空母いぶきの紹介:2019年日本映画。「沈黙の艦隊」などで知られる漫画家かわぐちかいじが現在連載中の「空母いぶき」。2017年に小学館漫画賞を受賞した本作が満を持して映画化された。監督は「ホワイトアウト」「沈まぬ太陽」など重厚な大作に定評のある若松節朗。また企画には、「亡国のイージス」「終戦のローレライ」などで数々の受賞歴のある作家、福井晴敏が名を連ねる。空自出身<いぶき>艦長秋津は西島秀俊、海自出身の副長新波に佐々木蔵之介。防衛大同期で主席、次席の対照的な二人をリアルに演じ、映画に説得力を与えている。
監督:若松節朗 原作・監修:かわぐちかいじ キャスト: 西島秀俊(秋津竜太:<いぶき>艦長)、佐々木蔵之介(新波歳也:<いぶき>副長)、藤竜也(涌井継治:群司令)、戸次重幸(淵上晋:第92飛行群群司令)、市原隼人(迫水洋平:アルバトロス隊隊長)、玉木宏(瀬戸斉昭:<はつゆき>艦長)、高嶋政宏(滝隆信:<はやしお>艦長)、山内圭哉(浮船武彦:<いそかぜ>艦長)、佐藤浩市(垂水慶一郎:内閣総理大臣)、益岡徹(石渡俊通:官房長官)、本田翼(本多裕子:ネットニュース記者)、中井貴一(中野啓一:コンビニエンスストア店長)ほか
映画「空母いぶき」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「空母いぶき」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
空母いぶきの予告編 動画
映画「空母いぶき」解説
この解説記事には映画「空母いぶき」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
空母いぶきのネタバレあらすじ:起
12月23日 3:15
沖ノ鳥島西方450キロ、波留間群島の初島付近に国籍不明の20隻の船団が現われ、巡視船<くろしお>の乗組員を拘束して初島に上陸したとの一報が入りました。
すぐに垂水総理大臣や石渡官房長官、外務大臣や防衛大臣などが招集され、小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群「航空機搭載型護衛艦<いぶき>、護衛艦<あしたか>、<いそかぜ>、<はつゆき>、<しらゆき>、潜水艦<はやしお>」を向かわせたと報告がありました。
このときたまたま<いぶき>には、マスコミ100社を代表して2社の記者が取材のために乗り込んでいました。「海上警備行動」に入った<いぶき>は敵“東亜連邦”の撃ったミサイルでいきなり被弾、戦闘機を上げるためのリフトが故障してしまいました。記者は部屋で待機するよう言われ、取材どころではありません。
敵は戦闘機ミグ60機を搭載した空母<グルシャ>で向かってきており、その前には潜水艦が先行しています。こちらも潜水艦<はやしお>を先行させ対潜ミサイルを準備しますが、結局相手は撃ってこず、<いぶき>の真下を通過していきました。
そんななか群司令の涌井が倒れ、指揮権が艦長の秋津に委譲されました。
12月23日 10:35
<いぶき>がロックオンされ、慌ただしくなった政府内ではついに、総理の垂水が史上初の「防衛出動」を命じました。
二時間後。
露、米、英、仏の潜水艦が様子を伺うなか、敵のミグ5機の発進が確認されました。4機が撃ったミサイルは<あしたか>が迎撃しましたが、残りの1機は超低空飛行で迫り、ミサイル2発を撃ってきました。秋津の命令により、ミサイル2発とミグ1機は撃墜されましたが、自衛隊史上初めてのことに皆うつむいています。そして副長の新波は敵のパイロットの捜索を指示します。「死なせてはいけない」と。
しかし生存は確認できませんでした。
空母いぶきのネタバレあらすじ:承
12月23日 17:20
敵の潜水艦が魚雷を撃ってきました。<はつゆき>が迎撃しますが1本はずしてしまい、それが<いぶき>に向かってきます。<はつゆき>は<いぶき>の前に艦を進め、自らその魚雷を受けて<いぶき>を守りました。しかしその代償は大きく、自衛隊初となる2名の死者と多数の重傷者をだしてしまいました。
潜水艦<はやしお>は、敵に次の魚雷を撃たせないよう相手に体当たりしていきます。魚雷で攻撃すれば、敵の乗組員の命を奪うことになるからです。見事相手を無力化した<はやしお>は自らも損傷し、緊急浮上して戦線を離脱していきました。
<いぶき>では、ただならぬ状況に思い切って甲板に飛び出した記者の本多が、燃えさかる<はつゆき>を目の当たりにし、呆然としながらもカメラを回します。衛星携帯を使ってその映像を送ると、ネットニュースが配信され、国内はあっという間に「戦争か?」と騒ぎに…。コンビニエンスストアには商品を買いだめする人で大行列ができてしまいました。
12月23日 22:50
この状況を受け、垂水総理は記者会見を開き、「これは戦争ではない。自衛のための戦闘だ」と説明するのでした。
一方、<いぶき>の前には駆逐艦2隻が現われました。戦闘機が使えない今、この2隻を何とか無力化しなければなりません。ハープーン対艦ミサイルを使えば、敵600名の命を奪ってしまう、と副長の新波は反対します。秋津艦長が「<いそかぜ>の主砲ならどうか」と提案し、見事<いそかぜ>の浮船艦長の働きで沈めることなく2隻の無力化に成功しました。
そのころ政府には、国連安保理が開かれるとの連絡が入り、外務大臣やアジア大洋州局局長沢崎らが根回しのため各国と電話会談をおこなっていました。垂水総理は、「おれたちがかじ取りを間違えちゃ絶対にダメだ」と事態収束への決意を語りました。
空母いぶきのネタバレあらすじ:転
12月24日 0:20
ミグ10機が30分ほどで到達するという連絡が入りました。<いぶき>から、アルバトロス隊5機が発進、「向こうが撃つまで撃つな」「1機も失うな。迷ったら撃て」と空自パイロット出身の秋津艦長は言います。
順調に4機撃墜するも多勢に無勢、無理せず隊は<いぶき>に戻ろうとしますが、柿沼の機体がロックオンされてしまいます。複数のミサイルをすべて自分に引きつけて、柿沼機は海面に急降下。ミサイルを海へ落とそうとしますが、柿沼は意識がもうろうとしてしまいます。隊長迫水の呼びかけに、柿沼はなんとか機体からの脱出に成功しました。海面で、大切な妻子の写真をつかみ柿沼は無事救助されました。
しかし<いぶき>の甲板で、敵パイロットと共に担架で運ばれる際、敵がスキをついて銃を奪い、取り返そうともみあいになった柿沼は撃たれてその場で亡くなってしまいます。
「生きてたのに!」 そう言って敵に銃を向ける隊員を制し、秋津艦長は敵パイロットに英語でやさしく話しかけます。その様子を本多たちは撮影していました。
12月24日 4:15
敵空母からミグ24機が飛び立ったとの報せが…。アルバトロス隊は整備中で飛べないので、スパロー隊、ピジョン隊が出撃することになりました。
すると今度は潜水艦から魚雷が発射されました。<はやしお>がいない今、護衛艦<あしたか>が迎撃しますが2本撃ちもらし、<いぶき>に当たる直前になんとか爆破することができましたが、その破片が甲板に散らばり戦闘機が飛び立てなくなってしまいました。いち早く飛び立っていたのは、自ら志願したアルバトロス隊隊長の迫水機1機のみ。艦長の秋津は迫水に、敵空母に超低空で近づき、せめて後続機が飛べないよう甲板に穴をあけてくるよう指示するのでした。
空母いぶきの結末
数で勝る東亜連邦に対し、<はつゆき>救助のため<しらゆき>が離脱し満身創痍の第5護衛隊群。
敵空母と<いぶき>の間にはいつのまにか5隻の潜水艦が…。それが一斉に魚雷を発射してきました。それは<いぶき>にも、敵の<グルシャ>にも向かい、そして自爆しました。実は5隻はアメリカなど主要国および国連軍の潜水艦で、「これ以上の戦闘拡大は国連として許さない」と伝えてきました。政府の働きかけで国連が動いたのでした。
東亜連邦は初島から撤退し、<くろしお>乗組員も無事解放されたようです。
実は、記者の本多と田中が、秋津艦長が敵のパイロットを守った場面を撮影し、その動画を全世界に発信していたのでした。またたく間に全世界の人が事実を共有し、国連を動かす一助になったようです。
五分五分の決着で痛み分けとなった今回の事案。総理の垂水は、「大国が小国を追いつめてはいけない」「おれたちが守るのは人々のささやかな日常だ」と官房長官の石渡に話すのでした。そして「もう3年(総理を)やってもいいか?」とも。
<いぶき>では艦長の秋津が副長の新波に、初島で待つ<くろしお>乗組員のためにあたたかい握り飯とみそ汁を用意するよう指示していました。そしていつもは一人で食事をとる秋津が、食堂で皆と朝食を食べながら話しをしたい、と伝えるのでした。
以上、映画「空母いぶき」のあらすじと結末でした。
「空母いぶき」感想・レビュー
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原作から離れて逆にリアリティーに欠けてしまった。緊迫感のないただの映画。出演者の選択もよくない。セリフも十分に練られていない。これではハリウッドには到底及ばない。
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原作に思い入れがある人からすれば、突っ込みどころ満載。しかし、普通に見るとこういうことに疎い人にはインパクトはあると思う。原作も読んだけども原作は原作の良さがあり、映画には映画の良さがあると思う。自衛隊の全面協力を得られないのは理由があるはずで、その中で製作されたとあれば、名作ではないかもしれないが、見て損はないと思う。
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正直、これでよくかわぐちかいじもOK出したなってビックリした。というかモトモトの趣旨も別物になってて、なによりもセリフや配役が酷い。 主演の西島とかはまだ良いけど、某役やっこさんとか言ってるのはおかしすぎるし、演技も微妙過ぎて…それにこんなしゃべりは現実でもありえないし。そこに+αで架空の国や地域を登場させたりするもんだから臨場感や現実味は皆無。それにセットもあまり完成度は高くない。唯一悪くなかったのは結末に国連軍が来ることぐらいかな、あれを漫画版で内容変えてやってみて欲しい。映画版は見る価値あんまり無いね、小説は買うのも悪くない。
というか原作が完成度高すぎるのでこれには失望した。原作読んで無い人は読まずに映画だけで辞めるのは絶対にやめた方がいい。 -
相変わらず日本の実力とはこんな感じ~と諸外国の分析官に思わせるための高度な戦略的な戦術である。 できる人間はうつけ者のふりをしていることが本当に平和的を望む人間の素行である。
中国に遠慮し、カイジ氏の意図とは乖離しており映画の総理役は大変なミスキャストだった。海上自衛隊の装備や組織、人間の描き方はよく描かれているが、漫画の素晴らしさには及ばなかった。