悪なき殺人(別題:動物だけが知っている)の紹介:2019年フランス,ドイツ映画。フランスの山中にある寒村でひとりの女性が謎の失踪後、殺害された。農夫ジョゼフ、ジョゼフと不倫する女アリス、妻のアリスに隠れてネット恋愛をする夫ミシェル、その相手とされるマリオン、そして遠く離れたアフリカで詐欺を行うアルマン。秘密を抱えた5人の男女がひとつの殺人事件を介して絡まり合っていく。フランスの雪深い山間の田舎で起きた事件は遠くアフリカとつながっていた。偶然という必然を目の当たりにし、人間の本能、滑稽さ、運命の危うさの一部始終を描く。東京国際映画祭で観客賞を受賞し、セザール賞では脚色賞と助演女優賞にノミネートされた。
監督:ドミニク・モル 出演:ドゥニ・メノーシェ(ミシェル)、ロール・カラミー(アリス)、ダミアン・ボナール(ジョゼフ)、ナディア・テレスキウィッツ(マリオン)、バスティアン・ブイヨン(セドリック)、ギイ・ロジェ・ビビーゼ・ンドゥリン(アルマン)、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(エヴリーヌ)ほか
映画「悪なき殺人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪なき殺人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
悪なき殺人の予告編 動画
映画「悪なき殺人」解説
この解説記事には映画「悪なき殺人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪なき殺人のネタバレあらすじ:第1章アリス
フランス南部の石灰岩台地が密集する地域、コース高原。吹雪の朝、社会福祉士のアリス(ロール・カラミー)はひとりで暮らす羊飼いのジョゼフ(ダミアン・ボナール)の家を訪ねました。
表向きは保険についての相談でしたが、話はそこそこにふたりは昼間からの情事に耽りました。母親が亡くなってからというもの、ふさぎ込んでいるジョゼフをアリスが励ましているうちに、通じ合う間柄になっていきました。
アリスは放牛業を営む夫のミシェル(ドゥニ・メノーシェ)と病気の父親と3人で暮らしていました。ある日、アリスが帰宅をするとパリからやってきたエヴリーヌ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)という女性がコース高原で行方不明になったというニュースがTVから流れてきました。ミシェルはどこか落ち着かない様子を見せています。
その翌晩、アリスの自宅に憲兵セドリック(バスティアン・ブイヨン)が聞き込みにやってきました。エヴリーヌの失踪にジョゼフの関与が疑われていることを知ったアリスは翌朝急いで彼の自宅へ向かうと、納屋で彼の愛犬が銃殺されているのを発見しました。
ジョゼフは多くを語ろうとはしません。アリスは自分とジョゼフの中を疑ったミシェルが犬を殺害したのではと不安を抱いていました。
悪なき殺人のネタバレあらすじ:第2章ジョゼフ
吹雪の夜の翌朝、ジョゼフは敷地に横たわっていたエヴリーヌの遺体を発見しました。遺体を納屋の奥に運ぶと、見つからないよう安置し、話しかけ添い寝をするジョゼフ。
実は、ジョゼフは自分の母親の遺体もしばらく儀式を行わず、そばへ置いていました。彼はエヴリーヌに亡き母の姿を重ね、遺体を慈しんでいたのです。
しかし、愛犬がその遺体を見て吠えたことで、ジョゼフは射殺。アリスに問われたジョゼフは「誰かに殺された」と言いました。
遺体をさらに安全な場所へ隠すために、ジョゼフはエヴリーヌの亡骸を担ぎ上げ遠く離れた高原部分へやってきました。そして、浸食により深く刻まれた谷へ遺体を突き落とすと、自分も続き谷底へ身を沈めたのでした。
悪なき殺人のネタバレあらすじ:第3章マリオン
エヴリーヌは失踪の数日前まで、南仏の港町セートにいました。
彼女はそこで知り合った20歳年下の若い女性、マリオン(ナディア・テレスキウィッツ)と愛を交わし合っていましたが、ある朝書き置きを残したまま、コース高原の別荘へ発ってしまいました。
その後マリオンはエヴリーヌの後を追い別荘を探し出しましたが、エヴリーヌから夫の別荘であることを理由に泊められないとホテル代を渡され帰されてしまいます。
マリオンは仕方なく、冬のキャンプ場のトレーラーで寝泊まりすることにしましたが、ある日やってきたエヴリーヌに封筒に入った現金を渡され、お金ではなく愛がほしいと激昂します。そんなマリオンに対し、軽い関係でいたいエヴリーヌはマリオンを想いながらも別れを切り出し、車で走り去ってしまいました。
深く傷つき、ベッドに伏せる数日を過ごしたマリオンは、憲兵セドリックの来訪でエヴリーヌが行方不明になっていることを知りました。
その晩に帰る身支度をしていると、見知らぬ男がトレーラーを訪れました。その相手とは、アリスの夫ミシェル。マリオンは近寄ろうとするミシェルを力いっぱいトレーラーから追い出しました。
悪なき殺人のネタバレあらすじ:第4章アマンディーヌ
フランスから5000km離れた西アフリカのコートジボワール、最大都市のアビジャン。
この街でインターネットを使い世界規模で詐欺を行う若者グループのひとり、アルマン(ギイ・ロジェ・ビビーゼ・ンドゥリン)が行っていたのは、なりすましによって相手を疑似恋愛状態に陥らせ、お金をだまし取る犯罪行為でした。
そこでターゲットとなっていたのがミシェル。
アルマンはネット内の膨大な情報の中から得た女性の画像を使って、自らをアマンディーヌと名乗り、チャットで言葉巧みにミシェルを誘惑しました。そして信頼を得ていきながら、金をだまし取られていると不幸を装い、ミシェルから金を搾取していくのです。
しかし、ここで想定外の出来事が起こりました。
ミシェルはたまたま地元で、アマンディーヌに似たマリオンの姿を目にして自分に会いに来たものだと勘違いし、有頂天になってしまいました。
なりすましたアマンディーヌが言う「やばい人たちにお金を借りた」という言葉と、目撃したマリオンとエヴリーヌの修羅場を重ね合わせ、エヴリーヌのことを、アマンディーヌを追い詰める金貸しだと勘違いしたミシェルは、トレーラーから出ていったエヴリーヌを追い、絞殺。遺体を放置したのが、ジョゼフの家の敷地だったのでした。
その頃、アビジャンでも動きがありました。
詐欺グループは警察に摘発され、アルマンの運もここで尽きることに。
アビジャン警察より連絡を受け、犯罪に巻き込まれたことを知ったミシェルは、事実を受け入れることができず、マリオンのトレーラーを訪ねました。そこにいたのは確かにアマンディーヌでしたが、まるで犯罪者を見るような目つきで追い出され、ミシェルは現実を突きつけられました。
アルマンには経済的な理由から別れた妻子がいました。金持ちになって復縁を願っていましたが今となっては叶わぬ夢。妻子を養ってくれるフランス人のもとへ発つ姿を黙って送り出すことしかできませんでした。
そして、彼女が降り立ったのはかつてエヴリーヌが住んでいたコース高原の別荘。養ってくれるのは、エヴリーヌの夫ギョームだったのでした。
以上、映画「悪なき殺人」のあらすじと結末でした。
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