ある閉ざされた雪の山荘での紹介:2024年日本映画。全員役者、全員容疑者・・・ミステリー・サスペンスの巨匠・東野圭吾が1992年に発表した同名小説を重岡大毅(WEST.)の主演で映画化したミステリー作品です。外部とは遮断された山荘に集められた7人の劇団員。「吹雪の山荘」という仮想の状況下で舞台練習を強いられた劇団員でしたが一人、また一人と行方不明になっていき・・・。
監督:飯塚健 出演者:重岡大毅(久我和幸)、中条あやみ(中西貴子)、岡山天音(田所義雄)、西野七瀬(元村由梨江)、堀田真由(笠原温子)、戸塚純貴(雨宮恭介)、森川葵(麻倉雅美)、間宮祥太朗(本多雄一)ほか
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」解説
この解説記事には映画「ある閉ざされた雪の山荘で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ある閉ざされた雪の山荘でのネタバレあらすじ:起
【1日目】
実力派の劇団「水滸」の劇団員である中西貴子、田所義雄、元村由梨江、笠原温子、雨宮京介、本多雄一の6名は目隠しをされてバスに乗せられ、山荘「Shiki」に連れていかれました。この山荘には唯一「水滸」の所属ではなく、オーディションで選ばれたという俳優志望の久我和幸がいました。
「水滸」の6名と久我は「水滸」の演出家・東郷陣平からの招待状によってこの山荘に集められ、これから4日間にわたって次回作のメインキャストの最終選考のための合宿をすることになっていました。
7人はそれぞれの宿泊部屋を決め、元村と笠原は相部屋、他の5人はそれぞれ個室となりました。やがて17時、食堂に集まった7人のもとに東郷からのメッセージが流れてきました。東郷は「舞台設定」として「ここは大雪で外部と遮断された山奥の山荘で、外に出たら凍死する」「これからある事件が起き、事件を解決した者は次回の主役のチャンスが平等に与えられる」と告げました。山荘の至るところに監視カメラが設置され、携帯電話は一括管理されて外部との連絡は禁止、指示に従わない者は不合格というルールのもと、最終日(4日目)午前10時を期限とするシチュエーションが幕を開けました。
久我はビデオカメラを持参しており、全員に確認して使用許可を得ました。その夜、一同はレストランでバイトをしていた経験のある久我の作った料理を食べました。笠原は「芝居とは何か」と問いかけると、久我は「殺し合い」と答えました。雨宮はリビングに置いてあったアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」の文庫本7冊見を全員に配り、本の内容は登場人物が一人ずつ殺されていくことから田所はこれが東郷からのメッセージだと思いました。
久我は自分が受けたオーディションの3次選考の際、ずば抜けて優れた演技を見せていた「水許」劇団員の麻倉雅美がなぜか最終選考にいなかったことに疑問を感じ、本多は東郷が求めていたイメージと違ったのだろうと考えました。
笠原は電子ピアノのある部屋でそれを弾いていたところ、中西がやってきました。かねてから中西との関係が良くない笠原は中西が自分と東郷は愛人関係になっていると疑っているのだろうと問うと、中西は主役は自分に内定していたのに公演直前に笠原に決まったことをなじってきました。その様子を久我が見つめていました。その後、一同が思い思いの時間を過ごしていたその時、引き続きヘッドホンをしながらピアノを弾いていた笠原は何者かによってヘッドホンのコードで首を絞められました・・・。
ある閉ざされた雪の山荘でのネタバレあらすじ:承
【2日目】
朝食の時間になりましたが、笠原はいつまで経っても現れませんでした。一同が笠原を探したところ、ピアノの部屋ではヘッドホンのコードが電子ピアノに繋がれたまま落ちていました。そこに東郷の音声メッセージが流れ、「事件設定。笠原はピアノの前で絞殺された。犯人が誰か考察しろ」という状況の設定が与えられました。
一同は殺された役は退場する設定だろうと考え、犯人は前日に笠原と揉めていた中西ではないかと疑いました。しかし、本多はこの中には犯人はおらず外部からの侵入者がいたのではないかと持論を述べました。その後、一同が朝食を食べている間にヘッドホンのコードはいつの間にかピアノから抜かれていました。
玄関にはまだ笠原の靴がありました。外には網で封じられた井戸がありましたが、中には何もありませんでした。その後、久我と中西はピアノの部屋で状況を再現し、コードを二重にした方が力が入るけれども実際に力を入れるとコードがピアノから抜けることを確認しました。久我はピアノからコードが抜けていたのを覚えているか中西に確認しましたが、中西は覚えていませんでした。部屋には笠原の付け爪が落ちており、中西が預かることにしました。
夕食の時間になり、元村はこの状況に疲れたと言い出して部屋に戻りました。雨宮は元村の後を追いました。中西は田所が東郷の脚本のゴーストライターなのではないかと言い出し、田所は東郷に脚本を見てもらっていただけだと否定しました。
久我は本多の部屋に一緒にの泊めてほしいと言い出しました。久我は自分と本多が一緒に泊まることにで犯人の襲撃を防ぐこと、事件が起きた時にアリバイを作るためだと説明しました。そのうえで久我は元村に、自分と本多が一緒にアリバイ作りをした証人になってほしいと頼みました。田所は元村にちょっかいをかけるなと久我に忠告しましたが、久我は元村はどうみても雨宮と付き合っているのではないかと返しました。その夜、久我と本多は手を紐で繋いで寝床に就きました。
田所は元村の部屋に押し入り、雨宮と付き合っているのかと尋ねました。元村は雨宮のことは尊敬しているけど付き合っていないと答えて田所を部屋から追い出したところ突然停電が起き、その間に元村は何者かによって花瓶で頭を殴打されました・・・。
ある閉ざされた雪の山荘でのネタバレあらすじ:転
【3日目】
朝、目覚めた久我と本多は自分たちを繋ぐ紐がハート形にされているのを見ました。久我と本多は互いに犯人ではないと確証しました。元村が姿を表さないことから、一同は元村の部屋を訪ねたところ、部屋には血糊が残されていました。食堂には血の付いた花瓶が置かれていました。
東郷から新たなメッセージが流され、「事件設定。元村は何者かに撲殺されたと推定される。誰が犯人か考えろ」と状況が付与されました。花瓶の血は血糊ではなく本物の血液であり、一同は元村が本当に殺害されたのではないかと考えて周辺を捜索しました。外の井戸には何もありませんでしたが、笠原が着ていたセーターのものと思われる赤い毛糸が蓋の網に付いていました。
中西は笠原の付け爪は彼女が何者かに襲われた際に取れたのではないかと思っており、一連の出来事は状況付与ではなく本当の殺人だとして警察に電話しようとしました。しかし、本多は本当の殺人ならば見ている東郷が通報しているはずであり、ルールは守らねばならないと中西を説得しました。
久我はリビングにこっそりビデオカメラを仕掛けており、夜中にフードを被った謎の人物が元村の死体を引きずっている様子が映っていましたが、人物の顔までは判別できませんでした。久我は自分を含む5人のうち誰かが東郷の芝居に見せかけて笠原と元村を殺したと推理し、一同は状況を中断して警察に通報すべきか、それとも状況を続けるべきかで紛糾しました。
雨宮は選考から降りることにし、荷物をまとめて出ていこうとしました。引き止めようとした本多に、雨宮は笠原と元宮に共通するのは年明けに麻倉と一緒にいたこと、そして自分も一緒だったことを明かし、自分ら3人は3次選考に落ちて実家に帰った麻倉を励ましに行ったところに不慮の交通事故が発生し、事故に遭った麻倉は下半身不随になり役者をできなくなったことを打ち明けました。雨宮は引き続きここに留まることにしました。
久我のもとに中西が訪れ、山荘内に仕掛けられている監視カメラを見ているのは何者なのかと問いかけました。久我と中西は互いに自分たちが犯人ではないことを確認し合い、中西は「今までダメ男ばかりに引っ掛かってきたけど、久我を信じる。役者は嘘をつくのが仕事だから。見てくれるお客さんのために最高の嘘をつく」と言うと部屋から出て行きました。
ある閉ざされた雪の山荘での結末
【4日目】
最終日。選考期限の午前10時になりました。荷物をまとめた久我、中西、田所、本多の4人に東郷からメッセージが託され、「事件設定。雨宮がリビングで絞殺された。最終選考は終了。事件の全容を解いたものは明日稽古場に来い」と告げられました。
久我は自分が仕掛けたビデオカメラの映像を再生し、久我、中西、田所の3人は同じ部屋に泊まっていたことを明かすと、「本多、あんたが犯人だ」と告げました。観念した本多は笠原、元村、雨宮は自分が殺したと発言し、経緯を語り始めました―――。
―――3次選考に落選した麻倉は深く失望し、笠原、元村、雨宮は麻倉を励ますため彼女の実家を訪れました。麻倉は資産家である元宮の父が劇団に大金を寄付したか、それとも笠原が東郷と寝たのではないかと疑って揉み合いとなり、止めようとした雨宮はテーブルの熱いお茶が右目にかかってしまいました。
笠原、元村、雨宮は一旦車に戻りました。笠原は麻倉に電話をかけ、まだ視力の戻っていない雨宮が運転中に事故を起こしたと嘘をつきました。それを真に受けた麻倉は道路上で立ち尽くし、走ってきた車に撥ねられたのです。病院に見舞いに行った笠原、元村、雨宮は本多からなぜこんなことになったのか責められました。本多は人生に絶望した麻倉に自分が彼女の足になると言うと、麻倉は「簡単に言わない方が良い。私が“殺して”と言ってもできないでしょ」と言い返しました。そして合宿の最中、本多はピアノを弾いていた笠原の首をヘッドホンのコードで絞め、元村の頭を花瓶で殴り、リビングにいた雨宮の首を絞め殺したのです―――。
―――話し終えた本多に田所が殴りかかりましたが、久我は田所を止めると盗聴器を見せ、衝撃の事実を明らかにしました。「目撃しているのでしょ、麻倉雅美さん。そこに行きます」
久我たちはピアノの部屋に行くと、壁の一部がマジックミラーになっており、その向こうは隠し部屋となっていました。そこには車椅子姿の麻倉がおり、山荘内の監視カメラのモニターが置かれていました。そして久我は「3人殺しても誰も逃げ出さない設定はここでしかできない。共犯者というか“共演者”がいた」と告げ、実は本多は人殺しはしていないと明かしました。そしてその場に殺されたはずの笠原、元村、雨宮が現れました。三人は改めて麻倉に謝罪しました。
久我は一連の件は“三重構造”になっていると推理を明かしました。一つ目の構造は東郷の最終選考、二つ目の構造は選考を隠れ蓑にして、本多が麻倉のために三人を殺すこと、そして三つ目の構造とはどうしても三人を殺せない本多が麻倉と組んで“殺す芝居”をすることにし、東郷の声を捏造したうえで三人に独自の台本を渡して“殺人の芝居”をしてもらうことにしたことでした。三人はそれぞれ芝居を演じ、花瓶に付いていた血は本多の血だったのです。
全てが明らかになった麻倉は隠し持っていたナイフで自決しようとしましたが、本多に止められました。本多は麻倉に生きてくれと頼み、久我は前の劇団が潰れて役者を辞めようと思い、最後にこのオーディションを受けた際に麻倉の台詞「滑車と歯車の違い分かる? 自分で回るか転がされるか。自分の人生くらい自分でこじ開ける」を思い出し、もう一度頑張ろうと思い直したことを打ち明けました。そして久我たちは全員で麻倉に生きてくれと頼み、本多は「芝居は殺し合いじゃない。生かし合いだ」と言いました―――。
―――そして舞台「ある閉ざされた雪の山荘で」は公演の幕を開けました。麻倉も車椅子に乗ったまま舞台にたち、久我たちの熱演に会場からは拍手が送られました。そしてカーテンコールを迎え、久我たちは再びステージへと上がっていきました。
以上、映画「ある閉ざされた雪の山荘で」のあらすじと結末でした。
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