ほしのこえの紹介:2002年日本映画。新海監督作品の原点。少年と少女の間に横たわる否応ない時間と空間を、思春期と言う一つの変わり目にある二人はどう乗り越えるのか。
監督:新海誠 声の出演:篠原美香(長峰美加子/オリジナル版)、新海誠(ノボル/オリジナル版)、武藤寿美(長峰美加子/声優版)、鈴木千尋(ノボル/声優版)、
映画「ほしのこえ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ほしのこえ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ほしのこえの予告編 動画
映画「ほしのこえ」解説
この解説記事には映画「ほしのこえ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「ほしのこえ」のネタバレあらすじ:世界は携帯電話の電波の届く範囲
「世界」は携帯電話の電波の届く範囲だと思っていた。そう語る彼女は今、地球ではなく宇宙に浮かぶロボットに乗っていた。美加子と昇が中学三年生の夏、地球外生命体が火星に達し、国連はそれに対処するために選抜メンバーで国連軍を編成していた。普通の中学生の昇が高校に進学したら何をするか話していると、美加子は空を飛ぶトレーサーを見ながらあれに乗るのだと、語った。成績もよく運動神経もよかった美加子は選抜メンバーとして火星でロボットに乗る演習をする日々の中、昇に携帯電話でメールを送った。火星からのメールにはタイムラグがあり、木星まで来ると届くかわからないと思いながらも昇にメールを打った。
「ほしのこえ」のネタバレあらすじ:メールの届く時間と二人の距離
昇はメールのタイムラグに、20世紀のエアメールのようなものだから大丈夫だと、美加子に返した。しかし、メールのやり取りは美加子が地球から離れるほど時間がかかるようになった。美加子は選ばれて宇宙へ来た事を誇らしく思っている反面、本当のところは何も見つからず地球に帰ることができればいいと思っていた。その矢先、冥王星の外側で敵と遭遇し戦闘した彼女は、母艦のワープでさらに遠くへ行った。そんなことも知らない昇は、美加子からのメール待っては携帯電話を確認した。地球とのタイムラグが一年になった頃、艦内に地球へ連絡のある者は済ませておくようにとアナウンスが流れた。それはこれから長距離ワープを使うためで、完了以降はメールが届くまでに八年かかるからだった。美加子は昇に忘れられることの恐怖を知り、これからはメールが届くのに八年と七か月かかることを謝り、まるで宇宙と地上に引き裂かれた恋人みたいだと送った。
「ほしのこえ」のネタバレあらすじ:大人になっていく昇と、学生のままの美加子
昇は美香子との時間がずれていくのを感じ、目標を立てた。それは心を固く冷たくし、一人でも大人になることだった。シリウスまで来た美加子は、そこに形成された銀河系の惑星に降り立った。その名はアガルタと言い、限りなく地球と似ているその場所には草木があり、動物が住み、遺跡があった。そこでは地球と同じように雨も降り、美加子はバス停で登ると雨宿りをしたことを思い出した。そして、彼女が届くように願いながら「好きだよ」と打つと、やっとここまで来たねと、美加子の顔をした何者かが彼女の前に浮かんでいた。託したいというそれに、美加子はただ昇に好きだと伝えたいだけだとうなだれた。その奇妙な彼女の写しのような者はアガルタに出現した敵で、美加子はそのまま戦闘に入った。
「ほしのこえ」の結末:八年かけて届いたシリウスからのメール
大人になった昇の部屋の片隅にある新聞に、シリウスでの戦闘のことが載っている。勝利の見出しはあるものの、下は小見出しで被害が甚大だと記載されていた。彼は念願が叶って艦隊勤務になった。そこへ、八年前、美加子が打ったメールがやっと届いた。それは二行だけでその後はノイズだけになっていた。美加子も昇もそれぞれに、些細な日常を思い出し、それを二人で感じたいと思っていた。二人のモノローグは同じことを願っているのに、時間も場所も違っていた。けれど、思いが時間や距離を超えることがあるかもしれない。「ここにいるよ」という一行で物語は終わる。
以上、映画「ほしのこえ」のあらすじと結末でした。
「ほしのこえ」のレビュー・解説:新海監督の原点
この作品には2016年製作の「君の名は」に至るまで、監督の作品の根底に流れる要素のほぼすべてが凝縮されていると言ってもいい。それは子供から思春期を通り大人へと変化していく人物。彼らを否応なく襲うのは想う人との距離。その「距離」というものを新海監督はこの星の声でいくつかの方法で表現している。はじめは地球と宇宙という物理的な距離。そして、メールが届くまでに時間がかかることで生じる時間的な距離。そして、昇が待つことを止めることで生じる心理的な距離。これらは同監督の他作品にも大いに反映されている。
しかし新海監督はこの距離や時間のずれに対して、何か打開策を模索しているように、この作品では感じられる。美加子と昇の回帰する場所として二人の思い出の存在があるからに違いないと思う。
新海誠監督作品のネタバレあらすじ一覧
「ほしのこえ」のネタバレあらすじ(2002年)
「雲のむこう、約束の場所」のネタバレあらすじ(2004年)
「秒速5センチメートル」のネタバレあらすじ(2007年)
「星を追う子ども」のネタバレあらすじ(2011年)
「言の葉の庭」のネタバレあらすじ(2013年)
「君の名は。」のネタバレあらすじ(2016年)
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