シャイロックの子供たちの紹介:2023年日本映画。『半沢直樹』『空飛ぶタイヤ』『下町ロケット』など数々のヒット作を放つ小説家・池井戸潤の同名ベストセラー小説を阿部サダヲ主演で映画化したミステリー・サスペンスです。とある銀行の支店で現金紛失事件が発生したことをきっかけに、複雑に絡み合う人々の欲望や思惑や浮き彫りになっていく過程を描いた群像劇となっています。タイトルの「シャイロック」は、劇中にも登場するシェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』に登場する強欲な金貸しのことです。
監督:本木克英 出演者:阿部サダヲ(西木雅博)、上戸彩(北川愛理)、玉森裕太(田端洋司)、柳葉敏郎(九条馨)、杉本哲太(古川一夫)、佐藤隆太(滝野真)、渡辺いっけい(鹿島昇)、忍成修吾(遠藤拓治)、近藤公園(高島勲)、木南晴夏(半田麻紀)、酒井若菜(滝野奈緒子)、西村直人(松岡建造)、中井千聖(所ヒカル)、森口瑤子(黒田亜希子)、前川泰之(岡崎法正)、安井順平(堂島俊介)、徳井優(枝幸秀夫)、斎藤汰鷹(滝野翔)、吉見一豊、吉田久美、柄本明(沢崎肇)、橋爪功(石本浩一)、佐々木蔵之介(黒田道春)ほか
映画「シャイロックの子供たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シャイロックの子供たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「シャイロックの子供たち」解説
この解説記事には映画「シャイロックの子供たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シャイロックの子供たちのネタバレあらすじ:起
東京第一銀行・検査部次長の黒田道春は妻・亜希子とともにシェイクスピアの舞台『ヴェニスの商人』を観ながら、自らの過去を振り返っていました。黒田は以前に勤めていた支店のキャッシュボックスからこっそり多額の現金を抜き取り、それを趣味の競馬につぎ込んでいました。
黒田は競馬で得た金を再びボックスに戻ることを繰り返していましたが、ある日検査部の人間にボックスに金を戻すところを見られてしまい、危うく悪行がバレそうになったことから競馬をやめていたのです。
ある日、いつも通りに勤務していた東京第一銀行・長原支店の営業課長代理・西木雅博のもとに、以前に居酒屋で知り合った沢崎肇がやってきました。沢崎は西木に自身の所有する不動産の相続に関する相談のために訪れたのですが、沢崎の所有する不動産は20億円を投じて建てるも耐震偽装が発覚して3分の1以下の価値に落ちてしまった貸しビルや事故物件などいずれもワケあり物件ばかりであり、これには西木も呆れてしまいました。
一方、西木と同じく長原支店に勤めるお客様一課・課長代理の滝野真は、かつて赤坂支店に勤めていた頃の顧客だった石本浩一に呼び出されていました。滝野が向かった先は、石本が以前に住宅販売の大規模プロジェクトを共同で進めていた住宅会社「江島エステート」の事務所でした。
しかし、会社経営者だった江島はプロジェクトが始動した矢先に夜逃げしてしまい、石本の手元には江島エステートの実印と事務所だけが残されたのです。石本は住宅販売プロジェクトの再起動のための運営資金として新たに10億円を融資してほしいと滝野に依頼してきました。石本は偽装した江島の印鑑登録証明書と宅地開発リストを用意し、自ら江島になりすますと提案しました。最初のうちは架空融資だと思って断ろうとした滝野でしたが、石本にある弱みを握られていたことから受け入れざるを得ませんでした。
滝野は早速石本が提案した融資案件を、出世コースから外れた支店長・九条馨と超パワハラで恐れられる副支店長・古川一夫に報告しました。九条は自ら石本と面会し、根回しも行ったことで審査はトントン拍子に進み、江島エステートへの融資は許可されることとなりました。滝野は長原支店内での個人業績トップを表彰されました。
シャイロックの子供たちのネタバレあらすじ:承
ところが融資から3ヶ月が経ったある日、滝野は石本から早くもプロジェクトの資金繰りが苦しくなったと告げられました。石本は現時点では銀行への100万円の利払いができず、来月中に必ず返済するからと至急100万円を立て替えてくれるよう頼んできました。滝野は営業課に入った際、別の取引先に渡す予定だった900万円が入った小包から、こっそりと100万円を抜き取ってしまいました。
この100万円紛失はすぐさま明るみになり、実際に現金を運んだお客様第二課の田端洋司が真っ先に疑われましたが、最終的には長原支店の全銀行員のロッカーが点検されることとなり、営業課の北川愛理のロッカーから当日付の刻印がされた帯封が見つかりました。
北川は口座履歴での入出金が多く、金遣いが荒いと疑われていました。今回の現金紛失は北川の仕業ではないかと疑われましたが、ここは西木が彼女を庇いました。西木は元々北川が苦労人であり、兄弟の学費までも工面していることを知っていたからです。
そして西木もまた、事業に失敗した兄の闇金業者の連帯保証人となっており、莫大な借金を抱えていました。西木は闇金の取り立てから助けてくれた滝野に対し、自分は闇金の取り立てに妻を巻き込まぬよう現在は戸籍上では離婚して別居中であることを明かしました。
翌日もまだ100万円は見つからず、九条や古川、西木ら数名は自らの金を出し合って立て替え、表面上は100万円は見つかったということにしておきました。しかし、未だに北川にかけられた疑いは晴れず、元々北川と不仲であるお客様第二課の半田麻紀は彼女を罵りました。
しかし、北川はその場に居合わせていた西木と共に、帯封に残っている指紋を特定すれば犯人はすぐ分かると提案すると、突然半田は動揺し出しました。半田は他の行員たちが100万円を探している間、たまたま社食で何者かが落帯封を拾い、北川を困らせるために彼女のロッカーに忍び込ませたことを白状しました。西木は社食で帯封を落とした人物こそが現金窃盗の真犯人であると断定しました。
その頃、田端は不在していた滝野の代わりに、江島エステートの事務所へ書類を届けに向かいました。しかし、そこはとても事務所とは言えないボロいアパートでした。滝野は江島エステートは新社屋の完成までこのアパートを間借りしているだけだと説明しましたが、田畑や北川はその説明に納得がいきませんでした。そんな時、西木は支店の全員が現金を探していた際にゴミ箱の中から拾った、江島エステート宛ての100万円の振込受付書を見せてきました。
シャイロックの子供たちのネタバレあらすじ:転
その夜、西木、北川、田畑はあのボロアパートを訪れました。西木らは近隣住民の証言などから、このアパートには最初から江島エステートは入居していなかったことを確認、郵便ボックスには石本名義の郵便物が入っていたことも明らかになりました。
江島エステートの事務所の件は、滝野の上司であるお客様第一課課長・鹿島昇、九条、古川の耳に入りました。滝野は担当者としての責任を問われ、長原支店には黒田ら検査部が立ち入り調査をすることとなりました。
黒田は現金紛失の件、そしてその裏での隠蔽工作の証拠を掴んでいましたが、九条は自分は黒田の弱点を掴んでいることを明かし、架空融資の件はもちろんのこと現金紛失や隠蔽工作などについても御咎めなしとしてもらいました。実はかつて黒田が銀行から金を抜き出し、競馬につぎ込んだことを目撃していたのは当時検査部にいた九条だったのです。
その頃、西木らは江島の印鑑登録証明書が偽造されたものであることを見抜き、今回の件は融資前から仕組まれていたのではないかと考えました。西木らは担当者である滝野から事情を聞こうとしましたが、滝野は黙して語りませんでした。しかし、西木らは江島エステートへの振込受付所の筆跡が滝野のものと酷似しているという事実を突き止めており、今回の現金紛失の真犯人は滝野であることを突き止めていました。
西木らはあのアパートの郵便物の名義人である石本についても調べ上げました。その結果、石本は宅地開発などを手がける会社「赤坂リアルター」の社長であること。かつて石本は赤坂リアルターが開発した宅地に江島エステートが住宅を建てるというプロジェクトを進めていたこと。赤坂リアルターの融資案件はかつて赤坂支店にいた滝野が担当していたことなどの事実を掴みました。西木らは石本が滝野に関する何かの弱みを握っているのではないかと勘ぐりました。
更に西木らは、赤坂支店と赤坂リアルターを結びつけたのは当時この支店に勤めていた九条だったこと、そして九条が銀座の高級クラブで石本を密会していたという証拠を突き止め、今回の架空融資の真の黒幕は九条であることに気付きました。
西木は滝野を伴い、書類上では江島エステートによる住宅建設予定地へと向かいました。そこは何もない野原でした。西木は九条の過去についても調べ上げていました。九条はかつて競馬で大損したことで離婚したこと、今なお元妻に養育費を払っている九条は自身が出世コースから外れても目先の金のために石本と手を組んだのです。
滝野は西木に、石本に握られている自らの弱みについて打ち明けました。滝野は以前に赤坂リアルターへの融資が決定した際に石本から謝礼金を渡され、当時家族のために一戸建てを建てようと考えていたためにその金を受け取ってしまったのです。
どうすればいいのか悩む滝野に、西木は自分の人生は自分自身で決めるよう諭すと、自ら練り上げた九条たちを告発する作戦を開始しました。それは以前に西木が沢崎から持ちかけられた耐震偽装のビルをあたかも優良物件であるかのように装って九条に紹介し、石本に15億円で購入させるというプランでした。
シャイロックの子供たちの結末
西木はあらかじめ耐震偽装がバレないよう根回しし、まんまと沢崎のビルを石本に買わせることに成功しました。これで更なる稼ぎができると大喜びの九条と石本でしたが、折しも耐震偽装に関わった設計士が警察に出頭し逮捕され、このビルの耐震偽装がニュースで報じられたことから、九条と石本は自分たちがまんまとハメられたことに気付きました。
そして滝野は逮捕覚悟で自らの過ちと一連の件の真相を黒田に打ち明け、九条・石本・滝野は警察に逮捕されました。一方の西木は沢崎から謝礼金を受け取り、闇金からの借金を完済しました。
月日が立ち、刑期を終えて出所した滝野は妻子に温かく出迎えられました。黒田は銀行を辞めて転職しました。そして西木もまた銀行を辞め、北川たちの前から姿を消しました。
ある日、北川と田端は舞台『ヴェニスの商人』を観に出かけました。劇場に着いた北川はそこで西木の姿を見かけ、その後を追いましたが、西木はいずこへと姿を消していきました。
以上、映画「シャイロックの子供たち」のあらすじと結末でした。
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