トキワ荘の青春の紹介:1996年日本映画。昭和40年代、手塚治虫を筆頭に後に日本の漫画界を牽引する存在となった巨匠たちが若き日を過ごした伝説のアパート「トキワ荘」。彼らの青春の日々を幻の漫画家 寺田ヒロオの視点から、史実とフィクションを織り交ぜて描いた青春映画です。2021年2月にはデジタルリマスター版の上映も決定しています。
監督:市川準 出演者:本木雅弘(寺田ヒロオ)、鈴木卓爾(安孫子素雄)、阿部サダヲ(藤本弘)、さとうこうじ(石森章太郎)、大森嘉之(赤塚不二夫)、古田新太(森安直哉)、生瀬勝久(鈴木伸一)、翁華栄(つのだじろう)、松梨智子(水野英子)、北村想(手塚治虫)、安部聡子(石森の姉)、土屋良太(つげ義春)、柳憂怜(棚下照生)、桃井かおり(藤本の母)、原一男(加藤謙一)、向井潤一(本多)、広岡由里子(学童社事務員)、内田春菊(娼婦)、きたろう(丸山)、時任三郎(寺田の兄)ほか
映画「トキワ荘の青春」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トキワ荘の青春」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
トキワ荘の青春の予告編 動画
映画「トキワ荘の青春」解説
この解説記事には映画「トキワ荘の青春」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トキワ荘の青春のネタバレあらすじ:起
昭和40年代。駆け出しの漫画家・寺田ヒロオ(本木雅弘)は、伝説のアパート「トキワ荘」に住んでいました。寺田の部屋の向かいには“マンガの神様”と称される大物漫画家・手塚治虫(北村想)が住んでおり、他にも著名な漫画家たちも入居していました。
寺田は「学童社」などあちこちの編集部に描き上げた漫画の原稿を持ち込む日々を送っていましたが、編集者からは漫画の冴えなさを散々ダメ出しされては描き直しを要求されるばかりでした。寺田もまた自身の描く漫画の方向性こそ定まってはいませんでしたが、子供たちのことを考えた漫画を描きたいと常に願っていました。
そんなある日、「トキワ荘」に手塚を頼って漫画家コンビ「藤子不二雄」の安孫子素雄 [後の藤子不二雄A](鈴木卓爾)と藤本弘 [後の藤子・F・不二雄](阿部サダヲ)がやってきました。あいにく手塚は留守だったので、寺田が田舎から出てきた二人のために食事をご馳走してやり、あれこれと東京での暮らしについてアドバイスしてあげました。やがて手塚は別の作業場に引っ越していき、その空き部屋に「藤子不二雄」の二人が入居することになりました。
時を同じくして、「トキワ荘」には漫画家の登竜門である少年漫画誌「漫画少年」に投稿していた石森章太郎 [後の石ノ森章太郎](さとうこうじ)、赤塚不二夫(大森嘉之)、森安直哉(古田新太)、鈴木伸一(生瀬勝久)といった面々が次々と集まり住むようになっていきました。
トキワ荘の青春のネタバレあらすじ:承
貧しい生活を送る駆け出しの漫画家たちが頼るのは、決まって先輩格の寺田でした。やがて寺田をリーダーとし、「藤子不二雄」の二人、石森、赤塚、森安、鈴木に加えて、よく「トキワ荘」に遊びに来ているつのだじろう(翁華栄)を加えて「新漫画党」を結成しました。
「新漫画党」の面々は、寺田尾部屋に各々に酒を持ち寄って集い、漫画について議論を重ねたり情報交換したり、全員で合作の漫画を描くなどして親交を深めつつ、切磋琢磨していきました。
そうしているうちに、「藤子不二雄」や石森も徐々に連載の仕事が舞い込むようになり、次第に人気漫画家への道を歩き出していきました。そんな矢先、漫画家の登竜門とも言える「漫画少年」の発行元である「学童社」が倒産してしまいました。「新漫画党」の面々はこの知らせに愕然とし、今後の先行きに不安を抱き出しました。
かねてから漫画とアニメーションの両方で活動していた鈴木は、これを機にアニメーター一本で勝負することを決意、「トキワ荘」から去っていきました。残された面々はこんな時こそ踏ん張って漫画を描き続けようと、決意を新たにしました。そうしているうちに「藤子不二雄」や石森は、あちこちに連載を抱える売れっ子へとなっていき、寺田にも徐々にいくつかの少年誌への連載話が舞い込むようになっていきました。
トキワ荘の青春のネタバレあらすじ:転
漫画の人気はより一層高まっていき、「新漫画党」の面々の中には多忙により会合に参加できない者と、中々目が出ずにくすぶる者とに二分化されていきました。特に赤塚は石森のアシスタントをしながら漫画を描き続けていましたが、中々ブレイクせずに不貞腐れ始めて行きました。寺田はそんな赤塚の面倒を見つつ、マイペースで漫画を描き続けていました。
「新漫画党」の面々はより一層多忙になっていき、もはや会合も開けないほどになっていきました。同志たちは次々とヒット作を生み出していくなか、とうとうスランプに陥ってしまった赤塚は、自分の本当にやりたい方向性すら見失ってしまい、自分よりも年下の編集者から漫画をこき下ろされては寺田に愚痴をこぼす日々を送っていました。
やがて赤塚は、編集者からいよいよ自身の進退を考えるように迫られ、寺田もまた時代の目まぐるしい変化についていけなくなっていきました。寺田は編集者から自分の意思を曲げてでも売れる漫画を描くよう要求されていましたが、寺田の描くものはどうしても心優しい彼自身を反映したかのような、真に子供たちに向けた優しい漫画ばかりでした。
トキワ荘の青春の結末
寺田が自分の方向性に思い悩んでいるところに、思いつめた表情の赤塚が相談しにやってきました。赤塚は漫画家を引退するかどうか悩んでおり、寺田は自分も大変な時であるのにも関わらず、赤塚の漫画に目を通してアドバイスを送りました。赤塚は自分が描きたいテーマを絞ることにし、やがてギャグマンガの才能を見出されて大ブレイクを果たすこととなりました。
その一方で、理想と現実とのギャップに思い悩んでいた森安がとうとう夢を諦め、ひっそりと「トキワ荘」から去って行きました。森安が去った後、寺田は本格的に自分の進退について考え始めました。寺田は相変わらず自分自身に嘘をついてでも面白い漫画を描けと迫る編集者の要求に応えられなくなっていきました。
やがて「トキワ荘」の面々は次々とブレイクを果たし、連日のように出版社の担当編集者がひっきりなしに訪れるようになると、いたたまれなくなった寺田は次第に不在でいることが多くなっていきました。
ある日、赤塚が音頭を取り、久々に「新漫画党」の面々が寺田の元に集まりました。彼らは多忙の合間を縫って兄貴分である寺田を励まそうとしたのであり、寺田もかつて彼らと切磋琢磨した日々を思い出しつつ楽しいひと時を過ごしました。寺田が「トキワ荘」から去っていったのは、それから程なくしてのことでした。
以上、映画「トキワ荘の青春」のあらすじと結末でした。
昭和のトキワ荘の雰囲気が伝わる映画です。
タバコの煙とか夏の暑さとか汗とか冬の寒さが伝わってくる気がしました。
漫画家に詳しくなくて誰が誰かわからないところもあり、自分で調べたあとにまた見たくなりました。
俳優さんたちも素敵でした。ずっと残ってほしい作品です。