出家、錦野豪太の舞台「鮮血の呼び声」のオーディションを受けることにします。沙羅はオーディション会場で、同じホラー作品シリーズに出ていると言う野村香織と親しくなります。美しいオーラがある篠原葵はオーディション会場でも注目の的。沙羅は葵と組んで芝居をしますが、葵が途中でセリフを忘れてしまったため、そこでオーディションが終了になってしまいます。劇の演出として、主人公のエリザベートの分身のような存在の人形が置かれることになります。美術スタッフの井上エリコが児島がバラバラにしたあの人形の頭部を見つけ、その頭部に胴体を付けて使用することになります。沙羅はオーディションに合格して、農家の娘アンナ役を演じることになります。香織も農家の娘役に合格し、エリザベート役は葵が演じることに決まりました。劇場内で人形をぼんやりと見ながら「ちょうだい・・・ちょうだい」と呟くエリコ。稽古の初日、香織は台本を全部暗記している沙羅に驚きます。稽古中に葵がセリフを忘れてしまったため、沙羅がこっそりとセリフを教えて助け舟を出します。セリフが入っていないことを錦野に注意された葵は、稽古後に沙羅に八つ当たりして怒鳴り散らし、破れた衣装を沙羅に押し付けて帰ります。沙羅は破れた衣装を美術スタッフに届けに行く途中で、錦野と葵が意味深な雰囲気で一緒に帰るのを目撃します。エリコは夜遅くまで劇場に残って破れた衣装を縫い、そのまま眠ってしまいます。ふと目を覚まし、「ちょうだい・・・ちょうだい・・・」という声とともに何かが近づいて来る気配を感じます。
劇場霊のネタバレあらすじ:承・人形
翌日、エリコは、蝋人形のような異様な姿で亡くなっているのを発見されます。しかし、スタッフの死を気にも留めない様子で稽古を始める錦野。稽古中、人形の目が動いたのを見て驚いた葵は演技を止めます。錦野は「セリフを忘れたのなら素直におっしゃって下さいよ・・・あ、そうだ、今度セリフが飛んだら彼女に相談したらいいんじゃないですか?全部入ってらっしゃるようですから」と言い、沙羅の肩に触れます。稽古後、沙羅を降ろしてよ!とマネージャーに当たり散らした後、1人で泣く葵。すると、何かの気配を感じた葵が振り返ると、人形が立っていました。葵は恐怖の表情を浮かべますが、やがて人形の目を見て魅せられたかのように「ちょうだい・・・ちょうだい・・・」と呟き始めます。その直後、割れた鏡で手を切った痛みで我に返った葵は、人形を見て悲鳴を上げて逃げ出します。人形はギシギシと音を立てながらゆっくりと追いかけてきます。葵は屋上に逃げますが、人形に追いつかれて行き場を失い、落下してしまいます。その時ちょうど劇場から出てきた沙羅は、目の前に葵が落ちてきて驚きます。屋上を見ると、人形が見下ろしていました。屋上から落ちた葵は意識不明の重体になってしまいます。沙羅は刑事に葵のことを聞かれますが、呆然としながら「人形が・・・」としか答えられません。人形を見に行った沙羅は、人形の目を見て心を奪われそうになりますが、美術スタッフの和泉浩司が来て我に返ります。沙羅が人形が意思を持つことはあるのかと聞いてみると、和泉は「ないとは言えないかな。人形ってのは人の形をした入れ物みたいなもんだ。作り手の思い、持ち主の思い・・・いろんな思いがその入れ物の中に溜まっていく」と答えます。「この舞台、止めた方がいいんじゃないでしょうか・・・」と不安そうに人形を見る沙羅。次の日、錦野にこの舞台は止めた方がいいのではと言いかけた沙羅ですが、意識が戻らない葵の代役でエリザベート役に抜擢されてしまい、何も言えなくなってしまいます。香織は表向きは沙羅にお祝いの言葉を言うものの、表情が曇ります。主役としての稽古が始まりますが、稽古後に錦野に「やはりあなたは筋が良いですね。でもお芝居が真面目過ぎて面白みがありません」「女優として上を目指したいでしょう?」と体に触られながら迫られた沙羅は、咄嗟に錦野を突き飛ばしてしまいます。
劇場霊のネタバレあらすじ:転・人形の正体
錦野から腹いせのように厳しくされながらも、稽古に励む沙羅。ところが、人形がギョロリと睨んできたため、驚いた沙羅は小道具の剣で人形の顔を切りつけてしまいます。「人形が・・・」と呆然としている沙羅に苛立った錦野は、「主役はあなたには荷が重すぎましたか」などと嫌味を言って去ります。稽古後、人形の顔の傷を修繕している和泉に謝る沙羅。和泉は落ち込んでいる沙羅を励ましてから人形の頭部をテーブルに置き、工具を取りに行きます。沙羅が人形の前で一人で待っていると、人形の顔の傷から血が流れ出します。驚きながら見ていた沙羅ですが、また人形に心を奪われていき、微笑みながら人形の頭部に触れます。その瞬間、人形の記憶がフラッシュバックのように沙羅の脳内に入り込み、人形作家の児島敬一郎の娘が殺された晩の様子が目の前に現れます。人形の頭部は頬の傷から大量の血を流し続け、身体部分ものっそりと立ち上がって沙羅に襲い掛かって来ます。沙羅は人形の異変を見せるために香織達を呼んできますが、血は跡形もなく綺麗に消えていました。騒ぎを聞きつけて来た錦野に「これ人形じゃない!本当です。動いたんです」と必死に訴えますが、錦野は呆れながら沙羅をクビにし、「あなた方の中でエリザベートをやりたい人はいますか?」とみんなに問いかけます。「私にやらせて下さい」と力強く名乗り出たのは香織でした。このまま舞台を続けるのは危険だと感じた沙羅は、剣で人形を破壊しようとしますが、和泉が人形をかばって怪我をし、沙羅は取り押さえられてしまいます。いよいよ舞台の本番が迫り、香織が熱心に稽古をしている様子がテレビで紹介されます。沙羅がその番組を孤独に見ていると、和泉から電話がかかってきます。一人で人形のことを調べていたらしい和泉は、これから児島敬一郎に会いに行くと言います。沙羅も同行して児島の家に行き、人形のことを聞いてみると「娘達が死んだのは私のせいだ。私があんな人形を作ったせいで・・・」と言う児島。沙羅が飾ってある家族写真を見てみると、殺された二人の娘ともう一人別の女性が写っており、その女性はあの人形にそっくりです。その女性は長女でした。母親が亡くなってから妹二人の面倒をよく見ていた長女ですが、ある日、車で児島を迎えに行く途中で土砂崩れに遭い、亡くなってしまいます。長女の遺体が発見されたのはその3週間後でした。長女のむごい遺体を見て悲しんだ児島は、せめて綺麗な姿で送り出してやりたいと長女にそっくりな人形を作り、棺桶に入れたのでした。ところが、人形は葬式の前日に妹二人を殺害してしまいます。「羨ましかったのかもしれないな・・・。若くて健康な体、これからの人生、未来・・・欲しくて欲しくてたまらなかったのかもしれないな」と語る児島。老いることを恐れているエリザベートに似ていることに気付いた沙羅は、舞台を中止させるために急いで劇場に向かいます。
劇場霊の結末:公開ゲネプロ
沙羅は錦野に電話をかけて「舞台を中止してください!」と訴えますが、相手にされずに電話を切られてしまったため、刑事に電話をかけて助けを求めます。その頃、劇場ではマスコミを招待して公開ゲネプロ(通し稽古)が行われていました。香織が本番さながらにエリザベートを演じていると、人形が睨みつけてきたためハッとします。やがて、人形を見て魂を奪われたようになり、「ちょうだい・・・ちょうだい・・・」と呟きながら人形に近付きます。その時、沙羅が入って来て舞台に上がり、「ダメーッ!離れて!人形から離れて!」と叫びながら香織を人形から引き離します。沙羅の行動で公開ゲネプロが中止になってしまい、錦野は刑事に「早くあのバカ女を逮捕してくださいよ」と激怒します。沙羅も香織から「いい加減にしてよ。ひどいよ。やっとこのドレスを着れたのに・・・」と責められ、何も言えなくなってしまいます。和泉はこっそり人形を持ち出してガソリンを撒いて火をつけようとしますが、隙をつかれて襲われてしまいます。舞台上で錦野がまだ刑事相手に文句を言い続けていると、突然、照明が不具合を起こして点滅し、劇場が暗くなり始めます。刑事が舞台袖にある配電盤を見に行くと、人形に襲われたらしい警官が倒れこんできます。みんなで驚いて救急車を呼ぼうとしますが、今度は舞台女優の一人が人形に首をがっしりと掴まれ、口から精気を奪われてしまいます。見る見るうちに蝋人形のような姿になっていくのを見て全員パニックになり、悲鳴を上げながら逃げ出します。人形は何人もの精気を吸ったからか人間になりかけており、ギコギコと不気味な早足で歩いて刑事にも襲い掛かります。沙羅も必死に逃げようとしますが、どの扉も開かなくなっていて外に出ることができません。意識を取り戻した和泉と一緒に出口を探していると、防犯カメラに階段付近で座り込んでいる香織と人形の影が映っているのを発見します。沙羅が館内放送のマイクで「香織ちゃん逃げて!」と危険を知らせますが、香織は人形に襲われて精気を吸われてしまいます。香織は人形に精気を吸われながら、「沙羅ちゃん、ごめんね。私、沙羅ちゃんがいなくなれば主役になれるかもって・・・」と言い残して亡くなります。香織の精気を吸った人形の顔が剥がれ落ちていきますが、顔の中はすでに人間の肉になりつつありました。人形は錦野も殺害し、沙羅と和泉を狙って追いかけてきます。沙羅と和泉は舞台上に逃げますが、人形は執拗に「ちょうだい・・・ちょうだい・・・」と言いながら襲ってきます。沙羅は舞台装置の鉄製の拷問籠の中に逃げますが、人形は籠の周りをぐるぐると歩いて沙羅を襲おうとします。和泉がロープを引っ張って籠を天井に引き上げると、今度は人形は和泉を襲おうとします。その時、籠の床が抜けて沙羅は人形の上に落下します。人形は沙羅の足を掴んで「ちょうだい・・・ちょうだい・・・」と襲い掛かってきます。怯えながら必死に逃げようとする沙羅。すると、和泉がロープから手を放し、鉄製の籠を人形の上に落下させます。人形は籠の下敷きになって動けなくなりながらも、「ちょうだい!」沙羅に手を伸ばしてきます。沙羅は「ちょうだいちょうだいって、あげないんだからっ!!」と叫び、拷問籠から外れた大きな鉄の針を人形の顔に突き刺します。返り血を浴びて血だらけになる沙羅。人形は息絶え、気を失って倒れた沙羅を和泉が支えます。一年後、沙羅は、映画「明日、晴れたら・・・」の主演に抜擢され、順調に仕事をこなしていました。河原で映画の撮影をしている沙羅を血走った眼でジッと見つめている人形。沙羅は異様な視線を感じたのか不安そうな表情を浮かべますが、また、しっかりと前を見据えて撮影を続けるのでした。
以上、映画劇場霊のあらすじと結末でした。
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