漁港の肉子ちゃんの紹介:2021年日本映画。直木賞作家・西加奈子の同名ベストセラー小説を、原作に惚れ込んだ明石家さんまが自ら企画・プロデュースを手掛けて映画化したアニメーション作品です。とある漁港で船上生活を送る、ちょっと訳アリな母娘の姿を笑いあり涙ありで描いたハートフルコメディです。主人公をさんまの元妻である大竹しのぶ、主人公の娘を木村拓哉の長女Cocomiが演じ、『鬼滅の刃』で主演声優を務めた花江夏樹などが出演しています。
監督:渡辺歩 企画・プロデュース:明石家さんま 声優:大竹しのぶ(肉子ちゃん)、Cocomi(キクコ)、花江夏樹(二宮)、中村育二(サッサン)、石井いづみ(マリア)、山西惇(ゼンジ)、八十田勇一(水族館のおじさん)、下野紘(ヤモリ/トカゲ)、マツコ・デラックス(ダリシア)、吉岡里帆(みう)、明石家さんま(明石家さんま)ほか
映画「漁港の肉子ちゃん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「漁港の肉子ちゃん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
漁港の肉子ちゃんの予告編 動画
映画「漁港の肉子ちゃん」解説
この解説記事には映画「漁港の肉子ちゃん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
漁港の肉子ちゃんのネタバレあらすじ:起
肉子ちゃん(大竹しのぶ)は38歳。その名の通り、まるで肉の塊のように堂々と太った体格の持ち主です。肉子ちゃんは小学5年生になる一人娘のキクコ(Cocomi)と二人暮らしです。おおらかで愛情深い肉子とは裏腹に、やせ細った体格のキクコはしっかり者で大人びた性格の持ち主。周囲からは不釣り合いな親子と思われていました。
肉子ちゃんはこれまで数多くの恋を経験してきました。しかし、今まで出会った男たちはいずれもダメ男ばかりで、肉子ちゃんは何度も騙されては借金を背負わされ続けてきました。肉子ちゃんはその度にせっせと働いて借金を返し、恋が終わると共にキクコと共に他の土地に流れ着くという日々を送っていました。
今から3年前のこと。日本中を放浪していた肉子ちゃんは小説家を名乗る男と出会いました。男は定職に就かず、家で売れない小説ばかりを書いていましたが、他のダメ男たちとは違って肉子ちゃんに金を無心することはありませんでした。肉子ちゃんとキクコはようやく安住の地を見つけたかと思いましたが、ある日突然その男は「故郷で死ぬ」との置き手紙を残して行方をくらましてしまいました。
肉子ちゃんは男の故郷はとある北の小さな港町ではないかと思い、キクコを連れて港町に流れ着きました。しかし、結局男を見つけることはできず、途方に暮れた肉子ちゃんとキクコは近くにあった焼肉屋「うをがし」で食事を採ることにしました。
「うをがし」の店主・サッサン(中村育二)は妻に先立たれたことをきっかけに店を畳もうと考えていました。しかし、サッサンは来店してきた肉子ちゃんを“肉の神様”だと思い込んでしまい、行くあてのない肉子ちゃんを「決しておなかを壊さないこと」を条件に雇うことにしました。サッサンは自分が所有している漁港の船を母娘の住処として提供し、肉子ちゃんとキクコはこの港町で新たな生活を始めました。
漁港の肉子ちゃんのネタバレあらすじ:承
キクコは地元の小学校に転入しました。キクコは大阪暮らしの長かった肉子ちゃんの影響で普段は大阪弁ですが、流れ着いた土地の言葉をすぐ使いこなす器用さを持っていました。
キクコは運動神経の良さや可愛らしいルックスからすぐこの町の暮らしに溶け込みました。そんなキクコも時にはつい大阪弁で思ったことを口に出してしまう癖があり、肉子ちゃんのことは大好きなのですが町の人々からロシアの民芸人形“マトリョーシ”のようだとと噂される肉子ちゃんのことを最近少し恥ずかしがるようになっていました。
この頃からキクコは、同じクラスの女子グループの間で勃発したやっかいな抗争に巻き込まれるようになっていました。キクコは転校した当時、地元の金持ちの娘・マリア(石井いづみ)に親切にしてもらっていましたが、抗争をきっかけにマリアとも気まずいムードになってしまいました。
キクコの学校には、孤独を抱える風変わりな同級生の少年・二宮(花江夏樹)がいました。ある時、キクコは肉子ちゃんに連れられて水族館行きのバスに乗ったのですが、たまたま同じバスに乗っていた二宮が時折様々な表情を見せているのが気になりました。
二宮のことが気になっていたキクコは、思い切って二宮にバスでどこに行っていたのか尋ねました。すると二宮は、水族館よりひとつ先のバス停にある公共センターで模型作りをしていることを明かしました。
二宮は自分の意志とは関係なしに突発的に顔を動かしてしまう癖があり、心配した両親は彼が何かに集中すれば症状を抑えられるのではないかと考えて模型作りを勧めたのです。二宮は作っている最中の模型をキクコに特別に見せ、自分だけが知っているとっておきの場所を教えてくれました。その場所は港町の美しい光景が一望できるところでした。
漁港の肉子ちゃんのネタバレあらすじ:転
キクコはこの港町で少しずつ成長していき、この町こそ安住の地にふさわしいと思い始めていました。しかし、惚れっぽい肉子ちゃんはどうやら新しい恋をしているようでした。
キクコの学校では運動会が開かれました。肉子ちゃんはいつもにもまして張り切り、豪勢な弁当を創りました。そして肉子ちゃんは意気揚々と保護者参加の借り物競争に出場しましたが、肉子ちゃんは気合いが入りすぎて何度もフライングをし、結局は最下位でのゴールとなりました。
キクコはそんな肉子ちゃんを呆れながらも応援していましたが、昼になると肉子ちゃんがおにぎりを持って誰かのところへ行ったり、何者かが自分を隠し撮りしていることに気付きました。
キクコは肉子ちゃんの今の恋が終わったらこの町を離れなければならないのかと不安を抱いていました。その矢先、キクコはお腹を痛めて倒れてしまいました。病院に担ぎ込まれたキクコは、付き添ってくれたサッサンから自分は盲腸になったことを告げられました。
サッサンは「お腹が痛いのを我慢していたんだろう。もう少しで腹膜炎を起こすところだったよ」と告げ、入院の手続きから戻ってきた肉子ちゃんと入れ替わるように引き上げていきました。
キクコは思い切って、肉子ちゃんにかねてから抱いていた疑問をぶつけました。「私ってお母さんの本当の子ども?」。それを聞いた肉子ちゃんは一瞬表情をこわばらせながらも、これまで語ることのなかった真実について口を開き始めましたーーー。
漁港の肉子ちゃんの結末
ーーー16歳の時に大阪に出てきた肉子ちゃんは“ダリア”と名乗って水商売をしていました。その頃から肉子ちゃんはダメ男に騙され続ける日々を送っていましたが、やがて同じ店で働く“みう”(吉岡里帆)という女性と知り合い、互いに心を許し合う仲となっていきました。みうの悩みは子供ができにくい体質であり、肉子ちゃんはそんな彼女に寄り添って話を聞いてあげていました。
それからしばらくして、みうのお腹に新しい命が宿りました。肉子ちゃんはそれを自分のことのように喜び、みうのためにと一生懸命仕事に精を出しました。やがてみうは女の子の赤ん坊を出産、肉子ちゃんは赤ん坊の面倒を見ていたのですが、ある日突然みうはミルクといくらかの金だけを残し、赤ん坊を置いて行方をくらましてしまったのです。その日から肉子ちゃんは“キクコ”と名付けられた赤ん坊の母親代わりとなって必死に育て上げたのですーーー。
ーーー「私は本当のお母さんに捨てられたの?」と言うキクコに、肉子ちゃんは「それは違うんだよ」と語りました。肉子ちゃんは、当時先行きの見えなかったみうはどうしていいか分からなかったのだろうと語り、みうは今では別の男と再婚して子供も生まれ、幸せに暮らしているのだと明かしました。運動会でキクコを隠し撮りしていたのは、密かに訪れていたみうだったのです。
キクコはその場で泣き崩れる肉子ちゃんに、「肉子ちゃんは不細工で不器用で太っていて、うちは肉子ちゃんみたいになりたくない。でも、そんな肉子ちゃんが大好きや」と慰めました。肉子ちゃんは泣きながらいつまでもキクコの手を握り続けていました。
やがてキクコは退院し、肉子ちゃんとキクコは引き続き実の親子のように暮らしていました。そんなある日、キクコは突然お腹が痛いと言い出してトイレへと駆け込みました。肉子ちゃんはまたキクコの盲腸炎が再発したのかと心配しましたが、トイレから出てきたキクコは満面の笑みで自分が初潮を迎えたことを伝え、肉子ちゃんは思わず嬉し涙を浮かべました。
肉子ちゃんがテレビを見ていると、明石家さんま(本人)が「親の老後は娘が見てくれると言うてくれて…」と語っていました。肉子ちゃんは「よう喋る男やな」とテレビの電源を切りました。
以上、映画「漁港の肉子ちゃん」のあらすじと結末でした。
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