Diner ダイナーの紹介:2019年日本映画。大胆な色使いで知られる蜷川実花監督。三作めとなるこの『Diner』では、初の男性主人公、初のヴァイオレンスアクションに挑戦している。主役のボンベロを演じるのは、監督の父、演出家蜷川幸雄に見出された藤原竜也。亡きボスとして、肖像画で登場する恩師に見守られながら、藤原は超豪華でぶっ飛んだ共演者たちと死のバトルを繰り広げる。蜷川監督の次回作は、小栗旬主演の『人間失格 太宰治と3人の女たち』で、2019年9月に公開される。
監督:蜷川実花 キャスト:藤原竜也(ボンベロ)、玉城ティナ(オオバカナコ)、窪田正孝(スキン)、本郷奏多(キッド)、武田真治(ブロ)、斎藤工(カウボーイ)、佐藤江梨子(ディーディー)、金子ノブアキ(ブタ男)、小栗旬(マテバ)、土屋アンナ(マリア)、真矢ミキ(無礼図)、奥田瑛二(コフィ)、ほか
映画「Diner ダイナー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「Diner ダイナー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
Diner ダイナーの予告編 動画
映画「Diner ダイナー」解説
この解説記事には映画「Diner ダイナー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
Diner ダイナーのネタバレあらすじ:起
オオバカナコ(玉城ティナ)。
幼い頃、彼女の母は姉だけを連れて出ていき、ひとりぼっちのカナコはいつも自分の居場所を探しています。
あるとき、街で見かけた外国の祭りに魅せられ、その色彩豊かな土地に行ってみたいと思ったカナコは旅行代理店を訪れます。
代金は30万円。
カナコは日給30万円のあぶないバイトに手を出します。
運転手として雇われたカナコはギャングに追われ、雇い主とともにつかまってしまいます。今にも殺されそうなカナコは命乞いをし、殴られて気を失ってしまいます。
極彩色に彩られた室内で目覚めたカナコ。彼女は殺し屋専門のDiner(ダイナー)にウェイトレスとして売られたのでした。
シェフ“ボンベロ”(藤原竜也)は自ら王と名乗り、カナコに高圧的な態度で接します。
店の壁には、過去にここで働いていたウェイトレスたちの写真が飾られています。彼女たちは全員殺され、カナコも失敗すればそこに加わるだけだと言われました。
逃げようとあちこち走り回りますが、出られるところは見つかりません。倉庫に入ったカナコは、金庫を見つけます。適当にダイヤルを回してそれを開けると、中には美術品のような瓶が入っていました。カナコはそれを隠し、殺されないための切り札にしました。
それは「DIVAウォッカ」という超高級酒で、1億以上の価値があるといいます。どう脅しても隠し場所を教えようとしないカナコに、ボンベロは「扱いにくい女!」と忌々しそうに吐き捨てるのでした。
Diner ダイナーのネタバレあらすじ:承
いよいよ開店。
店に入るには3つのドアがあり、ボンベロがモニターで確認しながらロックを解除しなければ入れません。
最初にやってきたのは、傷だらけの顔をした“スキン”(窪田正孝)でした。
彼専用の部屋に案内したあと、カナコは次の客、筋肉系の“ブロ”(武田真治)たち4人組に襲われてしまいます。しかしスキンが出てきて、カナコを助けてくれました。
カナコがスフレを持って部屋に入ると、スキンは母の写真を飾り、母の味を再現したというスフレをうれしそうに食べ始めますが、その中には異物が…。慌てるカナコにスキンは、「いつもこうなんだ」と言って寂しそうに帰っていきました。
次に来店したのは“教授”と子どもの“キッド”(本郷奏多)。
キッドは、一緒に逃げようとすり寄ってきます。カナコが返事に困っていると、ボンベロがやってきて、キッドは全身整形をして子どもの姿になっているだけで、本当は残忍な殺し屋であると告げました。
案の定、キッドはブロたちを相手に大暴れ。仲間のひとりを殺してしまいました。怒ったボンベロが死体の処理を言いつけると、キッドは大喜びで死体を切り刻み始めるのでした。
一週間後に組織のボス、デルモニコの一周忌懇親会をDinerで開くと、№2のコフィから電話がありました。そして、その席で「DIVAウォッカ」を開けるように、と。
この街は、もともと東西南北4つに分かれ、それぞれマテバ(小栗旬)、マリア(土屋アンナ)、コフィ(奥田瑛二)、無礼図(真矢ミキ)の4人が仕切っていたのをデルモニコが統一したのです。しかし一年前にデルモニコが亡くなり、その一周忌が過ぎれば跡目をめぐって全面対決になることは必至。その懇親会場にDinerが指名されたのです。「DIVAウォッカ」が出せなければ、ボンベロでさえ殺されるかもしれません。焦るボンベロにカナコは「懇親会の前に渡します」と約束しました。
Diner ダイナーのネタバレあらすじ:転
ボンベロの愛犬“菊千代”が退院してきました。恐ろしい殺人犬だという菊千代に見張りを任せ、ボンベロは外出します。誰も入れないようにと言っていたボンベロでしたが、「キッドが来るから中で待たせておけ」と電話をかけてきました。
カナコがキッドを店に入れると、再びボンベロから電話が。そして、さっきの電話はキッドがかけたニセ電話だったことが判明。キッドはボンベロの留守を狙って、カナコを殺しに来たのです。
カナコは負傷したものの、菊千代の活躍によって守られ、戻ってきたボンベロがキッドを追い出しました。
別の日。
ひどい大ケガをしたスキンの手当てをしたボンベロは、カナコにその世話を任せます。スキンはカナコに、もしもの時はボンベロを守るように伝え、いつも持ち歩いていた小箱を渡します。
ボンベロに、オーブンでスフレを焼き上げてスキンに出すように言われたカナコは、異物を取り出してスフレを焼きました。初めて完璧なスフレを食べ終えたスキンは、大げさに喜び、異様なテンションで突然機関銃を乱射し始めました。
あわてて戻ってきたボンベロによってスキンはとりあえず乱射をやめ、カナコはスキンを救おうと彼を抱きしめます。
落ち着いたかと思われたそのとき、ボンベロの銃がスキンを撃ち抜きました。スキンは自爆しようとしていたのです。
実は、異物の入っていない完璧なスフレを食べたことがトリガーとなり、スキンの繊細な心は壊れてしまったのです。カナコが良かれと思ってやったことが、スキンの命を奪ったのです。
「死ね」
ボンベロに言われたカナコは素直に受け入れます。
でも、ボンベロはドアを開けてカナコを殺さずに追い出そうとしました。カナコは納得しません。そして、初めて自分の意志で「ここにいる!」と主張するのでした。
Diner ダイナーの結末
ボンベロは、意志を持ち始めたカナコに、厨房での仕事を見せるようになっていました。
そしてついに迎えた懇親会の日。
既に何者かに殺されたマテバ以外の三人がDinerにやってきました。
貴賓室で振る舞われる特別な料理を前にしても、三人は跡目が誰になるか、ボスの証しの指輪がどこにあるのか、そのことしか頭にありません。
真っ先に動いたのは無礼図。ボンベロから情報を聞き出そうと、その左手にナイフを突き刺します。さらに大事な右手を狙ったそのとき、たまらずカナコが声を上げ、スキンから預かった小箱を差し出します。
その中にはボスの指輪と、“コフィ”と書かれたメモが入っていました。
すかさずマリアが立ち上がり、コフィを撃とうとしますが、それを制した無礼図がマリアの喉をかき切り、ボスはひとりでいいと言い放ちます。
コフィをテーブルに乗せると、その口に銃身を押し込み、DIVAウォッカを流し込んでから引き金を引きました。
新しいボスとなった無礼図は、ボンベロに自分のために店をやらないかと誘いますが、彼のボスはデルモニコただひとり。提案を断ると、無礼図の一味がボンベロたちを殺しにかかります。
店内に立てこもり、爆薬などを仕掛けて侵入に備える二人。銃も用意し、次はどうするのかカナコがたずねると、こんな時にボンベロは「料理だ」と言い出します。
「一度しか教えない。よく見てろ」
そう言ってボンベロはハンバーガーを作り、カナコに仕上げを任せます。
ついに無礼図たちが突入。ボンベロはカナコを通路へと押し出し、菊千代とともに敵を迎え撃ちます。
しかし、人数も武器も圧倒的に不利な状況。ボンベロはガスを使って爆発を起こし、一時的に無礼図たちを退け、その間に倉庫へ逃げ込みます。
そこの通風孔から逃げるようカナコに指示し、銀行口座と暗証番号のメモが入ったペンダントを手渡します。
二人で逃げようと抵抗していたカナコですが、ボンベロの覚悟を知ると、「いつか私のお店に来て」と彼にキスをして、ひとりで逃げることを選びました。
ついにボンベロと無礼図の決着のとき。
勝利を確信している無礼図と向き合い、ボンベロはスキンの自爆装置を起動させたのでした。
メキシコ・グアナファト。
色のあふるその街で小さな店を開いたカナコ。その店の名は「Diner」。
死者の日のお祭りである今日、街は仮装した人々で賑わっています。
店の片隅、予約席のテーブルを拭くカナコが入口を見ると、そこには菊千代とボンベロの姿がありました。
カナコはボンベロに抱きつき、ボンベロもやさしい微笑みでそれに応えるのでした。
以上、映画「Diner ダイナー」のあらすじと結末でした。
「Diner ダイナー」感想・レビュー
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監督の蜷川実花さんによる鮮やかな独特の世界観が良かったです。音楽や衣装、ダイナーの店内の雰囲気等も、とても魅力的でした。また、様々なタイプの殺し屋が登場しますが、特に印象的だったのは本郷奏多さんが演じるキッドです。一見かわいい感じかと思いきや、物凄く残酷で、演じきった本郷さんの凄さを感じました。
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とにかく、色彩がキレイな映画で何度も見たくなるような世界だった。内容は、全体的に重い世界感だが、それを忘れさせてくれるような不思議な世界観で、殺し屋が集まる店だったが、何もかもがキレイに見えた。あと主人公の女の子が、段々と時間を追うごとにかわいくなっていった。藤原竜也の演技もこの世界観にとてもマッチしていてカッコ良かった。
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色彩は綺麗だが、先頭シーンが目がチカチカして、話が入ってこない。
しかし、まさに、蜷川実花さんの作品だな、と思う仕上がりでした。
ラストのシーン、自分の深読みかもだけど、あのボンベロは本当に生きたボンベロなのだろうか…死者の日を祝うシーンの後なだけに、もしかしたら、カナコのみた幻なのでは?と思ってしまった
何と言っても、監督である蜷川実花さんの色彩感覚に魅了されます。殺し屋役のアクションシーン(爆破シーン)も見どころだと思います。藤原竜也さん演じるボンベロの玉城ティナさん演じるオオバカナコへの揺れる心情なども繊細に表現されています。ボンベロがカナコに教えたハンバーガーも彩りが綺麗で、観ているこちらも「ゴクリ」と喉を鳴らしてしまいそうな程でした。