キネマの神様の紹介:2021年日本映画。小説家・原田マハが2008年に発表し、2018年に舞台化された同名小説を本作が監督作品89作目となる山田洋次のメガホンにより映画化された作品です。松竹映画100周年記念作品であり、ダブル主演となる沢田研二と菅田将暉が主人公を二人一役で演じ、映画作りに青春を捧げた一人の男の一代記が周囲の人間模様と共に描かれていきます。
監督:山田洋次 出演者:沢田研二(円山郷直 / ゴウ)、菅田将暉(円山郷直(青年期)ゴウ)、永野芽郁(淑子(青年期))、野田洋次郎(寺林新太郎(青年期)テラシン)、リリー・フランキー(出水宏)、前田旺志郎(円山勇太)、志尊淳(水川)、松尾貴史(森田)、広岡由里子(淑子の母)、北山雅康(借金取立人)、原田泰造(家族の会主催者)、片桐はいり(常連の女性客)、迫田孝也(岡村)、松野太紀(授賞式の司会者)、曾我廼家寛太郎(撮影所の守衛)、今井翼(木村)、前田航基(照明助手)、北川景子(桂園子)、寺島しのぶ(円山歩)、小林稔侍(寺林新太郎 / テラシン)、宮本信子(円山淑子)、ほか
映画「キネマの神様」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キネマの神様」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
キネマの神様の予告編 動画
映画「キネマの神様」解説
この解説記事には映画「キネマの神様」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キネマの神様のネタバレあらすじ:起
現代。
出版社に勤める円山歩(寺島しのぶ)の元に借金取り(北山雅康)からの電話がかかってきました。歩の父“ゴウ”こと郷直(沢田研二)、御年80歳がギャンブルと酒で作った多額の借金であり、ゴウの妻で歩の母である淑子(宮本信子)に内緒で借りた金でした。
歩は自分の有り金で借金取りを追い払い、淑子と相談してギャンブル依存症の相談会に参加しました。歩と淑子はゴウの通帳とキャッシュカードを没収し、ギャンブルを禁止しました。
居場所を失ったゴウは淑子がパートとして働いている映画館「テアトル銀幕」に向かい、経営者で旧友でもある“テラシン”こと寺山新太郎(小林稔侍)から今度リバイバル上映する予定のとある映画のフィルムチェック試写に誘われました。
映画をこよなく愛するゴウは週に3度「テアトル銀幕」に通い詰めており、いつもテラシンが空けてくれている特等席でテラシンが選んだ映画に見入っていました。そんなゴウが思わず見入ったのは、かつての銀幕スター・桂園子(北川景子)が主演した1本の映画でした…。
キネマの神様のネタバレあらすじ:承
…50年前。
若き日のゴウ(菅田将暉)は映画監督になることを夢見て松竹撮影所の門を叩いた映画青年でした。ゴウは映写技師だった若き日のテラシン(野田洋次郎)と酒を酌み交わし、いつか自分にしか撮れない映画を作ると息巻いていました。テラシンもまた自らの映画館を持つという夢を抱いていました。
この頃のゴウは映画界の巨匠と名高い出水宏監督(リリー・フランキー)のもとで助監督として働き、当時の大スターだった園子に可愛がってもらっていました。
ゴウが当時の映画人たちと共によく入り浸っていたのは撮影所近くの食堂「ふな喜」でした。園子もまた「ふな喜」の常連であり、出水監督は園子を前に自分が撮りたい映画の構想を自ら実演してみせ、ゴウはそれを紙に書き留めていきました。
「ふな喜」の看板娘は若かりし頃の淑子(永野芽郁)でした。淑子はいつしかゴウに想いを寄せるようになっていたのですが、仕事と趣味のギャンブルに明け暮れるゴウはなかなか淑子の気持ちに気付くことはありませんでした。
そんなある日、伊豆半島でロケをすることになりました。ゴウはテラシンと淑子も伊豆に誘い、オフの日は園子の運転する車でドライブを楽しみました。そしてテラシンは思わず淑子に一目惚れしてしまいました。
テラシンから相談を受けたゴウはラブレターを書くことを勧めましたが、テラシンからラブレターを受け取った淑子は困惑してしまいました。この頃からゴウは自ら撮りたい映画の構想を練り始めていました。
キネマの神様のネタバレあらすじ:転
ある雨の夜。淑子はゴウに想いを打ち明け、テラシンへの断りの返事をゴウから伝えてほしいと頼んできました。ゴウもまた淑子に想いを寄せており、二人は初めてキスを交わしました。
そしてそんなある日、ゴウの努力が遂に実を結ぼうとしていました。ゴウが書き上げた脚本「キネマの神様」がゴウ自身の初監督作品として製作が決定したのです。
ところが、撮影開始当日になってゴウは極度の緊張からお腹を下してトイレに籠ってしまい、おまけにカメラアングルを巡ってカメラマンの森田(松尾貴史)と口論となり、その拍子に椅子から落ちて怪我をしてしまいました。
すっかり自信を失ったゴウは監督を降板し、映画も製作中止となりました。松竹を去る決意をしたゴウはテラシンから淑子はどうするのかと詰め寄られ、思わず「お前に譲るよ」と言ってしまいました。この言葉にテラシンは激怒、二人の友情にも亀裂が入ってしまいました。
ゴウは故郷に帰ることにし、淑子もゴウの後を追って食堂を去っていきました…。
キネマの神様の結末
…そして現代。
すっかりお蔵入りになっていた「キネマの神様」の台本。歩の息子でゴウの孫である勇太(前田旺志郎)はこの台本を見て感銘を受け、ゴウにこの台本を現代風にリメイクして映画賞に応募してみてはと持ちかけました。
最初は乗り気ではなかったゴウでしたが、一度は失いかけた映画への情熱と賞金100万円に興味を示して引き受けることにしました。それからというもの、ゴウは勇太と共に脚本のリメイクに乗り出しました。
数日後、ゴウと勇太の書き上げた脚本が日本映画界の栄誉ある賞「木戸賞」を受賞しました。ゴウはテラシンと喜びを分かち合い、「テアトル銀幕」で祝賀会を催しました。元々体調の良くなかったゴウが病に倒れたのはそれから程なくしてのことでした。
木戸賞の授賞式には歩が代理で出席し、淑子と勇太は会場でそれを見守っていました。歩はゴウが書いたスピーチを読み上げ、ゴウの家族への感謝の言葉に思わず涙を流しました。病床のゴウは見舞いに訪れたテラシンに電話をつなげてもらい、授賞式の様子に耳を傾けていました。
体調が更に悪化したゴウは家族に頼んで「テアトル銀幕」に連れていってもらいました。テラシンは新型コロナウイルス禍の影響を受けて「テアトル銀幕」を畳む決心をしていましたが、ゴウは賞金の一部をテラシンに渡して営業を続けるよう説得しました。
この日上映されていたのは園子の主演映画でした。園子はスクリーンの向こうからゴウに語り掛け、これから撮影が始まるとばかりにゴウを導きました。淑子と歩、勇太がスクリーンを見つめるなか、ゴウは静かに息を引き取りました。
以上、映画「キネマの神様」のあらすじと結末でした。
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