ハチとパルマの物語の紹介:2021年日本,ロシア映画。1974年から1976年にかけて、モスクワ国際空港で飼い主を待ち続けた忠犬パルマの実話をモチーフにした日本・ロシア共同製作によるヒューマンドラマです。母を亡くしたことで心を閉ざした主人公の少年がパルマを元の飼い主のに戻すべく奮闘する姿を描きます。日本公開バージョンの現代パートではフィギュアスケーターのアリーナ・ザギトワも本人役で出演、主人公の現代の姿を演じたアレクサンドル・ドモガロフの息子アレクサンドル・ドモガロフ・ジュニアがメガホンを執っています。
監督:アレクサンドル・ドモガロフ・ジュニア 出演:レオニド・バーソフ(ニコライ・コーリャ・ラザレフ)、ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ(ヴャチェスラフ・スラーヴァ・ラザレフ)、ヴァレリア・フョドロビチ(ニーナ)、ヴィクトル・イリン(チホノフ)、アレクサンドル・ドモガロフ(ニコライ・コーリャ・ラザレフ(現代))、リリヤ(パルマ/アルマ)、渡辺裕之(豊田武)、藤田朋子(豊田ゆめ)、アナスタシア(アナスタシア・ラザレフ)、壇蜜(秋田犬の里館長)、山本修夢(ジャーナリスト)、高松潤(秋田犬会館館長)、阿部純子(秋田犬会館スタッフ)、堂珍嘉邦(秋田犬会館事務局長)、アリーナ・ザギトワ(本人)ほか
映画「ハチとパルマの物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハチとパルマの物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハチとパルマの物語の予告編 動画
映画「ハチとパルマの物語」解説
この解説記事には映画「ハチとパルマの物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハチとパルマの物語のネタバレあらすじ:起
現代。秋田県大館市で「秋田犬の里」のオープニングセレモニーが開かれていました。セレモニーには大舘市長のスピーチに加え、秋田犬保存会から秋田犬マサルを贈呈されたロシアのフィギュアスケーターのアリーナ・ザギトワ(本人)もメッセージを寄せました。
セレモニーにはロシアの空港で働く初老の男性ニコライ・ラザレフ、通称コーリャ(アレクサンドル・ドモガロフ)も招かれました、孫娘のアナスタシア(アナスタシア)を伴って来日したコーリャは式典でスピーチを行いました。
コーリャは少年時代にパルマという名の犬を飼っており、パルマのエピソードはロシアにおける“忠犬ハチ公”の伝説として語り継がれていました。コーリャはアナスタシアのために犬を飼うことにしており、旅のついでに秋田犬を譲り受けようと考えていました―――。
―――ロシアがまだソ連だった時代の1977年。プラハへの転勤が決まったイゴール・ポリスキー(ヤン・ツァトニック)はジャーマンシェパードの愛犬アルマ(リリヤ)を連れてモスクワ・ヴヌーコヴォ国際空港に来ていました。搭乗手続きを終えたイゴールはアルマをゲージに入れて搭乗機のIL-18旅客機に乗ろうとしましたが、キャビンアテンダントのニーナ(ヴァレリア・フョドロビチ)から犬の証明書の提示を求められました。
しかし、イゴールは証明書を紛失しており、たまたま空港にいた獣医に証明書の発行を要求しましたが、獣医はアルマが中耳炎を患っていることを理由に証明書発行を断ってしまいました。
困り果てたイゴールはニーナに頼んでこっそり乗せてもらおうと考えましたが、厳格な空港管理人が現れたために断念せざるを得ませんでした。困り果てたイゴールは駐機場で赤いボールを投げてアルマに取りに行かせ、自分はその隙に搭乗機に乗り込みました。アルマがボールを咥えた時には、既にイゴールを乗せた機は空港から飛び立っていました。
警備員たちは滑走路にいるアルマを捕らえようとしました。アルマはその場から逃げ出し、飛行機整備士のチホノフ(ヴィクトル・イリン)の元に逃げ込みました。チホノフは特に悪さをすることもないアルマを放っておくことにしました。
ハチとパルマの物語のネタバレあらすじ:承
当時9歳だった少年時代のコーリャ(レオニド・バーソフ)は、父のヴャチェスラフ・ラザレフ(ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ)が貴重を務めるIL-18機でモスクワに向かっていました。
コーリャは故郷で母と暮らしていたのですが、母の死によりラザレフに引き取られることになったのです。仕事優先のラザレフは家庭を顧みることはほとんどなく、コーリャは父に対して疎外感を抱いていました。
コーリャの乗る機には、ルィスコ(ウラジーミル・シモノフ)というVIP客が乗っており、アンナを通じてラザレフに慎重に着陸するよう注文してきました。ラザレフはムッとしながらも着陸態勢に入りましたが、上空のエンジン音を聞き付けたアルマは、てっきりイゴールが乗っているものだと勘違いしたのか滑走路に飛び出してしまいました。機内は激しく揺れ、ラザレフは着陸のやり直しを余儀なくされました。
空港の警備員たちはアルマを捕らえ、駐機場とターミナルビルを結ぶ連絡バスの中に押し込みました。ちょうど機を降りていたコーリャはアルマは殺されてしまうものだと思い、バスに忍び込んでアルマを逃がしました。チホノフはコーリャとアルマを庇い、「この子は犬が人間の友だと分かっているのだ」と警備員たちを説き伏せました。
機を降りたラザレフは空港責任者のジュリナ(エヴゲーニヤ・ドミトリエワ)に呼び出され、ルィスコからクレームが入ったことで注意を受けました。国際線のパイロットに内定しているラザレフは来月にも国際線デビューすることになっており、何としてもトラブルを起こすわけにはいかなかったのです。
コーリャはラザレフの家で寝泊まりすることになりましたが、夜中に家を飛び出すと空港に向かい、故郷行きの航空券を買おうとしました。しかし、未成年者は保護者同伴でないと航空券を買えない決まりになっており、コーリャは滑走路に忍び込んで飛行機の車輪の中に潜り込みました。
ところが、コーリャの気配に気付いたアルマが吠え出し、コーリャはあえなく見つかってしまいました。チホノフはコーリャにこのまま車輪に隠れていたら凍え死んでいたところだったと忠告し、コーリャはアルマに命を救われたのだと語りました。
ハチとパルマの物語のネタバレあらすじ:転
相変わらずラザレフと打ち解けないままのコーリャは度々チホノフの作業場に顔を出すようになりました。チホノフの娘であるニーナは老いた父を気遣っていました。チホノフとニーナはアルマがIL-18機が離着陸する度に滑走路に出て乗客の中に飼い主がいないか確認していることに気付きました。
飼い主に心当たりのあるニーナはこの犬の名前をはっきりと覚えておらず、“アルマ”か“パルマ”のどちらかだと思っていました。そのことを知ったコーリャは、その日からアルマのことを“パルマ”と呼ぶようになりました。
コーリャはニーナから聞いた情報を手がかりにし、パルマを元の飼い主に返してあげようと思いつきました。同じ頃、パルマは空港内を警備員らに追いかけ回されており、手荷物検査場に逃げ込んでいました。見かねた航空券売り場の女性がコーリャとパルマをこっそりと裏口から逃がし、その際にコーリャにプラハにいる飼い主イゴールの住所を教えてくれました。
コーリャがチホノフの傍でイゴールへの手紙を書いていると、そこにラザレフが現れてコーリャを連れ帰ろうとしました。チホノフとニーナは「自分がコーリャの立場なら、あなたから逃げる」とコーリャを庇いましたが、パルマは警備員たちに捕まって保健所に連れていかれてしまいました。
ラザレフと共に帰宅したコーリャでしたが、どうしてもパルマのことが気になるコーリャは雨の中に飛び出していきましたが、ラザレフが車で追いつき、「一緒に迎えにいこう」と声をかけました。
コーリャとラザレフが保健所に着くと、パルマは他の犬たちと共に脱走していました。パルマは滑走路に戻って来ると確信したコーリャは滑走路で待っていると、コーリャの読み通りにパルマが戻ってきました。この日の出来事をきっかけに、コーリャとラザレフは少しずつ心を開くようになっていきました。
パルマの件はマスコミに取り上げられ、コーリャもマスコミの取材に応じました。パルマのニュースは世界中を駆け回り、空港にはパルマを一目見ようと多くの人が詰めかけました。パルマの話を聞き付けたルィスコはその美談を自らのイメージアップに利用しようと考えました。
ある日、空港に1匹の秋田犬を連れた日本人ジャーナリスト(山本修夢)が降り立ちました。日本人男性はパルマのことを知っており、コーリャに忠犬ハチ公の写真を見せ、ハチは秋田犬であることを教えました。日本にもパルマのような犬がいることを知ったコーリャは改めてパルマを元の飼い主に帰そうと心に誓いました。
ハチとパルマの物語の結末
この頃になると、コーリャはラザレフと完全に打ち解け合っていました。ラザレフはコーリャを通じてニーナに想いを寄せるようになり、コーリャはラザレフにニーナと再婚すべきだと勧めました。
パルマの飼い主探しは難航していました。日が経つにつれ、パルマは体調を崩して次第に衰弱していきました。獣医から不整脈があると診断されたパルマに、コーリャは「うちで一緒に暮らそう」と呼びかけましたが、パルマは応じようとはしませんでした。滑走路の隅に犬小屋が作られ、コーリャは可能な限りパルマに寄り添い続けました。
パルマの体調が回復した頃、ルィスコの差し金によりパルマの元の飼い主であるイゴールの居場所が見つかりました。ルィスコのお膳立てによりイゴールのソ連への帰国が決定し、マスコミの前でイゴールとパルマが対面するというお涙頂戴の一大イベントを演出することとなりました。そしてイゴールの乗る飛行機の機長を務めるのは、このフライトが国際線デビューとなるラザレフでした。
ラザレフはパルマとの別れを惜しむコーリャに「愛しているからこそ手放すんだ」と諭しました。コーリャもパルマがこの2年もの間ずっとイゴールを待ち続けてきたことを思い、パルマを送り出すことにしました。
イゴールはマスコミの注目するなか、2年ぶりにパルマと再会を果たしました。パルマはイゴールのことを覚えていましたが、いざ飛行機に乗ろうとするとパルマは必死に抵抗して乗ろうとはしませんでした。実はイゴールはソ連共産党から圧力がかかっており、パルマを連れ帰らなければ職も党員証も取り上げると脅されていたのです。
焦るイゴールでしたが、ラザレフは突然このフライトを中止すると言い出し、飛行機のエンジンを止めました。ニーナも犬の証明書がなければ乗せることはできないと告げました。事情を理解したイゴールはパルマの首輪を外すと、「この犬は私の犬じゃない。私の勘違いだった。私の犬はアルマであり、パルマではない」とパルマを解き放ちました。パルマはコーリャの元へと駆け込んでいきました―――。
―――そして現在。コーリャとアナスタシアは秋田犬の飼育を手掛ける豊田武(渡辺裕之)と妻のゆめ(藤田朋子)の元を訪れました。アナスタシアは豊田夫妻から生後間もない秋田犬を譲り受け、「私のパルマ」と呼びかけました。コーリャはその光景を見ながら、かつてパルマと一緒に過ごした日々を思い出していました。
以上、映画「ハチとパルマの物語」のあらすじと結末でした。
犬って表情豊かだなぁって改めて感じました。
ワンコの演技に泣きました。
キャストにワンコの名前も欲しい所です。