ハラがコレなんでの紹介:2011年日本映画。『自分のことより、他人のこと』周りのみんなを元気にする、“粋”な妊婦ヒーローの誕生!妊娠9か月のシングルマザーが人々を救っていく姿をコメディタッチで描いた人情ドラマです。
監督:石井裕也 出演:仲里依紗(原光子)、中村蒼(児玉陽一)、稲川実代子(清)、並樹史朗(原芳隆)、竹内都子(原早苗)、大野百花(原光子 / 小学生)、鈴木励和(齋藤水生)、近藤芳正(斉藤)、螢雪次朗(加藤)、斉藤慶子(ママ)、石橋凌(児玉次郎)、ほか
映画「ハラがコレなんで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハラがコレなんで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「ハラがコレなんで」の予告編 動画
映画「ハラがコレなんで」解説
この解説記事には映画「ハラがコレなんで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「ハラがコレなんで」のネタバレあらすじ:起・妊婦 原光子
妊娠9か月に入った原光子は、パチンコ屋をしている両親(原芳隆、原早苗)には、カリフォルニアにいると嘘をつき、実は日本で生きていました。お腹の子の父であるアメリカ人には捨てられ、アパートで独り暮らしをしていましたが、粋に生きることがモットーの光子は、全く落ち込んではいませんでした。
人見知りも物怖じもせず竹を割ったような性格で、少々強引な所がある光子は、アパートを引き払いました。「いい風が吹いていない時は昼寝が一番」「焦ったり、慌てたり、しみったれた顔してるのは粋じゃない」「大丈夫。風向きが変わったら、その時、ドーンといけばいいんだから」リストラされて落ち込む男(斉藤)になけなしの小銭を恵むと、公園のベンチで光子はドーンと昼寝しました。「ほら、風向き変わった。よし!行くかな」目を覚ました光子は突然、立ち上がって歩き出しました。空に浮かぶ雲を追い、風の吹くままに移動を開始しました。そして、光子はかつて住んでいた長屋へと辿り着きました。
そこはベテランのタクシー運転手も知らない場所でした。「錆びれたな~ここも」「なんで帰ってきた?」「とりあえずお金借りるわ」15年ぶりに長屋に住む清と会った光子は、高齢な清からタクシー代を借りました。そして、光子はある錆びれた定食屋へ入りました。旨いが全く客がいないこの店は、子供の頃プロポーズされた幼馴染の児玉陽一と彼の叔父・児玉次郎が経営する定食屋でした。
「ハラがコレなんで」のネタバレあらすじ:承・粋な生き方
バブルがはじけた15年前、光子の家族は夜逃げ同然でこの長屋へやって来ました。長屋の床下には戦時中の不発弾がまだ眠っており、まさに時代に取り残された長屋でした。そんな長屋を当時仕切っていたのは大家の清でした。「金がねえ人間に残されてるのは、人情と意地だけだからな!」江戸っ子気質の清の方針で、時代に取り残された長屋の住民たちは喧嘩をしながらも、とにかく互いに助け合って生活していました。そんな住人たちに光子たちは大歓迎し、迎え入れられたのでした。
そして今、長屋のほとんどは蛻の殻となっていました。大家の清も高齢のため、ほとんど床に就いていました。根無し草の浮雲のような子供だった光子の人生は、そのほとんどが流れで決まっていました。江戸っ子気質の清の多大な影響で、粋か粋でないかが、光子の生きる指針となりました。再び彼女は清の長屋に居候させもらいながら、ここで出産することにしました。
実は、陽一と叔父の次郎も同じ長屋の住人でした。陽一も清の影響を受け、自然と子供の頃から江戸っ子気質の粋な生き方を真似ていました。寡黙で不器用ですが心の優しい次郎は、喫茶店のママに恋をしていましたが、とにかく奥手でなかなか告白できないでいました。そんな二人は仕事が終わると、毎日交代で清の介護をしていたのでした。
「粋だね~。あんた!なんか困ったことあったら何でも言ってね!」「困ってるのはお前だろ。全部やる。それから、子供の面倒は俺がみる。詳しいことはわかんないけど、俺はお前に好きだと言ったから…」「粋だね!好きだなんて言葉、雹より軽い時代にね!」陽一の貯金通帳を見た光子は続けました。「はあ~!これじゃメダカの面倒さえみれないよ!そりゃそうだよね!店汚いし、定員不愛想だし。OK!私があの店、面倒みる!大丈夫だから!みんなたいへんだ!よし!今日はもう雨だから寝よう!」漢らしい陽一の心意気に猛烈に感動した光子は、さっさと清の布団に潜り込みました。
「ハラがコレなんで」のネタバレあらすじ:転・しっかりしなきゃ
「今までも、これからも私の人生に安定期なんてないんですよ」翌日、光子はお腹の子の定期検診へ行き、医師に呟きました。そして光子は定食屋へ行きました。無言で光子は店を出ると、一人、また一人と客を連れ込み始めました。陽一と次郎は唖然としました。こうして1日目が終わりました。
こうして光子が働くようになり、なぜか定食屋は大繁盛し始めました。光子はお客の人生相談をひたすら聞き、ただ励ましていました。粋がモットーの光子は、勝手に困っているお客には奢りで食べさせました。「全員奢りで!」「おお~!」陽一と次郎はただ呆然とするしかありませんでした。ただ、そんな光子を頼りにして、時代に取り残され落ちぶれたお客たちが、今度は長屋に入り始めました。「子供のため子供のためって、大人が粋じゃなかったら、子供だってそんな世の中に生まれてきたいって思うわけないでしょ。大人がしっかりしなきゃ」身重の体をおし、光子は不調に堪えながらも、空き部屋を掃除しました。
そんな光子を心配し、結婚して子供の面倒をみたいと思っていた陽一は、この機にプロポーズしようとしました。「ダメだ!とにかく昼寝しよう。あんた、今、キスしようとしたでしょ。人間ってのはね。キスする前にやるべきことがあるでしょ。もっと分別の意識を持たないと」陽一は軽くあしらわれてしまいました。そんな陽一の気がかりは叔父・次郎のことでした。陽一を引き取り、自分のことは後回しに男手一つで育て上げてきた叔父に、陽一はこれ以上ない恩義を感じていました。「俺だけが結婚するわけにはいかない…」「でもあんたは結婚したいんでしょ。OK」何を思ったか、光子はむくっと起き上がり、陽一の結婚相手を探しに行こうとしました。
その頃、喫茶店のママが店を畳み、実家に帰る日が近づいていました。陽一の叔父・次郎はずっとママに想いを抱き続けていました。そんな想いを察して、ママはずっと待っているのですが、昔気質の次郎はプロポーズをしてくれませんでした。「おいちゃんも粋じゃないねえ!」光子はそんな次郎に苛立ちを隠せないでいました。
「ハラがコレなんで」の結末:一人じゃない
光子は陽一と共に喫茶店のママに会い行きました。次郎とママの未だ進展のない関係を聞いた光子は突然、ママの実家へ帰ろうと言い始めました。「お母さんが粋じゃないと、この子も産まれてきたいって思わないもんね。OK。レッツゴー」光子は、必死で辞めさせようとする陽一やママを強引に連れ、急遽、車で出発しました。途中、陣痛が光子を襲います。「病院に行って」「そんなの粋じゃない。たいていのことは大丈夫」光子はさらにアクセルを踏みました。
その頃、経営不振でパチンコ屋を畳んだ光子の両親が、長屋へ戻って来ました。そこへ、光子たちがママを連れて現れました。「おじちゃん!行くよ!」「なんでお前がここにいるんだ?アメリカじゃなかったのか?」「あんた、妊娠してるんじゃないの?」「粋じゃない。風に聞いてごらん」「おじちゃん、ここに残って後悔していいの?」「俺はここで…」「すぐに病院に…」「おばちゃん、立って。おばちゃんが元気になれば」「あたしゃ、立てねえんだよ」「わかった!俺がママさんと結婚する!」「あ~?バカ!光子ちゃんはどうなんの!」「ママさんと…あたしの気持ちまでかき乱して」「光子!どういうことだ!もしかして、この子…こいつの子か!」「俺の大切な甥っ子に、こいつとはなんだ!俺は絶対結婚しないぞ」「次郎さん~」それぞれ言いたい事を言い出し、大混乱になりました。「わかった。一旦、昼寝しよう」光子は叫び、昼寝を始めました。みんなも促され、横になりました。
その時、突如、大爆発が起きました。東京大空襲時の不発弾が爆発したのでした。あまりの驚愕で、歩けなかった清が立ち上がりました。「風向き変わった~!」みんなを連れて、光子はママの実家へと車を走らせました。
一行はママの実家に到着しました。次郎はついに決意し、ママにプロポーズしました。しかし、ママは直ぐに返事をくれませんでした。落ち込む次郎の視界に、外で苦しむ光子の姿が飛び込んで来ました。外の空気を吸うと言って出た光子が、産気づいたのでした。光子の両親とママしか出産経験はありませんでした。大慌ての中、次郎はママに返事を求めました。「遅いんだよ!プロポーズが!OKに決まってるでしょ!このバカたれが!」次郎はホッと胸をなでおろしました。
苦しみながら光子は、外でこのまま出産するつもりでいました。「俺に全部任せりゃいい!俺がお前を守ってやる!」「あんた、たいへんなんだね。あたしがあんたを守ってあげる」「え!?」「大丈夫!心配しないで。一人じゃない。なにもかも大丈夫」光子は陽一に支えながら、出産したのでした。
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