トゥルーノースの紹介:2020年日本,インドネシア映画。北朝鮮の強制収容所に突然放り込まれた家族の地獄のような日々と、かすかに見える希望にすがって生きる姿を描いています。在日4世である清水ハン栄治監督が10年もの期間をかけて完成させました。各国の映画賞を獲得するなど評価が高い作品です。
監督:清水ハン栄治 声優:ジョエル・サットン、マイケル・ササキ、ブランディン・ステニス、エミリー・ヘレス、ほか
映画「トゥルーノース」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トゥルーノース」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
トゥルーノースの予告編 動画
映画「トゥルーノース」解説
この解説記事には映画「トゥルーノース」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トゥルーノースのネタバレあらすじ:起
「これは私の家族の話だ」
一人のアジア人男性が登壇し、彼の今日に至るまでの話を語り始めました。
北朝鮮に生まれたヨハン。党員である父と母と妹の4人家族で暮らしています。ある夜、母と妹と過ごしていたヨハンの前に憲兵が押し入ってきました。家中を荒らし回り、やがて母子3人は捕らえられてしまいます。
同じように捕らえられた人達と一緒にどこか分からない収容所のような所に連れてこられます。狭い部屋に連れて来られたヨハン達は、そこで重労働を強いられてしまうのでした。
そこは逆らうことが出来ない地獄のような場所。飢えて死にそうになりながらも土地を開墾するなどのきつい労働を課せられるヨハン達。上官の関係者達の羨むような生活を悔しさをあらわにするヨハンでしたが、今の生活でも健気に生きようとする母と妹を見て、ヨハンは泣かずにただひたすら生きてやろうと誓うのでした。
トゥルーノースのネタバレあらすじ:承
周りの収容者は飢えや病気で次々と倒れていき、時にはご法度である妊娠をしてしまった事で、見せしめに処刑されたりしたのです。そんなある日、あまりの飢えに我慢できなくなったヨハンは何か食べるものを探しに家を飛び出しました。
そんな時にヨハンは、同様に食料を探していた孤児と出会います。その後、仲良くなったヨハンと孤児は行動を共にする事が多くなりました。
それから9年の月日が過ぎました。地獄のような生活は変わらぬままでした。しかしヨハンの母は常に人のために生きていて、苦しむ人を放っておけない優しい人だったのです。ヨハンはそんな優しい母を誇らしく思い、自らもそうありたいと考えていましが、そうも言えない事態が起きたのです。
妹が病気になってしまいました。栄養のある物を食べないと元気にならない、そう考えたヨハンは孤児と食料を探しに出かけます。そこでヨハンは同じく病気の妻を元気にしようと、老人がウサギ小屋からウサギを盗んでいる所を目撃してしまいます。
一度はそれを見逃したヨハンでしたが、ウサギ泥棒を捕まえた者に褒美が出ると聞いて老人の事を密告しました。ヨハンは妹のための食料を手に入れ、そのおかげで監視役という大役を手に入れたのです。
周りからの軽蔑の声もありましたが、生きるためだから仕方ないとヨハンは周りの声を封印することにしました。以降、ヨハンの生活は改善するかのように見えましたが、とんでもない事が起こったのです。
トゥルーノースのネタバレあらすじ:転
ヨハンの密告により処刑されてしまったウサギ泥棒の老人の妻がヨハンを恨み、ヨハンの母を刺してしまったのです。重症を負った母の回復の見込みは低く、すでに助からない状態でした。
病床の母はヨハンと妹を呼び「誰が正しいのではなく、誰になりたいのか。それが問題なの。それを考えなさい」そう告げた母は帰らぬ人になってしまいました。ショックを受け自暴自棄になってしまったヨハン、仕事にも身に入らなくなってしまいミスを連発したことから、せっかくの監視役の任も解かれてしまいます。
母は亡くなってしまいましたが、妹は母に似て美しく優しい娘に成長していました。しかも妹は今やヨハンの親友と言える孤児と両思いだったのです。そこに同じく妹を気に入った収容所のリーダー格の憲兵が横やりを入れてきました。
その事を孤児は知っていましたが、何もすることが出来ない孤児は段々と反抗した態度が目立つようになってしまい、目をつけられた孤児は完全統制区域に送られてしまいます。
トゥルーノースの結末
そこで拷問に次ぐ拷問を受けた孤児は足を折られてしまい、片足が不自由になってしまいます。拷問を終えた孤児は地下牢に閉じ込められますが、そこで一人の男と出会います。それは死んだと思われていたヨハンの父親でした。
ヨハンの父親はヨハンや家族への思いを孤児に語ります。そして完全統制区域から奇跡的に出る事ができた孤児は、ヨハンの元に戻り、父親の思いを伝えました。
孤児が完全統制区域にいる間、ヨハンは坑道を掘る重労働についていましたがそこで密かに坑道を使った脱走を計画していたのです。トロッコを使い収容所の外に出る、用意周到に準備された計画、しかしトロッコには二人しか乗れません。
憲兵の子供を妊娠していた妹はこのままだと処刑されてしまう、逃げるのはヨハンと妹がこの脱走劇に参加することになりました。
4月15日の太陽節、憲兵も含め多くの人がパーティーに参加し警備が薄くなるその時を狙ったのです。そして実行当日、計画は順調に進み、いよいよトロッコに乗り込もうとします。妹の幸せを考えたのでしょう。ヨハンはトロッコに乗らず孤児と妹をトロッコに乗せ、収容所の外へと走らせました。
場面は冒頭、男が登壇しているシーン。そう、登壇し自らの体験談を語っていた男はヨハンではなく孤児だったのです。客席では妹があの時身籠っていた子供と共に、父親である孤児を誇らしげに見守り微笑んでいました。
以上、映画「トゥルーノース」のあらすじと結末でした。
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