リボルバー・リリーの紹介:2023年日本映画。ハードボイルド作家・長浦京による同名小説を綾瀬はるか主演で映画化したアクションサスペンス作品です。大正時代を舞台に、“映画史上最強のダークヒロイン”といわれる凄腕の元女スパイがある少年を助けたことにより陸軍が絡む壮大な陰謀に巻き込まれていく様を描きます。
監督:行定勲 出演者: 綾瀬はるか(小曾根百合)、長谷川博己(岩見良明)、羽村仁成(細見慎太)、シシド・カフカ(奈加)、古川琴音(琴子)、清水尋也(南始)、ジェシー(津山ヨーゼフ清親)、佐藤二朗(平岡)、吹越満(植村)、内田朝陽(三島中尉)、板尾創路(小沢大佐)、橋爪功(升永達吉)、石橋蓮司(筒井国松)、阿部サダヲ(山本五十六)、野村萬斎(滝田)、豊川悦司(細見欣也)、アフロ(風鈴屋)、鈴木亮平(眼帯の男)ほか
映画「リボルバー・リリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リボルバー・リリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「リボルバー・リリー」解説
この解説記事には映画「リボルバー・リリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リボルバー・リリーのネタバレあらすじ:起
明治時代末期、日本は特殊な戦闘能力を持つスパイを養成する「幣原機関」を台湾に創設しました。この機関出身のスパイの中には、かつて37件の事件に関わり57人を殺害、「幣原機関の最高傑作」とまで称されたひとりの女諜報員がいました・・・。
・・・関東大震災から1年が経った1924年(大正13年)8月27日。秩父の実業家・細見欣也宅に突然陸軍の軍人たちが押しかけました。陸軍大尉・津山ヨーゼフ清親は使用人に欣也の居場所を尋ね、誰もが知らないと言うと軍人たちは欣也の家族や使用人たちを次々と殺戮していきました。ただひとり難を逃れたのは欣也の息子・慎太だけでした。
8月28日。小曾根百合は東京・墨田区の歓楽街・玉の井で仲間の奈加や琴子と共にカフェ「ランブル」を営んでいました。昨日発生した細身一家殺人事件は新聞でも取り上げられ、百合の旧知の人物でかつて欣也に仕えていた筒井国松が犯人とされていました。この事件の裏には何かあると感じた百合はひとり列車に乗って秩父に向かいました。
国松が住んでいた森の中の小屋には無数の銃撃の痕がありました。周囲は陸軍の軍人たちが捜索しているところでした。百合は一旦引き上げようと帰りの列車に乗ったところ、軍人に追われていた慎太を見かけて助けました。慎太は欣也から“あるもの”を託されており、「玉の井の小曾根百合」を頼るよう命じられていました。
百合は慎太を連れて列車から脱出、陸軍の執拗な追っ手から逃げ続けました。百合は愛用の拳銃「S&W M1917リボルバー」を取り出し、陸軍の軍人たちを次々と倒していきました。あえて軍人たちの急所を外すほどの銃の腕前を誇る百合の正体こそが、かつて「幣原機関の最高傑作」といわれた伝説の女諜報員でした。
リボルバー・リリーのネタバレあらすじ:承
百合は電話で「ランブル」常連客である弁護士の岩見良明に連絡を取り、欣也や国松の素性など事件に関することについて調べるよう依頼しました。一方、津山大尉は上司である小沢大佐に、慎太が持っている“あるもの”を回収するよう厳命されました。
慎太が持っている”あるもの”とは、なにやら入金の記録が記された機密文書でした。百合と慎太は津山大尉、そして「幣原機関」での百合の後輩にあたる諜報員・南始に追われ、機密文書を奪われてしまいました。百合と慎太はなんとか「ランブル」に帰り着きました。
岩見は欣也について調べた結果を百合に語りました。欣也は「ランブル」常連客で元陸軍中将の升永達吉と知り合いであり、岩見は升永に会いに行ったところ、偶然にも海軍に勤めていた時の上司だった山本五十六大佐と再会しました。升永は欣也の素性は知らないとしながらも、欣也は陸軍の相談役をしており、陸軍の軍資金の一部を特殊な資産運用に用いていました。
欣也は国家予算の1割に相当する1億6000万円もの大金を上海の銀行の自分名義の口座に預けていました。口座は1年おきに更新しないと預金がすべて銀行のものになるという特殊な契約を結んでおり、次の更新の期限はあと10日でした。
百合は陸軍の狙いは欣也の口座の金を使って新たな戦争を起こすことだと察しました。そんな折、慎太は「ランブル」と繋がりのある地元の運送業者「平岡運輸」の五代目・平岡にさらわれてしまいました。平岡は駆け付けた百合に、陸軍は百合に懸賞金をかけていることを伝え、何やら耳打ちをすると慎太を解放しました。
百合たちが「ランブル」に戻ると、今度は津山大尉や南が率いる陸軍軍人たちが押し寄せてきました。応戦する百合に、実は中国の馬賊の出身である奈加もライフルを構えて加勢しました。百合は負傷しながらもなんとか陸軍を退けることに成功しました。
リボルバー・リリーのネタバレあらすじ:転
口座を更新するのに必要なのは南に奪われた文書ではなく、慎太の指紋、そして暗証番号でした。慎太が文書を入れていた手ぬぐいには暗証番号を解くための暗号文が刻まれており、岩見は早速暗号を解読し、そこからある寺の住所を割り出しました。岩見は翌日に百合たちと待ち合わせすることにし、自らは陸軍と海軍の仲の悪さを利用すべく海軍の山本五十六に相談しに向かいましたが、途中で複数の男に拉致されてしまいました。
岩見が連れていかれたのは、内務省の警備局員・植村のもとでした。植村は岩見に、百合の知られざる過去を打ち明けました。かつて植村の部下だった百合は台湾の地で「幣原機関」のトップだった水野寛蔵という男と愛し合っていました。水野のもとには当時彼に仕えていた国松と奈加の姿がありました。
百合は水野との間の赤ん坊を出産していましたが、ある日水野が不在の間に隠れ家を襲撃され、百合は負傷し、赤ん坊は流れ弾で命を落としてしまいました。百合はスパイを辞め、国松と共に日本に帰国したのです。水野は百合が帰国した後に病死したとされていましたが、植村は水野の病死は「表向き」だとしたうえで、岩見に水野の秘密を打ち明けました。
翌日は関東大震災からちょうど1年でした。待ち合わせの寺に向かった百合と慎太は岩見と合流、寺の人に身分を証明するものを求められました。慎太が家族写真を見せると、百合は欣也の正体が実は水野だったことに気づきました。
暗証番号は慎太の母の骨壺の中にありました。岩見は百合に、水野は死を偽装して「細見欣也」の偽名を名乗っていたこと、水野(欣也)の目的は日本を武力ではなく経済で平和的に統治することだったことを語りました・・・。
・・・事件当時、陸軍の目を逃れた慎太は国松の小屋に助けを求めに行きました。そこに上海に行っていたはずの欣也が現れ、道は全て封鎖されていることを告げました。欣也は慎太に文書を入れた手ぬぐいと愛用の拳銃を託し、百合を頼るよう告げて逃がすと、国松と共に陸軍の追っ手を迎え撃ちましたが、国松は殺され、欣也も自決を選びました・・・。
欣也(水野)の覚悟を知った百合は慎太に欣也の形見の銃を託し、撃ち方を教えると、欣也は命がけで争いのない世界を作ろうとしていたことを語りました。一方、岩見は山本五十六のもとに向かい、慎太と百合の保護を求めました。山本五十六は口座の金は全て海軍が預かると申し出ました。
百合と慎太は約束の時間に海軍に電話をかけました。山本五十六は海軍は迎えに行けないので明日の朝9時までに海軍省に来るよう指示、海軍が保護するのは慎太だけだと告げました。岩見は約束が違うと抗議しましたが、山本五十六は聞き入れませんでした。百合の電話は陸軍によって傍受されており、小沢大佐は海軍省の周りを包囲して何としても慎太を捕らえるよう津山大尉に命じました。
リボルバー・リリーの結末
百合と慎太は海軍省へ向けて出発しました。途中で百合と慎太は津山大尉に遭遇、津山大尉は欣也は腰抜けだったと挑発してきました。慎太は拳銃を構えましたがどうしても撃つことができず、代わりに百合が津山大尉を射殺しました。百合は慎太をこれでよかったと慰め、行きつけの滝田洋装店で真新しい白いドレスに着替えました。百合は全てが終わったら一緒に春風堂のマロングラッセを食べようと慎太と約束しました。
百合と慎太のもとに奈加と琴子が武器を持って駆け付け、二人を援護しました。百合は途中の日比谷公園で南と対峙し、死闘の末に南を倒しました。百合は白いドレスを血に染めながらも慎太と共に走り、ようやく海軍省の門の近くまで辿り着きましたが、そこは既に小沢大佐率いる1000人ほどの陸軍が完全に封鎖していました。
百合は怖気つく慎太に「あなたは生きるのよ」と励ましました。百合は奈加と琴子、そして山本五十六から銃を借りた岩見と共に必死の援護射撃を繰り広げ、重傷を負いながらも戦い続けました。そして慎太はようやく海軍省の門に辿り着き、山本五十六は小沢大佐に陸軍が海軍に銃を向けるとは何事かと一括しました。小沢大佐はやむなく撤収せざるを得ませんでした。
山本五十六は百合に10年は開戦を遅らせること、その間に戦争を回避して日本が生き残れる道を探すことを約束しました。百合はその場を後にし、慎太は海軍に保護されました。一方、小沢大佐は陸軍省に電話して事態の収拾を図りましたが、現れた平岡が小沢大佐を射殺し、陸軍に「小沢大佐は作戦失敗の責任を取って自決した」と伝えました。
事件から半年後、慎太は海外へ留学することになりました。百合は慎太と共に約束の春風堂のマロングラッセを食べ、慎太は父との約束を果たすためにしっかり勉強して戻ってくると百合に伝えました。
それからしばらくして、百合は岩見と共に列車に乗っていました。岩見は内に秘めていた想いを百合に打ち明けようとしたその時、片目に眼帯をした謎の男が拳銃を手に百合の前に現れました。百合はすかざず拳銃を取り出し、男に向けて発砲しました。
以上、映画「リボルバー・リリー」のあらすじと結末でした。
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