コーダ あいのうたの紹介:2021年アメリカ,フランス,カナダ映画。マサチューセッツ州の漁港をかかえた小さな町に暮らす高校生のルビー。両親と兄の4人家族の中でひとりだけ耳が聞こえるため、家族の通訳係として、家業である漁業を毎日欠かさず手伝っていた。新学期が始まると、ルビーは秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択。すると顧問のヴィラロボス先生がルビーの才能に気付き、都会の名門音楽大学バークリーを受験するよう強く勧める。しかし、ルビーの歌声を聞くことができない両親は娘の才能を信じられず、家業のほうが大事だと猛反対。夢を諦め家族を選んだルビーだったが、父は思いがけない方法で娘の才能に触れ、意外な決断をする。原題の『CODA』とはChild of Deaf Adultsの略語で、聾者の親を持つ子どもという意味。また、楽曲の終わりを表す音楽記号のことでもあり、次の章が始まる意味を持つ。2022年のアカデミー賞で最高賞である作品賞を受賞。家族の熱く美しい絆の感動作。
監督:シアン・ヘダー 出演:エミリア・ジョーンズ(ルビー・ロッシ)、トロイ・コッツァー(フランク・ロッシ)、マーリー・マトリン(ジャッキー・ロッシ)、ダニエル・デュラント(レオ・ロッシ)、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ(マイルズ)、エウヘニオ・デルベス(ベルナルド・ヴィラロボス/V)ほか
映画「コーダ あいのうた」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コーダ あいのうた」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
コーダ あいのうたの予告編 動画
映画「コーダ あいのうた」解説
この解説記事には映画「コーダ あいのうた」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コーダ あいのうたのネタバレあらすじ:起
聴覚障害者の父フランク、母ジャッキー、兄レオと暮らす高校生のルビーは、家族の中で唯一の健聴者。漁師の父・兄とともに登校前の早朝からルビーは船に乗り、作業を手伝いながら無線の対応や、他の漁師や仲買人との通訳をこなします。
町でも有名な聾唖者家族の一員であるルビーは学校でも浮いた存在です。選択授業を何にするか迷っていたルビーは、気になっている男の子・マイルズが選んだ“合唱”を選択します。
学校を出ると、両親が車で迎えに来ました。病院へ行くので通訳が必要なのです。父はインキンタムシと診断され2週間のSEX禁止を言い渡されますが、情熱的な両親はとても無理だと嘆きます。
帰宅すると兄は出会い系サイトで女の子を探していて、母は一緒に品定めをします。イヤホンで音楽を聴くことはとがめるのに、とルビーは不満そうです。
高校では合唱の授業が始まりました。担当のベルナルドは自分のことを“V先生”と呼ばせ、ひとりひとりの音域をチェックします。人前で歌うことに慣れていないルビーは、歌うことができずその場から逃げ出してしまいます。お気に入りの池にやってきたルビーは、そこでひとりで歌うのでした。
ルビーが家に帰ると、両親がお金のことでケンカしています。船を売ったら?と提案する母に父は、自分には漁しかないと言っていました。
翌日、ルビーはV先生をたずねます。他人の目が怖いというルビーを先生は独特の言い回しで励まし、授業で会おうと言ってくれました。
授業でようやく歌えたルビーの歌声を褒めるV先生は、マイルズとルビーに秋のコンサートでデュエットするよう指示します。ルビーは喜びが顔に出ないよう必死に抑えていましたが、マイルズはさっさと帰ってしまいます。
次の授業終了後、練習の成果を披露しますが、単独練習しかしていないので全く息が合いません。「ラブソングだぞ!」と先生は言い、マイルズはギターを弾くよう指示され帰っていきます。残ったルビーに先生は、バークリー音楽大学に進む気はないかと声を掛けます。マイルズも目指していると言い、お金は奨学金を得ればいいし、夜間と週末に自分が特訓してやるというのです。
母に合唱を始めたと話したルビーは、自分たちに聞こえないことを始めた娘に対し「反抗期なのね」と言い放った母に怒りをあらわにします。
その頃父と兄は、手数料を値上げするといってきた仲買人を批判し、協同組合をつくろうと兄が言い出します。それには消極的な父を置いて仲間と飲みに行った兄ですが、そこで別の客とトラブルになり殴り合いになってしまいます。その後、なぐさめてくれた店の女の子と仲良くなった彼は、裏の倉庫で体を求め合うのでした。
コーダ あいのうたのネタバレあらすじ:承
ふたりで練習することにしたマイルズとルビー。ついにルビーの部屋にマイルズがやってきました。以前町のレストランで、家族の分も注文するルビーを見てかっこいいと思ったというマイルズ。彼は、自分の家族は仲がよくないと話します。マイルズがギターを弾き、向かい合って練習を始めますが、ルビーが変に意識してしまい途中でストップ。今度は背中合わせで歌い始めると、いい雰囲気になってきました。
そのとき、となりの部屋から突然母の大きな喘ぎ声が聞こえてきました。あわててドアを開けると正に真っ最中の両親…。ルビーが男の子を連れてきていたことを知った両親はうれしそうに、ちゃんとゴムをつけるようジェスチャーで表現しマイルズを困惑させます。怒ったルビーはマイルズを帰らせ部屋にこもってしまいます。
翌日、学校でそのウワサはすでに広まっていました。いたたまれなくなってその場から逃げ出すルビーをマイルズは追いかけ、ひとりにだけ話してしまったと謝ります。ルビーは失望しマイルズを拒絶します。
V先生の家で特訓を始めたルビーですが、なかなかうまく歌えません。「ジョニ・ミッチェルだぞ!」と先生は言い、ルビーが気にしているからかいの原因、聾唖者のような話し方をやってみろとけしかけます。大きな声を出すうちに感情が昂ぶってきたルビー。ようやくV先生の納得する声が出始めてきました。
特訓のあと、父と兄が参加している漁師たちと仲買人たちとの集会に遅れてやってきたルビー。今後、監視員を定期的に船に乗せなければならず、しかも有料だということ。儲けがほとんどないのに手数料が値上がりすることなどに腹を立てた父は、つい組合をつくる、みんな参加してくれと宣言してしまいます。もちろん声に出すのはルビーの役目です。
帰宅後、その話をすると、母は最初反対していましたが、ルビーが一緒にいてくれたら自分も頑張れると協力を約束します。でも、いつもルビーに頼りっぱなしの状況をこころよく思っていない兄は怒って家を飛び出していきました。
コーダ あいのうたのネタバレあらすじ:転
ロッシ家の挑戦が始まりました。チラシを配り、直接顧客を勧誘し、漁師仲間の妻たちは加工などを手伝います。一員であるルビーも家族の代わりに電話応対するなど大忙しで、V先生の特訓にも遅刻することが増えてきました。そして仲直りしたがっているマイルズのことも無視したまま。
ある日、今日こそは時刻どおり特訓に向かおうとするルビーを、テレビの取材がはいるからいてくれないと困る、と母が引き止めます。渋々引き受け、だいぶ遅刻して先生の家に向かうとそこに先生はいません。学校にいた先生にルビーは謝りますが、やる気が感じられない、挑戦を恐れているのではないかとV先生は言います。
その夜、ルビーは音大に進学したいと家族に話しました。娘の才能を知る由もない両親は驚き、そしていなくなったら困ると訴えますが、自分には自分の人生がある、とルビーは反論するのでした。
翌朝、ルビーは起きてきません。その日は外部の監視員が乗り込む大切な日でした。事情を知らない女性の監視員が乗船し、やがて彼らが聴覚障害者であることを知った彼女は沿岸警備隊を呼び、停戦命令に気づかなかったロッシ父子は免許停止になってしまいます。
その頃ルビーは、マイルズと仲直りをするため彼と池に来ていました。ひときわ高い崖から飛び込めたら許す、というルビーの言葉にマイルズは覚悟を決めて飛び込みます。池の中で見つめ合うふたりはやがてキスを交わすのでした。
帰宅したルビーは、漁に来なかったせいで免許停止になったと責められます。そして後日、多額の罰金を課せられたロッシ家は、健聴者を同乗させなければ漁をおこなってはならないと言い渡されてしまいます。ルビーは音大進学を諦め、船に乗ることを選びます。それを聞いた兄は怒ってまた家を出ていってしまいました。
夜、ルビーの部屋に母が入ってきました。秋のコンサートで着るためのドレスを準備してくれていたのです。母は、ルビーが健聴者だと知ってわかり合えないと思ったと振り返ります。自身が母親に理解されなかったからだと言うと、ルビーは家族でひとりだけ健聴者である自分も疎外感を感じていたと言います。子育てに失敗したかもしれないと言う母に、それは聴覚障害とは関係ないとルビーは笑います。そして、母は慈しむようにルビーの頭を撫でるのでした。
翌朝。海の近くにいた兄はルビーに、家族の犠牲になるな、家のことは自分がなんとかすると強い調子で言って歩いていってしまいます。
コーダ あいのうたの結末
コンサート当日。ルビーは母が用意した真っ赤なドレスを来てステージ上にいました。ロッシ一家が座席に座ると、兄のとなりにルビーの親友・ガーティが座ります。
コンサートが始まり、全員でのノリの良い歌声に会場は沸き立ちます。周囲に合わせて適当に手を打ったり立ち上がったりしながらも次第に飽きてくる父と母。するとプログラムはマイルズとルビーのデュエットに。ふたりの歌声に聴き入る人、微笑む人、涙ぐむ人もいます。父フランクは、多くの人の心に響いている娘ルビーの歌声を気配で感じました。
コンサート終了後、全員揃ったロッシ家の前にV先生が現れます。ルビーを褒め、翌日の音大受験をまだ諦めていないと先生は言いますが、ルビーは後半を通訳しませんでした。
夜、家に帰ってくると、父は少し外で涼んでから入るといって外に残ります。ルビーが父の横に座ると、もう一度ここで歌ってほしいと父が頼みます。不思議に思いながらルビーが歌い始めると、父は両手をルビーの首に押し当て体で歌声を感じようとしています。そして、愛おしそうに額と額をくっつけるのでした。
翌朝。父に起こされたルビーは、音大受験のため家族全員で家を出ることに。夜のうちに父が母を説得し、音大進学を認めさせたのです。
遅刻して最後の受験者となったルビー。服は普段着で楽譜も忘れてきました。アカペラで歌おうとしたそのとき、もう帰ったと思っていたV先生が、自分が伴奏しますと言って入ってきました。曲はジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」。歌い出しに納得できなかったV先生はわざと自分が間違え、再度頭からやり直します。
その真意を理解したルビーは、ちゃんと気合いを入れて歌い始めます。やがて、2階席に家族が忍び込んでいるのを見つけると、彼らに向けて手話をしながら歌い続けました。
後日、PCのサイトで合格を知ると家族は大喜び!そしてルビーはV先生に報告しに行き、ハイタッチで祝福されました。しかしマイルズは不合格。待ってる、とルビーは言い、ふたりは手をつないであの池に飛び込みました。
大学の寮に向かう旅立ちの日。車で送ってくれるのはガーティです。荷物を積込み出発したルビーですが、すぐに車を停車させ、降りて家族のもとに駆け寄ります。改めて4人で抱き合うロッシ一家。再び車に乗ったルビーは助手席からハンドサインを送ります。
「本当に愛してる」
以上、映画「コーダ あいのうた」のあらすじと結末でした。
こころ温まる映画でした
お父さん最高
アカデミー賞納得です