映画「言の葉の庭」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
言の葉の庭の紹介：2013年日本映画。靴職人を夢見る高校生・孝雄と孤独感に苛まれ心を病んだ女性教師・雪野。雨の日には庭園で靴を描いている孝雄と雨の日には庭園に行き時間を過ごす雪野。梅雨の間、偶然に会うようになった二人はお互いのことを知り、どんどん好きになる。『秒速5センチメートル』や『星を追う子ども』の新海誠が原作・監督・脚本を手掛けたアニメーション作品。現代の東京、男子高校生と、生きることに不器用な年上女性との淡い恋物語を描く。シーンのほとんどが雨の日で、その描写も繊細で美しく、46分と短いですが、見応えのある映画となっています。
監督：新海誠 声優：入野自由（秋月孝雄（タカオ））、花澤香菜（雪野由香里（ユキノ））、平野文（タカオの母）、前田剛（タカオの兄）、寺崎裕香（タカオの兄の彼女）、ほか
この解説記事には映画「言の葉の庭」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「こういう事を…俺は知らなかった。…だから、空の匂いを連れてきてくれる雨は好きだ」と秋月孝雄は思いました。季節は6月、ある雨の日、孝雄はいつものように学校の1限目をさぼり、新宿御苑に行きました。屋根のあるいつもの休憩場所に行くと、昼間からチョコレートをつまみにビールを飲んでいる女性・雪野百香里と出会いました。靴職人となる夢を持っていた孝雄は、いつものようにベンチに座り、ノートに靴のデザイン画を描いていました。孝雄は雪野をどこかで見たことがあるような気がしていました。孝雄は思い切って「どこかでお会いしましたっけ」と尋ねました。雪野は「いいえ」と答えました。いっこうに止む気配のない雨の中、黙々と孝雄はデザイン画を描き続けました。孝雄が着ていたベストの高校の校章を見た雪野は、突然、「会ってるかも…」と呟きました。そして、雪野は万葉集の短歌「雷神（なるかみ）の少し響（とよ）みて、さし曇り、雨も降らぬか、君を留めむ」と言い残して、孝雄のもとから静かに去って行きました。
その夜、自宅に帰った孝雄は、いつものように夕食を作っていました。孝雄は、母（秋月怜美）と兄（秋月翔太）と３人で暮らしていました。しかし、昨夜、兄がこの家を出て彼女と住むと母に言ったところ、母も自分の彼氏と住むと言い出し、置手紙をして家出してしまいました。夕食後、いつものように孝雄は、部屋で靴作りに没頭していました。孝雄は昼間、雪野が言い残した短歌の言葉を所々書き留めた紙を、兄に見せて尋ねました。しかし、兄の返答は「知るわけないだろ」でした。
翌朝、天気は晴れでした。孝雄はいつものように学校へ行きました。孝雄は朝、雨の日は午前中だけ学校をさぼり新宿御苑へ、晴れた朝の日はきちんと学校へ登校するというのが、お決まりのパターンでした。しかし、孝雄は「こんなことをしている場合じゃない」といつも思っていました。
ある雨の日、孝雄はいつものように新宿御苑へ行きました。すると、また雪野がベンチでビールを飲んでいました。孝雄はいつものように、ノートにデザイン画を描き始めました。孝雄が密かに雪野の脚をスケッチしていると、雪野が「学校はお休み？」と問いかけてきました。孝雄は逆に雪野に「会社は休みですか？」と問うと、「またさぼっちゃった」と雪野は答えました。孝雄はお酒だけ飲む雪野を見て、何か食べないと体に悪いと言いました。すると、雪野はカバンから大量のチョコレートを出して、孝雄に見せてきました。驚く孝雄に、雪野は「いいの、どうせ人間なんて、みんなちょっとずつおかしいんだから」と言いました。お昼になり学校に行こうとする孝雄に、雪野は「また会うかもね。もしかしたら雨が降ったら」と言いました。孝雄は学校へと向かいました。その日は、関東の梅雨入りの日でした。その日から、孝雄と雪野の雨の日の午前中だけの交流が始まりました。
そんなある雨の日、孝雄は自分が靴職人になるのが夢で、「靴の形を考えたり、作ったりするのが好きなんです。…できることならそれを仕事にしたい」と雪野に打ち明けました。孝雄は初めて他人に自分の夢を語りました。いつの間にか孝雄は、朝、雨が降っていることを祈るようになっていました。晴れの日には、孝雄は自分がひどく子供染みた場所にいるようで、ただ焦りました。孝雄は、仕事や社会という世界で生きている雪野の世界が、ひどく遠く感じていました。孝雄には、それはまるで、世界の秘密そのものみたいに彼女が見えました。ただ孝雄は、自分が雪野にとってはただのガキだという事、そして、靴を作る事だけが自分を違う場所に連れて行ってくれるはずだという事だけは確信していました。
ある雨の日、雪野は会社に向かう電車に乗れず、新宿御苑へと向かいました。いつもの場所に行くと、孝雄がいました。雪野は孝雄が描いているデザイン画を、少しのぞきました。すると孝雄はひどく恥ずかしがり、直ぐにノートを閉じました。その日、孝雄は持参した弁当を雪野に食べないかと誘いました。すると、雪野も弁当を作ってきていると広げました。孝雄は「おかず交換しましょう」と言い、雪野のおかずをつまみ食いしました。ところが、これがまずかったのですが、孝雄は、「これはこれで旨いですよ。歯ごたえがあって」と褒めました。料理に自信のない雪野は「バカにしてるでしょう」と言い、２人は笑いました。弁当を食べた後、孝雄はつい眠ってしまいました。そんな孝雄に、雪野はそっと問いかけました。「ねえ、私、まだ大丈夫なのかな…」と…。
その日、自宅に帰った雪野は、昔の恋人（伊藤宗一郎）に電話をしました。雪野は「その人のお弁当、味がするの。…ちょっと前まではチョコレートとアルコールしか味がしなかったから」と告げました。実は雪野は、仕事のストレスが原因なのか、味覚障害に陥っていました。元彼は別れた後でも、雪野の事を気遣ってくれていました。しかし雪野は、息をするのも辛かったあの頃、誰も自分の事を信じてくれていなかった事を思い出していました。電話を切った後、雪野は「あれ以来、私、嘘ばっかりだ」と呟き、落ち込みました。そんな雪野の机には、「ハンドメイド・シューズの本」がありました。
７月に入ったある雨の日、雪野は、孝雄にお弁当のお礼にと、「ハンドメイド・シューズの本」をプレゼントしました。孝雄は、自分が今作っている女性の靴を、雪野の為に作ることに決めました。孝雄が雪野にお願いすると、雪野は静かに美しい脚を孝雄に伸ばしました。孝雄は雪野の足のサイズや形を丹念に丁寧に確かめました。すると、雪野は「私ね…うまく歩けなくなちゃったの、いつの間にか…」と孝雄に囁きました。孝雄は、自分が雪野の事をまだ何も知らなかったことに気づきました。「仕事も、歳も、抱えた悩みも、名前さえも、しかし、孝雄はどうしようもなく雪野に惹かれていきました。
そして、梅雨が明けました。晴れの日ばかりで、雪野と孝雄は暫く会わなくなっていました。雪野も孝雄も互いに会いたい想いを募らせていました。しかし、その口実となる雨の日が来ませんでした。雪野は１人、新宿御苑のいつもの場所で孝雄を待ちましたが、彼は来ませんでした。夏休みに入った孝雄は、靴の専門学校に行く為の学費や靴作りの材料費などを貯める為、ほとんど毎日、バイトを入れていました。孝雄は雪野からガキだと思われたくない気持ちから、雪野がたくさん歩きたくなるような靴を作ると決心して、靴を作っていました。雪野は１人思いました。「27歳の私は、15歳の頃の私より、ずっと賢くない。私ばっかり、ずっと同じ場所にいる」と。
夏休みが明けた９月、新学期になったある日、孝雄は同級生と話しながら学校の職員室の前を通っていると、偶然、雪野と出会いました。実は、雪野は孝雄の高校の古典の教師でした。しかし、雪野は学校を辞めるという噂がたっていました。孝雄は全く知りませんでした。雪野は根も葉もないデタラメな噂話を流され、逆恨みされ3年生のクラス全員から嫌がらせを受け、その上、親にまでデタラメな噂話を流されて、学校に来られなくなるまで追い詰められていたのでした。雪野の味方の生徒たちが、他の教師にも相談しましたが、学校も大事にしたくないので、相手にしてもらえなかったという事でした。その話を聞いた孝雄は、雪野に嫌がらせをした先輩女子（相沢）のもとに行き、彼女の頬を思いっきり叩きました。すると、彼女の味方の先輩男子が逆上し、孝雄を殴り飛ばしました。孝雄はその日、大喧嘩しました。
そしてある日、ふと「雨を待っている」と感じた孝雄は、ばんそこうだらけの顔面ながらも、いつもの新宿御苑の場所に向かいました。すると雪野が池の前でじっと何かを眺めていました。雪野は、孝雄の顔を見て驚きました。孝雄は雪野の傍に行き、雪野が言った万葉集の返し歌「雷神（なるかみ）の、少し響みて降らずとも、我は留らむ、妹し留めば」を詠いました。それを聞いた雪野は、「そう、それが正解。私が最初に君に言った歌の返し歌」と答えました。それは「雨が降ったら君はここにとどまってくれるだろうか」という歌に対して、「雨なんか降らなくてもここにいるよ」という意味でした。雪野は孝雄に「古典の教師だって気づいてもらえるかなって思ったんだけどな。それに私、学校中の人に知られてると思ってたから。でも、君は違う世界ばかり見てたのね」と言いました。雪野は孝雄の顔のケガについて尋ねると、孝雄は冗談を言い、雪野を驚かせました。孝雄は直ぐに「嘘です。ケンカぐらいしますよ」と、本当の事を答えました。するとその時、突然、雷鳴がとどろき、激しく雨が降り始めました。2人は慌てて、屋根のあるいつものベンチへと向かいました。そこで2人は雨宿りしましたが、あまりにも雨が激しく、ずぶぬれになってしまいました。2人は雪野のマンションに行きました。
雪野は塗れた服を乾かして、孝雄は料理を振舞いました。2人は互いに「今まで生きてきて、今が一番、幸せかもしれない…」と思いました。孝雄は雪野に「好きなんだと思う」と告白しました。雪野は嬉しそうに、頬を赤くし、「雪野さんじゃなくて、先生でしょ…」と言いました。雪野は来週、四国の実家に帰省する事を孝雄に告げました。それはずっと前から決めていた事でした。雪野は「私はね、あの場所で一人出歩けるようになる練習をしてたの、靴がなくても…。だから…、今までありがとう秋月くん…」と孝雄に告げました。その言葉を聞いた孝雄は、まだ乾ききっていない服に着替えて、雪野の部屋を出て行ってしまいました。
1人になった雪野は、しばらく、孝雄と共に過ごしたあの新宿御苑での出来事を思い出して泣きました。雪野は孝雄から返された歌を思い出しました。「雷神（なるかみ）の、少し響みて降らずとも、我は留らむ、妹し留めば」。雪野は裸足のまま、部屋を飛び出して孝雄を追いかけました。すると、マンションの階段の所で、降る雨を眺めている孝雄がいました。雪野は孝雄のもとへ駆け寄りました。孝雄は雪野に「さっきのは忘れてください。やっぱり、あなたの事、嫌いです。…あんたが教師だって知ってたら、靴の事なんか喋らなかった。…俺が何かに、誰かに憧れたって、叶いっこないって、あんたは最初から分かってたんだ！…あんたは一生ずっとそうやって、大事なことは絶対に言わないで、自分は関係ないって顔して、ずっと一人で生きていくんだ！」と泣きながら、叫びました。雪野は、泣きながら孝雄に抱きつきました。雪野は泣きながら「ちゃんと学校に行こうとしてたの。でも怖くって、どうしても行けなくて…。あの場所で私…、あなたに救われてたの…」と叫びました。2人は固く強く抱きしめ合いました。2人を祝福するかのように、雨が降る中、美しい虹がかかっていました。（♪主題歌「Rain」が静かに流れます♪）
季節は移り、夏が終わり、冬になりました。ある雪の日、孝雄は雪で真っ白に染まった新宿御苑のいつもの場所に行きました。孝雄は、四国で教師として復帰している雪野からの手紙を読んでいました。孝雄は、ついに出来上がった雪野の為に作った靴を置きました。いつも雪野が座っていた場所に。そして、こう思いました。「歩く練習をしていたのは、きっと俺も同じだと、今は思う。いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら、会いに行こう」と…。
以上、映画「言の葉の庭」のあらすじと結末でした。
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素直に心が洗われる話でした。
雨の日にだけ逢えるもどかしさに、昔の恋を思い出してしまいました。
小池義勝君、お元気ですか？
アニメでしかできない映像と、アニメなのに実写みたいな映像を同時に楽しめました。
実写では出来ないシーン、例えば電車の線路からのアングルなどはさすがアニメならではだなと楽しめますし、公園のシーンでは光の具合が実写のような感じで、これも楽しめます。
クライマックスは秦基博の主題歌に全てを持っていかれるような印象もありますが、1時間未満の作品とは感じないような見ごたえがありました。