狂武蔵の紹介:2012年日本映画。映画『キングダム』で最強の敵・左慈を演じ主演の山﨑賢人と死闘を繰り広げた坂口拓。彼が2011年に撮っていた77分ワンカットの剣術アクション映画があった。様々な事情で未完のままお蔵入りしていたその映画が、クラウドファンディングの支援によりついに完成し公開された。監督は『キングダム』でアクション監督を努めた下村勇二。坂口とは20年来の盟友だ。今回新たに追加撮影されたシーンに『キングダム』で共演した山﨑賢人が出演したことにより、映画に華やかさがプラスされ全体的に締まった印象になった。
監督:下村勇二 撮影監督:長野泰隆 原案協力:園子温 キャスト:TAK∴<坂口拓>(宮本武蔵)、山﨑賢人(忠助)、斎藤洋介、樋浦勉、山中アラタ、ほか
映画「狂武蔵」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「狂武蔵」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
狂武蔵の予告編 動画
映画「狂武蔵」解説
この解説記事には映画「狂武蔵」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
狂武蔵のネタバレあらすじ:起
室町将軍家の兵法指南役をつとめる吉岡流。
1604年(慶長9年)。吉岡一門の師範である清十郎とその弟・伝七郎は宮本武蔵(TAK∴<坂口拓>)の道場破りによって命を落としてしまいます。
このままでは面目丸つぶれとなってしまう吉岡一門は、清十郎の幼い嫡男・又七郎の名で武蔵に決闘を申し込み、一門の者約100名と金で雇われた他流派の者約300名、合計400名で武蔵を倒そうと待ち構えています。
ヒラヒラと舞う蝶に目を奪われている又七郎に、一門の忠助(山﨑賢人)は「われらが指一本触れさせませぬ」と語りかけます。しかし忠助は、彼を吉岡一門の次期当主に据えようと企む老人(斎藤洋介)によって襷(たすき)を外され、その場から連れ出されてしまいます。
清十郎の親友だった忠助は老人に、「大勢で待ち伏せるのは武士として卑怯では?自分が仇をとった上で吉岡を継ぎたい」と訴えますが聞き入れてもらえません。
「これで吉岡も終わりか」
又七郎のそばに付き添う男(樋浦勉)がそうつぶやくと、突然木の上から武蔵が飛び降りてきて、あっという間に又七郎とその男は斬られてしまいました。唐突な出来事に一門の武士たちは混乱しながらも、あわてて武蔵を取り囲みます。
「はじめるか」
狂武蔵のネタバレあらすじ:承
脇を締め、短めに刀を持つ武蔵。ムダのない動き。胴だけではなく頭、膝下など、的確にねらって相手を倒していきます。囲まれにくい林の中を徐々に後退しつつ移動し、一区切りつくといつも構えは最初の位置に戻します。常に3~4人を相手にし、背後から襲われないようにここでは木を背にして戦います。
フェイントで翻弄したかと思えば、次は倒れ込んだ相手を足蹴にしたり、たまに低くしゃがみこんだり、と動きにメリハリをつけています。
「回り込め」
広い場所へ出ると武蔵はあっという間に囲まれてしまいます。それでも積極的に手を出していく武蔵。背後からの敵にはいち早く、振り向きざまに低い体勢から足を狙って倒します。(技名“飛燕”)
そして、たびたび刀を上段に構え呼吸を整えます。寒さに鼻をこすりつつ、武蔵は刀を一回転させ新たな攻撃を開始します。
すると吉岡十剣のひとり、南保余一兵衛が立ちふさがります。
「その首いただく!」
一対一で刃を交えますが、すぐ武蔵に倒されてしまいました。
狂武蔵のネタバレあらすじ:転
武蔵は再びテンポよく敵を斬り捨てていきます。たまに転びかけたり、ふたり同時に攻め込まれたりしてもすぐに立て直しますが、だんだんと息が荒くなってきました。
敵の姿が見えなくなり、武蔵はそこにあった建物の中に入ります。あらかじめ仕込んでおいた竹筒を取り出すと水を口に含み、手や刀にプッと吹きかけました。
「あと何人だよ」
やってきた数人を倒すと、後ろから「久しぶりだな、武蔵」と声がします。上半身裸で坊主頭のその男は宍戸梅軒。吉岡一門ではありませんが、この機会に武蔵とケリをつけようと参加したのです。鎖鎌を繰り出して攻撃してきますが、太い柱にはばまれ武蔵の一撃を受け絶命します。武蔵の顔は返り血で真っ赤になってしまいました。
建物を出るとそこは少し開けた場所です。敵に見つかった武蔵は20人ほどに囲まれてしまいますが、次々と面白いように敵は減っていきます。刀を肩にのせる余裕を見せつつ、一撃で倒していき、ついにそこにいた全員が倒されました。
後ろを警戒しつつ橋を渡り、武蔵はまた別の家に入っていきます。そこで刀を変え、水で返り血をぬぐいます。
再び発見された武蔵が外に出ると、四つ辻で四方から敵に挟まれてしまいます。家の壁を背にして戦い、あらかた片付けたころには武蔵の息も相当あがっていました。
水分を補給し一息ついていると、吉岡の者同士が争う声が聞こえてきます。妻のため命をムダにしたくない男とそれを侮辱する男。ふたりが刀を抜きあったそのとき、横から武蔵が飛び出し侮辱した男の方を斬り捨てました。驚いて命乞いをするもう一方の男を見逃すと武蔵は橋の方へと戻っていきます。
橋の向こうから門弟を連れてやってきたのは吉岡十剣、植田良平です。しかし一撃でやられてしまい、門弟たちは「先生!」と言いつつ逃げていきました。
武蔵が近くの建物の軒先で給水していると、中で薪をかかえた少女が恐怖で固まっていました。武蔵が出ていくよう促すと、少女は怯えながら出ていきます。しかし次の瞬間大声で「お侍様ー、ここにいます!」と叫び、武蔵はたちまち発見されてしまいます。
死体のゴロゴロ転がった通りを進みながら、左、右、と交互に襲ってくる敵を次々斬っていきます。
狂武蔵の結末
「いいか、どうせ死ぬんだから」
日がだんだんと傾き、さすがの武蔵も疲労の色が濃くなってきました。刀を風車のようのぶんぶんと振り回したり、相手の刀を奪って二刀流で戦ったり、と最早その戦い方は感覚というか本能のままといった感じです。
足がふらつき片膝をついた状態で応戦し、また立ち上がって大きく空振りすることもありました。フラフラで、息はハァハァと荒く、額には汗で髪が張り付いています。時に奇声を上げ、時には挑発するかのように手招きし、目を見開いて武蔵は戦い続けます。その表情は、とても普通の人間のものではありません。
やがて武蔵の前には、最強の敵とおぼしき剣豪・藤堂兼次(山中アラタ)が姿を現します。雷鳴が轟き、ふたりの剣がかち合った瞬間、あたりは白い稲光に包まれました。急に降り出した大雨の中、ふたりは戦い、そして武蔵が生き残りました。戦いが終わると雨は止み、びしょぬれの着物に思わず「さみー」と声が出ました。
しかし、その後も武蔵の前にはまたたくさんの敵が……。
七年後。
川の中洲で休息をとる武蔵の杖に蝶がとまります。
川下には忠助を筆頭に、吉岡一門がずらっと揃っています。
「天誅ー 宮本武蔵!」
忠助が叫びます。
「貴様の忠義、大義はなんだ?」
武蔵がにじり寄り、忠助は思わず後ずさりしようとします。すると、「退がるな。侍だろう」と喝を入れます。そして「獲りに来いよ!」と武蔵は挑発します。
忠助の合図で全員が一門の者が武蔵に向かっていくと、武蔵は持っていた杖の先を撫でました。そこからは鋭い刃物が現れ、それを巧みに操り、円を描くように囲い込んだまわりの敵を一掃します。(技名“螺旋”)
首を切り裂かれる者、指を切り落とされる者、川に突き落とされる者……。
七年前とは比べ物にならないくらい動きの早くなった武蔵によって、次々と吉岡一門の者は倒されていきます。忠義も大義もなく、ただ思うがままに人を殺していく武蔵を忠助は苦々しく見つめます。
そして武蔵は叫びます。「俺の名は……」
“狂武蔵”
以上、映画「狂武蔵」のあらすじと結末でした。
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