日本で一番悪い奴らの紹介:2016年日本映画。日本の警察における不祥事である稲葉事件をもとにした作品。道警に就職が決まった諸星要一は先輩の村井定夫に手柄が欲しいならヤクザと手を組めと教えられた。自ら名前を売り情報を集め拳銃を押収した。そしてヤクザの黒岩勝典と出会う。ヤクザと警察で手を組むことになった。元運び屋山辺太郎と盗難車を売る外国人アクラム・ラシードも仲間になり違法行為をし拳銃を押収していった。諸星はどんどん手柄を上げていく。
監督:白石和彌 出演:綾野剛(諸星要一)、YOUNG DAIS(山辺太郎)、植野行雄(アクラム・ラシード)、中村獅童(黒岩勝典)、ピエール瀧(村井定夫)、ほか
映画「日本で一番悪い奴ら」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「日本で一番悪い奴ら」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
日本で一番悪い奴らの予告編 動画
映画「日本で一番悪い奴ら」解説
この解説記事には映画「日本で一番悪い奴ら」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
日本で一番悪い奴らのネタバレあらすじ:起
1976年、諸星要一(綾野剛)は柔道の腕を買われ、20代半ばで北海道警察への就職が決まります。無事に北海道警察の警察官となった諸星は、1979年に北海道警察本部の機動捜査隊に入隊しますが、真面目な性格で右も左も分からない諸星は先輩刑事にどやされながら雑用ばかりやらされていました。
そんな時、署内の敏腕刑事でもある村井定夫(ピエール瀧)にご飯を誘われ、飲み屋に連れて行かれます。村井は諸星に警察官として認められるための極意を教え、それは裏社会に協力者・通称S(エス)を作るということでした。それを聞いた諸星はチンピラやススキノのクラブなど、裏社会の人間が出入りしそうな場所に片っ端から出向き、名刺を配って自分の顔を売ります。
その甲斐あってか諸星のもとに暴力団員が覚せい剤を所持しているという情報を入手し、諸星は点数稼ぎのために令状を持たずその男の所に押し入るのでした。違法捜査すれすれのやり方で男の家に押し入ったはいいものの、なかなか覚せい剤が見つからずに焦る諸星でしたが、必死の捜索によって男の自宅から覚せい剤と拳銃を発見した諸星は道警から表彰され、再び村井とともに訪れた店のホステス田里由貴(矢吹春奈)を見つけると、夜をともして警察官としてさらに活躍することを誓うのでした。
それからの諸星は先輩刑事に遠慮することもなく、点数のために犯人を追う刑事となり、田里との関係も続いていきます。しかしある日、覚せい剤で摘発した暴力団の幹部・黒岩勝典(中村獅童)からクレームが入り、諸星は気が気でない様子で直接会いに行きますが、話しをしているうちに意気投合すると、諸星は新しいSを手に入れるのでした。
黒岩は村井を煙たがっており、村井は黒岩にはめられる形で淫行容疑で逮捕されてしまいます。それからというもの、ススキノでは村井に代わり諸星の顔が広く知られるようになり、表と裏の社会を行き来しながら警察官として活躍していくのでした。
日本で一番悪い奴らのネタバレあらすじ:承
暴力団係へと異動した諸星はさらに裏社会とのつながりを深めていきます。黒岩から紹介された覚せい剤の元運び屋でロシア語ができる山辺太郎(YOUNG DAIS)を伴いススキノへと飲みにいく諸星の姿は、いつの間にかかつての村井のようになっていました。
太郎に盗難車を輸出しているアクラム・ラシード(植野行雄)を紹介され、彼はロシア人からもらったという拳銃を所持していました。自分もSになりたいと、ラシードは拳銃を諸星に渡しますが、持ち主不明の拳銃は評価にならないと諸星は突っぱねます。それならとラシードは親戚を犯人に仕立て上げることを提案し、大金と引き換えにラシードの親戚は拳銃を所持したまま喜んで出頭するのでした。
太郎やラシードというSができ面倒を見るようになったある日のこと、黒岩が組を辞めるためお金を貸してくれと諸星に依頼してきました。組を辞めても協力をすることを約束し、諸星は金を工面するのでした。諸星は新設された銃器対策課に配属され、拳銃を押収することが課の至上命題となります。裏社会にコネのある諸星は上司からも一目置かれる存在であり、上司に頼まれればいとも容易く拳銃を押収してくるのでした。
そんなある日、警察庁長官が撃たれるという事件が発生します。警察上層部から少しでも多くの拳銃を押収する命題が下され、銃器対策課では東京の暴力団から拳銃を買ってはどうかという提案までなされるようになっていました。諸星はロシアから銃を安く買うことで話をつけましたが、予定していた拳銃は1丁しか手に入らず、東京の暴力団から送ってもらった銃は宅配業者の通報によって警視庁に摘発されてしまうのでした。
警察内部でのことであり、事件は内密に処理されることになりましたが、拳銃は警視庁に押収されてしまい彼らの手柄となってしまいます。銃は手に入らなくなり、資金も少なくなったことでSからも不満が出始め、困り果てた諸星は黒岩の提案に乗り、覚せい剤を捌くことで資金を調達することになるのでした。
日本で一番悪い奴らのネタバレあらすじ:転
覚せい剤を売ることで資金はどんどん貯まっていき、お金や覚せい剤を銃と交換することで拳銃も次々と押収されるようになります。再び表彰され、諸星や仲間たちの生活にも余裕が生まれ、そんな折、太郎は結婚することになるのでした。
資金をもとにカレー屋を開くという太郎は幸せそうで、カレー屋で開かれた結婚式で諸星はスピーチを頼まれ、いつの間にか家族のようなつながりになっていた太郎を祝福するのでした。諸星は初めて会ったときから田里と仲を深め、一緒に暮らすようになっていましたが、最近では別に女を作り、家にも寄り付かなくなっていました。ほったらかしにしていた田里はいつの間にか店を辞め、覚せい剤を使用するようになっていたのでした。諸星はそんな田里を叱責し、太郎に頼んで警察に出頭させるのでした。
ある日、黒岩は香港から200丁の拳銃を密輸するという情報を持ち掛け、諸星は対策課や税関とともに大規模な作戦を立てます。それは20キロの覚せい剤を税関が見逃して信用を取り付け、その後に拳銃200丁を密輸させ摘発するというものでした。規模の大きさに警察内部でも慎重な議論が行われますが、最終的には拳銃を押収する方向で調整が進められるのでした。
覚せい剤が税関を通過し、諸星とSたちが待機するダミーの会社に運ばれると、梱包された段ボールの中かから大量の覚せい剤が発見されます。その量は20キロではきかず、のべ130キロにも及ぶ覚せい剤が関東の暴力団へと流れることになるのでした。諸星は警察署に戻りそれを上司に報告すると、みな一様に顔を曇らせます。覚せい剤のあまりの多さに、自分たちのしたことの重大さを重く感じているようでした。
そんな上司らの様子を見て、では自分が今までやって来た違法捜査はなんだったのかと諸星は食ってかかります。さらに覚せい剤を車に詰め込み取引のために車で出発した黒岩は、途中で姿をくらましてしまうのでした。
日本で一番悪い奴らの結末
これを受けて関東の暴力団は激怒し、諸星と太郎を拉致していたぶります。命と引き換えに失った拳銃を工面するため、諸星は警察署や自宅を引っ掻き回し、ありったけの拳銃をかき集めるのでした。そして気が動転した諸星は自宅の引き出しから覚せい剤を見つけると、太郎に頼んで注射器で自分に覚せい剤をうってしまうのでした。
さらに諸星は半ば強引にラシードの客を売り、ロシアの密輸船から拳銃30丁を押収させました。これによってロシア人相手に商売をしていたラシードは信用を失い、金も出し渋る諸星に業を煮やして包丁を持って襲い掛かるのでした。
諸星はとうとう夕張の生活安全課に移動になります。平和な農村で裏社会とは無縁の生活を行ない、それでも覚せい剤をやめることのできない諸星はすっかり筋肉も衰えていました。そこへ対策課のかつての上司・岸谷がやって来て、太郎に過去の違法捜査のことを脅迫され500万必要だと相談されます。
諸星は再びススキノを訪れ太郎に会いますが、長いこと自分を放っていた諸星に太郎はなにを今更と断るのでした。妻や子どもと別れ、警察から監視されるような生活を送っていた太郎は、ついに覚せい剤を所持したまま警察へ自首をするのでした。
そして太郎の逮捕によって、覚せい剤をやっていた諸星も逮捕されてしまいます。組織的な違法捜査が明るみになる前に、岸谷は首吊り自殺をし、太郎も牢の中で自殺をするのでした。諸星の元にも弁護士が接見にやって来て、弁護士は「あなたは道警の組織犯罪の被害者だ」と話します。だが諸星は「道警は間違ったことはしておらず、むしろ感謝をしている」と話すのでした。
当初は道警を擁護する供述をしていた諸星ですが、関係者たちの死を知ると道警の組織犯罪を認める供述を始めます。しかし公判では道警の事件への組織的な関与について触れられることはありませんでした。
以上、映画「日本で一番悪い奴ら」のあらすじと結末でした。
「日本で一番悪い奴ら」感想・レビュー
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綾野剛さんがまじめで初々しい警官からどんどん悪に染まっていく過程の演技力がもう圧巻です!!素晴らしいわ・・・どこまで北海道警落ちていくねん??っていう怖さと、綾野剛さんの上り詰めてからの転落の怖さ、そして大胆なエロシーンととにかくお腹いっぱいな内容でした!
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手段と目的が逆転していくさまが見れます。実際に起きた不祥事を基にした映画ということで見ましたが、悪いのは主人公だけなのでしょうか。協力した警察官はお咎めなしで主人公に責任を押し付けた形のように感じました。まさに日本の縮図のようです。
綾野剛の演技が、笑えてくるほど激しいですね。「所属組織への忠誠が度を越すと愚かになる」の見本ですね。それを全身で表現する綾野剛。滑稽で、ひたむきな青年のクライムストーリー。しっかりと没落まで描かれていることで、見応え十分です。