魔女見習いをさがしての紹介:2020年日本映画。1999年から4年間にわたって放送された魔法少女アニメ『おジャ魔女どれみ』の放送開始20周年を記念し、当時のスタッフが再集結して製作された記念作品です。本作は『どれみ』を観て育った3人の大人の女性を主人公とし、彼女たちが『どれみ』ゆかりの地への旅を通して忘れていたそれぞれの大切なものを見いだしていく過程を描いたロードムービーとなっています。
監督:佐藤順一、鎌谷悠 出演者:森川葵(長瀬ソラ)、松井玲奈(吉月ミレ)、百田夏菜子(川谷レイカ)、三浦翔平(大宮竜一)、石田彰(矢部隼人)、浜野謙太(久保聖也)、千葉千恵巳(春風どれみ)、秋谷智子(藤原はづき)、松岡由貴(妹尾あいこ)、宍戸留美(瀬川おんぷ)、宮原永海(飛鳥ももこ)、石毛佐和(春風ぽっぷ)、長澤菜教(マジョリカ)ほか
映画「魔女見習いをさがして」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「魔女見習いをさがして」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
魔女見習いをさがしての予告編 動画
映画「魔女見習いをさがして」解説
この解説記事には映画「魔女見習いをさがして」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
魔女見習いをさがしてのネタバレあらすじ:起
5人の“魔女見習い”の前に3人の幼い女の子が現れ、将来何になりたいのか尋ねてきましたーーー。
ーーーそして現在。27歳の吉月ミレ(松井玲奈)は語学堪能な帰国子女としてのキャリアを買われて東京の一流貿易商社「菱友商事」でバリバリのキャリアウーマンとして働いていました。しかし、ミレはその優秀ぶりと物怖じしない性格が仇となり、旧態依然の上司たちから疎まれる存在となっていました。
愛知県名古屋に住む22歳の長瀬ソラ(森川葵)は教員を目指して愛知教育文化大学に通う大学生です。ソラは小学校の教育実習生として研修を受ける日々を送っていました。しかし、ソラはどうしても発達障害を患う少年・牧田(水青)ばかりを優先して他の児童たちをおざなりにしがちで、果たして自分に教員という職業が向いているのか心に迷いを抱えていました。
広島県尾道市在住の20歳のフリーター・川谷レイカ(百田夏菜子)は将来絵画修復師になるべく美術大学への進学を夢見ており、学費を稼ぐためお好み焼き屋でアルバイトに精を出していました。しかし、そんなレイカの足枷となっていたのは、ろくに働かずパチンコばかりしているミュージシャン志望のだらしない彼氏・久保聖也(浜野謙太)の存在でした。
そんなある日、ソラは休日を利用して鎌倉に向かいました。ソラの目的地は幼少期に大好きだったテレビアニメ『おジャ魔女どれみ』の舞台「MAHO堂」のモデルとされている洋館であり、いわゆる“聖地巡礼”でした。その洋館にはソラ同様に聖地巡礼目的でミレとレイカの姿がありました。生まれも育ちも境遇も異なる三人の共通点は全員『どれみ』の大ファンであること、そしてそれぞれ“魔法玉”を持っているということでした。三人はすっかり意気投合し、夕暮れの湘南の海を一緒に歩き、夜の居酒屋で酒を酌み交わしながら互いの近況や悩みなどを語り合い、連絡先を交換し合いました。
ミレは担当するプロジェクトを外され、人事異動で総務へ左遷されることになりました。ミレを慕う後輩の矢部隼人(石田彰)はミレに「辞めないですよね?」と問うと、ミレは「辞めないわよ、“まだ”」とだけ答えました。ソラは発達障害を持つ子供との向き合いに悩み、レイカは相変わらず金を無心に来る聖也にうんざりしていました。
魔女見習いをさがしてのネタバレあらすじ:承
ある日、ソラ・ミレ・レイカは『どれみ』の主人公・春風どれみ(千葉千恵巳)の祖父の家があった飛騨高山にゴールデンウィークを利用して行こうと約束しました。当日、三人は名古屋駅で落ち合い、特急列車に乗って高山に向かいました。三人は土産物を買い、高山ラーメンを食し、翌日はバスで白川郷に向かい、団子を食べ、夜は旅館で飛騨牛を食べて温泉につかりました。
三人は互いの悩みを腹割って語り合いました。ソラは牧田が描いた絵をスマホの待ち受けにしていました。ソラが教員を目指しているのは自分の意思ではなく親の意向でした。ソラとミレはレイカから聖也の話を聞き、速攻で別れるよう勧めましたが、レイカは聖也には幼い頃に離婚して家を出ていった父の面影があるのでどうしても別れられないと語りました。
翌日。バスで高山に戻った三人は引き続き市内観光に繰り出し、とある神社に参拝しました。ミレはレイカに、父親に会いたいのなら魔法玉に願いを込めてみたらどうかと提案しました。レイカは魔法玉を取り出しましたが、誤って手を滑らせて落としてしまいました。魔法玉は石段を転がり落ちて見知らぬ女の子(白石晴香)のリュックの中に入っていき、女の子はそのままとある病院に向かいました。
レイカたちは女の子の後を追い、魔法玉を取り戻しましたが、レイカは女の子と母親(徳光由禾)の会話からどこかで聞き覚えのある名前を耳にし、再び後をつけてみることにしました。病室の名札は「玉木哲司」(菅原厚一)、紛れもなくレイカの実の父でした。哲司はレイカの母と離婚後に再婚して新たな家庭を持っていたのです。レイカは思わず病室に入り、哲司に自分の名を伝えました。哲司は娘との思わぬ再会に驚きましたが、我に返ると「人違いではないか」と発言しました。レイカはこの発言に強いショックを受け、階段で泣き崩れました。
心配したソラとミレはなぜはっきりと娘だと伝えなかったのかと問うと、レイカは魔法玉を信じてみようと言ったミレのせいではないかと逆ギレし、そのまま一人でバスに乗って尾道へと帰ってしまいました。ソラとミレは仕方なく二人で特急列車で、ミレははっきりものを言い過ぎたことを後悔しました。ソラはミレを名古屋の自宅に泊めることにしました。
ソラがシャワーを浴びている間、ミレは『どれみ』のDVDを見ていました。ミレは劇中で仲間たちに素直に謝るどれみを見てレイカに謝ろうと決意し、ソラに夜行バスの予約をしてもらい一路尾道へと向かいました。
魔女見習いをさがしてのネタバレあらすじ:転
ミレは夜行バス、新幹線、在来線を乗り継いで翌朝に尾道に到着しました。レイカの詳しい住所までは聞いていなかったミレは名古屋のソラからレイカがお好み焼き屋で働いていることを聞きつけ、何件も回ってようやくレイカの働く店と住所を突き止めました。
レイカのアパートを訪れたミレは素直に謝罪し、レイカもミレに当たってしまったことを詫びて二人は和解を果たしました。レイカの部屋には昔に父・哲司が描いてくれた綺麗な花の絵が飾ってありました。レイカは色あせていくこの絵を蘇らせたいがために絵画修復師を目指していたと打ち明け、本当は絵画のように哲司との関係も修復したかったけど今は完全に吹っ切れたことを伝えました。
ミレとレイカは外に出ようとしたところに聖也が現れ、いつものようにレイカに金を無心してきました。聖也の態度に無能な職場の上司の姿を重ね合わせたミレは怒りを爆発させ、聖也の胸倉を掴むと「自分の無能さを棚に上げて、女をナメたらいかんぜよ!」と背負い投げをくらわしました。そしてミレは「ここにいても何も変えられない」とレイカに一緒に東京に行こうと呼びかけ、レイカは聖也に別れを告げるとその日のうちに荷支度を始めました。
ミレはレイカの新居が見つかるまでの間、彼女を自宅に住まわせることにしました。ミレはレイカと共に勤め先の会社に乗り込み、「やりたいことが見つかった」と辞表を叩きつけました。その夜、レイカはミレが部屋の片づけができない女であることを知り、これまで完璧な人間だと思っていたミレの意外な一面に気付きました。ミレはレイカ、そして矢部と共に高級レストランで食事をし(矢部の奢りで)、矢部はレイカに行きつけのガールズバーでのバイトを紹介し、奨学金制度のある横浜の美術大学を目指したらいいとアドバイスしました。レイカは矢部がミレに想いを寄せていることを見抜きました。
ソラはミレとレイカの近況を聞いて安心し、もう一度牧田と向き合う決心をしました。週末、ミレはレイカと共にレンタカーで名古屋に向かい、ソラはミレやレイカと合流して発達障害の子供を支援する学習塾を訪れました。この学習塾では学年で区切られる学校よりも人生を通じて支援できる体制を整えており、ソラはこの塾に通う牧田と再会しました。牧田は学校にいる時よりも生き生きとしており、自分を気にかけてくれたソラのことを慕ってくれていました。牧田に勇気をもらったソラはより一層試験勉強に熱を入れ、ミレとレイカはソラとまた一緒に旅行に行こうと誘いました。
矢部はミレに自分も会社を辞めたことを伝え、「これからもあなたのパートナーでいさせてほしい」と告白しました。ミレは思わず赤面し、とりあえずレイカの働くガールズバーに行くことにしました。
魔女見習いをさがしての結末
ミレとレイカはソラを「試験勉強お疲れ様!」と、どれみたちが劇中で修学旅行に訪れた京都・奈良への聖地巡礼の旅に誘いました。東京から新幹線で出発したミレとレイカは名古屋でソラと合流、京都で酒とおつまみを買うと近鉄特急“ビスタカー”に乗り換えて奈良へと出発しました。
三人が車内で和気藹々と酒を飲んでいると、三人が荷物置き場にしていた座席の指定券を持つ大宮竜一(三浦翔平)という大学生がやってきました。大宮のリュックには『どれみ』のキーホルダーがついており、そのことを知った三人は魔法玉を大宮に見せました。『どれみ』をきっかけとして三人と大宮は意気投合し、大宮は三人に奈良の観光地を案内してあげました。四人は奈良公園で鹿と戯れ、東大寺の大仏に参拝し、「江戸川ならまち店」でひつまぶしを食べ、法隆寺を訪れました。ミレとレイカはソラが大宮に一目惚れしてしまったことに気付いていました。
その夜、ソラ、ミレ、レイカは興福寺近くの旅館に泊まりました。ミレとレイカはソラの恋を応援すると言い出し、大宮の素性を探るため彼のSNSを見てみたところ、大宮は以前に炎上騒ぎを起こしていたことが発覚しました。ソラはそれでも自分はネットの評判は気にしない、大宮はとても親切で誠実そうな人だったと二人に伝えました。
翌日、ソラ、ミレ、レイカ、そして大宮は京都に移動し、この坂で転ぶと3年以内に大変なことが起こるという言い伝えがある産寧坂(別名・三年坂)へと向かいました。途中の石段でソラは足を滑らせてしまい、大宮に受け止めてもらいました。一行は清水寺、祇園、桂川の渡月橋を廻り、ミレとレイカはソラと大宮を二人きりになるよう計らいました。
ソラは魔法玉を握りしめ、桂川のほとりで思い切って大宮に「もしよかったら、まずは友だちとして付き合ってもらえませんか」と告白をしました。しかし、大宮は「俺はソラさんの思っているような人間ではないんです。ソラさんは俺よりずっと素敵な人だけど、俺は誰とも上手く付き合えないんです。長く付き合うと互いに傷つけ合ってしまうかもしれないから。ごめんなさい」と断りました。ソラは、自分も以前は友だち付き合いが苦手だったけど、『どれみ』が引き合わせてくれたミレとレイカが自分を変えてくれたと語りました。
その夜、ソラ、ミレ、レイカは居酒屋で飲みました。ミレとレイカは失恋をして泣き出したソラを優しく受け止めました。外へ出た三人は「魔法が本当にあったらいいのに…どれみちゃんと友だちになりたいなあ」と、光り輝く満月に向かって魔法玉を掲げました。三人はどれみが物語の最後で魔女にならなかったことを思い出し、いつか大人になれば魔法から卒業しなければならないことを痛感していましたが、間違いなく三人を引き合わせて成長させてくれたのは“魔法”のおかげだと語り合いました。
そしてミレは輸入雑貨を扱う雑貨屋を開くという夢、レイカは自分自身のために絵を描くために留学したいという夢、ソラは牧田のような発達障害の子供を支援する塾を開くという夢を口にしました。ミレは「店の場所も名前も決めてるの。そこから私たちの夢、始めてみない? 三人の魔法を合わせるの」と呼びかけました。
3ヶ月後。ミレは鎌倉の洋館を譲り受けて改装した「CAFE MAHO堂」の開店準備をしていました。ソラとレイカも店を手伝うことにしました。その夜、ソラ、ミレ、レイカは店内に人影を見つけました。店のテーブルには楽しそうに団らんしているどれみや仲間たちの姿があり、幼かった頃のソラ、ミレ、レイカも交わっていました。将来の夢を語り合うどれみや過去の自分たちを見て、ミレは「魔法は自分たちの中にちゃんとある。自分の魔法でどこへでも飛んでいけるから」と語りました。
やがてどれみたちは空飛ぶほうきで空に舞い上がり、幼き日の三人も自分のほうきを取り出しすと、どれみたちと共に満天の月が輝く夜空の彼方へと飛び去っていきました。「行こう。今のなりたい私に向かって」―――ソラ、ミレ、レイカはいつまでも空を見上げていました。
「CAFE MAHO堂」は開店の日を迎え、多くの客が訪れました。矢部もカフェの店員となり、レイカは客の似顔絵を描き、ソラはカフェの一角を子供たちのためのスペースとしていました。三人の夢は始まったばかりです。
以上、映画「魔女見習いをさがして」のあらすじと結末でした。
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