半落ちの紹介:2003年日本映画。最愛の妻を殺害した警部が隠し続けた空白の2日間の行動の謎に迫るミステリー・ドラマ。事件に隠された悲しい家族の物語に、涙がとまらなくなる感動作です。横山秀夫の小説が原作となっています。
監督:佐々部清 出演者:寺尾聰(梶聡一郎)、柴田恭兵(志木和正)、原田美枝子(梶啓子)、吉岡秀隆(藤林圭吾)、鶴田真由(中尾洋子)、伊原剛志(佐瀬銛男)、國村隼(植村学)、高島礼子(植村亜紀子)、奈良岡朋子(高木医師)、樹木希林(島村康子)ほか
映画「半落ち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「半落ち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
半落ちの予告編 動画
映画「半落ち」解説
この解説記事には映画「半落ち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
半落ちのネタバレあらすじ:空白の2日間
アルツハイマーである妻を殺害したと、現役警部でもある梶が警察に出頭してきます。取り調べにかけては定評のある志木は、梶の取り調べを任されることになりました。梶が妻を殺害したのは、3日前のことでした。梶は殺人については認めるものの、妻を殺害してから自首するまでの2日間の間に何をしていたのか、決して話そうとはしませんでした。現役の警察官が起こした梶の事件は世間でも注目を集め、空白の2日間に梶が何をしていたか、警察にはマスコミからの取材が殺到します。
半落ちのネタバレあらすじ:深まる謎
そんな中、妻の殺害後、梶が歌舞伎町に行っていたという手がかりが出てきます。梶が歌舞伎町に行った理由を、志木は調べることにします。東洋新聞で記者をしている中尾も、事件の真相をスクープすべく、調査に乗り出しました。梶は、誰かを守るために、口を閉ざしているように見えました。梶には一人息子がいましたが、その息子は白血病で亡くなり、最愛の妻を自らの手で殺害した梶に、守るべき対象はいないはずでした。梶が誰を守ろうとしているのか謎は深まるばかりです。
半落ちのネタバレあらすじ:事件の鍵
志木は、亡くなった梶の息子が治療を受けていた病院の医師に話を聞きます。梶は、息子の病気をきっかけに、ドナー登録をしていました。息子が亡くなった後に、梶の骨髄が適合した少年が見つかり、少年の命は救われます。妻は、息子の生まれ変わりができたようだと、とても喜んでいたという話でした。志木は、自分が得た情報を中尾に伝え、中尾は、病院に取材に行きました。中尾は病院の医師から、ある記事を見せられます。
半落ちの結末:事件の真相
それは、梶が命を助けた少年が新聞に投稿した投稿文でした。たまたま、新聞投稿を見た梶の妻は、息子のように思う少年が新宿のラーメン屋で働いていることを知り、その少年に会いたがります。しかし、ドナー提供のルール上、ドナーを提供した相手に会いに行くことは禁止されていました。妻の想いを知った梶は、その空白の2日間の間に、少年に会いに行っていました。梶は、その事実を話すことで、少年がマスコミの目に晒されることから守っていたのでした。公判で事実が明かされましたが、結局、梶は最後まで否定し、少年を守り抜いたのでした。
主人公・梶聡一郎役の寺尾聡がアルツハイマー病の妻を殺害したとして自首してきますが、捜査をしていく過程で、彼の自首するまでの2日間の行動が謎となります。この2日間を巡って梶はあくまでも黙秘を続けますが、この刑事と梶との息詰まる取り調べの場面の展開には何とも言えない息苦しさを感じます。梶の希望の閉ざされてしまった心の底で隠している真実とは何か、人間は家族を失った悲しみの中にも一筋の希望を見つけた時、その希望の灯をどこまで追い続けられるのだろうか、など考えさせられます。さらに梶が黙秘を続けた真実が分かった時、思わず涙があふれるほどの感動が襲ってきます。わき役の俳優さんたちの演技も秀逸です。鑑賞していろいろと考えさせられる作品です。