くも漫。の紹介:2017年日本映画。中川学の実話を元に描かれた作品。くも膜下出血という大病を患った学だが、発症した場所が風俗店ということで関わった人々全てがその事を隠すために嘘をつく姿と、学のばつの悪い顔が笑いを誘うコメディ映画です。
監督:小林稔昌 出演:脳みそ夫(中川学)、柳英里紗(ゆのあ)、沖ちづる(学の妹・敦子)、板橋駿谷(石毛医師)、坂田聡(遠藤さん)、立石涼子(学の母)、平田満(学の父)、ほか
映画「くも漫。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「くも漫。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
くも漫。の予告編 動画
映画「くも漫。」解説
この解説記事には映画「くも漫。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
くも漫。のネタバレあらすじ:起
雪の降る年末、ファッションヘルスで風俗譲として働く“ゆのあ”は休憩中に年明けの試験に備えて医学書を広げ、勉強中です。そんな“ゆのあ”の前に学が客として現われます。ゆのあが一連の作業を終えようとしていたその時、学はくもマン(くも膜下出血キャラクター)に頭を殴られます。
27歳フリーターの学は人と接する事が苦手です。椎茸の収穫のバイトを終えてTVを見ていると、父親から特別支援学校の自閉症の子供一人を相手する教師の仕事をしないかと言ってきます。以前教師だった学は登校拒否になり教師は辞めていたのですが、今回はやってみる事にします。
最初はうまく接する事ができなかった学でしたが、自閉症の子供との接し方を勉強して上手に接する事ができた学は、社会人として一つ成し遂げた気がして自分を褒める意味で、年末の12月31日に風俗店に出かけて行ったのでした。
そんな学でしたが、残念ながら1件目で不発だったため、さらにもう1件の店に向かい発射寸前にくも膜下出血を起こし、頭を抱えながら下着を履こうとした所に、くもマンにさらにバットで殴られ、そのまま風俗店から裸のまま救急車で病院に運ばれる事になり、衣服は風俗譲ゆのあから渡されますが、靴はそのまま残して店を出る事になりました。
くも漫。のネタバレあらすじ:承
病院に着くと女医が裸の学を見て「どこで倒れていたの?」と聞かれ、黙り込む3人の救急隊員。
学はくも膜下出血の手術を受けます。それは一命を取り留めても後遺症が残る可能性が30%という大きな手術でした。
学は集中治療室でもくもマンがいつもバットを振り回す姿を見ていました。
翌日、学はトイレの便座に座りながら、ふと倒れた場所を思い出し、主治医の石毛医師を呼び「家族には僕がどこで倒れたか伝わっているのでしょうか?」と聞くと「ふくろ町の商店街の近くで倒れたと伝えてありますよ」とウインクされます。
手術から10日が経ち、一般病棟に移るころから学は徐々に性欲も取り戻してきました。
友人達もたくさん見舞いに来てくれて、やはり倒れた場所の話になります。記憶が無いと言うと、母がすかさず「靴が無いのよね」と見舞いの人たちに話します。すると父が「消防隊員に尋ねたら学が倒れてた場所は靴屋だったって」と言います。
くも漫。のネタバレあらすじ:転
一旦母と見舞い客の一部が納得し、学も一安心したのもつかの間、見舞い客の一人が不審げな顔で「腑に落ちないわ、どうして靴屋で倒れたら靴だけ置き忘れることになるんだろう」と言い、皆で実際に現場検証のように靴を脱いで、スリッパに履き替えてみたりするが「救急隊が靴だけ置き忘れたという問題は解決されていない」と言い出し、収拾が付かなくなっている所に看護師がやって来ます。
看護師がもう力んでも良いと、血圧が上がっても大丈夫だと石毛医師からの伝言をして帰った後「謎が全て解けました、・・・靴を脱がないと入れない場所で血圧が上がる場所」「サウナだ」と妹が叫び、丸く収まるかと思った学ですが「サウナじゃ病院側が嘘をついた理由が説明できない」と答えを言おうとしたその時、隣のベットから「何時までしゃべってんだ」と怒られます。その声で見舞い客は帰り、隣人に「いやぁ危ない所でしたね」と言われ学は「いやぁ何と言ったらよいか、助かりました」と頭を下げる学でした。
性欲の戻ってきた学は、病院内でキスをして互いに求め合う石毛医師の姿が見えてしまいますが、そんなはずも無く妄想まで見えた学は石毛医師に尋ねます。「性欲の処理ってしても大丈夫でしょうか?」「ガンガンしちゃってください」「リハビリにもなります。むしろ我慢するよりも良いです・・・」と満面の笑みを受かべる石毛医師。その夜、倒れたときの事を思い出して吐き気がする中、リハビリを行いトラウマも克服できた学でした。
くも漫。の結末
1月30日、学は後遺症も無く無事に退院、受付の横にはくもマンの姿がありました。帰り道、母から菓子折を渡され「お店にお礼に行って靴を返してもらってきなさい」「自分がどこで倒れたのか本当は覚えてるんでしょ」と言われ学は、風俗店に行って靴を取り戻します。
「何でわかったの?」と学が聞くと、手術中に学のカバンから出てきた雑誌を見た妹が気づき、その後父もその雑誌の折り目が付いたページに載った風俗譲の写真を見て気づいたと聞きます。
自宅に戻った学は夕食の鍋を囲む父と母を前に「お金も稼がないと風俗に行けないしね」と言うと、両親は一瞬固まり、何も無かったかのように話を続けました。
学は窓の外に居るくもマンの姿を確認し、心を決めます。題名は“くも慢”自伝漫画を書こうと。そうして学は無職のおじさんから、夢を追う無職のおじさんへと、身内にとってより厄介な存在になりました。
闇の中で、隣家の屋根に座るくもマンがこころなしか笑っているように見えました。
以上、映画「くも漫。」のあらすじと結末でした。
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