こはくの紹介:2018年日本映画。サザンオールスターズのプロモーションビデオなどを手掛けてきた横尾初喜監督の自身2作目となる長編作品は、監督の幼少期の実体験を基にしており、監督の故郷・長崎を舞台に幼い頃別れた父を探して歩く兄弟を描きます。本作ではお笑い芸人のアキラ100%が本名の大橋彰として井浦新演じる主人公の兄を、横尾監督の妻である遠藤久美子が主人公の妻を、2019年11月に惜しくも他界した木内みどりが主人公兄弟の母を演じています。
監督:横尾初喜 出演者:井浦新(広中亮太)、大橋彰(広中章一)、遠藤久美子(広中友里恵)、嶋田久作(佐久本)、塩田みう(宮本優希)、寿大聡(越野啓介)、鶴田真由(小形晃子)、石倉三郎(宮本哲郎)、鶴見辰吾(三田崇之)、木内みどり(広中元子)ほか
映画「こはく」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「こはく」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
こはくの予告編 動画
映画「こはく」解説
この解説記事には映画「こはく」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
こはくのネタバレあらすじ:起
長崎県に住む広中亮太(井浦新)は今35歳。幼い頃に別れた父から借金と共に受け継いだガラス細工会社を受け継ぎ、今や何とか経営を立て直しつつありました。私生活では父と同じように最初の妻とは離婚、彼女との間に生まれた二人の息子とはずっと会えないでいました。そんな時、現在の妻である友里恵(遠藤久美子)が妊娠していることがわかり、亮太はほとんど記憶のない父のことを思いながら喜びと不安で揺れ動いていました。
そんなある日、亮太の元に兄の章一(大橋彰)から電話があり、亮太は章一が母・元子(木内みどり)と暮らす実家へ戻りました。定職に就かずいつもぶらぶらと過ごしており、虚言癖からいつもいい加減なことばかり言っていた章一がいつになく真剣に自分たちと別れた父への怒りを口にし、そして何と父を街中で見かけたと言い出しました。章一の真剣さに衝撃を受けた亮太は一緒に父を探そうと思い立ちますが、章一は聞き込みの際に行きずりの女をナンパしたりするなど全く協力しようとはしませんでした。
こはくのネタバレあらすじ:承
亮太は父の代から会社の工房で働くベテランガラス職人の宮本哲郎(石倉三郎)に、思い切って父が何もかも捨てていなくなった理由を尋ねてみました。宮本は本当のことは誰にもわからないとしながらも、父が姿を消した時と同じ時期にこの会社に勤めていた小形晃子(鶴田真由)という女性がいなくなったということを打ち明けました。
父がいなくなった理由は晃子が関係しているのではないかと考えた亮太と章一は元子に内緒で晃子が住んでいたというアパートを探し当て、訪ねてみましたが既に彼女は転居してしまっていました。中々父に関する手がかりが掴めないことに焦燥感を覚え始めていた亮太は、元子に父と別れた理由を問い質しましたが、元子は未だに父について話すのを嫌がっており、理由について語ることはありませんでした。
晃子の住んでいたアパートのある一帯はかつて兄弟が住んでいた地域でもあり、兄弟は少しずつ忘れかけていた子供時代の記憶を取り戻していきました。両親が別れることになったあの日、兄弟は父か母かどちらについていくか選択を迫られ、母と答えた時の父の寂しそうな表情が脳裏に蘇りました。そして亮太はもう父探しを諦めようとしていたその時、元子は病に倒れてしまいました。
こはくのネタバレあらすじ:転
脳腫瘍と診断された元子は、見舞いに訪れた兄弟に初めて父のことを語りました。「お父さんは優しすぎたとよ…」兄弟は母の姿に胸を痛めました。それから間もなく、友里恵は男の赤ん坊を出産しました。
そんな時、章一は亮太に父に関する新たな情報が入ったと言い出しました。しかし、章一のこれまでの発言に疑問を抱いていた亮太は真相を確かめたところ、章一の持ってきた情報は全て嘘だったことが発覚しました。亮太は怒りのあまり章一を責め立て、兄弟の仲は嫌悪に陥りかけましたが、章一は父がいなくなったことで長い間孤独を抱えて苦しんでいた胸中を明かしました。兄弟は元子がかつて「人は孤独よ」と言っていたことを思い出していました。
それから数ヶ月後、元子は息を引き取りました。元子の葬儀の日、亮太は参列者の中に晃子がいることを知り、章一と共に彼女を探し出しました。
こはくの結末
亮太と章一に対面した晃子は重い口を開き始めました。父は晃子の父が借金を抱え、彼女の母が倒れた際に父の借金の保証人を買って出て晃子の家族を助けてくれていたのです。晃子は自分が兄弟の家庭を壊してしまったことに自責の念を抱き続けており、兄弟に父の今の居場所を教えました。
兄弟の父・三田崇之(鶴見辰吾)は漁村の修理工場で一生懸命に働いていました。自分の元を訪ねて来た兄弟に崇之は一目で気が付き、元子の死を伝えられると兄弟を真正面から抱きしめました。亮太と章一は父の胸の中で涙を流し、これまでのわだかまりはいつしか消え去っていきました。
それから程なくして、亮太は友里恵と赤ん坊を連れて章一の待つ実家を訪れました。兄弟の表情は澄み渡った空のように晴れやかでした。
以上、映画「こはく」のあらすじと結末でした。
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