種まく旅人 ~くにうみの郷~の紹介:2014年日本映画。2012年に公開された「種まく旅人 みのりの茶」に続くシリーズ第2弾。農業や漁業に従事する人々をテーマに描いた作品で、兵庫県の淡路島が舞台。アメリカ帰りの主人公の農林水産省官僚・神野恵子を演じるのは栗山千明。そして父親の死がきっかけで何年も仲違いしている兄弟は、桐谷健太と三浦貴大が演じる。
監督:篠原哲雄 出演:栗山千明(神野恵子)、桐谷健太(豊島岳志)、三浦貴大(豊島渉)、谷村美月(桜井麻衣)、音月桂(ハル)、重松収(桜井)、根岸季衣(豊島志津子)、山口いづみ(尾形)、永島敏行(太田)、豊原功補(津守泰一)、ほか
映画「種まく旅人 くにうみの郷」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「種まく旅人 くにうみの郷」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
種まく旅人 ~くにうみの郷~の予告編 動画
映画「種まく旅人 くにうみの郷」解説
この解説記事には映画「種まく旅人 くにうみの郷」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
種まく旅人 くにうみの郷のネタバレあらすじ:起
高速船で瀬戸内海に浮かぶ島・淡路島へやってきた農林水産省の地域調査官・神野恵子(栗山千明)。アメリカから呼び戻された恵子は、日本の政策に携われるとばかり思っていました。しかし上司の太田(永島敏行)から日本の現状を知るよう言われ、淡路島へとやって来たのでした。
島に着いた恵子を淡路島市役所の農林水産部の男性職員二人が出迎えてくれます。男性職員の案内で、まずはいざなぎ神宮を参拝する恵子。しかし神社に全く興味がない恵子は、お払いの途中で抜けだしてしまい、その後ホテルへ到着すると、早速淡路島についてリサーチを始めました。
翌日、市役所を訪れた恵子はベテラン職員の津守(豊原功補)の案内で、漁業組合長の桜井(重松収)が営む海苔の養殖場を訪れます。従業員の豊島渉(三浦貴大)の案内のもと、海苔の養殖を見学する恵子。「大変そうですね。仕事を辞めたいと思ったことは?」と、思ったことをストレートにずけずけと恵子は話します。そんな彼女の配慮に欠けた物の言い方が、渉の反感を買ってしまい、「何なんだよあんた、何も知らないくせに偉そうなこと言って!」と怒らせてしまいました。
その後、組合長が海苔の色落ちについて恵子に説明します。昔は土砂などが海に流れることで、逆にそれが海の栄養となっていました。しかし今では、海がきれいすぎて栄養がなく海苔も育ちません。帰り道、津守は恵子の暇つぶしに自分たちが振り回されて迷惑だと言います。「自分は使命を持って淡路にきた」と言う恵子に、「これまでもあなたのような偉い人が何人来ても、何も変わらなかった」と津守は怒り、険悪な空気が流れます。そこへ、一本の電話がかかってきました。
種まく旅人 くにうみの郷のネタバレあらすじ:承
その日の夜、恵子は地元の物を使った創作料理を出す店に電話で呼び出されます。そこでは、農家の男性が嫁探しのために合コンを開いていました。女性が一人足りず急遽呼ばれた恵子は、タマネギ農家の豊島岳志(桐谷健太)と知り合い、翌日に岳志の畑を見学に行くことになりました。
広大な土地を見学し、その後岳志の家へ行って玉ねぎ料理いただきました。岳志の家では曽祖父のころから玉ねぎを作り、80年続き岳志の代で四代目となります。一度は東京の広告会社に就職したものの、父親の死をきっかけに島に戻ってきた岳志は、この年からブランド野菜を特定のルートで販売することを目指し、仲間と共に新ビジネスを始めようとしていました。
ふと家の中を見渡すと、岳志と渉が一緒に映る写真があり、二人が兄弟であることを知った恵子。その帰り道、スーパーに立ち寄った恵子は、合コンにいた川村と偶然再会します。川村と岳志は幼なじみで、渉のこともよく知っています。
数年前まで父親を手伝い農業をしていた渉ですが、ある日家を出て漁業にたずさわるようになります。もともと持病のあった父親は脳溢血で倒れてしまい、畑で見つかった時にはもう手遅れで、そのことで岳志と渉とが喧嘩となり、二人は三年間も口もきいていません。
種まく旅人 くにうみの郷のネタバレあらすじ:転
翌日、早朝に漁港を訪れた恵子は、海苔の養殖を手伝いたいと渉に頼みます。実際に海苔の養殖を体験することとなったのですが、船は大きく揺れて船酔いした恵子は結局何もできず終わってしまいました。そこへカンカンに怒った津守がやってきます。部長の許可も得ずに、勝手に海苔の養殖を手伝った恵子。何かあれば自分のせいになるので、大人しくしておけと言われました。しかしそんなつもりのない恵子は、次に岳志の畑へ行って玉ねぎの苗植えの手伝いをします。恵子の祖父は農家で、祖父が亡くなるとその土地は売りに出され、悲しい思い出があることを語る恵子。
翌日からも海苔の養殖を手伝う恵子は、就業時間中にもかかわらず居眠りしてしまい、津守は心配になります。毎日のように海苔の養殖を手伝っている恵子を次第に渉は認めるようになっていましたが、波の高い日は危ないので恵子は船に乗せてもらえません。船に乗せてもらえず海を見ていた恵子はこの日、組合長から「かい堀り」について話を聞きました。そこで、さっそくかい堀りについての資料を調べることにした恵子。
かい堀りとは、農閑期の冬場に農業用のためのため池の水を抜き、天日に干して堆積した土砂や草を取り除くことです。ため池を維持するには欠かせない作業で、昔は岳志の父親の指揮のもと行われていました。しかし15年ほど前から行われておらず、恵子は昔に津守が書いた「かい堀り再始動計画」を見つけます。津守の企画書は通りませんでしたが、恵子はもう一度この企画に挑戦してみようとすすめます。かい堀りの重要性をとく恵子ですが、「一か月やそこらで分かった気になるな!」と、津守に怒られてしまいました。
この日も船に乗せてもらえない恵子は、どうしても海苔の成長が見たくなり、自力で海に入って海苔の様子を見ようとします。渉が助けてくれたので何とか無事でしたが、真冬の海は冷たく無茶をして周りに迷惑をかけてしまった恵子に、部長は「もう海には近づくな」と忠告します。恵子も渋々それを承諾しますが、渉が「最後まで海苔がどうなるのか見なくていいんですか?」と言い、津守や組合長の後押しもあって、恵子は再び海苔の養殖に携われることになりました。そして海苔の成長を確認し、商品として出来上がるまでの工程を見ることができた恵子。
恵子は海が豊かになる方法はかい堀りにあると渉に説明し、渉から兄の岳志に頼んでほしいと話します。しかし渉は拒否します。その翌日も、渉にかい堀りのことを頼む恵子。何とか説得して、津守と渉と岳志のもとを訪れました。岳志は渉を見るなり機嫌を悪くして、まともに話をすることもできません。「かい堀りをしてほしい」と恵子と津守で頭を下げ、渉も説得しようとしますが、「畑を捨てた人間のくせに」と言われてしまい、父親が亡くなったのは渉のせいだと再び兄弟喧嘩が始まってしまいました。
種まく旅人 くにうみの郷の結末
かい堀りを断られた恵子ですが、諦めきれず企画書を作ります。かい堀りには人手が必要ですが、そこを何とか実行に移すべく漁業関係者に話をするなどして、部長にも企画を通してほしいと頼む恵子と津守。「この大仕事が終われば、自分は東京に帰って淡路に恩返しがしたい」と熱心に話す恵子を見て、部長もついに了承してくれました。
そこへ、岳志たちが作っていたレタスの大口契約先の会社が倒産したと連絡が入ります。せっかく作ったレタスを処分する必要のある岳志。未回収の金もあり、岳志は独占で契約していた自分の考えが甘かったのだと反省します。このことで新ビジネスのための融資も危うくなり、仲間割れが始まりました。「三年間自分のとった行動は何だったのか…」と後悔し、自暴自棄になる岳志のもとへ渉がやって来ました。
渉は組合長の娘・桜井麻衣 (谷村美月)と結婚を考えていると話し、農業から漁業へ移ったのはその理由があったからだと説明します。そして父親は、自分よりも兄である岳志に農業を継いでほしいと考えていたと伝える渉。渉が必死で岳志に話しかけますが、今は自分のことで精いっぱいで、岳志は聞く耳を持ちません。
後日、岳志のもとを訪れた恵子は、次の週の日曜にかい堀りをするので来てほしいと頼みます。しかし岳志は淡路を離れて東京に戻ることを決めていました。その夜、「自分が後を継いだせいで畑を手放すことになり、申し訳ない」と母親に謝る岳志。しかし母親は岳志が淡路に戻ってきて、畑を耕してくれただけで親孝行だったと話し、「無理をさせて申し訳なかった」と逆に謝られます。そして「これからは自分のやりたいことをしなさい」と、母親は岳志を励ましました。
日曜になり、かい堀りを行う日になります。この日島を出るために港へ行った岳志ですが、しばらく考えたのちにかい掘りに参加することにします。仲間と共に池の底にたまった泥を洗い出し、仲間たちとも仲直りをすることができました。その夜、久しぶりに岳志と渉が実家に集い、二人で酒を酌み交わします。「もう一度、農業に挑戦しようと思う」と話す岳志。仲たがいしていた兄弟が昔のような関係に戻り、母親は仏壇に向かい笑顔で手を合わせました。
かい堀りが成功し、恵子が東京へ帰る日がやって来ます。しかしまだまだ淡路に残って調査したいと、上司の太田に申し出る恵子。上司から許可を得た恵子は、これからも淡路で調査を続けると笑顔で部長や津守に報告するのでした。
以上、映画「種まく旅人 ~くにうみの郷~」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する