MOTHER マザーの紹介:2020年日本映画。2014年に埼玉県で実際に起こった痛ましい殺人事件を題材にした本作。歪んだ愛情を持った母親に育てられた息子の、悲劇へと向かう姿を描き出す。狂った愛情しか持たない母親役を長澤まさみが見事に演じています。
監督:大森立嗣 出演:長澤まさみ(三隅秋子)、阿部サダヲ(川田遼)、奥平大兼(周平)、夏帆(高橋亜矢)、皆川猿時(宇治田守)、仲野太賀(赤川圭一)、土村芳(三隅楓)、木野花(三隅雅子)、郡司翔(幼少期の周平)ほか
映画「MOTHER マザー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「MOTHER マザー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
MOTHER マザーの予告編 動画
映画「MOTHER マザー」解説
この解説記事には映画「MOTHER マザー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
MOTHER マザーのネタバレあらすじ:起
三隅秋子(長澤まさみ)はシングルマザー。一人息子で小学生の周平(郡司翔)と暮らしてはいますが、散財ばかりする秋子のせいで日々貧しい暮らしを強いられていました。元夫からの養育費もすぐに浪費してしまい、親からも借金ばかりしていた秋子は絶縁状態になっています。
ある日、途方に暮れていた秋子は、ホストの遼(阿部サダヲ)と出会い、一緒に暮らし始めますが、遼は金や女にだらしないタイプで生活は一向に楽になりません。住むところもままならず、周平に対しては虐待や育児放棄まがいなことをしながらの生活。
ある日、別の交際男性である宇治田(皆川猿時)に周平を預け、秋子は遼と共に遊びに出かけます。1週間ほどして帰ってくると、一人にされていた周平を見て秋子は怒り、宇治田をレストランに呼び出します。遼と秋子は宇治田に対し「子供に手を出した」といちゃもんをつけ、金を脅し取ろうとします。
しかしその後、宇治田の自宅で遼ともみあいになった宇治田は、包丁が腹に刺さってしまい意識を失います。宇治田を殺してしまったとして遼と秋子そして周平の3人は遠く離れた町へと逃亡します。しばらくして宇治田が死んでいなかったことや、警察に訴えないことを知った秋子。遼は働いていた旅館から金を盗み出し、秋子と周平と共にその町から去っていきます。
行き着いたラブホテルをねぐらにしていた3人。またしても親類などから借金をしてパチンコをするような生活を送る秋子。そんな中、秋子の妊娠が発覚します。遼は秋子のお腹の子供を認知しようとはせず、周平や秋子に暴力をふるって去っていきます。すると秋子はその様子を見ていたラブホテルの経営者と体の関係を持ち、しばらく敷地内で世話になることに。その後、秋子は女の子を出産しました。
MOTHER マザーのネタバレあらすじ:承
それから5年が経ちました。周平(奥平大兼)は17歳になりましたが、学校には通わず、幼い妹の冬華の面倒を見ていました。生活も相変わらず荒れ果てていて、秋子はパチンコぱかりしています。
ホームレス状態で住むところにも困っていた状況に、ある日、市役所児童相談課の高橋亜矢(夏帆)がやってきて、彼らに簡易宿泊所を提供してくれました。面倒を見ようとしてくれる亜矢を煩わしく思う秋子でしたが、周平は少し違いました。秋子から紹介を受けてフリースクールに通い始めます。
そこは初めて学ぶことばかりで、周平には新鮮でした。生まれて初めて学ぶという事が楽しいと思えたのです。自らも施設出身だという亜矢も本当に優しくしてくれます。周平は更正への一歩を踏み出そうとしていました。
そんな周平の明るい兆しも、しばらく姿を消していた遼が戻って来たことで踏みにじられてしまいます。借金取りに追われているという遼。秋子達を連れて逃げようと言い出しました。どうしても今の暮らしを壊したくなかった周平は初めて「行きたくない。二人で逃げて。学校に行きたい」と主張したのです。
しかしそれが気に入らなかったのか、秋子は亜矢が周平の悪口を言っていたと嘘をつき、周平を諦めさせて、結局は皆で逃げることになりました。
MOTHER マザーのネタバレあらすじ:転
しかしどうにも逃げ切れなくなった遼は、このままでは秋子や子供達に危害が加わってしまうと、ついに腹を括り、借金取りの所に自ら向かう決意をしたのです。遼は「妹を頼む」と告げると、一人去っていきました。
それから半年、周平は土木事務所に住み込みで働いていました。秋子たちも同じ寮に住み、相変わらずの体たらくな生活をしていましたが、ある日、周平に給料の前借りをさせようとするものの、社長に拒否されたことで周平は深夜の事務所を物色しようとします。ところがすぐに社長に見つかり、寮にいる秋子に怒鳴りに来ます。
改心したかに見えた秋子でしたが、いつもの魔性の一面を表し、社長と関係を持ってしまうのでした。
秋子の元には遼から「50万が必要だ。助けてほしい」と連絡が入っていました。どうにかして遼を助けたい秋子は周平に事務所にある金庫から金を盗んでくるよう指示します。しかし周平が手にした金額では到底50万円には及びませんでした。
土木事務所から逃げるように去っていった秋子たち一家は再びホームレスに。そして秋子が周平に告げたのは、絶縁状態にある祖父母を殺してでも金を取ってこいという信じられない言葉でした。お金ないよ、あんたがやらないと冬華が死んじゃうよと、周平に迫るのでした。
周平は母の言葉に従い、祖父母の家に向かいます。祖父母にとっては久々に見る孫の顔。二人は喜んで周平を歓迎します。周平は妹の冬華の話をすると、二人は嬉しそうに「会いたい」と話していました。
そんな祖父母の気持ちを裏切るかのように、周平の魔の手は祖父母に向かいます。祖母と祖父を包丁で刺し、二人を殺害してしまいます。金を奪い、血まみれの周平が秋子の元に帰ります。
MOTHER マザーの結末
のちにすぐに逮捕された周平は、秋子をかばっているのか「全てボクがやりました。お母さんの指示はないです。」と弁護士に話します。しかし秋子の所業はすぐ明るみになり、懲役2年6月、執行猶予3年の刑を受けることに。
逮捕後も秋子は開き直っていて「自分の子供だから自由にして何が悪い」と悪態をついています。結局、奪った金もパチンコで使い果たしていました。
周平は懲役12年の刑を受けることになりました。秋子も周平も控訴はしませんでした。
報道で事件を知った亜矢が服役中の周平の元に面会に行きます。「なんで全部背負ったの?」との亜矢の問いかけに「お母さんが好きだから。それはダメなことなんですか?」と答える周平。
せめてこの子供の切ない思いを伝えたいと、亜矢は秋子にも会いに行きます。冬華が施設に入れられたこと、そして懸命に周平の思いを秋子に伝えたのです。しかし秋子は必死で話す亜矢の話に、何の表情も浮かべず、ただ黙って聞いていました。
以上、映画「MOTHER マザー」のあらすじと結末でした。
「MOTHER マザー」感想・レビュー
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長澤まさみさんのことが好きで見ましたが、感想としては衝撃が頭の中にはしった記憶があります。映画を見るうちに、周平が可哀想に感じました。ですが、私のように、長澤まさみさんが好きな方には、長澤さんの女優としての演技力が、見えると思うので、是非見てもらいたい作品です。
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実際に起きてしまった孫が祖父母を殺めてしまった事件をもとに作られているのですごくリアルな描写が印象的です。息子へゆがんだ愛情を与えるモンスターのような母親と、その母親を嫌いになれない息子の関係性が見どころです。長澤まさみさんの今まで見たことのない毒親ぶり、体の張ったお芝居にも注目です。
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いろいろ感想があると思いますが、私は途中までしか見れませんでした。いつまでも働こうとせず現実と向かい合おうとしない秋子にイライラして最後まで見れませんでした。子供は悪いとは思いませんがいつまでも母親から逃れられない、自分の意思を持とうとしない周平にもイライラしました。あんまりお勧めしません。
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母と子の共依存がこんなにも悲しい結末となってしまったのかというのが映画を見ての感想。母親としての顔の秋子は愛情があるようにも見えたが、女としての秋子は子にとって最悪な存在であり、そこが周平にとって飴と鞭のようになってしまったのかと思った。
また、秋子が金がないにも関わらず子を堕ろすという選択を取らずに絶対に産むと言っているのも秋子にとっての子の存在というのがわかる場面ではないかと思う。 -
作中でも言われている”共依存”。
親から子へ、子から親へ。
自分が親にしてもらったこととは違うが、この作中と比べると愛情に近いものは確かにそこにあると感じました。血の繋がり、絆に近いものかなと。
私自身が育った環境と違いすぎて、共感できる場面はほぼなかったが、周平のラスト、”お母さんを好きなんです”の言葉には共感した。
多くは語られない場面が多い分、考えさせられる作品でした。
実話ん元にということは、現実にもこのような形の家族があり、愛があるのだなと思います。
大学で、多様性、多面性、広く視野を持つことを学んでいますが、自分の考えに固執せずにみれたので、よかったです。
ゆっくり時間がある時、考えられる時、是非みて欲しい作品です。 -
胸糞悪い映画。
けどこうゆう映画がなくなってはいけないと思う。リアルに描かれてすばらしい映画でした。
ぜひ最後までちゃんと観てほしい -
悲しい気持ちになった。
ただただ悲しいそんな気持ちです。
私が育ってきた環境とは違いすぎて
いかに恵まれていたのか、
本当に考えさせられる映画でした。 -
母親への絶対の愛。一番駄目な形でしか強く結びつく事の出来ない親子がただただ苦しいです。
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周平くんが土木で働きだして、秋子はダラダラベッドで寝っ転がってるのを見て、耐えられずやめました。せめて結末に救いがあれば続きをを見れると思ったのですが駄目ですね、もう見れません。映画館でなくて配信で見ていて本当によかった。この映画は無理です。見れないです。周平くんが土木会社からお金を盗むところも、祖父母を殺すところも絶対見たくありません。
役者の演技も、映画の出来もとてもいいものですが、話の内容自体が絶望的すぎて私には見れませんでした。 -
秋子はパチンコも辞められず働くこともしないだめな親だったけど、子供に「うまなきゃよかった」とは言わなかったので、まだ救いがあったのかなと思いました。
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秋子は母から疎まれて育った。
その秋子は周平に依存して周平を支配下に置く。
周平はそれを愛と受け取ったのか?
救いのない螺旋に乗って、人生を大下降していく様子は「嫌われ松子の一生」を思い出させた。
なぜか一歩足を踏み外したら他人事では済まされないような、そんな後味悪さを感じました。 -
愛っていろんな形が、あって、
秋子の親としての愛はとても歪んでしまっていた。DVのように感じました。
そんな母親でも子どもにとってはたった一人の母親で大好きなお母さんであって。
とても考えさせられるお話しです。長澤さんと奥平くんの演技とても素晴らしかったです。
最高の亜矢との面会シーンで周平の言葉に泣いてしまいました。とっても純粋で綺麗で真っ直ぐにお母さんの事が好きなのが伝わって。バッドエンドで私も胸くそ悪くなりましたが、次の日もこの映画の事を考えてしまいました。
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実際に居たんだよね こんな毒親が 殺された両親は普通に育ててくれたみたいに見えたけど、姉妹に不満やらコンプレックスが有り こんな親になったなんて悲しすぎて、イライラしながらも見てしまった。長澤まさみの無症状の演技も見事だけど、こんな辛くなるなら見なきゃ良かったと思う。刑務所に居たらご飯食べられて本も読めるからって なんて人生なんだよ!
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わぁ。。なんか圧倒させられました。この映画を見て、自分は親の愛を感じたことがなかったけどここでの愛って病的で、歪んでて、まさに依存的ですね。皆さんが言ってる通り長澤まさみ演じる秋子へのイライラと奴隷のように指示に従い動く周平にイライラが止まりませんでした。途中で一緒に行くことをやめていればこんな結末にはならなかったんですかね。でもその母親の愛しか知らずここまで育て上げられてきてしまった以上母から独立することは難しそうですね。同じ埼玉県出身なので見ていて身近に感じながらとても悲しかったです。それにしても2人の演技力のおかげでもありますね。
幼い周平が秋子のために祖父母のもとへお金を借りに行ったときの表情が忘れられません。なんとも切ない表情を浮かべる様子に、かわいそうで涙が出ました。母は子に依存し、子もまた母に依存して生きている様は、強い絆とかではなく病的にも見えました。決して見終わったときにスッキリするような映画ではないですが、子供を持つ親には是非観てもらいたいと思いました。