犬部!の紹介:2021年日本映画。青森県十和田市にある北里大学獣医学部に実在したサークル「犬部」(現・北里しっぽの会)を題材にした片野ゆかのノンフィクション『北里大学獣医学部 犬部!』を基に映画化した作品です。行き場をなくした犬や猫を保護して新しい飼い主を探す活動に携わった学生たちの姿を、過去と現在の2部構成で描きます。
監督:篠原哲雄 出演者:林遣都(花井颯太)、中川大志(柴崎涼介)、大原櫻子(佐備川よしみ)、浅香航大(秋田智彦)、田辺桃子(川瀬美香)、安藤玉恵(深沢さと子)、しゅはまはるみ(中越真利子)、坂東龍汰(田原優作)、田中麗奈(門脇光子)、酒向芳(秋田秀作)、蛍雪次朗(久米尚之)、岩松了(安室源二郎)ほか
映画「犬部!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「犬部!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
犬部!の予告編 動画
映画「犬部!」解説
この解説記事には映画「犬部!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
犬部!のネタバレあらすじ:起
2003年、初夏の青森県十和田市。十和田獣医科大学・獣医学部に通う22歳の花井颯太(林遣都)は一人暮らしをしている安アパートに保護した犬や猫をたくさん飼っていました。颯太は毎日、講義を終えるとすぐに帰宅し、犬の“花子”たちの世話をしていました。
同じアパートの住民である佐備川よしみ(大原櫻子)は大の猫好きでしたが、颯太があまりにもたくさんの犬や猫を飼っており、更に新たな犬を保護しているのには呆れていました。
そんなある時、颯太の元に親友の柴崎涼介(中川大志)がやってきました。柴崎もまた颯太同様に犬好きです。颯太と柴崎は保護したばかりの犬の1匹の表情が乏しいことに目をつけ、“ニコ”と名付けました。
颯太と柴崎は飼い主を探したところ、“ニコ”は元々殺処分される予定だった犬で、大学に引き取られて“実習”に使われる予定だったものの研究室から脱走したことが判明しました。やがて担当教授の安室源二郎(岩松了)と生徒の秋田智彦(浅香航大)が“ニコ”を引き取りに訪れ、颯太はやむなく“ニコ”を引き渡しました。
ところが数日後、颯太に呼び出された柴崎がアパートに行ってみると、なんとまたもや脱走した“ニコ”の姿がありました。さすがの安室教授も「特例」として“ニコ”を颯太に譲ることにし、颯太はこのことをきっかけに犬を保護するためのサークル「犬部」を立ち上げました。
「犬部」には柴崎やよしみ、智彦がメンバーとして加わり、颯太たちは動物たちが幸せに暮らせる社会をつくるべく犬や猫の保護、里親譲渡会の開催など様々な活動を繰り広げていきました。やがて“ニコ”は新たな飼い主に引き取られていきました―――。
犬部!のネタバレあらすじ:承
―――時は流れて2019年。38歳になった颯太は東京で「花井動物病院」を営みながら、動物の保護活動を続けていました。同僚の看護師・深沢さと子(安藤玉恵)は時には無償で野良猫の不妊去勢手術を引き受ける颯太のことを心配していましたが、颯太の動物への想いは大学時代から全く変わっていませんでした。
智彦は父・秀作(酒向芳)の営む「秋田アニマルクリニック」で働いていましたが、秀作は動物保護活動には理解を示そうとはしませんでした。よしみは後輩で恋人の田原優作(坂東龍汰)と共に大学でFIP(ネコ伝染性腹膜炎)のワクチン開発の研究をしていました。
そんなある日、颯太の元に川瀬美香(田辺桃子)という少女がやってきました。颯太は美香に連れられ、久米尚之(蛍雪次朗)という人物が経営しているペットショップ「ドリーム」へ向かいました・・・。
・・・智彦やよしみはテレビのニュースで颯太が逮捕されたと聞き、急いで颯太の元に駆け付けました。颯太が訪れた「ドリーム」はたくさんの犬たちが劣悪な環境で放置された状態であり、見かねた颯太は無理やり犬たちを引き取ろうとした末に家宅侵入・器物損壊・窃盗の容疑をかけられたというのです。よしみは大学時代と全く変わらぬ颯太の犬バカぶりに驚愕しながらも嬉しく思いました。
颯太は釈放されるなり再び久米の元を訪れましたが門前払いされてしまいました。ネット上には颯太に対する多数の誹謗中傷が寄せられ、病院にも颯太を中傷する張り紙が貼られました。それでも決してめげない颯太は自分が大学に入って間もない頃のことを振り返りました―――。
―――2000年の春、颯太が大学に入ったばかりの頃。颯太は動物管理センターの見学に行った際、犬たちが無残にも殺処分されていく現実に心を痛め、1匹でも引き取って救いたいと決心しました。交渉の結果、成犬の譲渡は叶いませんでしたが子犬だけは引き取ることができました。
その際、颯太は同じ思いを抱く柴崎と知り合い、意気投合しました。颯太は“花子”を引き取り、柴崎は引き取った子犬に“太郎”と名付けました。この時から柴崎は将来動物管理センターに就職して犬たちの殺処分を止めようと決心していました。
獣医になるためには、動物管理センターから引き取った殺処分予定の犬を使った外科実習が必須でしたが、実習に疑問を抱く颯太は安室教授に掛け合い、実習の代わりにレポートで単位を取りたいと申し出ました。颯太は獣医の現場を見学させてもらい、懸命にレポートを書き上げて安室教授を納得させることに成功しましたが、颯太ほど食い下がる気のない柴崎は素直に外科実習を受け入れました―――。
犬部!のネタバレあらすじ:転
―――2019年。颯太は久米の犬たちを救いたい一心でドッグフードを差し入れに上がりました。颯太の真摯な姿にようやく久米も心を開き、颯太に事情を語り始めました。
久米の家には年老いた犬“エルサ”がおり、ショップ内の犬とは違って大切に飼われていました。元々エルサは動物好きだった久米の亡き妻が飼い始めたものであり、エルサが出産した子犬を売ったことがきっかけで「ドリーム」を開いたのです。しかし、妻に先立たれてから久米はすっかり情熱を失ってしまい、エルサ以外の犬を放置してしまっていたのです。
久米から事情を聞いた颯太はよしみや智彦に協力を求め、久米の犬たちの避妊去勢手術をすることにしました。そんな颯太の脳裏によぎったのは、「犬部」として活動していた大学時代の日々でした―――。
―――大学時代、颯太や「犬部」の仲間たちは試行錯誤を続けていました。そんなある寒い日、柴崎は体調不良を起こし、部屋の暖房用の灯油を調達しようと外に出たところで倒れてしまいました。翌朝、異変に気付いた颯太が救急車を呼びましたが、救急隊員は一晩寒い外に放置されていたはずの柴崎が凍死せず生きていることを不思議がりました。実は柴崎の異変に気付いた犬たちが駆け寄り、懸命に柴崎に寄り添って身体を温めていたのです。
やがて颯太たちは大学卒業を迎えました。颯太は柴崎に一緒に動物病院を経営しようと誘いましたが、柴崎は動物管理センターに就職して内部から変えてみせるという意思に変わりはありませんでした。その後、颯太は動物病院を立ち上げ、柴崎は動物管理センターに就職したのですが、この時からなぜか柴崎とは一切の連絡が取れなくなりました―――。
―――2019年。颯太は意を決して動物管理センターを訪れましたが、そこには柴崎の姿はありませんでした。応対した職員・門脇光子(田中麗奈)の話によると、柴崎の働きによって動物の殺処分は以前の3割程度にまで減少させることには成功しましたが、それでも完全になくなったわけではありませんでした。
精神的に疲れ果てた柴崎は殺処分用の薬剤を自らに打とうとして自殺を図り、門脇に止められたのですが、2年前にセンターを辞めてしまっていたのです。続いて颯太は柴崎の実家を訪れましたが、柴崎に会うことはできませんでした。
犬部!の結末
颯太は久米の犬たちの里親を募るための譲渡会を開催する決意を固め、智彦とよしみにも協力を求めました。美香が颯太の避妊去勢手術の様子をSNSにアップしてくれたことで世間も颯太への誤解を解き、颯太の動物病院には支援物資が寄せられるようになりました。
そんな時、「犬部」の資料に目を通していた颯太はあることに気付きました。実は美香は颯太が大学時代に催した「犬部」の譲渡会で犬を引き取った里親だったのです。当時まだ幼かった美香は不登校に陥っており、見かねた両親が犬を飼おうと決心したのです。美香は“六郎”という犬を引き取り、それからというもの“六郎”が一番の親友となりました。
やがて美香は学校に通うようになり、“六郎”と一緒に成長していきましたが、美香が高校生になった頃に“六郎”は他界しました。美香は部活の合宿に行っていたために“六郎”の最期を看取ることができなかったことを非常に後悔しており、新たな犬を飼おうと考えていました。そんな時に「ドリーム」の惨状を知り、颯太を頼ったのです。
颯太は“花子”を連れて再び柴崎の実家を訪れました。柴崎はすっかり引き籠り生活を送っていましたが、“花子”の姿を見るなり心を開きました。柴崎が引き取った“太郎”は3年前に他界していましたが、柴崎は颯太や“花子”との再会を喜びました。
柴崎は颯太たちが開催した犬の譲渡会に姿を見せ、智彦やよしみとも再会を果たしました。この日の譲渡会では久米の犬のうち14匹が新たな里親に引き取られていきました。美香は颯太に“六郎”を看取れなかった時の悔しい思いを打ち明け、“エルサ”を譲り受けたいと申し出ました。“エルサ”は高齢ですっかり身体も弱っていましたが、美香は今度こそきちんと向き合いたいと決心していました。
その後、智彦の説得により秀作も犬や猫の保護活動に携わるようになりました。仲間たちの奮闘に勇気をもらった柴崎は動物管理センターに戻る決意を固め、「やり方は違っても目指すところは同じ」と颯太と意思を確認し合いました。
以上、映画「犬部!」のあらすじと結末でした。
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