ラストレターの紹介:2019年日本映画。『Love Letter』『スワロウテイル』など、繊細で独特な世界観を持つ岩井俊二監督待望の新作がいよいよ公開。ヒットメーカー、川村元気が企画・プロデュースのもと、旬の人気俳優が集結した。物語の中心、遠野未咲(回想)に広瀬すず、妹の裕里(回想)に森七菜。ふたりはそれぞれその娘役も演じ、二役に挑戦している。未咲に思いを寄せる乙坂鏡史郎(回想)には神木隆之介。大人になった鏡史郎に福山雅治。そして松たか子が現在の裕里を演じ、物語を動かす役割を果たしている。
監督:岩井俊二 出演:松たか子(岸辺野裕里)、広瀬すず(遠野鮎美/遠野未咲 : 回想)、庵野秀明(岸辺野宗二郎)、森七菜(岸辺野颯香/遠野裕里 : 回想)、小室等(波戸場正三)、水越けいこ(岸辺野昭子)、木内みどり(遠野純子)、鈴木慶一(遠野幸吉)、豊川悦司(阿藤陽市)、中山美穂(サカエ)、神木隆之介(乙坂鏡史郎 : 回想)、福山雅治(乙坂鏡史郎)、ほか
映画「ラストレター」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラストレター」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ラストレターの予告編 動画
映画「ラストレター」解説
この解説記事には映画「ラストレター」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラストレターのネタバレあらすじ:起
遠野未咲(広瀬すず)の葬儀の日。娘の鮎美(広瀬すず)は母からの遺書を開封できずにいました。いとこの颯香(森七菜)は夏休みの間、鮎美の住む祖父母の家で鮎美と一緒に過ごすと言います。
颯香の母・裕里(松たか子)は姉・未咲の高校時代の同窓会に出向きます。マドンナ的存在だった姉に間違われ、その死を言い出せず姉のフリをしたまま会場を後にした裕里に声を掛けてきたのは、かつて憧れていた乙坂鏡史郎(福山雅治)でした。
乙坂の誘いを断り、連絡先だけ交換して帰宅した裕里は、メッセージのやりとりを夫の宗二郎(庵野秀明)に見られ、スマホを壊されてしまいます。
その事実を知らせるため、姉のフリをしたまま裕里は乙坂に手紙を送り始めます。自分の住所は書かず、状況を知らせるだけの手紙。
ある日、宗二郎が突然大きな犬を二頭買ってきました。妻・裕里への罰のつもりです。困った裕里は一頭を実家に連れていき、そこで鮎美が世話をすることになりました。事の顛末を懐かしい高校の写真とともに手紙で送った裕里に、乙坂はついに返事を書き、実家の住所に送るのでした。
ラストレターのネタバレあらすじ:承
ある日、滞在していた夫の母・昭子(水越けいこ)がいなくなってしまい、裕里が近所を探し回ると、ある老人の家でぎっくり腰になってしまったことがわかりました。その老人は昭子の高校時代の恩師波戸場(小室等)で、昭子は英文の添削を彼に頼んでいました。
裕里は手をケガしている波戸場の代わりに彼の家で、添削した英文を書く作業を始めました。そしてその家の住所を借りて乙坂に手紙を出すのでした。
一方、実家に届いた乙坂の手紙を読んだ鮎美と颯香は、こちらも未咲のフリをして返事を書き始めます。書簡のやりとりの中で、かつて転校してきた乙坂(神木隆之介)が生物部に入部し、後輩である遠野裕里(森七菜)の姉未咲(広瀬すず)に一目惚れしたこと、裕里にラブレターを託していたことなどが明らかになります。鮎美と颯香は乙坂からの手紙を心待ちにするようになっていました。
そんな中、波戸場の家に乙坂がやってきました。慌てる裕里に乙坂は、未咲ではなく裕里だということは同窓会の夜から分かっていたと言います。そして、未咲はどうしてる?と聞かれた裕里は、ついに姉は亡くなったと告げるのでした。
ラストレターのネタバレあらすじ:転
乙坂によると、実は二人は大学時代につき合っていたのだと言います。別れた後、乙坂は『未咲』という小説を書いて賞をとったものの、それ以降満足のいく次回作が書けていません。
未咲は阿藤陽市(豊川悦司)という素性の知れない人物と結婚し鮎美を生みますが、家庭内暴力に悩まされ、やつれ果てた末、鮎美のSOSで実家に戻ってきました。何度となく手首を切った未咲はとうとう、一か月前に帰らぬ人となってしまったのです。
裕里に見送られた乙坂はその後、かつて未咲が住んでいたという住所を訪ねます。そのアパートにはおなかの大きなサカエ(中山美穂)がおり、阿藤と同居しているといいます。阿藤に会うことができた乙坂は、未咲が死んだことを伝えます。
酔った阿藤は、責めるような乙坂に対し、お前は未咲の人生に何の影響も与えていない、と勝ち誇ったように言います。しかし、いつも怯えていた未咲や無垢な目をした鮎美と過ごすことに息苦しさを感じていた阿藤はそこから逃げ、夫でも父親でもない、何者でもない者に自らなったのだと言うのでした。
それから乙坂は廃墟となった高校に向かいました。校舎の写真を撮っているうち、犬の散歩をしている鮎美と颯香を見かけた彼は、かつての未咲と裕里にそっくりな二人に驚き声を掛けました。鮎美はすぐにそれが乙坂だと気づき自宅へ招きます。未咲の遺影に線香をあげた乙坂は、しばらくひとりにしてほしいと頼みます。
ラストレターの結末
遺影のある部屋の本棚には『未咲』の本がありました。あまり事情を知らない颯香に対し、何度もその本を読んでいる鮎美はそれが事実なのか尋ねます。そして、小箱から手紙の束を取り出します。それはかつて乙坂が未咲に送ったものでした。
その手紙は未咲の宝物だったといいます。そして鮎美もまた、『未咲』の本やその手紙を何度も何度も読み、いつかこの人が会いに来てくれると信じていたと言います。もう少し早く来てくれたら。鮎美は寂しそうにつぶやくのでした。
降り出した雨の中、去っていく乙坂が振り返ると、傘をさした鮎美と颯香が並んで見送っていました。濃い緑に映える淡いワンピース姿の二人を、乙坂は写真におさめました。
その夜。学校に行きたくないと言っていた颯香は、子供っぽい悩みを鮎美に打ち明けます。その可愛い悩みに思わず笑ってしまう鮎美。そんな颯香は『未咲』に興味を持ち、内容を話そうとする鮎美を制止し、本を読み始めるのでした。
翌日。東京に戻る前に裕里の働く図書館を訪れた乙坂。手作りのアルバムには、懐かしい高校の写真とともに鮎美と颯香の写真もありました。乙坂は、新しい小説が書けそうな気がすると前向きになれたようです。帰ろうとする乙坂を引き止め、裕里は『未咲』の本にサインしてもらうのでした。
颯香が自宅に戻り、ひとりになった鮎美は未咲の遺書を開封します。そこには、高校の卒業式に生徒会長だった未咲がおこなった挨拶の文章が、原稿用紙のまま入っていました。乙坂に協力してもらって仕上げたその文章を、鮎美は声に出して読み上げるのでした。
以上、映画「ラストレター」のあらすじと結末でした。
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